「温暖化で沈む国」の全く不都合な真実

12.1 ツバルの不都合な真実

前章で解説したとおり、IPCC学派は「化石燃料の燃焼で排出される二酸化炭素(CO2)による温暖化効果を誇張している」。
もちろん、IPCC学派は頑として認めない。
「二酸化炭素(CO2)による温暖化効果」で海面が上昇し、ツバルが沈みつつある、ツバルの人々が気の毒だ、ツバルの人々を救わねばならない、と騒ぎ立てている。


水没危機ツバル、希望の星砂 陸作る「有孔虫」増殖実験
2010年9月6日3時1分
地球温暖化による海面上昇で将来、水没の恐れがある島を、小さな「星砂」で救う試みを、東京大の茅根創教授や国立環境研究所などが南太平洋のツバルで始めた。コンクリートの防潮堤をつくるのではなく、生物が陸地をつくる力を生かして水没を防ごうという計画だ。
サンゴ礁の島は、サンゴのかけらや貝殻などが積み重なって陸地ができ、維持されている。石灰質の殻をつくる有孔虫の一種で、星のような形のホシズナ(星砂)も、大量に打ち上げられて砂浜になり、陸地づくりに大きな役割を果たしている。
有孔虫はアメーバに近い原生動物の一種。ホシズナは直径1~2ミリで、沖縄でもよくみられる。
環境省が東京大に委託して行った調査によると、ツバルでは島を構成する堆積(たいせき)物に占める有孔虫の割合が多く、全体の5~7割だった。ところが、近年は人口が増え、市街地に近い海では水質悪化が原因とみられる有孔虫の減少が目立つようになった。このまま減り続ければ、陸地を作る能力が衰え、水没の危機がさらに高まる恐れがある。
計画では、水槽で有孔虫を効果的に増やして海に戻す。研究チームは昨秋、日本の陸上水槽で有孔虫を飼育する予備実験を開始。今年4月に、ツバルに有孔虫の増殖を行う実験施設をつくった。
ツバルでは現在、長さ5メートルの水槽四つで、現地で生息するホシズナなど3種の有孔虫(直径1~5ミリ程度)を、計約10万匹飼育している。ホシズナの場合、1匹から数百匹に増える能力があるといい、水流など大量増殖に向けて最適な飼育条件を調べる。
茅根教授は「ツバルでの試みが成功すれば、モルディブなど、水没の危機にあるほかの島国でも役立てたい」と話している。(山本智之)


(朝日新聞デジタル)

実際、環境省が公開しているパンフレットには、茅根創の撮った写真が掲載されている。

2014082602図12-1 「STOP THE 温暖化 2012」より

最新のパンフレットでもツバルを盾にして人為的温暖化(に因る海面上昇)を騒ぎ立てている。

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図12-2 「STOP THE 温暖化 2015」より

第5章の冒頭で引用した朝日新聞社説は「国土の水没を恐れるツバルなど小さな島国の懸命な訴えを、大国も軽んじられなかったのだ」と言い立てていたけれど、環境省の後援で「朝日地球環境フォーラム」を開催した際にも、ツバルを盾に人為的温暖化(に因る海面上昇)を騒ぎ立てていた。


美しい星つながる未来 朝日地球環境フォーラム2013、9月30日・10月1日東京
2013年8月20日
今年で6回目となる「朝日地球環境フォーラム2013」は9月30日(月)と10月1日(火)の両日、東京都千代田区の帝国ホテルで開催される。今年のテーマは「美しい星 つながる未来」。この地球を見つめ直し、そのすばらしさをこれからの世代につなぐ手立てを模索する。1日目の全体会議では温暖化対策の国際的連…

2015010401海面上昇の危機にさらされる南太平洋のツバル。子どもたちは海に飛び込んで遊んでいた。


(朝日新聞デジタル)

無邪気に遊ぶ子どもの写真を見せつけ、子どもへの同情心を利用して、人為的(排出CO2)温暖化でツバルが沈みつつある、と思い込ませようとしているのだが、下図に見えるとおり、ツバルで有意な潮位上昇は認められない。

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図12-3 ツバル・フナフチの潮位の推移(「Permanent Serive for Mean Sea Level」より)

第5章図5-5の黄色の線に見えるとおり、1980年以降は気温が急激に上昇したから、そして、IPCCに依れば、それはCO2の排出が原因だから、CO2の排出で海面が上昇しているのなら、1980年以降に潮位が上昇し続けているはずだが、有意な潮位上昇は認められない。
ならば、図12-1や図12-2は何か?
上図を見れば分かるとおり、数年毎に潮位が乱高下している。
元々、潮位が高い時は海水に浸るのだ。
図12-1や図12-2は環境省のパンフレットで、製作したのは環境省管轄下の環境研究所であろうが、人為的(排出CO2)温暖化を解説(と言うよりも吹聴)しているサイトでは、その事実を認めている。


フナフチで測定される平均潮位は季節により上下し、高い時と低い時で20~30㎝程度の差があります。また、潮汐による干満の差が大きい時には2mを超します。よって、潮位が高くなる春先の満潮時には、標高が低い地域では海水面より低くなってしまうところも出てきます。サンゴ礁の上に砂が堆積してできた島ですので、満潮時に海水面以下になる地域では、地盤(サンゴ礁)の穴を通じて水が滲み出してきます。島のあちこちで海水が地面から湧き出す現象は以前からも観測されてきたもので、温暖化により初めて生じるようになったわけではありません。


(「海面上昇で消える島国」より)

環境省は、潮位が高い時を利用して、人為的(排出CO2に因る)温暖化でツバルが沈んでいるかのごとくに見せかけようと図ったのである。

12.2 ソロモンの不都合な真実

ツバルの不都合な真実が露呈してしまったので、今度はこんなことを言い出した。


南太平洋の島 水没懸念で全住民移住へ
2014年8月24日 4時6分
地球温暖化に伴う海面上昇によって、島の水没が懸念されている南太平洋の島国のうち、ソロモン諸島のタロ島は800人の住民全員が移住する計画を進めることを決め、海面上昇への対策に悩むほかの国々から関心が集まっています。
ソロモン諸島の首都ホニアラ
から北西に400キロほど離れたタロ島は、海抜が2メートルに満たない地点がほとんどで、地球温暖化による海面上昇がこのまま進めば津波などによって島が水没してしまうのではないかという懸念が強まっています。
島の自治体では去年から今年にかけて島にいるおよそ800人の住民と議論を重ねた結果、安全を確保するためには住民全員が移住するしかないと判断し、このほど、隣のチョイスル島に移る計画が承認されました。
計画では、今後5年以内に移住先の島に、学校や病院を建設するほか、津波への対策なども立てることにしており、移住が完了するには10年以上かかるとみられています。
計画を支援しているオーストラリアの企業によりますと、太平洋の島の中ですべての住民が移住するという計画は異例だということで、海面上昇への対策に悩むほかの国々から関心が集まっています。

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(記事はNHK。図は朝日新聞デジタル)

しかし、下図に見えるとおり、やはり、潮位の上昇は認められない。

2015010403図12-4 ソロモン諸島・ホニアラの潮位変化(「Clim.Dyn.,41(2013)381」より)

確かに、上図では20世紀第3四半期に潮位が上昇していたように見えるけれど、別の論文のグラフを見ると、

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図12-5 ソロモン諸島・ホニアラの潮位変化(「Global and Planetary Change,53(2006)155」より)

グラフの右端と左端の値はほとんど同じ。
潮位の上昇は認められない。
だから、全島民移転の理由を津波に変えてしまった。


(世界発2016)津波に備え全島移転へ ソロモン諸島・タロ島
2016年5月5日05時00分
南太平洋の地震多発国・ソロモン諸島=キーワード=で、州都がある島の全住民と州都としての機能を、まるごと別の島に移す計画が進んでいる。「津波や海面上昇の危険性が高すぎる」と海外専門家の調査チームが判断し、水没を恐れる住民らも受け入れた。前代未聞の全島移転には、数十年かかるとみられている。
・・・中略・・・
この小さな島が急に世界的な注目を集めたのは、2年前。州政府が「地球温暖化による水没を避けるため、島ごと対岸のチョイスル島に移す」と発表。タロ島の約12倍の広さとなる532ヘクタールをチョイスル島に確保すると決めた。ツバルやキリバスなど海面上昇で水没する恐れがある島国が多い南太平洋地域でも、島の住民や町がすべて移転するのは例がない。
大胆な決定の発端は、オーストラリア政府の支援で派遣された専門家チームの被害予測調査だった。タロ島の地形や海岸浸食の状況を調べたほか、住民の聞き取り調査などをし、2014年に発表した報告書で「今後も島に住み続けるのは危険すぎる」と提言。調査を率いた豪州の環境コンサルタント、フィリップ・ヘインズ博士は「調査前は海面上昇が念頭にあったが、最も危険性が高いのは、実は津波だとわかった」と話す。
標高3メートルもない同島は、地震の頻発地域にある。07年に起きたマグニチュード(M)8.1のソロモン諸島沖地震では、隣州のギゾ島などで多くの村が津波にのまれ、50人以上が死亡。13年には東部でM8の地震と津波があり、約10人が犠牲になった。
国連機関などが作成した「リスク管理の指標2016」で、ソロモン諸島は191カ国中24番目にリスクが高いとされた(日本は149番目)。約50ある指標のうち地震や津波などによる自然災害分野が特に高かった。同博士は「直近の危険は津波。温暖化は、そのリスクに拍車をかける将来的な要因だ」とみる。
移転の決断は、島民にも全面的に支持されている。ジャクソン・キロー州首相は「津波の恐怖が勝り、移転に反対する者はいない。温暖化で水没するのは10~20年後かもしれないが、津波が来たら島は即終わりだから」という。
・・・中略・・・
ソレブドゥさんは「最も心配なのは資金だ。初期段階のゾーン開発だけで何億ソロモンドル(1ソロモンドル=約13.7円)もかかるが、国にも州にもそんな予算はない。何十年かかるか、見当もつかない」と打ち明けた。
キロー州首相が期待しているのは、途上国の温暖化対策を支援する国連機関「緑の気候基金」の支援だ。「支援を受けられるように国際社会へ訴えていきたい」と意気込む。調査チームのヘインズ博士も「大地震はいつ起きても不思議ではなく、早急に進める必要がある」と話している。(タロ島=郷富佐子)
◆キーワード
<ソロモン諸島> 主要6島と千近い島・環礁が東西約1400キロに延び、日本と同じ環太平洋火山帯に位置する。人口約61万5千人(13年家計収支調査)。豪州プレートと太平洋プレートの境界が近く、海溝型の大地震が発生しやすい。1931、39、88、2007、13年にM8前後の地震が起き、死者が出ている。1978年に英国から独立したが英連邦諸国の一つで、元首は英女王。

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高地がなく平べったいタロ島は、津波に弱いと判断された


(朝日新聞デジタル)

12.3 キリバスの不都合な真実

ソロモンの不都合な真実が露呈してしまったので、上の記事にも見えるとおり、今度はキリバス。


温暖化で沈む国」のいま 水没にらみ全島移住も
2015年5月17日03時08分
海岸の防護壁は崩れ落ち、無人の村の家々の中には貝殻が散乱している。ヤシの木は倒れている。
南太平洋の島国キリバス。アバヤン島沿岸のテブンギナコ村は200人以上が内陸部へ引っ越した。10年ほど前、大潮の際に海水が胸の高さに来るようになり、今では頭より高くなる。元村人のアアタ・マロイエタさん(68)が住む海から100メートルほど内陸の村でも最近、道が海水につかった。「でも逃げ場がない。島は真っ平らだから」
■主食を失う可能性も
キリバスの首都タラワ。沿岸部のビゲニコーラ集落に大量の海水が押し寄せたのは、3月のことだった。
「強風が吹き、夜中に床上まで海水が入ってきた。朝に水が引くまで皆で神に祈った。6歳の孫娘が『沈むのはいや。逃げる船をつくって』と頼むんだ。ここを離れる日が近づいていると実感した」。集落長のエリア・マエレレさん(65)は暗い表情で振り返った。
バヌアツなどを襲った大型サイクロン「パム」が、強い熱帯低気圧が来ない赤道地帯とされてきたキリバスもかすめたのだ。
集落では、10年ほど前から大潮のときに海水が入り始め、今ではひざ下まで浸水するようになっていた。「パムで海水が胸の高さに達したのは最終宣告なのか。気候変動はここでは現実だ。先進国は実態を知り、支援してほしい」。マエレレさんは訴えた。
33の環礁からなるキリバスはサンゴが堆積(たいせき)してできており、平均標高はわずか2メートルほど。気候変動による海面上昇の影響を受けやすく、「温暖化で最初に沈む国」の一つとされる。

政府は昨年、フィジーに約20平方キロの土地を買った。アノテ・トン大統領は「海面上昇や塩害で耕作地がなくなった場合の食料確保のためだが、最悪の場合は移住の場にと考えたこともある」と明かす。
・・・中略・・・
■「生きるか死ぬかの問題」
小さな島国は温暖化の影響を特に受けやすく、「気候変動の最前線にいる」(国連の潘基文(パンギムン)事務総長)と言われる。世界的な対策をめぐる国際交渉でも、ほかの多くの途上国と一線を画して、より厳しい対策を求め続けている。
国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書によると、特に影響するのは海面水位の上昇だ。いまのまま温室効果ガスの排出増が続くシナリオでは、今世紀末に世界平均で最大1メートル弱の上昇が予測されている。
今世紀内を考えても、小さい国土で海岸の浸食が進むと、飲用にする地下水に塩分が混ざる。海水温が上昇すると、サンゴ礁の生態系が破壊され、これに頼っている観光や漁業は大きな打撃を受ける。
今年2月にスイスで開かれた会合では、小さな島国などでつくるグループ代表が「海面上昇は信じられていたよりも加速している。私たちにとって生きるか死ぬかの問題だ」と訴えた。
実際、フィジーでは住民が沿岸に住めなくなり高台移転した地域がある。人口約千人のソロモン諸島のタロ島は、水没をにらみ、将来の全島移住を決めた。
これまでの交渉で、19世紀後半の工業化以前と比べた気温上昇を「2度未満」に抑えることを大目標として合意しているが、小さな島国は、それでも不十分だとして「1.5度未満」を目標にするべきだと主張している。
国際社会は今年末に開かれる国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で、京都議定書に代わるすべての国が参加する新しい国際枠組みの合意を目指している。島国の「悲鳴」は、世界に対し、直ちに行動に移るよう迫る役割を果たしている。(須藤大輔)

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(朝日新聞デジタル)


(@タラワ〈キリバス首都〉)地球温暖化におびえる南の小国
2015年5月30日
■特派員リポート 郷富佐子(シドニー支局長)
キリバスという国の話をしたい。南太平洋の島嶼(とうしょ)国家の一つで、1979年に英国から独立した。住民のほとんどがミクロネシア系で、人口10万の小さな国だ。
ツバルなどと並んで「地球温暖化の影響を最も強く受けている国のひとつ」と言われている。シドニー支局の管轄なのだが、これまで一度も訪れたことがなかった。日本で5月22、23両日に開かれた「第7回太平洋・島サミット」の前に、良い機会だと思って足を延ばしてみた。
・・・中略・・・
キリバスで強く感じたのは、「こんなに素朴な国がなぜ、気候変動の被害をもろに受けないといけないのだろう」という疑問だ。一週間足らずの短い滞在だったが、会った人々はみんな、とても親切だった。ちょっと恥ずかしがり屋で、話しかけると大きな声で笑う。子供たちは人なつこくてかわいい。
この平和な南の国が、沈みつつあるという。取材中にあちこちで聞いたのは、海面が上昇して「もうすぐ水没するのは間違いない」という悲鳴のような住民の声だった。海水がどんどん、内陸部まで入り込んでいる。サンゴ礁の上に座るようにできている真っ平らな島々なので、逃げられる高い場所がないのだ。
タラワからスピードボートで1時間半ほどのアバヤン島には、家々が冠水して無人になった村があった。ボートの上から見た島は、本当に真っ平らだった。島で会った漁師のカウアバガ・メーリタさん(33)は、日本の熱海へ3年間、出稼ぎへ行っていたという。流暢(りゅうちょう)な日本語で「この国が水没したら、本当は日本へ移住したい。日本政府が受け入れてくれないだろうから、無理だとは思いますが」と笑った。
温室効果ガスと地球温暖化の関係を疑う人もいる。海水温の上昇は自然の変動の範囲内だと主張する科学者がいるのも知っている。でも、キリバスで見た光景は強烈だった。先進国が排出するガスのために南太平洋の島の人々が苦しんでいるのなら、理不尽だとしか言いようがない。
自給自足の生活だったこの国にも貨幣経済が入り込み、人々は輸入品を現金で求めるようになった。タラワの海岸にはペットボトルやポリ袋などの家庭ごみが山積みになっているし、生活排水で海の汚染も進んでいる。海が汚れてサンゴや小さな貝が減り、砂浜がやせるような「地元要因」も、確かに気候変動の影響を加速させているだろう。
それでも、毎朝8時に電気が止まり、電気がつく夜になっても当然のようにランプを手に歩いている人々を見ると、「なぜ、この国が」と思わずにはいられなかった。蛇口をひねっても湯が出ることはなく、日々の食べ物は自宅裏で育てるイモや野菜でまかなっている社会。雨が降れば、子供たちが素っ裸になって泥遊びをする国が、なぜ100年後には水没しなければいけないのか。
今いる場所の「便利さ」が、他の場所に住む人々に犠牲を強いているかもしれないのだ。頭ではわかっていたつもりだが、これまで真剣に考えたことはなかった。キリバスで感じた「不便さ」はそのまま、南の島国から突きつけられた問いかけだと思う。

郷富佐子(ごう・ふさこ) シドニー支局長。仙台、横浜、東京社会部などでの勤務を経て、マニラ、ローマ、ジャカルタの各海外支局で勤務。2013年9月から現職。48歳。ブログ「南十字星の下で(http://www.asahi.com/special/sydneyblog/)」、つぶやき(@Asahisydney55)も。


(朝日新聞デジタル)

タラワの潮位変化は下図のとおり。

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図12-6 キリバス・タラワの潮位変化(「Global and Planetary Change,80-81(2012)85」より)

1980年以前は潮位が上昇し続けていたけれど、第5章図5-5に見えるとおり、その間には気温が低下していたのであり、前章の第6節で解説したとおり、IPCC学派は、(大気汚染で放出された)エアロゾルが原因で気温上昇が停滞した、と言い張っていたのだから、その間の潮位上昇はCO2の排出が原因ではない。
CO2の排出とキリバスの潮位変化に明瞭な因果関係は認められない。

ツバルもキリバスもサンゴが堆積してできた環礁だが、「Global and Planetary Change,72(2010)234」に依れば、太平洋の84%の環礁は面積が一定、もしくは、増加している。
Geophys.Res.Lett.,41(2014)820」に依れば、海面が上昇することでサンゴが堆積し、ツバルやキリバスのような環礁が形成されたのである。

「人口約千人のソロモン諸島のタロ島は、水没をにらみ、将来の全島移住を決めた」と騒ぎ立てていた朝日新聞は、キリバスに関してもこのような社説を書いていた。


沈む島の訴え―手をさしのべるために
我々は自分の国に住み続けるのが難しそうだから、日本で受け入れてくれないか。例えば、日本で人手が足りない看護・介護分野ではどうか――。
外国の首脳からこう言われたら、どう答えるだろうか。
仮定の話ではない。南太平洋の島国、キリバスの大統領が本紙インタビューで訴えた。
地球温暖化に伴う海水面の上昇や異常気象で国土が水没しかねない国は、平均標高が2~3メートルというキリバスだけではない。日本政府は5月、そうした国々を福島県いわき市に招いて「太平洋・島サミット」を開き、防災や気候変動対策、環境保全などで550億円以上の援助を約束した。
温室効果ガスを多く出してきた先進国の一つとして対策に力を入れていくべきだが、事態は深刻だ。「国が沈むのは時間の問題」と話すキリバス大統領が口にした次のひと言が、そう痛感させる。
「尊厳ある移住」である。
災害から逃げるように他国へ移るのではなくて、威厳を持って移住を選びたい。だから、職業訓練を受けて技術や技能を身につけるよう、国民に呼びかけているそうだ。

受け入れ先候補として、例えば豪州とは既に話し合いをしているという。「日本に看護師や介護士として移住する」という提案も、日本の少子高齢化を踏まえたうえで「両国にとって利益がある戦略だ」と強調する。
実際、日本はインドネシアなど3カ国と結ぶ経済連携協定の枠内で看護師や介護福祉士向けの人材を受け入れている。しかし、大統領は、単にキリバスをその対象に加えるよう求めたのではあるまい。そもそも、労働力という次元だけで考えるべきではないだろう。
海外への技術移転を名目に始めた「技能実習制度」も、労働環境の劣悪さが問題になっている。苦境にある人々に連帯するための仕組みにはなりえない。
キリバスに限らず、世界には様々な困難に直面する人たちがいる。そうした人たちに日本が手をさしのべるなら、議論を封じ込めている定住希望の外国人、いわゆる移民の受け入れという課題に向かわざるを得ないのではないか。 大統領が言う「尊厳」を保つための思考が日本でも必要なはずだ。
「移民は是か非か」という抽象的な議論にとどまらず、いま世界で起きている問題を見すえ、一つひとつ具体的に考えていく。そうした姿勢が大切だ。
キリバス大統領の発言を、そんな問題提起と受け止めたい。


(2015年6月8日の朝日新聞社説)

しかし、ニュージーランドに「尊厳ある移住」を求めたキリバス人は追い返された。


初の「気候変動難民」認めず=キリバス人敗訴-NZ最高裁
2015/7/21-15:53
【シドニー時事】ニュージーランド最高裁判所は21日、世界初となる「気候変動難民」認定を求めていたキリバス人男性の訴えを退け、難民に該当しないとの判決を下した。男性は、太平洋の島国キリバスでは、気候変動に伴う海面上昇で生命の危機にさらされるとして、居住地のニュージーランドで難民認定を申請していた。
最高裁は判決理由で「男性は帰国しても深刻な危機に直面しない」と説明した。男性の滞在ビザは失効しており、妻と3人の子供と共にキリバスへ送還される。
ただ最高裁は、気候変動難民を将来認める「可能性は否定しない」と述べ、今後の認定に含みを残した。


(時事ドットコム)

CO2の排出と潮位上昇に明瞭な因果関係は認められないのだから、当然である。

12.4 トンガとマーシャル諸島とフィジーの不都合な真実

キリバスの不都合な真実が露呈してしまったので、今度は、トンガが沈む、マーシャル諸島が沈む、フィジーが沈む、と騒ぎ出した。


(世界発2015)トンガ、未来の危機映す島 地震で地盤沈下23センチ=海面上昇の40年分超
2015年9月10日05時00分
南太平洋に浮かぶ王国・トンガ。地震や火山爆発、サイクロンと様々な自然災害に襲われてきたが、近年は気候変動という新たな脅威にさらされている。人々の危険が増すなかで、過去の天災から将来の被害を予測する試みも始まった。
「地震で大地が沈み、地球温暖化で海面が上がった。最近では干潮時も、昔の満潮と同じくらいまで海水が入って来てしまう
トンガの首都ヌクアロファから北に約160キロ。リフカ島南部パンガイ地区の海岸で、ミリアム・トゥイバイ・カイハウさん(60)とセルさん(63)夫妻が表情を曇らせた。島では伝統的に、干潮時は女性が木のカヌーに乗ってタコ漁をし、潮が高いときは男性が沖へ出て魚を捕って生計を立ててきた。最近は「どちらの漁もやりにくくなった」と嘆いた。
・・・中略・・・
■浸水におびえる国民、護岸壁の設置援助を アキリシ・ポヒバ首相
昨年末、貴族議員などではない「庶民」の立場から初めて選出されたアキリシ・ポヒバ首相(74)に聞いた。
――気候変動の影響は。
「これまでの経験から言っても最悪の状態だと思う。特に深刻なのは海面上昇と海岸浸食で、海岸沿いからヤシやマングローブの木が消えている。海岸沿いに住む国民は高潮や洪水による浸水におびえており、サイクロンが来ればあっという間に家屋が倒壊する」
――5月に福島県いわき市で開かれた太平洋・島サミットに参加しましたね。
「有意義な会合だった。日本はトンガにとって最も古く親しい友人の一人で、自然災害が多い共通点もある。我が国は多額の負債を抱えており、国家再建を急がなければいけない現状だ。日本政府には改めて、災害危機対策を含めた援助をお願いしたい。特に、陸地へ入る海水を防ぐための護岸壁設置などは急務だ」
■災害リスク「世界2位」
トンガ気象庁などの報告によると、1993年から海面上昇が深刻化。上昇規模の年平均が世界では2.8~3.6ミリなのに、トンガでは6ミリ。周辺の海水温上昇などが原因とみられる。
国連大学が発表した14年版の「世界リスク報告」で、トンガは「災害リスク」で171カ国中、バヌアツに次いで2位だった。地震、台風やサイクロン、洪水、干ばつ、海面上昇などの要因から、国別で順位をつけたものだ。
すぐ東に深さ1万メートルのトンガ海溝が南北に延びる。地震の多発地域で、09年にもM7.6の地震が起きた。火山の噴火も多い。昨年末から今年初めにかけても爆発が起き、数千メートルも噴き上げられた火山灰などの影響で国際便が相次いで欠航した。昨年1月にはサイクロンで3500人以上が家屋を失い、農作物にも大きな被害が出た。復旧費用は30億円以上と推計されている。
◆キーワード
<トンガ> 太平洋のポリネシアに属し、約170の島からなる王国。1900年から70年間、英国の保護領だったが、植民地になったことはない。人口は約10万6千で、ほとんどがキリスト教徒。近年は民主化運動が盛り上がり、2006年に首都ヌクアロファで起きた暴動では死者も出た。12年3月に国王のツポウ5世が死去し、弟のラバカ皇太子が即位。今年7月、ツポウ6世としての戴冠(たいかん)式が行われた。

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(朝日新聞デジタル)


海水面が上昇し、島がどんどん変わっていきます マーシャル諸島から来た少女が演説
マーシャル諸島の外相(手前右から2人目)らとともに全体会合が開かれる会場に入るセリナさん(同3人目)=パリ郊外で12日、ロイター
「島がどんどん変わっていきます」。国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で「パリ協定」が採択され、その後の各国の意見表明に海面上昇が進む南太平洋の島国マーシャル諸島から来た少女が立った。少女がヤシの葉の髪飾りを見せながら「子供や孫の世代にもヤシを残せるようにしたい」と訴えると、ケリー米国務長官ら各国の代表は、立ち上がって拍手を送った。
演説したのは昨年から奨学金でドイツの高校に通うセリナ・リームさん(18)。マーシャル諸島の平均海抜は2メートルで、温暖化による海面上昇の影響で、海岸の浸食が進んでいる。
セリナさんは「マーシャル諸島という小さな島から来た大きな夢を持っている少女です」と自己紹介。以前、祖父に「サンタクロースが住む北極や南極の氷が解け、海水面が上昇して島が洪水になる」という話を聞き「海が怖くなった」との思い出を語った。
そのときは「祖父が私をしかるために話したと思ったが、実際にどんどん海水面が上昇している」と訴えた。
最後に髪飾りを示しながら「皆さんに、この飾りを(自分の)子供や孫に見せてほしいのです。そして、あなたたちが小さな島と世界を今日、どのようにして救ったのか、語り継いでほしいのです」と訴えた。
演説後、取材に応じたセリナさんは「島が地球温暖化の影響を受けている現状を訴えたいと思い、ここに来た」と説明。ドイツ留学前の2014年3月、高潮で自宅が水没する被害にあったという。留学後は島に戻り「島のために役に立つ職業に就きたい」と話した。【パリ矢野純一】


(毎日新聞2015年12月14日 東京夕刊)


米国引き留めへ、パリ協定巡り結束訴え COP22閉幕
マラケシュ=小堀龍之、編集委員・石井徹
2016年11月19日18時06分
モロッコで開かれていた国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP22)が19日、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」に実効性を持たせる詳細ルールを2018年までに決めることで合意し、閉幕した。トランプ次期米大統領が協定から離脱する意向を示していることを受け、各国が協調して米国の離脱を食い止め、協定の枠組みを維持することを確認した。
18日の全体会合では、来年ドイツのボンで開催予定のCOP23で議長を務める、フィジーのバイニマラマ首相が「トランプ氏は態度を改め、指導力を発揮してほしい。フィジーに来て海面上昇などの温暖化の脅威をその目で見てほしい」と訴えた。
協定合意から1年足らずでスピード発効し、祝賀ムードで7日に始まった会議は、トランプ氏の当選で一変した。仕組み上4年間は協定から離脱できない。だが、温室効果ガス排出世界2位の米国が温暖化対策から手を引けば、すべての国が参加して産業革命前からの平均気温上昇を2度より低く抑えるという協定の意義が損なわれるからだ。
15日の協定締約国による閣僚級会合などでは、結束を呼びかける声が相次いだ。オランド仏大統領は「米国は約束を尊重すべきだ」、欧州連合(EU)のカニェテ委員は「国際社会はパリ協定を守らなければならない」などと述べた。
16日の主要国の閣僚らが参加したフォーラムでは、日本やEU加盟国、中国やインドなどが協力して、トランプ米次期政権を協定の枠組みに引き留める方針で一致。17日には「温暖化対策はすべての国の責務」とする行動宣言を参加国が共同で発表した。
世界資源研究所(WRI)のデ…

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COP22で文書案の採択を祝う参加者ら=18日、モロッコのマラケシュ、小堀龍之撮影


(朝日新聞デジタル)

ならば、「トンガの首都ヌクアロファ」の潮位はどのように変化しているか?

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図12-7 トンガ・ヌクアロファの潮位変化(「Global and Planetary Change,80-81(2012)85」より)

上の記事にも見えるとおり、1993年頃から潮位が上昇し始めた。
マーシャル諸島のマジュロでも、フィジーのスバでも同じ。

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図12-8 マーシャル諸島・マジュロの潮位変化(「Global and Planetary Change,80-81(2012)85」より)

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図12-9 フィジー・スバの潮位変化(「Global and Planetary Change,80-81(2012)85」より)

実のところ、これは風が原因である。

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図12-10 赤道付近太平洋西部の風の強さと海面上昇の推移(「J.Clim.,24(2011)4126」より)

人為的(排出CO2に因る)温暖化が海面上昇の原因なら、1990年以前から海面が上昇していたはずだが、観測されていない。
1993年以降に風が強まるに伴って、海面が上がった。
では、なぜ風が強まったのか?
前章で引用した「温暖化の熱の一部は海中に潜んでいる?」という記事に見えるとおり、「赤道付近を吹く貿易風は、過去20年間にわたって太平洋上で激しさを増して」いる。
そして、「貿易風が激化した原因のひとつは、『太平洋数十年規模振動(IPO)』という、エルニーニョ現象に似た自然な周期的気候変動である」。
IPOはハイエイタスの原因ではないけれど、1993年以降の海面上昇の原因である。
つまり、トンガやマーシャル諸島やフィジーの海面上昇は自然変動である。

因みに、トンガでは「1993年から海面上昇が深刻化」のに対し、「国連大学が発表した14年版の『世界リスク報告』」で栄えある1位を獲得したバヌアツでは1993年以降にも潮位の上昇は認められない。

2015091103図12-11 バヌアツの潮位変化(「Vanuatu sea levels: how much did they contribute to cyclone damage?」より)

12.5 パラオとモルディブの不都合な真実

トンガとマーシャル諸島とフィジーの不都合な真実も露呈してしまったので、今度は、パラオが沈む、モルディブが沈む、と騒ぎ出した。


トランプ次期大統領で温暖化対策資金削減か 不安広がる
2016年11月13日 19時08分
北アフリカのモロッコで開かれている地球温暖化対策を話し合う国連の会議COP22の会場では、アメリカの次期大統領に選ばれたトランプ氏が、温暖化対策に欠かせない発展途上国への資金支援を削減するのではないかと不安や懸念が広がっています。
COP22の会場では、アメリカの次期大統領に、温暖化はでっち上げだとして、パリ協定からの脱退も示唆しているトランプ氏が選ばれたことに、発展途上国などから懸念が広がっています。
特に懸念されているのが、アメリカが拠出している途上国の温暖化対策のための資金支援が削減されることです。このうち「緑の気候基金」と呼ばれる基金では、およそ100億ドルのうち、最も多い30億ドルを拠出することになっていました。しかし、トランプ氏は、国際的な温暖化対策への拠出金を減らすとしていて、実際に削減されれば、途上国の対策が大幅に遅れるおそれがあります。
エチオピア政府交渉団の男性は、「温暖化対策に取り組むためには、資金や技術面での支援が必要不可欠で、それが無ければわれわれは削減目標を達成できない。トランプ氏が考え方を改めてくれることを願っている」と述べ、先進国からの支援の重要性を訴えていました。
また、南太平洋の島国、パラオ政府交渉団の代表は、「海抜が低い島国の未来は、アメリカのような温室効果ガスの大排出国にかかっている」と述べ、温暖化対策において、アメリカが果たす役割は大きく、島しょ国の命運をも握っていると指摘しました。
一方、日本の首席交渉官を務める外務省の牛尾滋参事官も、「アメリカの負担額は大きいので、もし資金支援をやめれば、穴埋めをどの国がするのかという議論になると思う。途上国としてみれば約束が違うということになり、今後の交渉の雲行きが怪しくなっているのは事実だ」と述べ、世界の温暖化対策に欠かせないアメリカの資金支援が、今後どうなるのか各国の不安が広がっています。
途上国「資金や技術の支援ないと目標達成できず」
特に懸念されているのは、アメリカが拠出している途上国の温暖化対策のための資金支援が削減されることです。
このうち「緑の気候基金」と呼ばれる途上国の温暖化対策を支援するための基金、およそ100億ドルのうち最も多い30億ドルを拠出することになっているなど、資金面で温暖化対策をけん引してきました。しかしトランプ氏は、国際的な温暖化対策への拠出金を減らすとしていて、実際に資金援助が削減されれば、途上国の対策が大幅に遅れるおそれがあります。エチオピア政府交渉団の男性は、「温暖化対策に取り組むためには、資金や技術面での支援が必要不可欠で、それが無ければ、われわれは削減目標を達成できない。トランプ氏が考え方を改めてくれることを願っている」と話していました。
また、トンガの副首相は、「まさに、温暖化対策の事業のために緑の気候基金に申請をしているところだ。私たちには、基金が欠かせない」と述べ、先進国からの支援の重要性を訴えていました。
島しょ国 米国のリーダーシップ求める
海面の上昇により、国土が浸水してしまうおそれに直面している島しょ国からは、引き続きアメリカが温暖化対策でリーダーシップを発揮してほしいという声が相次いでいます。
このうち、南太平洋の島国、パラオ政府交渉団の代表は、「海抜が低い島国の未来は、アメリカのような温室効果ガスの大排出国にかかっている」と述べ、温暖化対策においてアメリカが果たす役割は大きく、島しょ国の命運をも握っていると指摘しました。そのうえで、「アメリカは、日本などとともにパラオの対策を支援する最大のパートナーのひとつだ。内政を重視したいのはわかるが、引き続きパリ協定に基づいて支援に取り組んでくれると信じたい」と述べ、トランプ次期大統領に、オバマ政権の方針を引き継いでほしいと訴えました。
また、インド洋の島国、モルディブ政府交渉団の男性は、「アメリカを含む地球上のすべての国が、異常気象の脅威にさらされていることを認識し、それぞれの役割を果たさなければならない。アメリカが引き続きこれまでのリーダーシップを発揮してくれることを願っている」と話していました。


(NHK)

しかし、パラオとモルディブの潮位変化は下図のとおり。

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図12-12 パラオ・Malakalの潮位変化(「Global and Planetary Change,53(2006)155」より)

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図12-13 モルディブの首都マレの潮位変化(「Global and Planetary Change,53(2006)155」より)

いずれのグラフでも有意な潮位の変化は認められない。
但し、上のグラフは2000年代の初頭までであり、その後の潮位変化を見ると、2000年代後半から潮位が上がっている。

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図12ー14 パラオ・Malakalの潮位変化(「Permanent Service for Mean Sea Level」より

2016111504図12-15 モルディブの首都マレの潮位変化(「Permanent Service for Mean Sea Level」より

しかし、次節で採り上げるユネスコの報告書にも見えるとおり、それは過度な観光化が原因である。
実際、モルディブの首都マレはここまで観光地化している。

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図12-16 モルディブの首都マレ

Geology,37(2009)455」に依れば、8000年前のモルディブの潮位は今より14mも低かった。
つまり、8000年前から14mも潮位が上がったけれど、モルディブの環礁は沈まなかったのだ。
ツバルとキリバスに関して述べたとおり、環礁は海面上昇と共に成長してきたのである。

12.6 世界遺産の不都合な真実

パラオとモルディブの不都合な真実も露呈してしまったので、今度は、世界遺産が沈んでしまう、と騒ぎ出した。


「知床やベネチア、温暖化で危機」ユネスコが報告書
香取啓介
2016年5月26日23時09分
ユネスコ(国連教育科学文化機関)などは26日、地球温暖化で知床(北海道)やベネチア(イタリア)などの世界遺産が危機にさらされているとする報告書を発表した。各国政府や観光産業などに、温室効果ガスの排出削減や被害の軽減策に取り組むよう促している。
報告書は、温暖化の影響が確認されている29カ国31カ所の自然遺産と文化遺産の状況をまとめた。流氷が育む生態系が評価されている知床では流氷が減っている。モアイで有名なイースター島(チリ)は海岸浸食で石像の近くまで波に洗われている。南太平洋のニューカレドニアのサンゴ礁では大規模なサンゴの白化がみつかっている。
氷河が後退しているエベレスト一帯のサガルマータ国立公園(ネパール)などは観光収入への依存度が高く、地元経済への影響も大きい。ガラパゴス諸島(エクアドル)などは温暖化の影響に加えて、過度な観光化も危機に拍車をかけているという。


(朝日新聞デジタル)

しかし、イースター島の潮位は上昇していない。

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図12-17 イースター島の潮位の推移「Permanent Serive for Mean Sea Level」より

ニューカレドニアも然り。

2016052704図12-18 ニューカレドニア・ヌメアの潮位の推移「Permanent Serive for Mean Sea Level」より

一方、ヴェネチアの潮位は1970年頃までは上昇し続けていたが、その後に目だった上昇は認められない。

2016052901図12-19 ベネチアの潮位の推移「Permanent Serive for Mean Sea Level」より

しかも、1970年までの上昇は人為的な要因の地盤沈下が原因である。

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図12-20 「Giornale di Geologia Applicata,1(2005)5」より

また、「ニューカレドニアのサンゴ礁では大規模なサンゴの白化がみつかっている」と騒ぎ立てているけれど、海水温の上昇程度でサンゴは死滅しない。


46カ国でサンゴ礁の大調査、意外な傾向が判明
伝統的な漁がサンゴ礁を健全に保っているという新事実
2016.06.20
世界各地でサンゴの白化が深刻化している一方で、予想よりはるかに良い状態のサンゴが残る「ブライトスポット」があることが、最新の研究で明らかになった。理由はシンプル、サンゴ礁で漁が程よく行われているからだ。
研究に参加した環境NGOP、コンサベーション・インターナショナルのジャック・キッティンジャー氏は、サンゴ礁の保護に重大な影響を与える研究結果だと言う。
「これまでサンゴ礁の保護といえば、海洋保護区にある手つかずのサンゴ礁を守ることに重点が置かれてきました。今後は国際的なマーケットとの関係も考慮する必要があるでしょう」
6月15日付の科学誌「ネイチャー」に発表された研究論文「Nature,535(2016)416」は、大学から自然保護団体、ナショナル ジオグラフィック協会が進める「原始の海プロジェクト」など、34機関の科学者39人が執筆者に名を連ねる。今月19~24日に米国ハワイで行われる国際サンゴ礁シンポジウムに先立ち、人々の関心を高めるために発表された。同シンポジウムは4年に1度、世界中の研究者たちを集めて開催されている。
気候変動に伴う温暖化と海面上昇によって、サンゴ礁のダメージが深刻化している。特に今年はエルニーニョ現象が重なり、海水温がさらに上昇している。これに魚の乱獲が加われば、サンゴ礁にとって最後の一撃となりかねない。
しかし、持続的な管理が行われているサンゴ礁は、気候変動の長期的な影響に適応できる可能性が高い、とキッティンジャー氏は考えている。
「ダークスポット」は35カ所
研究チームは気候変動の影響をより細かく理解するため、46カ国のサンゴ礁を6000回以上にわたって調査。漁獲量が最も高い海域では魚などの生物が最も少なく、その結果、サンゴ礁が最も減少していることがわかった。サンゴ礁が荒廃している35カ所の「ダークスポット」は世界中に点在しているが、カリブ海、アフリカ沖、人口の多い都市から近いインド太平洋で多く見られた。
一方、持続的に利用されているサンゴ礁は最も良い状態を保っており、ソロモン諸島、インドネシアの一部、パプアニューギニア、キリバスなどで15の「ブライトスポット」が確認された。
ブライトスポットをさらに調べてみると、明確なパターンがいくつか見つかった。そのなかには、「こんなことが?」と思われる意外なものも含まれていた。まず、昔からの漁業権が守られている海域では、サンゴ礁が最も健全だった。こうした海域では、漁をできるのは地元の漁師だけで、よそ者は締め出される。人々が海の恵みに頼って生活している地域ほど、この傾向は顕著だった。
「これは直感に反する結果でした」とキッティンジャー氏は話す。「サンゴ礁への依存度が高ければ、漁獲量も高く、その場所はダークスポットになると予想していましたが、結果は正反対でした。実際は、サンゴ礁への依存度が高いほど、管理が行き届いている傾向にありました。おそらく、大切な資源を破壊すれば、自分の首を絞めることになるためでしょう」
これに対し、あちこちから漁師がやって来る海域は”共有地の悲劇”に陥っている傾向があった。漁業の管理がずさんな海域も、サンゴ礁のダメージが比較的大きかった。
魚とサンゴは切り離せない関係にあると、キッティンジャー氏は指摘する。魚が藻類を食べ、その繁殖を抑制しているためだ。もし魚が乱獲されれば、藻類が繁茂しすぎて、サンゴは窒息してしまう。
ブライトスポットで見られたもう1つの傾向は、近くに深い海があることだ。深い海があれば、魚は大きく育ち、漁師から逃れる可能性も高くなる。
サンゴ礁を救うには?
論文では、サンゴ礁を守るための対策として、各国政府がマーケットを規制し、海域の管理を促すべきだと提言している。企業や消費者も持続可能な魚介類を求めたり、違法な漁業を拒絶したり、地元の人々の権利を尊重すべきだと訴えたりすることで、役割を果たすことができる。
「サンゴ礁の保護に取り組んでいると、悲しくなることもあります。しかし、素晴らしいことに、希望の種を見つけることができました」とキッティンジャー氏は話す。「今後はこれらの種を増やしていかなければなりません」
ただし、世界中で起きているサンゴ礁の急激な減少を考えると、「もう猶予はあまり残されていません」


(ナショナルジオグラフィック)

「ニューカレドニアのサンゴ礁では大規模なサンゴの白化がみつかっている」原因は「過度な観光化」に伴う漁獲量の激増であり、海洋汚染である。

「流氷が育む生態系が評価されている知床では流氷が減っている」にも言及しておこう。
根室の気温推移は下図のとおり。

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図12-21 「GISS Surface Temperature Analysis」より

鶯色の線が寒暖計の記録で、黒線はそれを加工(改竄?)した値だが、両者にそれほどの差は無いから、1990年までは鶯色の線、それ以降は黒線で考えると、1880年以降1980年代までの110年間に明確な気温上昇は認められない。
1980年代末、一気に気温が上がった。
しかし、それは根室だけの現象ではなく、前章図11-17に見えるとおり、1980年代末には我国の平均気温(根室も含む)が一気に上がっていた。
それは自然要因の「Climate Shift」であり、人為的排出CO2が原因ではない。

確かに、2016年は流氷の接岸が観測史上最も遅くなった。


網走で「流氷接岸初日」、観測史上最も遅い記録
2016年2月22日 14時19分
北海道網走市の網走地方気象台は22日、流氷が海岸に到達し、船舶が航行できなくなる「流氷接岸初日」を観測したと発表した。
昨年より34日、平年より20日遅く、統計が始まった1959年以降で最も遅かった91年(2月21日)の記録を更新した。89年は流氷の接岸が観測されなかった。
網走では、陸から流氷が確認できる「流氷初日」を1月28日に観測したが、流氷は沖合で停滞していた。同気象台によると、2月に入ってから冬型の気圧配置が長続きせず、接岸に必要な北よりの風が持続しなかったことが主な要因という。
冬の道東観光の代名詞となっている網走の流氷観光砕氷船「おーろら」が今季、流氷と遭遇できたのは21日までにわずか3日間だった。22日午前の第1便に乗船した松山市の男性会社員(38)は「自然の美しさを感じた」と喜んでいた。


(YOMIURI ONLINE)

しかし、「89年は流氷の接岸が観測されなかった」
根室の気温と見事に一致している。
流氷は北極圏の温暖化と関係しているが、第8章で解説したとおり、北極圏の温暖化は自然変動とCO2以外の人為的要因が主だから、「温室効果ガスの排出」が原因で「知床では流氷が減っている」のではない。

知床の豊かな環境は健在である。


海の王者シャチ、根室海峡に 複数の群れに会えるかも
2016年5月28日23時13分
世界自然遺産・知床をのぞむ北海道羅臼町沖の根室海峡にシャチが集まっている。28日には、海岸近くを悠然と泳いだり、クルーズ船をくぐり抜けて船首のすぐそばに浮上したりするシャチが見られた。観光客らは目の前に現れた「海の王者」に歓声をあげていた。
クルーズ船を運航する「知床ネイチャークルーズ」の長谷川正人船長(54)によると、羅臼沖には現在40頭以上のシャチが遊泳している。この日は1.5キロほどの沖に多く見られ、出港後すぐに確認できた。複数の群れができており、7月ごろまで出合える可能性があるという。(神村正史)

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残雪の知床連山を背景に泳ぐシャチ=28日午前10時37分、北海道羅臼町沖の根室海峡、神村正史撮影


(朝日新聞デジタル)

12.7 日本の不都合な真実

第5章で採り上げた朝日新聞社説は「国土の水没を恐れるツバルなど小さな島国の懸命な訴えを、大国も軽んじられなかったのだ」だの、「アフリカ諸国や小さな島国も批准を急いだ背景には、干ばつや海面上昇、熱波など温暖化との関連が疑われる異常気象への強い危機感がある。日本は、そうした国々から『我々の困難に冷たい国』と見られかねない」だのと喚き立てていたけれど、我国在住のツバル人がこのようなことを言い立てている。


未来へのバトン:COP21 あすパリで開幕 途上国、対策に126兆円 温室ガス削減、先進国支援額と溝
パリで30日から始まる国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)を前に途上国が国連に提出した温暖化対策の計画で、対策実施に必要とする資金は少なくとも1兆360億ドル(約126兆円)に達することが、国連環境計画(UNEP)のまとめで分かった。途上国への資金支援は、最大の焦点。2020年までに年1000億ドル(約12兆2000億円)を支援するとしながら実際にはできていない先進国側の姿勢とは大きな隔たりがあり、激しい攻防が展開されそうだ。【渡辺諒】
・・・中略・・・
一方、先進国から途上国への資金支援を巡っては、20年までに官民合わせて年1000億ドルに引き上げることが09年のCOP15で決まったが、経済協力開発機構(OECD)の試算では14年時点で620億ドルにとどまる。新枠組みが始まる20年以降は、途上国が追加的な支援を求めているのに対し、先進国は「金額を確約できない」との姿勢だ。
途上国の環境対策に詳しい明日香寿川(あすかじゅせん)・東北大教授(環境政策学)は「途上国の支援要求は、温暖化の被害が顕在化していることへの危機感の表れだ。先進国がどこまで応じられるかが、新枠組みの合意の鍵となる」と話す。COP21の会期は12月11日まで。
・・・中略・・・
◇新たな合意求め世界でパレード

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新しい温暖化対策の合意を呼び掛けたチラシを掲げるパレード参加者=東京都千代田区で28日

COP21での新しい地球温暖化対策の合意を求めるパレードが28日、日本を含む世界各地で行われた。
各地の市民団体などが28、29両日に150カ国2300カ所以上で企画。東京のパレードには約1000人が参加し、温暖化問題の象徴とされるホッキョクグマの着ぐるみを先頭に銀座周辺などを歩いた。
出発前の集会では、温暖化に伴う海面上昇で水没が懸念される南太平洋の島国ツバル出身のシンキャン・タレシさん(31)=高知県在住=が「最初の被害者は私の母国かもしれないが、次はあなた方だ。美しい地球を共に守ろう」と呼び掛けた。
【大場あい】


(毎日新聞 2015年11月29日 東京朝刊、写真はAFP)

このようになる、と言う。


産業革命前と比べ気温4度上昇 → 日本は3400万人影響
パリ=香取啓介
2015年11月10日08時27分
温暖化が進んで産業革命前と比べ気温が4度上がった場合、海面が8.9メートル上昇し、世界で6億2700万人の住む地域が海に沈むとの予測を、米研究団体が9日(日本時間)に発表した。日本は人口の4分の1にあたる3400万人の住む地域が影響を受けるという。
非営利の研究団体「クライメート・セントラル」が、気温上昇による海水の膨張、氷河の融解、グリーンランドと南極の氷の減少を想定し、海面上昇を試算。海に沈む地域に住む2010年時点の人口を調べた。
気温が4度上昇すると、影響を受ける人口が多いのは中国で1億4500万人に上る。マーシャル諸島は人口の93%、オランダは67%が影響を受けるという。都市別では、上海や天津(中国)、ダッカ(バングラデシュ)、コルカタ(インド)などで1千万人以上に影響が出る。東京でも750万人、大阪では620万人、名古屋340万人、福岡97万人の住む地域が海面より下になるという。
気温上昇が2度に抑えられた場合は、海面上昇は4.7メートルで、影響を受ける人口も世界で2億8千万人、日本では1800万人(東京420万人、大阪420万人、名古屋210万人、福岡51万人など)に抑えられるという。
国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書では、何も対策をしなかった場合、今世紀末には気温が最大で4.8度上昇するとしている。世界の平均気温は19世紀末からすでに0.85度上がっている。国際社会は気温上昇を2度未満に抑える目標を持っている。研究団体は「海面上昇は目に見える脅威だ。(今月末の)国連気候変動会議(COP21)の結果は、我々の将来を左右する」としている。
国連気候変動会議(COP21)を前に8日、パリで閣僚級の非公式準備会合が始まった。(パリ=香取啓介)

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海面上昇の予想図(東京周辺)

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海面上昇の予想図(名古屋周辺)

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海面上昇の予想図(大阪周辺)


(朝日新聞デジタル)

ならば、我国の海面変化はどうなっているか?

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図12-22 「日本沿岸の海面水位の長期変化傾向」より

「最初の被害者は私の母国かもしれないが、次はあなた方だ」との言い草とは裏腹に、ツバルでは潮位上昇が認められず、逆に、我国では1980年以降に海面が上昇していた。
世界の海面上昇と比較してみよう。

2015010101図12-23 IPCC第4次報告書政策策定者向け要約より

1961年から2003年までで、1.8×43=77㎜。
一方、我国は1年ずらして1962年から2004年までで80㎜。
ほとんど一致している。
しかし、1950年以降の60年間で見れば、海水位は上昇していない。
1950年以降に水位が下がった後、再び上昇に転じたので、1960年以降だけを見れば、水位が上昇したように見えるが、それは周期的な自然変動の一部にすぎない。[注1]
図12-23では1993年以降に海水位上昇が加速しているけれど、その一因は自然変動である。
実際、トンガとマーシャル諸島とフィジーも1993年以降に海水位が上昇したが、それはIPO(またはPDO)が原因だった。
さらに、ツバルとソロモン諸島の潮位変化を見直すと、1990年代の初頭に潮位が大きく下がっていたことに気づく。
だから、1992年を起点にすれば潮位が上がったように見えるわけだが、1992年前後の潮位の乱高下は自然変動である。

「東京でも750万人、大阪では620万人、名古屋340万人、福岡97万人の住む地域が海面より下になるという」は気候モデルに基づいているけれど、気候モデルは図12-22を再現できるのか?
過去のデータを再現できなければ、モデルの予測に意味は無い。
ところが、クライメート・セントラルの報告にそのような図は見当たらない。
IPCCの報告書にも見当たらない。
気象庁の「異常気象レポート2014」の84ページには図12-22と同じグラフが掲載され、「ここ100年の日本沿岸の海面水位には、世界平均の海面水位にみられるような明瞭な上昇傾向はみられない。1906~2013年の期間で日本沿岸の海面水位の変化を求めると、20世紀を通した期間では有意な上昇を示さなかった」と記しているけれど、気候モデルの結果を示していない。
再現できないから示さないのだ。
「東京でも750万人、大阪では620万人、名古屋340万人、福岡97万人の住む地域が海面より下になるという」に科学的根拠は全く無い。

第5章の冒頭で引用した朝日新聞社説は「それでも、平均気温の上昇を2度未満に抑えるというこれまでの目標だけでなく、『1.5度未満に抑えるよう努める』と明記した意義は大きい・・・国土の水没を恐れるツバルなど小さな島国の懸命な訴えを、大国も軽んじられなかったのだ」と喚き立てていたけれど、「1.5℃未満」はこれに基づいている。


グリーンランドの氷床、危機的な状況に接近-造氷追い付かず
2012年3月12日
グリーンランドの氷床の地球温暖化に対する抵抗力がこれまで考えられていたより弱く、既に危機的な状況に近づいている可能性があるとの論文をスペインとドイツの研究者がまとめた。
科学誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ」に11日掲載された論文Nature Climate Change,2(2012)429によると、氷床は産業革命期以降で温暖化がセ氏1.6度に達すると、造氷力を失う可能性がある。これまでは3.1度とみられていた。スペインのコンプルテンセ大学とドイツのポツダム気候影響調査研究所がまとめた。
論文の主要な執筆者で両機関に関連があるアレクサンダー・ロビンソン氏は電子メールで、「危機的な分岐点に既に近づいている可能性がある。分岐点を越えれば越えるほど、解氷は進む」と述べた。
国連の推計によると、グリーンランドの氷床は世界の海面を約7メートル押し上げる水を含んでいる。海に面しているニューヨーク、ロンドン、バンコクといった都市が脅かされる。氷床全体が解けるには数千年かかる見通し。
18世紀に産業革命が始まって以降、気温は0.8度上昇した。論文によると、解氷の分岐点は0.8-3.2度上昇とされており、このレンジの下限に達している可能性がある。
気温が2度上がると、5万年で氷床が解氷し、4度だと8000年、8度だと2000年というふうに期間が短縮する。


(ブルームバーグ)

だから、「温暖化が進んで産業革命前と比べ気温が4度上がった場合・・・東京でも750万人、大阪では620万人、名古屋340万人、福岡97万人の住む地域が海面より下になる」と喚き立てているのだが、第5章で解説したとおり、CO2の温室効果は飽和に近く、CO2を排出し続けても気温上昇は「1.5℃未満」に収まるのだから、「東京でも750万人、大阪では620万人、名古屋340万人、福岡97万人の住む地域が海面より下になる」はずがない。

しかも、である。
これまた、第5章で解説したとおり、IPCCの人為的温暖化説に依れば、北半球高緯度は世界平均の2倍のペースで気温が上がるから、「温暖化が進んで産業革命前と比べ気温が4度上がった場合」、グリーンランドの気温は8℃上がる。
ところが、現在の間氷期よりも一つ前の間氷期に、グリーンランドの気温は現在よりも8℃高かったけれど、氷床の大部分は解けなかった。[注2]


温暖な間氷期、氷床あまりとけず グリーンランドで調査
2013年2月6日23時25分
【波多野陽】13万年前のグリーンランドは、平均気温が現在より最高で8度も高かったのに、氷床の体積は現在の9割とあまりとけていなかったことが、掘り出した氷の分析でわかった。デンマークや日本など14カ国の研究者グループが英科学誌ネイチャー「Nature,493(2013)489」に発表した。
近年はわずかな温度上昇でも氷床の大きな融解が起き、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書では、グリーンランドの気温が現在より3~6度高い状態が数千年続くと、氷床はほぼ完全にとけてなくなると予測している。今回の調査結果は、氷床がとけるのは気温上昇だけでなく、ほかの要因もからむ複雑なメカニズムによることを示している。


(朝日新聞デジタル)

グリーンランドの氷床が安定していたことは、その後の論文でも確認されている。


グリーンランド氷床下に氷河期前の地形を発見、米研究
2014年4月21日 09:34 発信地:ワシントンD.C./米国
グリーンランドの氷床のはるか下に、270万年もの間保存されていた氷河期以前のツンドラ地形を発見したとの研究論文が、17日の米科学誌サイエンスScience,344(2014)402に掲載された。
氷河は、植物や土、さらには岩盤の上層部に至るまで、流域の陸地にあるものすべてを根こそぎ削り取ってしまうことが知られている。そのため、研究チームはこのツンドラ地形が厚さ3キロの氷の下に元の状態のまま存在されているのを発見して非常に驚いたという。
研究を率いた米バーモント大学の地質学者、ポール・ビアマン(Paul Bierman)氏によると、今回の発見は、グリーンランドの氷床がこれまで知られていたよりもはるかに長い間存在し、過去に数多く発生した地球温暖化の期間を切り抜けてきたという有力な証拠をもたらすものだという。
氷床についてビアマン氏は、地形を削って形を変えるのではなく、地面に凍り付いて「古代の地形を保存する冷蔵庫」として効果的に作用してきたと説明する。
氷床の歴史の中で最も気温が高かった時期でも、グリーンランド中部は安定して氷が完全に融解しなかったために、数百万年に及ぶ温度の変化を経てもツンドラ地形が元の状態のまま密閉保存されたことを、今回の発見は示唆している。
■グリーンランドは本当にグリーン(緑)だった
以前、米ローレンス・リバモア国立研究所に所属していた科学者のディラン・ルード(Dylan Rood)氏は「グリーンランドは本当にグリーン(緑)だった。もっともそれは何百万年も前のことだが」と話す。
「グリーンランドは、地球上で2番目に巨大な氷の塊に覆われる以前は、米アラスカ州に見られるような緑のツンドラ地帯だった」
研究チームは今回の研究で、1993年にグリーンランドのサミットで氷床から抽出されたサンプル17個を分析し、宇宙線によって形成される元素ベリリウムの希少な同位体「ベリリウム10」のサンプルを抽出した。
全米科学財団(National Science Foundation、NSF)から支援を受けた今回の研究では、グリーンランドの土壌が、氷に覆われる前の20万年~100万年間は安定した状態で地表に露出していたことを明らかにした。
また研究チームは、植物由来の物質によって土壌コアサンプル中に残された可能性のある窒素と炭素を測定して、氷河期以前の地形が部分的に森林ツンドラだったかもしれないことを示唆する有機物質を発見した。


(AFP)

さらに、第10章の第3節で解説したとおり、南極の氷は減っているどころか、むしろ、増えていることが判明した。
しかも、図10-8(の上のパネル)を見れば分かるとおり、現在よりも気温が上がれば、南極の積雪量は増す。
実際、「Climate Dynamics,47(2016)1367」に依れば、気温が1℃上がれば、積雪の増加で南極の氷は毎年70Gt増加する。
その分だけ海面は下がる。[注3]
「東京でも750万人、大阪では620万人、名古屋340万人、福岡97万人の住む地域が海面より下になる」は「グリーンランドと南極の氷の減少を想定し」ているけれど、そんなことはあり得ないのだ。

12.8 サンフランシスコの不都合な真実

もちろん、100年間以上の記録が残っている潮位計のデータの全てが、我国のような周期的変動を示しているわけではない。
我国沿岸の水位変化はPDO(または、IPO)が主因なら、太平洋の反対側のサンフランシスコの海水位も、位相は異なるものの、同様の周期的変動を示しているかと思いきや、そうはなっていない。

2014022005
図12-24 サンフランシスコの潮位変動(「EOS,93(2012)249」より)

これはCO2の排出が原因だろうか?
図12-23では1993年以降に海面上昇が加速しているけれど、それがCO2の排出に因るのなら、サンフランシスコでも1993年以降に潮位が上がっているはずだが、黒線を見ると、1980年以降に有意な上昇は認められない。
1910年と1980年の不連続な潮位上昇は、もちろん、CO2の排出が原因ではない。
地震、または、人為的な地盤沈下が原因であろう。
従って、「50 years」と記されているとおり、実質的な潮位の上昇は1930年から80年までの50年間だが、
第5章第6章で解説したとおり、20世紀前半の温暖化は太陽活動の活発化が原因だから、20世紀前半の潮位上昇は、もちろん、自然要因である。
一方、先にキリバスに関して指摘したとおり、20世紀後半の1980年までの潮位上昇もCO2の排出が原因ではない。
では、何が原因か?
その答えは図12-23の「差異」と記された値にある。
それは地下水の汲み上げである。[注4]


くみ上げられた地下水が海面上昇の一因に、東大研究チーム
2012年5月21日 14:43 発信地:パリ/フランス
ここ数十年の海面上昇は、地下水が大量にくみ上げられたことが一因になっているという論文が、東京大学の研究チームにより29日の英科学誌ネイチャージオサイエンス「Nature Geoscience,5(2012)389」に発表された。
地球の海水面は1961年から2003年にかけて、年間1.8ミリメートルのペースで上昇したが、そのどこまでが温暖化に起因するのかは大きな疑問となっていた。
ノーベル賞を受賞した国連(UN)の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2007年に発表した報告書では、海水面上昇のうち年間1.1ミリ分は海水が温められて起こる熱膨張とグリーンランドや南極などの氷床や氷河の融解によるものとしていた。
残りの0.7ミリについては多くの科学者にとって謎とされ、データが間違っているか、まだ知られていない原因がある可能性が考えられていた。
コンピュータモデルを用いて研究した東大のYadu Pokhrel氏らは論文の中で、その答えは、人類が開発のために地下帯水層や川、湖から水を補充することなくくみ上げていることにあると述べた。論文によると、くみ上げられた水は土壌からの蒸発や川を通じて最終的に海にたどり着く。
研究チームは論文の中で、「非持続的な地下水利用、人工貯水池への貯水、気候の変動に伴う陸域貯水量の変化や閉鎖水域からの水の消失など合わせて1961年から2003年の間に平均0.77mm/年、観測された海水面上昇の42%に寄与していることがわかった」と結論付けている。この中で非持続的な地下水利用が最も大きな要因だったという。
温暖化が海洋にもたらす影響についてはまだ解明されていないことが多く、海面上昇もその1つだ。海面上昇は沿岸部に住む数億人にとって重要な問題であり、わずかな上昇でも毎年続けば、高潮や、帯水層や沿岸の土地への塩水の流入などの被害を受けやすい地域にいずれ劇的な影響を及ぼす恐れがある。


(AFP)

実際、「非持続的な地下水利用」で帯水層の水が枯渇しつつある。


北米最大の地下帯水層が枯渇
2016年7月29日(金)17時3分
乾燥した米国中部で近代的な生活が送れるのは、膨大な量の地下水を含んだ地層「オガララ帯水層」があるおかげだ。そのオガララの水を調査するため、私たちはここカンザス州へやって来た。井戸に下ろした巻き尺の先端は、深さ60メートルでようやく水面に達した。1年前に測ったときより30センチも低い。このペースで水が減れば、井戸が枯れるのも時間の問題だ。「この状態で灌漑に使えば、ひと夏もちません」。米カンザス地質調査所で水資源データの管理責任者を務めるブライアン・ウィルソンは言った。
農業地帯を支える水
オガララ帯水層をめぐるウィルソンの調査に同行し、8000キロを旅した。私たちが車で走ったのは、サウスダコタ州からテキサス州にかけて広がる、米国有数の高い生産性を誇る農業地帯の一角だ。一帯の年間生産額は少なくとも200億ドル(約2兆円)に達し、米国内の小麦、トウモロコシ、肉牛の5分の1近くがここで育てられている。
そうした農家は今、難しい選択を迫られている。水を節約して地下水の枯渇を遅らせるか、目前に迫った終焉に向かってこのまま突っ走るのか。なかには現実を直視したがらない農家もある。今の調子で水をくみ続け、帯水層が干上がってしまったら、世界の食料市場は大打撃を受けるだろう。国連の試算によれば、21世紀半ばまでに世界の人口は90億人を超えるため、あと数十年で食料生産を6割増やす必要があるという。そんな世界情勢を尻目に、水はゆっくりと枯れつつある。
世界各地で枯れる地下水
オガララ帯水層は北米最大の地下水資源だが、同様の問題は世界中で起きている。アジア、アフリカ、中東の大規模な帯水層は、どこも急速に水量が減少しているのだ。オガララの南部を含め、そうした帯水層は地下水の回復スピードが極めて遅く、一度水を使い果たしたら、元に戻るまで何千年もかかる。
どの大陸にも必ず帯水層があり、オガララより広大なものも存在する。21世紀初めの時点で、世界人口の3分の1が、飲み水や農業用水として地下水を利用している。干ばつに悩まされる中国では、華北平原の帯水層が、北京とその周辺に住む1億1700万人を支えている。インドは2022年に中国を抜いて人口世界一になると予測されているが、急激な人口増加を支えているのが、ガンジス・ブラマプトラ川流域やインダス川流域の帯水層だ。
抱えている問題はどこも同じだ。人口が集中し、工業生産がさかんな地域にある帯水層からは、すさまじい勢いで水がくみ上げられている。NASAは、人工衛星で観測した地球の重力の変化から地下水の変化を推定しているが、世界に37カ所ある大規模帯水層のうち、21カ所は持続可能な限界点をすでに超えているという。なかでも多くの地下水を消費している国はインドだ。
地下水資源の過剰利用が最も顕著なのはサウジアラビアだろう。地下600メートルまで掘削し、巨大なアラビア帯水層を探し当てた。砂漠は緑の穀物畑になり、1980年代から90年代にかけて、サウジアラビアは穀物の一大輸出国にまでなった。しかし、今ではこの帯水層はすっかり枯渇している。

「影響は甚大です」と警鐘を鳴らすのは、米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所の水文学者ジェイ・ファミグリエッティだ。彼の研究チームは、人工衛星による観測データを使って世界37カ所の巨大帯水層の変化を記録している。「食料生産を維持するには、まず地下水の維持が必要なのに、それができていません。オガララの水を使い切ることが、米国、ひいては世界の食料生産にとって賢い選択なのか、真剣に考えなくてはなりません」


(ナショナル ジオグラフィック2016年8月号特集「地下水が枯れる日」より)

我国のデータとサンフランシスコのデータは全く異なるけれど、共にCO2との因果関係は弱い。

12.9 自由の女神の不都合な真実

にもかかわらず、IPCC学派は尚も抗う。
ニューヨークの潮位が著しく上昇し続けているのはCO2の排出が原因であり、このままCO2を排出し続けると自由の女神も沈んでしまう、と喚き立てている。


温暖化で2000年後に自由の女神も水没か? 研究結果
2014年3月5日 13:34 発信地:パリ/フランス
西暦4014年の観光客らは、英国の「ロンドン塔」や米国の「自由の女神」を仮想世界でしか見ることができないかもしれない──5日に発表された気候変動に関する報告書は、海洋の劇的な「拡大」によって、世界遺産などが水没する可能性を警告している。
現代文明はエジプトのピラミッドやイタリア・ローマの円形競技場、コロッセオ、ギリシャのパルテノン神殿に魅了されてきた。
しかし、ドイツの気候変動ポツダム研究所(Potsdam Institute for Climate Impact Research、PIK)の研究者らが「ジャーナル・エンバイロンメンタル・リサーチ・レターズ(Environ.Res.Lett.,9(2014)034001)」で発表した調査結果によると、こうした世界遺産や各国の文化遺産の多くが、地球温暖化の影響で最高1.8メートルにもなると予想される海面上昇によって失われる可能性がある。
調査結果によると、国連教育科学文化機関(ユネスコ)に現在、世界遺産として登録されている700以上の遺産のうち、140か所が今後2000年の間に水没する恐れがあるという。
また、このほか豪シドニーのオペラハウス、イタリア・ベネチア、日本の原爆死没者慰霊碑(広島平和都市記念碑)、南アフリカのネルソン・マンデラ氏が18年間にわたって投獄されていたロベン島(Robben Island)なども、同様の危険にさらされている。
これらの結果は、世界の平均気温が産業革命の前より摂氏3度高くなった場合の海面の上昇レベルに基づき、割り出されたもの。国連は、摂氏2度までの上昇に抑えることを目標としているが、平均気温は同じ比較で既に、摂氏0.8度高くなっている。
国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」によると、今後も温室効果ガスの排出量が増加し続ければ、今世紀末までにさらに2.6~4.8度上昇する可能性があるという。
ポツダム研究所の研究者らは今後、気候変動の文化遺産への影響についても調査する計画だ。影響の度合いは、自然界と経済、農業を基準に割り出される。


(AFP)

ナショナルジオグラフィックは表紙にこんな絵を載せている。

fig 08-08

ネイチャーも「NEW YORK VS THE SEA」と騒ぎ立てている。

確かに、ニューヨークの潮位はほぼ一直線に上昇し続けており、その上昇幅は全海洋平均よりも遥かに大きい。

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図12-25 ニューヨークの潮位の推移(「Permanent Serive for Mean Sea Level」より)

しかし、サンフランシスコに関して指摘したとおり、20世紀前半の潮位上昇は自然要因であり、20世紀第3四半期は気温上昇が停滞していたのだから、その間の潮位上昇もCO2が原因ではない。
ならば、何が原因か?
その答えはこれである。

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図12-26 「Ocean & Coastal Management,124(2016)1」より

第7章の第1節で解説したとおり、氷河期にカナダのほとんどは氷床に覆われ、氷床の重みで地殻が押し下げられていた。
その結果、マントルがその周囲に押し出され、逆に、アメリカ北部では地殻を押し上げた。
氷河期が終わり、氷が解けると、押し下げられていた地殻が少しずつ上がり始め、それは20世紀以降も続いているから、相対的に、カナダ沿岸の潮位は下がり続けている。
逆に、周辺では、押し出されていたマントルが元に戻り始め、地殻が少しずつ下がり始め、それは20世紀以降も続いているから、相対的に、アメリカ北部沿岸の潮位は上がり続けているのだ。
従って、ニューヨークの潮位はCO2の排出に因る(はずの)気候変動を測る指標足りえない。
しかも、第7章の第2節で引用した「人類は地球の寒冷化に歯止めをかけているのか」という記事に見えるとおり、「次の氷河期が『今後約1500年以内に』始まると予想している」から、「温暖化で2000年後に自由の女神も水没」などあり得ない。
逆に、「2000年後に自由の女神も氷河に埋没」するだろう。

12.10 マイアミビーチの不都合な真実

サンフランシスコもニューヨークも不都合な真実が露呈してしまったので、今度は、マイアミビーチで溺れ死んじゃう、と泣き出した。

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2016年10月25日の朝日新聞朝刊紙面より

しかし、マイアミビーチの潮位の記録は下図のとおり。

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図10-27 マイアミビーチの潮位変化(「Tides & Currents」より)

有意な潮位変化は認められない。
但し、1980年で観測が終わっている。
「地球温暖化に伴う海面上昇」があるか否かは1980年以降の潮位変化を見なければ判断できないから、代わりに、マイアミビーチの直ぐ南に位置する、下図の緑色の矢印の海岸の潮位を調べてみよう。

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潮位計のデータはこうなってる。

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図10-28 マイアミビーチの直ぐ南側の潮位変化(「Permanent Service for Mean Sea Level」より)

確かに、最近の数年間は潮位上昇が認められる。
しかし、「地球温暖化に伴う海面上昇」なら、それ以前から上がり続けているはず。
「現場の写真を州の担当者に見せたら理解してくれた」と言い立てているけれど、それは「地球温暖化に伴う海面上昇」ではない。
ならば、何が原因か?
その答えは「2カ月ほど前に引っ越してきたばかりのメアリー・ベス・ワイズ」に表われている。


2005年にハリケーン「ウィルマ」に襲われてから、しばらくの間フロリダ州にハリケーンが近づくことはなかった。その間、莫大な金額が海岸地域の開発につぎこまれ、130万人が移り住んだ。ハリケーンによる高潮の被害についてほとんど何も知らないまま、危険な砂州に住んでいる人も多い。


(「ハリケーンで3mの高潮も、沈みゆく米南東沿岸部 被害は深刻化する一方、フロリダ州は海面上昇対策の不十分さを露呈」より)

朝日新聞は写真を掲載して騒ぎ立てているけれど、「満潮になると海の水面が上昇し、市街地まで海水が押し寄せた」のは、満潮時には海面下になる海岸を埋め立てて街を造ったからであり、「地球温暖化に伴う海面上昇」ではない。
もちろん、海岸の埋め立ては2005年以前から進んでいる。


地球の表面、30年前より陸地が増えた
衛星データで分析、海面上昇が危惧されるなか、意外にも陸地が増えている
2016.9.13
海面上昇や極地の氷の融解が報じられる昨今、私たちは水没する陸地が毎年増えていると思いがちだ。確かに、それが当てはまる地域もある。だが最新の研究で、実際には陸地が30年前よりもわずかに増えていることが分かった。
科学者らは、40年以上にわたって人工衛星ランドサットから送られてきた地球の写真とグーグルアースエンジンを使い、地球のどこが水に覆われ、どこが乾いた陸地になったのかを地図上にまとめた。その結果が冒頭の画像だ。1985年から2015年までの間に、海や湖から陸地になった面積は約17万3000平方キロ。一方、水中に沈んだ陸地の面積は11万5000平方キロだった。差し引きすると、九州と四国を合わせたのとほぼ同じ広さの陸地が新たに出現したことになる。
このような変化は世界中で起きており、自然の変化もあれば人為的な変化もある。干上がり続け、消滅しかけているアラル海など、有名な例も多い。一方で、これまで知られていなかった変化も明らかになった。例えば、北朝鮮と韓国との軍事境界線のすぐ北を流れる臨津江(イムジン川)のダム建設の影響がそうだ。
新しく水に覆われた面積が特に大きかったのはアマゾン盆地とチベット高原で、後者は上の画像で青色(水面)になっているのが確認できる。驚くことに、世界中の沿岸部では合計1万3000平方キロを超す陸地が生まれている。その多くは人工的な陸地で、自然侵食を超えるペースで埋め立てが行われた。
オランダの独立研究機関、デルタレスのゲナディ・ドンチス氏が主導する研究チームは、このデータを「アクア・モニター」というインタラクティブな地図上で公開しており、誰でも拡大して全世界を見ることができる。
このプロジェクトと分析結果は、8月25日付で学術誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ」に掲載された。(「Nature clmate Change,6(2016)810」)


(ナショナルジオグラフィック)

マイアミビーチでの観測が1980年に終わったのは、その後に開発が進んで、観測に適さなくなったからに他ならない。
朝日新聞は「主要都市のマイアミから湾を渡ったマイアミビーチは・・・だが、すでに冠水が当たり前の現象となっている。秋の満月の頃は潮位が高く、冠水が起きやすいが、近年はとくに増え、地球温暖化に伴う海面上昇の影響が指摘されている」と言い立てているけれど、マイアミビーチの潮位記録は「地球温暖化に伴う海面上昇の影響」をハッキリと否定しているのだ。
女性が水浸しになった交差点を恐る恐る渡る写真を掲載して、「海面上昇 マイアミの危機」と煽り立てているけれど、それは図13-1や図13-2と全く同じ詐術であり、「気候変動でっち上げ」の証である。

[注1] 「Geophys.Res.Lett.,39(2012)L18607」は、図12-22のようなデータでは完全な周期変動は1周期分しか見えないから、本当に60年周期の変動があるかどうか分からないと言い立てているが、それはおかしい。
20世紀前半における人為的排出CO2の影響は無視できるから、そして、図6-1に見えるとおり、20世紀後半は太陽活動に大きな変化は無いから、図12-22に見える20世紀前半の海面上昇が専ら太陽活動に因るなら、20世紀第3四半期の著しい海面低下は起こらなかったはず。
海面水位変動への寄与がどの程度であるかは議論の余地が残るけれど、60年周期の変動があることは間違いない。

[注2] これは極めて不都合な真実。
そこで、このような論文が現れた。


大幅な海面上昇すでに進行中か? 過去の温暖化研究が示唆
2017年1月20日 17:22 発信地:マイアミ/米国
地球の気候の自然変動パターンの詳細な分析から、海水面の大幅な上昇が進んでいる可能性を示す「懸念すべき」兆候を発見したとの研究結果が19日、発表された。
米科学誌サイエンス(Science)に発表された研究成果「Science,355(2017)276」は、地球で発生した最後の温暖期の間に当たる約12万5000年前の海面温度が、現在と酷似していることを示している。だが、科学者らを懸念させているのは、当時の海水面が現在より6~9メートル高い位置にあったことだ。
米オレゴン州立大学などの研究チームが主導した研究論文は「これは懸念すべき傾向だ」と指摘し「総合してこれらの結果は、現代の温暖化に対して海洋が将来的にどのような反応を示すかを、科学者らがより良く理解するための助けになる可能性がある」と述べている。
地球には、温暖期と寒冷期がある。それぞれが数万年単位のサイクルで繰り返され、地球軌道の自然変動による日光照射量の変化が及ぼす影響に加えて、大気中の温室効果ガスによる影響も受ける。
これらの自然発生的な気温変化は、地球が今日直面している、はるかに速いペースの温暖化とは異質のものだ。現在の温暖化は、人類がエネルギーを得るために化石燃料を燃焼させ、熱を捕捉する炭素が大気中に排出される中で進行し、氷の融解や海面の上昇を引き起こしている。
地球史上、人的な影響が存在しない中で気候が異常に温暖化した最後の時期は、今から約12万9000年前~11万6000年前までの「最終間氷期」として知られる期間だ。
論文によると、最終間氷期は過去80万年で最も気温が高かった期間の一つだという。
■現出の早い人為的影響
今回の研究は、83か所の海底堆積物コア採取地の分析に基づいている。この分析により、地球とその海が過去にどのくらい温暖だったかを知る手がかりが得られる。
各コア採取地で収集したデータは、1870~1889年と、1995~2014年のデータとそれぞれ比較した。分析の結果、12万9000年前の地球の海面温度は「すでに1870~1889年の平均値と同等だった」ことが分かった。海面温度はその後4000年間にわたって上昇し、「1995~2014年の平均値に酷似した温度に到達」した。
今回の研究結果は、さまざまな温度での海水位の推算に用いられている一部の科学モデルが過小評価だった可能性があることを意味している。
科学者らはすでに、地球では近い将来に数メートルの海面上昇が起きる可能性が高いと予測している。この変化により、現在10億人の居住地域に相当する世界の沿岸地域が水没するという。
今後数十年で海面がどのくらい速く上昇する可能性があるのかは誰にも分からないが、一部の専門家らは、今回の最新研究は警戒感を喚起するものだと述べている。
英エクセター大学のアンドリュー・ワトソン(Andrew Watson)教授は、今回の研究結果には良い面と悪い面があるという。「長期的には、人間が引き起こしている温暖化に応じて少なくとも6メートル以上の海面上昇が発生することを、今回の研究は示唆している」
「良い知らせは幸運にも、海面はゆっくりと上昇し続けるため、人間がそれに適応するための時間が確保できることだ。だが悪い知らせは、現在の沿岸都市がある場所が最終的にはすべて水没してしまうということだ」


(AFP/Kerry SHERIDAN)

「今回の研究は、83か所の海底堆積物コア採取地の分析に基づいている」けれど、この論文の執筆者らが「83か所の海底堆積物コアを採取」したのではない。
これまでに幾つもの研究グループが採取してきた「83か所の海底堆積物コア」を分析した、ということである。
そして、その一つが下図である。

2017022206図10-29 過去1万年間における太平洋の水深600mから900mの海水温の水位(「Science,342(2013)617」より)

「論文によると、最終間氷期は過去80万年で最も気温が高かった期間の一つだという・・・海面温度はその後4000年間にわたって上昇し、『1995~2014年の平均値に酷似した温度に到達』した」ということは、現在は「過去80万年で最も気温が高かった期間」と同じほど海水温が高いということだが、1万年前から1千年前の海水温は現在よりもずっと高かったのだ。
「地球の気候の自然変動パターンの詳細な分析から、海水面の大幅な上昇が進んでいる可能性を示す『懸念すべき』兆候を発見した」は全くバカげている。
「これらの自然発生的な気温変化は、地球が今日直面している、はるかに速いペースの温暖化とは異質のものだ・・・分析の結果、12万9000年前の地球の海面温度は『すでに1870~1889年の平均値と同等だった』ことが分かった。海面温度はその後4000年間にわたって上昇し、『1995~2014年の平均値に酷似した温度に到達』した」ということは、20世紀の気温上昇は専ら人為的ということに他ならず、それは即ちホッケースティック曲線だが、第6章で解説したとおり、その虚構はもはや明らかなのだ。
「一部の専門家らは、今回の最新研究は警戒感を喚起するものだと述べている」のは愚かとしか言いようがない。

[注3] これと同じ現象がずっと続くと考えればよい。


世界の海面を低下させた「オーストラリアの豪雨」
2013.8.27 13:10
2010年と2011年にオーストラリアで洪水を発生させた豪雨が原因で、世界の海面が7mm低下したという研究結果が発表された。
不思議なことに海面は2010年に7mm低下し、その後1年半にわたって予想を下回る水準だった。この水がどこへ行ったのかについて研究してきた海洋学者たちは、その行方がオーストラリアだったと結論した。
地球上のほとんどの場所では、山間部で雨が降り、雨水は川に流れ込んで海に運ばれる。だが、オーストラリアでは傾向が異なる。アウトバック(内陸部に広がる、砂漠を中心とする広大な人口希薄地帯)に降る雨は海に流れ込まず、浅い内海に集まって蒸発することが多い。
その結果、ラニーニャ現象とほかのいくつかの大気変動が重なって、2010年12月にオーストラリア全土が豪雨に見舞われたときに、オーストラリア大陸の「広大な無河流域と内陸湖」が雨水をすべて吸収し、世界全体の海面低下を招いた。ほかの大陸であれば海に流れ込んだはずの雨が塩湖に飲み込まれて、時間をかけて蒸発したのだ。
今回の研究を『Geophysical Research Letters』誌に発表した、米大気研究センター(NCAR)のジョン・ファスーロは、自身の研究結果について、「気候系の複雑さを如実に示している」と述べた。バックグラウンドとして存在する海面上昇の傾向を一時的に打ち消すほど大きな影響があったと同氏は指摘する。
「大気条件と地形がこんな風に組み合わさっている大陸はほかにはない。これほど激しい熱帯降雨が、これほど広い範囲にもたらされ、その雨水が海に流れ込まないのは、オーストラリアだけだ」


(MSN産経ニュース)

[注4] 海水面上昇と地下水減少との因果関係は、この研究以前にも[Geophys.Res.Lett.,37(2010)L20402]で指摘されている。

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