「温暖化で沈む国」の全く不都合な真実

11.1 キリバスの不都合な真実

第7章で解説したとおり、北極の氷が解けている主な原因は大気汚染。
第9章で解説したとおり、南極の氷が解けている主な原因は火山。
前章で解説したとおり、IPCC学派は「化石燃料の燃焼で排出される二酸化炭素(CO2)による温暖化効果を誇張している」。
もちろん、朝日新聞とIPCC学派は頑として認めない。
欧米と我国の排出したCO2が原因でキリバスが沈みつつある、キリバスの人々は被害者だ、加害者の日本人はキリバスの人々を救わねばならない、と騒ぎ立てている。


温暖化で沈む国」のいま 水没にらみ全島移住も
2015年5月17日03時08分
海岸の防護壁は崩れ落ち、無人の村の家々の中には貝殻が散乱している。ヤシの木は倒れている。
南太平洋の島国キリバス。アバヤン島沿岸のテブンギナコ村は200人以上が内陸部へ引っ越した。10年ほど前、大潮の際に海水が胸の高さに来るようになり、今では頭より高くなる。元村人のアアタ・マロイエタさん(68)が住む海から100メートルほど内陸の村でも最近、道が海水につかった。「でも逃げ場がない。島は真っ平らだから」
■主食を失う可能性も
キリバスの首都タラワ。沿岸部のビゲニコーラ集落に大量の海水が押し寄せたのは、3月のことだった。
「強風が吹き、夜中に床上まで海水が入ってきた。朝に水が引くまで皆で神に祈った。6歳の孫娘が『沈むのはいや。逃げる船をつくって』と頼むんだ。ここを離れる日が近づいていると実感した」。集落長のエリア・マエレレさん(65)は暗い表情で振り返った。
バヌアツなどを襲った大型サイクロン「パム」が、強い熱帯低気圧が来ない赤道地帯とされてきたキリバスもかすめたのだ。
集落では、10年ほど前から大潮のときに海水が入り始め、今ではひざ下まで浸水するようになっていた。「パムで海水が胸の高さに達したのは最終宣告なのか。気候変動はここでは現実だ。先進国は実態を知り、支援してほしい」。マエレレさんは訴えた。
33の環礁からなるキリバスはサンゴが堆積(たいせき)してできており、平均標高はわずか2メートルほど。気候変動による海面上昇の影響を受けやすく、「温暖化で最初に沈む国」の一つとされる。

政府は昨年、フィジーに約20平方キロの土地を買った。アノテ・トン大統領は「海面上昇や塩害で耕作地がなくなった場合の食料確保のためだが、最悪の場合は移住の場にと考えたこともある」と明かす。
・・・中略・・・
■「生きるか死ぬかの問題」
小さな島国は温暖化の影響を特に受けやすく、「気候変動の最前線にいる」(国連の潘基文(パンギムン)事務総長)と言われる。世界的な対策をめぐる国際交渉でも、ほかの多くの途上国と一線を画して、より厳しい対策を求め続けている。
国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書によると、特に影響するのは海面水位の上昇だ。いまのまま温室効果ガスの排出増が続くシナリオでは、今世紀末に世界平均で最大1メートル弱の上昇が予測されている。
今世紀内を考えても、小さい国土で海岸の浸食が進むと、飲用にする地下水に塩分が混ざる。海水温が上昇すると、サンゴ礁の生態系が破壊され、これに頼っている観光や漁業は大きな打撃を受ける。
今年2月にスイスで開かれた会合では、小さな島国などでつくるグループ代表が「海面上昇は信じられていたよりも加速している。私たちにとって生きるか死ぬかの問題だ」と訴えた。
実際、フィジーでは住民が沿岸に住めなくなり高台移転した地域がある。人口約千人のソロモン諸島のタロ島は、水没をにらみ、将来の全島移住を決めた。
これまでの交渉で、19世紀後半の工業化以前と比べた気温上昇を「2度未満」に抑えることを大目標として合意しているが、小さな島国は、それでも不十分だとして「1.5度未満」を目標にするべきだと主張している。
国際社会は今年末に開かれる国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で、京都議定書に代わるすべての国が参加する新しい国際枠組みの合意を目指している。島国の「悲鳴」は、世界に対し、直ちに行動に移るよう迫る役割を果たしている。(須藤大輔)

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(朝日新聞デジタル)


(@タラワ〈キリバス首都〉)地球温暖化におびえる南の小国
2015年5月30日
■特派員リポート 郷富佐子(シドニー支局長)
キリバスという国の話をしたい。南太平洋の島嶼(とうしょ)国家の一つで、1979年に英国から独立した。住民のほとんどがミクロネシア系で、人口10万の小さな国だ。
ツバルなどと並んで「地球温暖化の影響を最も強く受けている国のひとつ」と言われている。シドニー支局の管轄なのだが、これまで一度も訪れたことがなかった。日本で5月22、23両日に開かれた「第7回太平洋・島サミット」の前に、良い機会だと思って足を延ばしてみた。
・・・中略・・・
キリバスで強く感じたのは、「こんなに素朴な国がなぜ、気候変動の被害をもろに受けないといけないのだろう」という疑問だ。一週間足らずの短い滞在だったが、会った人々はみんな、とても親切だった。ちょっと恥ずかしがり屋で、話しかけると大きな声で笑う。子供たちは人なつこくてかわいい。
この平和な南の国が、沈みつつあるという。取材中にあちこちで聞いたのは、海面が上昇して「もうすぐ水没するのは間違いない」という悲鳴のような住民の声だった。海水がどんどん、内陸部まで入り込んでいる。サンゴ礁の上に座るようにできている真っ平らな島々なので、逃げられる高い場所がないのだ。
タラワからスピードボートで1時間半ほどのアバヤン島には、家々が冠水して無人になった村があった。ボートの上から見た島は、本当に真っ平らだった。島で会った漁師のカウアバガ・メーリタさん(33)は、日本の熱海へ3年間、出稼ぎへ行っていたという。流暢(りゅうちょう)な日本語で「この国が水没したら、本当は日本へ移住したい。日本政府が受け入れてくれないだろうから、無理だとは思いますが」と笑った。
温室効果ガスと地球温暖化の関係を疑う人もいる。海水温の上昇は自然の変動の範囲内だと主張する科学者がいるのも知っている。でも、キリバスで見た光景は強烈だった。先進国が排出するガスのために南太平洋の島の人々が苦しんでいるのなら、理不尽だとしか言いようがない。
自給自足の生活だったこの国にも貨幣経済が入り込み、人々は輸入品を現金で求めるようになった。タラワの海岸にはペットボトルやポリ袋などの家庭ごみが山積みになっているし、生活排水で海の汚染も進んでいる。海が汚れてサンゴや小さな貝が減り、砂浜がやせるような「地元要因」も、確かに気候変動の影響を加速させているだろう。
それでも、毎朝8時に電気が止まり、電気がつく夜になっても当然のようにランプを手に歩いている人々を見ると、「なぜ、この国が」と思わずにはいられなかった。蛇口をひねっても湯が出ることはなく、日々の食べ物は自宅裏で育てるイモや野菜でまかなっている社会。雨が降れば、子供たちが素っ裸になって泥遊びをする国が、なぜ100年後には水没しなければいけないのか。
今いる場所の「便利さ」が、他の場所に住む人々に犠牲を強いているかもしれないのだ。頭ではわかっていたつもりだが、これまで真剣に考えたことはなかった。キリバスで感じた「不便さ」はそのまま、南の島国から突きつけられた問いかけだと思う。

郷富佐子(ごう・ふさこ) シドニー支局長。仙台、横浜、東京社会部などでの勤務を経て、マニラ、ローマ、ジャカルタの各海外支局で勤務。2013年9月から現職。48歳。ブログ「南十字星の下で(http://www.asahi.com/special/sydneyblog/)」、つぶやき(@Asahisydney55)も。


(朝日新聞デジタル)


沈む島の訴え―手をさしのべるために
我々は自分の国に住み続けるのが難しそうだから、日本で受け入れてくれないか。例えば、日本で人手が足りない看護・介護分野ではどうか――。
外国の首脳からこう言われたら、どう答えるだろうか。
仮定の話ではない。南太平洋の島国、キリバスの大統領が本紙インタビューで訴えた。
地球温暖化に伴う海水面の上昇や異常気象で国土が水没しかねない国は、平均標高が2~3メートルというキリバスだけではない。日本政府は5月、そうした国々を福島県いわき市に招いて「太平洋・島サミット」を開き、防災や気候変動対策、環境保全などで550億円以上の援助を約束した。
温室効果ガスを多く出してきた先進国の一つとして対策に力を入れていくべきだが、事態は深刻だ。「国が沈むのは時間の問題」と話すキリバス大統領が口にした次のひと言が、そう痛感させる。
「尊厳ある移住」である。
災害から逃げるように他国へ移るのではなくて、威厳を持って移住を選びたい。だから、職業訓練を受けて技術や技能を身につけるよう、国民に呼びかけているそうだ。

受け入れ先候補として、例えば豪州とは既に話し合いをしているという。「日本に看護師や介護士として移住する」という提案も、日本の少子高齢化を踏まえたうえで「両国にとって利益がある戦略だ」と強調する。
実際、日本はインドネシアなど3カ国と結ぶ経済連携協定の枠内で看護師や介護福祉士向けの人材を受け入れている。しかし、大統領は、単にキリバスをその対象に加えるよう求めたのではあるまい。そもそも、労働力という次元だけで考えるべきではないだろう。
海外への技術移転を名目に始めた「技能実習制度」も、労働環境の劣悪さが問題になっている。苦境にある人々に連帯するための仕組みにはなりえない。
キリバスに限らず、世界には様々な困難に直面する人たちがいる。そうした人たちに日本が手をさしのべるなら、議論を封じ込めている定住希望の外国人、いわゆる移民の受け入れという課題に向かわざるを得ないのではないか。 大統領が言う「尊厳」を保つための思考が日本でも必要なはずだ。
「移民は是か非か」という抽象的な議論にとどまらず、いま世界で起きている問題を見すえ、一つひとつ具体的に考えていく。そうした姿勢が大切だ。
キリバス大統領の発言を、そんな問題提起と受け止めたい。


(2015年6月8日の朝日新聞社説)

リオデジャネイロ五輪の際には、こんな記事まで掲載していた。


2017年4月2日の朝日新聞朝刊紙面より

「ドラえもん」まで使って、何も分からない子どもに「(キリバスは)水没の危機にある」と吹聴しているけれど、タラワの潮位変化は下図のとおり。

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図11-1 キリバス・タラワの潮位変化(「Global and Planetary Change,80-81(2012)85」より)

1980年以前は潮位が上昇し続けていたけれど、第5章図5-5に見えるとおり、その間に気温は低下していたのであり、前章の第4節で解説したとおり、IPCC学派自身が、(大気汚染で放出された)エアロゾルが原因で気温上昇が停滞した、と言い張っていたのだから、その間の潮位上昇はCO2の排出が原因ではない。
CO2の排出とキリバスの潮位変化に明瞭な因果関係は認められない。

朝日社説は「『移民は是か非か』という抽象的な議論にとどまらず、いま世界で起きている問題を見すえ、一つひとつ具体的に考えていく。そうした姿勢が大切だ」と喚いていたけれど、ニュージーランドに「尊厳ある移住」を求めたキリバス人は追い返された。


初の「気候変動難民」認めず=キリバス人敗訴-NZ最高裁
2015/7/21-15:53
【シドニー時事】ニュージーランド最高裁判所は21日、世界初となる「気候変動難民」認定を求めていたキリバス人男性の訴えを退け、難民に該当しないとの判決を下した。男性は、太平洋の島国キリバスでは、気候変動に伴う海面上昇で生命の危機にさらされるとして、居住地のニュージーランドで難民認定を申請していた。
最高裁は判決理由で「男性は帰国しても深刻な危機に直面しない」と説明した。男性の滞在ビザは失効しており、妻と3人の子供と共にキリバスへ送還される。
ただ最高裁は、気候変動難民を将来認める「可能性は否定しない」と述べ、今後の認定に含みを残した。


(時事ドットコム)

CO2の排出と潮位上昇に明瞭な因果関係は認められないのだから、当然である。

11.2 ソロモンの不都合な真実

ソロモン諸島でも「尊厳ある移住」と喚いていた。


南太平洋の島 水没懸念で全住民移住へ
2014年8月24日 4時6分
地球温暖化に伴う海面上昇によって、島の水没が懸念されている南太平洋の島国のうち、ソロモン諸島のタロ島は800人の住民全員が移住する計画を進めることを決め、海面上昇への対策に悩むほかの国々から関心が集まっています。
ソロモン諸島の首都ホニアラ
から北西に400キロほど離れたタロ島は、海抜が2メートルに満たない地点がほとんどで、地球温暖化による海面上昇がこのまま進めば津波などによって島が水没してしまうのではないかという懸念が強まっています。
島の自治体では去年から今年にかけて島にいるおよそ800人の住民と議論を重ねた結果、安全を確保するためには住民全員が移住するしかないと判断し、このほど、隣のチョイスル島に移る計画が承認されました。
計画では、今後5年以内に移住先の島に、学校や病院を建設するほか、津波への対策なども立てることにしており、移住が完了するには10年以上かかるとみられています。
計画を支援しているオーストラリアの企業によりますと、太平洋の島の中ですべての住民が移住するという計画は異例だということで、海面上昇への対策に悩むほかの国々から関心が集まっています。

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(記事はNHK。図は朝日新聞デジタル)

しかし、下図に見えるとおり、やはり、潮位の上昇は認められない。

2015010403図11-2 ソロモン諸島・ホニアラの潮位変化(「Clim.Dyn.,41(2013)381」より)

このグラフでは20世紀第3四半期に潮位が上昇していたように見えるけれど、別の論文のグラフを見ると、

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図11-3 ソロモン諸島・ホニアラの潮位変化(「Global and Planetary Change,53(2006)155」より)

グラフの右端と左端の値はほとんど同じ。
潮位の上昇は認められない。
だから、全島民移転の理由を津波に変えてしまった。


(世界発2016)津波に備え全島移転へ ソロモン諸島・タロ島
2016年5月5日05時00分
南太平洋の地震多発国・ソロモン諸島=キーワード=で、州都がある島の全住民と州都としての機能を、まるごと別の島に移す計画が進んでいる。「津波や海面上昇の危険性が高すぎる」と海外専門家の調査チームが判断し、水没を恐れる住民らも受け入れた。前代未聞の全島移転には、数十年かかるとみられている。
・・・中略・・・
この小さな島が急に世界的な注目を集めたのは、2年前。州政府が「地球温暖化による水没を避けるため、島ごと対岸のチョイスル島に移す」と発表。タロ島の約12倍の広さとなる532ヘクタールをチョイスル島に確保すると決めた。ツバルやキリバスなど海面上昇で水没する恐れがある島国が多い南太平洋地域でも、島の住民や町がすべて移転するのは例がない。
大胆な決定の発端は、オーストラリア政府の支援で派遣された専門家チームの被害予測調査だった。タロ島の地形や海岸浸食の状況を調べたほか、住民の聞き取り調査などをし、2014年に発表した報告書で「今後も島に住み続けるのは危険すぎる」と提言。調査を率いた豪州の環境コンサルタント、フィリップ・ヘインズ博士は「調査前は海面上昇が念頭にあったが、最も危険性が高いのは、実は津波だとわかった」と話す。
標高3メートルもない同島は、地震の頻発地域にある。07年に起きたマグニチュード(M)8.1のソロモン諸島沖地震では、隣州のギゾ島などで多くの村が津波にのまれ、50人以上が死亡。13年には東部でM8の地震と津波があり、約10人が犠牲になった。
国連機関などが作成した「リスク管理の指標2016」で、ソロモン諸島は191カ国中24番目にリスクが高いとされた(日本は149番目)。約50ある指標のうち地震や津波などによる自然災害分野が特に高かった。同博士は「直近の危険は津波。温暖化は、そのリスクに拍車をかける将来的な要因だ」とみる。
移転の決断は、島民にも全面的に支持されている。ジャクソン・キロー州首相は「津波の恐怖が勝り、移転に反対する者はいない。温暖化で水没するのは10~20年後かもしれないが、津波が来たら島は即終わりだから」という。
・・・中略・・・
ソレブドゥさんは「最も心配なのは資金だ。初期段階のゾーン開発だけで何億ソロモンドル(1ソロモンドル=約13.7円)もかかるが、国にも州にもそんな予算はない。何十年かかるか、見当もつかない」と打ち明けた。
キロー州首相が期待しているのは、途上国の温暖化対策を支援する国連機関「緑の気候基金」の支援だ。「支援を受けられるように国際社会へ訴えていきたい」と意気込む。調査チームのヘインズ博士も「大地震はいつ起きても不思議ではなく、早急に進める必要がある」と話している。(タロ島=郷富佐子)
◆キーワード
<ソロモン諸島> 主要6島と千近い島・環礁が東西約1400キロに延び、日本と同じ環太平洋火山帯に位置する。人口約61万5千人(13年家計収支調査)。豪州プレートと太平洋プレートの境界が近く、海溝型の大地震が発生しやすい。1931、39、88、2007、13年にM8前後の地震が起き、死者が出ている。1978年に英国から独立したが英連邦諸国の一つで、元首は英女王。

2016061902
高地がなく平べったいタロ島は、津波に弱いと判断された


(朝日新聞デジタル)

11.3 トンガとマーシャル諸島とフィジーの不都合な真実

キリバスとソロモンの不都合な真実が露呈してしまったので、今度は、トンガが沈む、マーシャル諸島が沈む、フィジーが沈む、と騒ぎ出した。


(世界発2015)トンガ、未来の危機映す島 地震で地盤沈下23センチ=海面上昇の40年分超
2015年9月10日05時00分
南太平洋に浮かぶ王国・トンガ。地震や火山爆発、サイクロンと様々な自然災害に襲われてきたが、近年は気候変動という新たな脅威にさらされている。人々の危険が増すなかで、過去の天災から将来の被害を予測する試みも始まった。
「地震で大地が沈み、地球温暖化で海面が上がった。最近では干潮時も、昔の満潮と同じくらいまで海水が入って来てしまう
トンガの首都ヌクアロファから北に約160キロ。リフカ島南部パンガイ地区の海岸で、ミリアム・トゥイバイ・カイハウさん(60)とセルさん(63)夫妻が表情を曇らせた。島では伝統的に、干潮時は女性が木のカヌーに乗ってタコ漁をし、潮が高いときは男性が沖へ出て魚を捕って生計を立ててきた。最近は「どちらの漁もやりにくくなった」と嘆いた。
・・・中略・・・
■浸水におびえる国民、護岸壁の設置援助を アキリシ・ポヒバ首相
昨年末、貴族議員などではない「庶民」の立場から初めて選出されたアキリシ・ポヒバ首相(74)に聞いた。
――気候変動の影響は。
「これまでの経験から言っても最悪の状態だと思う。特に深刻なのは海面上昇と海岸浸食で、海岸沿いからヤシやマングローブの木が消えている。海岸沿いに住む国民は高潮や洪水による浸水におびえており、サイクロンが来ればあっという間に家屋が倒壊する」
――5月に福島県いわき市で開かれた太平洋・島サミットに参加しましたね。
「有意義な会合だった。日本はトンガにとって最も古く親しい友人の一人で、自然災害が多い共通点もある。我が国は多額の負債を抱えており、国家再建を急がなければいけない現状だ。日本政府には改めて、災害危機対策を含めた援助をお願いしたい。特に、陸地へ入る海水を防ぐための護岸壁設置などは急務だ」
■災害リスク「世界2位」
トンガ気象庁などの報告によると、1993年から海面上昇が深刻化。上昇規模の年平均が世界では2.8~3.6ミリなのに、トンガでは6ミリ。周辺の海水温上昇などが原因とみられる。
国連大学が発表した14年版の「世界リスク報告」で、トンガは「災害リスク」で171カ国中、バヌアツに次いで2位だった。
地震、台風やサイクロン、洪水、干ばつ、海面上昇などの要因から、国別で順位をつけたものだ。
すぐ東に深さ1万メートルのトンガ海溝が南北に延びる。地震の多発地域で、09年にもM7.6の地震が起きた。火山の噴火も多い。昨年末から今年初めにかけても爆発が起き、数千メートルも噴き上げられた火山灰などの影響で国際便が相次いで欠航した。昨年1月にはサイクロンで3500人以上が家屋を失い、農作物にも大きな被害が出た。復旧費用は30億円以上と推計されている。
◆キーワード
<トンガ> 太平洋のポリネシアに属し、約170の島からなる王国。1900年から70年間、英国の保護領だったが、植民地になったことはない。人口は約10万6千で、ほとんどがキリスト教徒。近年は民主化運動が盛り上がり、2006年に首都ヌクアロファで起きた暴動では死者も出た。12年3月に国王のツポウ5世が死去し、弟のラバカ皇太子が即位。今年7月、ツポウ6世としての戴冠(たいかん)式が行われた。

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(朝日新聞デジタル)


海水面が上昇し、島がどんどん変わっていきます マーシャル諸島から来た少女が演説
マーシャル諸島の外相(手前右から2人目)らとともに全体会合が開かれる会場に入るセリナさん(同3人目)=パリ郊外で12日、ロイター
「島がどんどん変わっていきます」。国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で「パリ協定」が採択され、その後の各国の意見表明に海面上昇が進む南太平洋の島国マーシャル諸島から来た少女が立った。少女がヤシの葉の髪飾りを見せながら「子供や孫の世代にもヤシを残せるようにしたい」と訴えると、ケリー米国務長官ら各国の代表は、立ち上がって拍手を送った。
演説したのは昨年から奨学金でドイツの高校に通うセリナ・リームさん(18)。マーシャル諸島の平均海抜は2メートルで、温暖化による海面上昇の影響で、海岸の浸食が進んでいる。
セリナさんは「マーシャル諸島という小さな島から来た大きな夢を持っている少女です」と自己紹介。以前、祖父に「サンタクロースが住む北極や南極の氷が解け、海水面が上昇して島が洪水になる」という話を聞き「海が怖くなった」との思い出を語った。
そのときは「祖父が私をしかるために話したと思ったが、実際にどんどん海水面が上昇している」と訴えた。
最後に髪飾りを示しながら「皆さんに、この飾りを(自分の)子供や孫に見せてほしいのです。そして、あなたたちが小さな島と世界を今日、どのようにして救ったのか、語り継いでほしいのです」と訴えた。
演説後、取材に応じたセリナさんは「島が地球温暖化の影響を受けている現状を訴えたいと思い、ここに来た」と説明。ドイツ留学前の2014年3月、高潮で自宅が水没する被害にあったという。留学後は島に戻り「島のために役に立つ職業に就きたい」と話した。【パリ矢野純一】


(毎日新聞2015年12月14日 東京夕刊)


「真剣に挑戦、行動を」 議長国フィジー訴え
【ボン五十嵐和大】「世界は異常気象のストレスにさらされている。我々は真剣に挑戦し、行動しなければならない」。ドイツ・ボンで6日開幕した国連気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)。議長国を務める南太平洋の島しょ国、フィジーのバイニマラマ首相は同日始まった全体会議の冒頭でこう訴えた。同国は、地球温暖化に伴う海面上昇や気象災害のリスクにさらされており、2015年採択のパリ協定には世界で初めて署名。気候変動に対する強い危機感がうかがえる。
330ほどの島々で構成されるフィジー付近の海面水位は1993年以降、毎年平均約6ミリずつ上昇してきたとされる。国土の高低差が少ないフィジーでは影響は大きく、農地が海水に浸る塩害が深刻化。村ごと移住する事例も相次いでいる。昨年2月には巨大サイクロンに襲われ、44人が死亡し、被害総額は国内総生産(GDP)の3分の1に当たる約14億ドル(約1600億円)に達した。
海面の上昇に敏感な同国。二酸化炭素(CO2)排出量は日本の1000分の1以下に過ぎないが、30年までに電力需要のすべてを再生可能エネルギーに転換することを目指している。今年夏、フィジーに滞在した環境NGO「気候ネットワーク」の伊与田昌慶研究員は「フィジーの住民から『日本の環境対策は進んでいるのか』と聞かれた。しかし、日本は今もCO2を大量に排出する石炭火力発電所の建設を進め、米国は国際世論を無視してパリ協定からの離脱を宣言した。フィジーの地道な温暖化対策が吹き飛んでしまうようでやりきれない」と話す。


(毎日新聞2017年11月7日 東京朝刊)

ならば、「トンガの首都ヌクアロファ」の潮位はどのように変化しているか?

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図11-4 トンガ・ヌクアロファの潮位変化(「Global and Planetary Change,80-81(2012)85」より)

初めの記事にも見えるとおり、1993年頃から潮位が上昇し始めた。
マーシャル諸島のマジュロも同じ。

2016061905図11-5 マーシャル諸島・マジュロの潮位変化(「Global and Planetary Change,80-81(2012)85」より)

フィジーのスバも同じ。

2017022202
図11-6 フィジー・スバの潮位変化(「Global and Planetary Change,80-81(2012)85」より)

しかし、これは風が原因。

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図11-7 赤道付近太平洋西部の風の強さと海面上昇の推移(「J.Clim.,24(2011)4126」より)

1993年以降に風が強まるに伴って海面が上がった。
では、なぜ風が強まったのか?
前章の第4節で引用した「温暖化の熱の一部は海中に潜んでいる?」という見出しの記事に見えるとおり、「赤道付近を吹く貿易風は、過去20年間にわたって太平洋上で激しさを増して」いる。
「貿易風が激化した原因のひとつは、『太平洋数十年規模振動(IPO)』という、エルニーニョ現象に似た自然な周期的気候変動である」。
IPO(または、PDO)はハイエイタスの原因ではないけれど、1993年以降の海面上昇の原因である。
トンガやマーシャル諸島やフィジーの海面上昇は自然変動が主因。

因みに、トンガでは「1993年から海面上昇が深刻化」に対し、「国連大学が発表した14年版の『世界リスク報告』」で栄えある1位を獲得したバヌアツでは1993年以降にも潮位の上昇は認められない。

2015091103図11-8 バヌアツの潮位変化(「Vanuatu sea levels: how much did they contribute to cyclone damage?」より)

11.4 モルディブの不都合な真実

トンガとマーシャル諸島とフィジーの不都合な真実も露呈してしまったので、今度は、モルディブが沈む、と騒ぎ出した。


2018年3月22日の朝日新聞朝刊紙面より

「海岸侵食が進むマーメンドゥー島。かつて道路だった場所は波で削られていた」と騒ぎ立てているけれど、2004年のスマトラ沖地震による津波でもモルディブの島々は浸食されなかった。


明らかになった環礁の津波応答
モルディブの被災状況を元に、サンゴ礁上の島々の津波に対する応答をまとめると以下のようである。モルディブ諸島ではほとんどの島で津波による大きな地形変化はみられなかった。また、筆者らの調査した43の島では顕著な津波堆積物はみられなかったし、他の島からも報告されていない。島の表面は細粒の砂でできているにもかかわらず、津波後、その姿にほとんど変化はなかった。広範な海域でのサンゴ礁調査では、現生サンゴへの影響もモルディブ全域でわずかであったことが確認されている。すなわち、モルディブ諸島のサンゴ礁上に形成された島々において堆積物の地形・地質システム、および海面下の生態系は、津波に対しては大きな影響を受けなかったといえよう。しかし島上内の建造物・植生そして住民たちは大きな被害を受けた。このように津波に対するサンゴ礁とその上にのる島の構造的な強さと、その上にのるインフラストラクチャーの脆さが浮き彫りになった。


(「2004年インド洋大津波で被災したサンゴ礁の島モルディブ」より)

史上最大級の津波ですら「島の表面は細粒の砂でできているにもかかわらず、津波後、その姿にほとんど変化はなかった」のに、「かつて道路だった場所は波で削られていた」はずがない。
にもかかわらず、なぜ「海岸侵食が進むマーメンドゥー島」か?


世界の洪水被害、サンゴ礁衰退で倍増の恐れ 研究
2018年6月13日 19:43 発信地:パリ/フランス
世界的にサンゴ礁が減少することで、沿岸洪水による被害が2倍に、高潮に起因する損壊が3倍にそれぞれ増加するとの研究結果が12日、発表された。
英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された研究論文「Nature Communications,9(2018)
2186
」によると、地球温暖化による海水面の上昇が予測されているのに加えて、サンゴ礁の減少が起きることにより、洪水の発生件数が今世紀末までに4倍に増加する可能性があるという。
衝撃を緩和するサンゴ礁がなければ、100年に1度規模の低気圧がもたらす被害が倍増し、損害額が数百億ドル(数兆円)に及ぶ恐れがあることが、今回の推算結果で明らかになった。
自然保護団体ネイチャー・コンサーバンシー(Nature Conservancy)の主席科学者で、米カリフォルニア大学サンタクルーズ校のマイケル・ベック(Michael Beck)教授は「サンゴ礁は、波を砕いて波のエネルギーを減少させることによって洪水を減らす自然の水中防波堤として機能する」と説明する。
「残念なことに、現在すでに世界各地の浅場サンゴ礁の高さと複雑性が減少しつつあるため、多くの熱帯沿岸地域で洪水被害の増加がすでに起きている可能性が高い」と、ベック教授はAFPの取材に語った。

サンゴ礁はすべてが衰退傾向にあるわけではなく、白化、魚の乱獲、嵐などの影響から回復することができると、ベック教授は指摘した。
「だが、サンゴ礁地形全域にわたる重大な消失の全体的傾向が明確に認められる」
浅場サンゴ礁が存在する海岸線は全世界で7万1000キロに及び、熱帯地方に集中しているが、その大半は沿岸開発、砂の採掘、ダイナマイト漁、工業や農業の排水などによって大きな打撃を受けている。

また、サンゴは海水温の急激な上昇に対して極めて弱い。海水温の上昇は気候変動に伴って変化の度合いが大きくなるとともに、発生頻度も増加している。
世界のサンゴ礁は、地球の平均表面温度が産業革命前の水準より2度上昇すると壊滅的な大量死を引き起こす危険性があることが、過去の研究で明らかになっている。
■自然資産の価値
今回の最新研究では、沿岸洪水のモデルと経済モデルを組み合わせて、嵐に関連する損壊を防ぐ防波堤としてのサンゴ礁の価値を国別に推算した。
世界規模では、沿岸洪水で年間40億ドル(約4400億円)近くの損害が発生すると推定される。
全世界のサンゴ礁の最上部が1メートル削られると、この数字が80億ドル(約8800億円)に倍増することを、ベック教授と研究チームは発見した。
「最上部の生体サンゴが死ぬと、その部分がすぐに折れて取れてしまう可能性がある」と、ベック教授は述べた。
サンゴ礁の消失によるリスクが最も大きいのは、インドネシア、フィリピン、マレーシア、メキシコ、キューバの5か国。これらの国々は、サンゴ礁を維持すればそれぞれ年間4億ドル(約440億円)の損害を回避できる可能性がある。
サウジアラビア、米国、台湾、ベトナムなども、サンゴの深刻な衰退に伴って洪水の影響を著しく受けやすくなると考えられる。
「このほんの数年間にハリケーンのイルマ(Irma)やマリア(Maria)、超大型の台風30号(アジア名:ハイエン、Haiyan)などの熱帯性低気圧がもたらした破壊的な影響を考えると、サンゴ礁がなければ洪水の影響がはるかに悪化すると思われる」と、ベック教授は話した。


(AFP/Marlowe HOOD)

「私の土地はどこにいったの」「昔はあそこが道だった」と泣き喚いているけれど、それは当に「沿岸開発」。
「サンゴ礁は、波を砕いて波のエネルギーを減少させる」にもかかわらず、サンゴ礁を破壊して道路を造ったから、「波で削られ、根がむき出しになり傾くヤシの木がある海岸」になってしまったのだ。
「海面上昇 備えは人工島」と騒ぎ立てているけれど、人工島自体がサンゴ礁を破壊し、「波で削られ、根がむき出しになり傾くヤシの木がある海岸」を広げるだけ。
「海面上昇 備えは人工島」は全くの本末転倒。

しかし、朝日新聞とIPCC学派は頑として認めない。
CO2の排出が原因でサンゴ礁が劣化しているから、「波で削られ、根がむき出しになり傾くヤシの木がある海岸」になってしまったのだ、と言い張っている。

2018年4月5日の朝日新聞朝刊紙面より(「オーストラリアの研究チームは今年1月・・・白化の周期が短くなっているという研究成果を米科学誌サイエンスに発表した」は「Science,359(2018)80」。)

しかし、「この20年に集中しており、温暖化の影響もうかがえる」のなら、世界中の海でサンゴが減少しつつあるはずだが、そうではない。


【環境】サンゴ礁は沿岸地帯を高潮から守り被害額低減に寄与している
Nature Communications,9(2018)2186
2018年6月13日
サンゴ礁がなければ全世界の高潮による年間予想被害額が倍増していたとする論文が、今週掲載される。この新知見は、サンゴ礁によって人々の生命と財産に利する海岸保全効果がもたらされるだけでなく、高潮被害額の抑制にもつながることを実証している。
今回、Michael Beck たちの研究グループは、高潮モデルを用いて、全世界のサンゴ礁によって人々の生命と財産が保護される効果の年間予想額を推定した。今回の研究では、発生確率の異なる4つの暴風雨事象について、サンゴ礁がある場合とない場合のシナリオを立て、それぞれの高潮の状況を比較した。なお、「サンゴ礁がない場合」は、「サンゴ礁がある場合」よりもサンゴ礁の高さと粗度が1メートル低い場合と定義した。その結果、極端な事象(100年に一度の暴風雨事象で、各年の発生確率が1%)が起こった場合には、「サンゴ礁がない」と、高潮浸水被害額が91%増加して、2710億ドル(約30兆円)に達するという予測が示された。また、Beck たちは、サンゴ礁の維持管理活動の恩恵を最も受けるのがインドネシア、フィリピン、マレーシア、メキシコ、キューバであり、各国で高潮浸水被害額が4億ドル(約440億円)低減することを明らかにした。
Beck たちは、世界のいくつかの場所でサンゴ礁の平坦化が観察されている一方で、サンゴ礁の状態が良好な地域も存在し、サンゴが繁殖している地域すらあることに注意しなければならないことを指摘している。つまり、この論文で報告された影響は、不可避な結末ではないのだ。論文には、政策立案の際にサンゴ礁の経済評価を有益な情報として考慮に入れることの重要性も明確に示されている。


(natureaisa)


46カ国でサンゴ礁の大調査、意外な傾向が判明
伝統的な漁がサンゴ礁を健全に保っているという新事実
2016.06.20
世界各地でサンゴの白化が深刻化している一方で、予想よりはるかに良い状態のサンゴが残る「ブライトスポット」があることが、最新の研究で明らかになった。理由はシンプル、サンゴ礁で漁が程よく行われているからだ。
研究に参加した環境NGOP、コンサベーション・インターナショナルのジャック・キッティンジャー氏は、サンゴ礁の保護に重大な影響を与える研究結果だと言う。
「これまでサンゴ礁の保護といえば、海洋保護区にある手つかずのサンゴ礁を守ることに重点が置かれてきました。今後は国際的なマーケットとの関係も考慮する必要があるでしょう」
6月15日付の科学誌「ネイチャー」に発表された研究論文「Nature,535(2016)416」は、大学から自然保護団体、ナショナル ジオグラフィック協会が進める「原始の海プロジェクト」など、34機関の科学者39人が執筆者に名を連ねる。今月19~24日に米国ハワイで行われる国際サンゴ礁シンポジウムに先立ち、人々の関心を高めるために発表された。同シンポジウムは4年に1度、世界中の研究者たちを集めて開催されている。
気候変動に伴う温暖化と海面上昇によって、サンゴ礁のダメージが深刻化している。特に今年はエルニーニョ現象が重なり、海水温がさらに上昇している。これに魚の乱獲が加われば、サンゴ礁にとって最後の一撃となりかねない。
しかし、持続的な管理が行われているサンゴ礁は、気候変動の長期的な影響に適応できる可能性が高い、とキッティンジャー氏は考えている。
「ダークスポット」は35カ所
研究チームは気候変動の影響をより細かく理解するため、46カ国のサンゴ礁を6000回以上にわたって調査。漁獲量が最も高い海域では魚などの生物が最も少なく、その結果、サンゴ礁が最も減少していることがわかった。サンゴ礁が荒廃している35カ所の「ダークスポット」は世界中に点在しているが、カリブ海、アフリカ沖、人口の多い都市から近いインド太平洋で多く見られた。
一方、持続的に利用されているサンゴ礁は最も良い状態を保っており、ソロモン諸島、インドネシアの一部、パプアニューギニア、キリバスなどで15の「ブライトスポット」が確認された。
ブライトスポットをさらに調べてみると、明確なパターンがいくつか見つかった。そのなかには、「こんなことが?」と思われる意外なものも含まれていた。まず、昔からの漁業権が守られている海域では、サンゴ礁が最も健全だった。こうした海域では、漁をできるのは地元の漁師だけで、よそ者は締め出される。人々が海の恵みに頼って生活している地域ほど、この傾向は顕著だった。
「これは直感に反する結果でした」とキッティンジャー氏は話す。「サンゴ礁への依存度が高ければ、漁獲量も高く、その場所はダークスポットになると予想していましたが、結果は正反対でした。実際は、サンゴ礁への依存度が高いほど、管理が行き届いている傾向にありました。おそらく、大切な資源を破壊すれば、自分の首を絞めることになるためでしょう」
これに対し、あちこちから漁師がやって来る海域は”共有地の悲劇”に陥っている傾向があった。漁業の管理がずさんな海域も、サンゴ礁のダメージが比較的大きかった。
魚とサンゴは切り離せない関係にあると、キッティンジャー氏は指摘する。魚が藻類を食べ、その繁殖を抑制しているためだ。もし魚が乱獲されれば、藻類が繁茂しすぎて、サンゴは窒息してしまう。
ブライトスポットで見られたもう1つの傾向は、近くに深い海があることだ。深い海があれば、魚は大きく育ち、漁師から逃れる可能性も高くなる。
サンゴ礁を救うには?
論文では、サンゴ礁を守るための対策として、各国政府がマーケットを規制し、海域の管理を促すべきだと提言している。企業や消費者も持続可能な魚介類を求めたり、違法な漁業を拒絶したり、地元の人々の権利を尊重すべきだと訴えたりすることで、役割を果たすことができる。
「サンゴ礁の保護に取り組んでいると、悲しくなることもあります。しかし、素晴らしいことに、希望の種を見つけることができました」とキッティンジャー氏は話す。「今後はこれらの種を増やしていかなければなりません」
ただし、世界中で起きているサンゴ礁の急激な減少を考えると、「もう猶予はあまり残されていません」


(ナショナルジオグラフィック)

第1節で紹介したとおり、「でも、キリバスで見た光景は強烈だった。先進国が排出するガスのために南太平洋の島の人々が苦しんでいるのなら、理不尽だとしか言いようがない」だの、「事態は深刻だ。『国が沈むのは時間の問題』と話すキリバス大統領が口にした次のひと言が、そう痛感させる」だのと泣き喚いていたけれど、第9節で解説するとおり、海面上昇の最大の要因は海水温の上昇に因る海水の熱膨張だから、「海水温が上昇すると褐虫藻が減ってしまい、サンゴは弱る」のなら、キリバスのサンゴは絶滅寸前のはず。
ところが、全く逆に「ブライトスポット」。
なぜか?
上記の朝日記事には「サンゴの体内には褐虫藻という植物プランクトンが共生しており、褐虫藻が光合成をすることでサンゴは栄養を得ている。ところが、海水温が上昇すると褐虫藻が減ってしまい、サンゴは弱る」と書いているけれど、実のところ、「魚がおしっこをすることでサンゴは栄養を得ている」のだ。[注1]


豊かなサンゴ礁に魚の「尿」が不可欠、漁で打撃も
「種の数」だけでなく「種ごとの量」の重要性も明らかに
2016.8.24
2000年前、ローマ皇帝ウェスパシアヌスは、羊毛の洗浄などに使われた人間の尿に税を課した。息子がこの政策に異議を唱えると、皇帝は金貨を息子の鼻先に掲げて「臭うか?」と尋ねたという。何から得たものであろうと、金は金であるというわけだ。
尿に価値を見出したウェスパシアヌスなら、きっと優秀な海洋生物学者になれたに違いない。サンゴ礁にとって、尿はまさしく宝だ。サンゴ礁の驚くべき生物多様性は、重要な栄養源である「魚の尿」抜きにはありえない。
悩ましいのは、その栄養源を大量に供給し、食物連鎖の頂点に位置する大型の魚が、人間に人気の食材であることだ。先日、学術サイト「Nature Communications」に掲載された論文によると、サンゴ礁で魚が関わる再循環作用の半分近くが、漁業によって失われてしまう可能性があり、大型魚、とりわけ大きな捕食魚の影響を強調している。
「魚の尿を守ろう、などと言うと、奇妙に聞こえるかもしれません」と、論文の著者で米国ワシントン大学博士研究員のジェイク・アルガイヤー氏は言う。「しかしこれが、サンゴ礁について別の視点から考えるきっかけになってくれるのではないでしょうか」
尿はごちそう
アルガイヤー氏は数年前から尿について研究し、カリブ海の魚や無脊椎動物がどのように尿を排泄しているのかをつぶさに観察してきた。尿に着目した彼の調査と、過去30年間に行われた数々の意義ある研究により、サンゴ礁は大量の尿によって保たれているという驚きの発見がもたらされた。
 魚の肛門から排泄されるリンや、エラから排出されるアンモニウム(窒素成分)は、サンゴ礁に適度な栄養素を与える。この再循環はサンゴ礁にとって欠かせない。世界のサンゴ礁の多くは、新たな栄養素を確保する手段をほとんど持たないからだ。リンや窒素などの栄養素は食物の形で食物連鎖の上位へと取り込まれていき、やがて排泄されて下層へと戻ってくる。
「我々には栄養素が過剰にある状態が当たり前すぎて、栄養素を得るのが難しい生態系については忘れがちです」とアルガイヤー氏を指導する米ジョージア大学の生態学者、エイミー・ローズモンド氏は語る。「サンゴ礁のぎりぎりの栄養循環において、生物が利用可能な形の栄養素の大半は魚の排泄物なのです
米マイアミ大学の淡水生態学者、マイケル・バンニ氏は言う。「熱帯雨林と同じ仕組みです。土中の栄養分が少ない割に森が豊かなのは、非常に効率的な再循環が行われているからです」
再循環の追跡調査は、容易な作業ではない。アルガイヤー氏はバハマのアバコ島で、1日のはじめに魚を捕らえ、海水を詰めたビニール袋に入れるという日々を数年間続けた。魚を入れる前と後に、水の化学組成をそれぞれ記録しておけば、魚が水中でどれだけの尿を排泄したかが把握できる。とはいえ、魚の体も栄養分の貯蔵庫として働くことから、尿の調査以外にも、魚を凍結乾燥させ、それを細かく砕いて分析可能な粉にするという作業が必要だった。
「やっかいですし、気分の悪くなる作業です。ベビーパウダーのように細かい魚粉が、眉毛に入り込んできます」とアルガイヤー氏は言う。
一方、論文の共著者であるアベル・バルディビア氏とコートニー・コックス氏は、数年間にわたりフロリダキーズからキューバまで広がるサンゴ礁の写真を収集した。43カ所のサンゴ礁に生息する143種の生物のリストをつくるのは、並大抵の苦労ではない。ふたりは各サンゴ礁で、ときにはバスケットボールコートほどの広さがあるエリア内にいる魚を数え上げて大きさ別に分類し、その作業をひとつのサンゴ礁につき最大10回ほど繰り返した。
持続可能な漁業のためには
こうして得た調査結果を元に、研究チームは、漁が行われたエリアでは、魚による再循環作用の5割近くが失われていることを発見した。漁によってサンゴ礁に生息する種の数がわずかに減ったとしても、種の減少だけでは再循環を大きく阻害する要因にはならない。実のところ最も影響が大きかったのは、食物連鎖の上層にいる大型の魚がいなくなることだった。種の数が保たれても、尿を排泄する魚が減ってしまうのだ。
「ある種が存続したとしても、その量が大幅に失われた場合、その種が持つ生態系における機能は失われます」とバンニ氏は言う。「生物の保護と言うと、人々はつい『種の数』が減らないようにと考えがちですが、事はそう単純ではありません」
論文にはこの問題に対する政策提言は含まれていないが、今回の発見は、捕獲する魚の大きさに規定を設けることが、漁業に利益をもたらす可能性があることを示唆している。大型の魚を保護すれば、その尿も守られることになり、世界中のサンゴ礁において持続可能な栄養循環の維持につながるだろう。
ローズモンド氏は言う。「人間の行為によって負の反応が生じ、生態系の恩恵が失われるという状況は、これまでに何度も見ています。今回明らかになったことを活かせれば、自然が損なわれないように人間が価値をもたらすことができるのです」


(ナショナルジオグラフィック)

魚がいれば、「海水温が上昇すると褐虫藻が減っても、サンゴは弱らない」。
サンゴ礁の白化は乱獲が原因。
温暖化を煽り立てている国連も認めざるを得ない。


乱獲続けば…海の幸「今世紀半ばにゼロ」 国連が報告書
小坪遊
2018年3月23日23時30分
乱獲などが続けば、今世紀半ばにアジア・太平洋地域の沿岸や海で漁獲可能な魚がいなくなるなどとする報告書を、国連の科学者組織「生物多様性および生態系サービスに関する政府間科学政策プラットホーム」(IPBES)が23日、公表した。世界の4地域で、生物多様性やそのもたらす恵みの現状について、初の評価報告書をとりまとめ、コロンビアで開かれた総会で承認された。
アジア・太平洋地域の報告書では、世界の養殖の9割が集中し、東南アジアでは2000年以降、漁獲量が大幅に減っているなどと指摘。環境負荷の高い養殖や乱獲、収奪的な漁業が、沿岸や海洋の生態系の脅威になっているとし、現状のような水産業のあり方では、48年までに漁獲可能な魚はいなくなると警告した。
地球温暖化の影響を抑えても、50年までにサンゴの90%が傷み、適切に管理されたサンゴ礁も年1~2%ずつ失われると予測。プラスチックごみを運ぶ量が多い川は、世界の上位10本中8本がアジアにあり、これらの地域が世界の海ごみの88~95%を生み出しているとした。
また、1990~2015年に…


(朝日新聞デジタル)

「地球温暖化の影響を抑えても、50年までにサンゴの90%が傷み、適切に管理されたサンゴ礁も年1~2%ずつ失われると予測」ということは、サンゴの白化は(CO2の排出に因る)温暖化が主因ではなく、乱獲が主因ということ。

しかも、「魚がおしっこをすることでサンゴは栄養を得ている」だけでなく、「海鳥がうんこをすることでサンゴは栄養を得ている」。


サンゴ礁を元気にしてくれる妙薬…それは海鳥のウンコ
2018.7.27 08:05
最近めっきりサンゴに関するよい知らせを聞かなくなりました。
地球温暖化の影響でサンゴ礁がどんどん減ってきているだとか、マイクロプラスチックを体内に取り込んだサンゴが白化してしまうだとか…。国連環境計画によれば、世界のサンゴ礁のうち75%はすでに状態が悪化し始めているそうです。
しかしここにきてサンゴにも一縷の望みが見えてきましたよ。
なんでも、英ランカスター大学の Nick Graham 教授をはじめとする国際研究チームが学術誌『Nature』に発表「Nature,559(2018)250」したところによれば、海鳥のウンコがサンゴを元気にするんだそうです。
そもそも動物のウンコは窒素やリン酸など、生物の営みに欠かせない栄養素をたくさん含んだ自然の肥料。海鳥のフンは離島の土壌を豊かにして、植物を元気にすることは知られていました。
でもサンゴには関係ないよね?と思われていたのが、じつは今回の研究で島の生態系とその近海の生態系とが密接に関わり合っていることがわかりました。
海鳥のフンがサンゴ礁を豊かに
Graham 教授たちの研究はインド洋のチャゴス諸島で行われました。
60以上の島々のうち、およそ3割は海鳥の楽園でフンまみれ。ところが残りの島々では19世紀の帆船に乗ってやってきた侵入生物種のクマネズミが海鳥のヒナや卵を食い荒らしてしまい、海鳥がほとんど繁殖しなくなってしまいました。
研究では海鳥の島とクマネズミの島を比較。海鳥の数、海鳥のフンの量と窒素の量を概算してみると、ネズミがいない島にはネズミがいる島より760倍も多い海鳥が住み、251倍も多い量の窒素を空からペチャッと落としていることがわかりました。
そして海鳥のフンに含まれる窒素のゆくえをたどったところ、近海にも溶け出して海藻類、海綿動物、魚類からおなじアイソトープの窒素が検出されたと Nature で報告しています。
窒素は植物が元気に成長するための大切な栄養素です。海藻類が元気だと、海藻類を食べる動物たちにも栄養がたっぷり行き届いて元気になります。海鳥が繁殖している島の近海では、平均して魚の体積が48%も重いことも今回の研究で初めてわかりました。
また、海鳥のフンのおかげで元気に育った魚たちは、サンゴの表面に生えた藻をこそぎ落として食べる「グレイジング」を盛んに行っていました。サンゴにとってはこれがとても大事。グレイジングなしでは新しいサンゴが生えにくく、成長できません。海鳥の島の近海では魚によるグレイジング行動が3.2倍も多くみられたそうです。つまり、サンゴが元気に成長できる環境が整っていたというわけです。
サンゴ礁が元気だと魚たちが集まり、より安定した生態系が実現します。
そして気候変動にもより強くなれると考えられています。
サンゴを守るならネズミ駆除?
この壮大な命のつながりが、人間が島にネズミを持ちこんだばかりに断ち切られてしまいました。ならば、そのネズミたちを駆除すれば豊かな海が戻ってくる。Graham 教授はこのように結論づけていますが、そもそも人間が悪いことは否めません。
世界の諸島・列島の90%にはすでに人間に持ち込まれたネズミが繁殖しているそうです。ネズミが繁殖している島は、ひしめく鳥の姿もフンもなく、すっきり。正直、こっちのほうが人間が恋焦がれる南の島のイメージに近いのではないでしょうか。海鳥だらけのフンまみれの島なんて、ちょっとバケーションには向いてないですし…。ということは、人間とサンゴ礁は共に生きられない関係なのでしょうか…(涙)?
海鳥とそのフン、森、サンゴ、海藻、魚、ネズミ。すべてが自然のなかでつながっているという、ある意味シンプルな発見。しかし、一度そのつながりを断ち切ってしまったら、ほころびを直すのは決してシンプルではありません。(山田ちとら)


(GIZMODO)

「インド洋のチャゴス諸島」はモルディブから南に1600kmも離れている。
そんな海洋の孤島でもこの有様なのだから、「世界的なリゾート地」になったモルディブは言わずもがな。
たとえネズミがいなくても、「世界的なリゾート地」の浜辺は「ひしめく鳥の姿もフンもなく、すっきり」しているだろうから、サンゴが劣化し、「波で削られ、根がむき出しになり傾くヤシの木がある海岸」になってしまったのだ。

ネズミだけではない。
2018年3月22日の朝日紙面は「茅根創・東京大教授(地球システム学)は・・・」と言い立てているけれど、茅根創ですらもこのように言っていた。


水没危機ツバル、希望の星砂 陸作る「有孔虫」増殖実験
2010年9月6日3時1分
地球温暖化による海面上昇で将来、水没の恐れがある島を、小さな「星砂」で救う試みを、東京大の茅根創教授や国立環境研究所などが南太平洋のツバルで始めた。コンクリートの防潮堤をつくるのではなく、生物が陸地をつくる力を生かして水没を防ごうという計画だ。
サンゴ礁の島は、サンゴのかけらや貝殻などが積み重なって陸地ができ、維持されている。石灰質の殻をつくる有孔虫の一種で、星のような形のホシズナ(星砂)も、大量に打ち上げられて砂浜になり、陸地づくりに大きな役割を果たしている。
有孔虫はアメーバに近い原生動物の一種。ホシズナは直径1~2ミリで、沖縄でもよくみられる。
環境省が東京大に委託して行った調査によると、ツバルでは島を構成する堆積(たいせき)物に占める有孔虫の割合が多く、全体の5~7割だった。ところが、近年は人口が増え、市街地に近い海では水質悪化が原因とみられる有孔虫の減少が目立つようになった。このまま減り続ければ、陸地を作る能力が衰え、水没の危機がさらに高まる恐れがある。
計画では、水槽で有孔虫を効果的に増やして海に戻す。研究チームは昨秋、日本の陸上水槽で有孔虫を飼育する予備実験を開始。今年4月に、ツバルに有孔虫の増殖を行う実験施設をつくった。
ツバルでは現在、長さ5メートルの水槽四つで、現地で生息するホシズナなど3種の有孔虫(直径1~5ミリ程度)を、計約10万匹飼育している。ホシズナの場合、1匹から数百匹に増える能力があるといい、水流など大量増殖に向けて最適な飼育条件を調べる。
茅根教授は「ツバルでの試みが成功すれば、モルディブなど、水没の危機にあるほかの島国でも役立てたい」と話している。(山本智之)


(朝日新聞デジタル)

モルディブの水質悪化はツバルの比ではない。


2018年3月27日の朝日新聞夕刊紙面より

図11-9(「Paradise trashed: The beautiful island in the Maldives that’s been reduced to a pile of rubbish」より)

図11-10(「Paradise trashed: The beautiful island in the Maldives that’s been reduced to a pile of rubbish」より)

水質の悪化自体がサンゴを弱らせるだけでなく、ゴミ自体がサンゴを痛める。


プラごみ、サンゴ壊死などリスク20倍 釣り糸など絡む
杉本崇 2019年2月15日06時20分
海に流れ出たプラスチックごみがサンゴを傷つけた結果、壊死(えし)などにつながる感染症のリスクが20倍以上に高まることが、米コーネル大などの研究「Science,359(2018)450」で分かった。アジア・太平洋全域でポリ袋など110億個以上のプラスチックごみがサンゴに絡みついていると推計されている。
サンゴ礁は多くの生きものが生息する生物多様性の宝庫だ。アジア・太平洋地域の海には、世界のサンゴ礁の半分が広がっているとされ、特にインドネシア周辺はサンゴの種の75%が生息していると言われる。
研究チームは、近年増えているプラスチックごみの影響を調べるため、インドネシアやタイ、ミャンマー、豪州など8カ国の159カ所で、約12万5千のサンゴを調べた。
その結果をもとに、アジア太平洋全域で、釣り糸やポリ袋など111億個のプラスチックがサンゴに絡まっていると推計。インドネシアが最も多く、100平方メートルあたり25.6個。一方、最も少ないのは豪州のグレートバリアリーフで0.4個だった。魚のすみかになりやすい複雑な形のサンゴの方がより影響が大きかったという。
プラスチックが絡んでいるサンゴの89%は組織が白くなって壊死するなどの感染症にかかっており、プラスチックがない場合より病気のリスクは20倍以上だった。
研究チームは「いったん病気にかかると回復が難しい。サンゴに絡むプラスチックは2025年までに40%増えるおそれがある」と指摘している。
プラスチックごみが直接、サン…


プラスチックごみが絡みついたサンゴ=米コーネル大などの研究チーム提供


(朝日新聞デジタル)

言うまでも無く、モルディブでは乱獲が進んでいる。
2018年3月27日の朝日紙面に見えるとおり、「中国の建設会社が、空港とを結ぶ約1.2㌔の橋の工事を進めている」。
「空港の先に人工島のフルマーレがある」ということは、「海面上昇 備えは人工島」も中国が建設しているということ。
モルディブは中国の海洋進出の拠点と化しているのだ。


中国がモルディブの土地「収奪」、同国元大統領が非難
2018年1月22日 23:34 発信地:コロンボ/スリランカ
インド洋の島国モルディブのモハメド・ナシード( Mohamed Nasheed )元大統領(50)は22日、訪問先のスリランカで記者会見を開き、不安定な政情が続くモルディブの土地を中国が奪い、主権を傷つけていると非難した。
モルディブは1192の島々からなる島しょ国で、人口およそ34万人の大半がイスラム教徒。ナシード氏によると、うち少なくとも16の島を中国の関係者が賃借し、港湾開発やインフラ整備を進めているという。
自身が率いるモルディブ民主党の活動家が拠点を置くスリランカのコロンボで行われた記者会見でナシード氏は、中国の存在感が増していることはモルディブのみならず、より広範なインド洋地域にとっても脅威であると指摘。また、中国の行動を「土地の収奪」と評した。
ナシード氏は「これは植民地主義であり、許してはならない」とし、「どんな国に対しても、また外国からの直接投資に対しても反対はしていないが、自国の主権の放棄には反対する」と強調した。
ナシード氏によると、モルディブの対外債務の約8割は中国が占めており、モルディブが返済に行き詰った場合、島やインフラ設備をさらに中国に引き渡さざるを得なくなる可能性があると指摘している。
ナシード氏は2008年、同国で初めて民主的な選挙によって大統領に選出されたが、2013年の選挙で現大統領のアブドラ・ヤミーン(Abdulla Yameen)氏にわずかな差で敗れた。ナシード氏は後に反テロ法違反の罪で収監されたが、政治的な意図によるものと同氏は主張している。
モルディブ当局はその後、治療の名目でナシード氏の英ロンドン行きを許可。以後2年間、同氏は海外で亡命生活を送っている。


(AFP)

もちろん、軍事大国化の一環だけれど、インド洋での漁場確保も目的。
モルディブの領海は中国の乱獲が原因でサンゴが劣化している。
下図に見えるとおり、モルディブでは2000年までは有意な潮位の変化が認められなかったが、


図11-11 モルディブの首都マレの潮位変化(「Global and Planetary Change,53(2006)155」より)

2000年半ば以降に潮位が上がった。


図11-12 モルディブの首都マレの潮位変化(「Permanent Service for Mean Sea Level」より

それは、過度な観光地化に因る沿岸開発・水質汚染、そして、乱獲というトリプルパンチでサンゴ礁が劣化し、「陸地を作る能力が衰えた」からに他ならない。

11.5 パラオの不都合な真実

パラオも温暖化で沈むと泣き喚いている。


米大統領選が未来を左右 温暖化で水没危機の島国
2016年11月9日 7時12分
北アフリカのモロッコで開かれている地球温暖化対策の国連の会議COP22で、海面の上昇によって国土が水没するおそれに直面している南太平洋などの島国は、アメリカ大統領選挙の結果が国の未来に関わると受け止めています。
COP22では、日本時間の9日朝から開票が始まるアメリカ大統領選挙が大きな話題になっていて、温暖化対策に否定的なトランプ候補が、新たな国際的な枠組みのパリ協定から脱退する意向を示していることへの懸念が各国から相次いでいます。
中でも、温暖化に伴う海面の上昇によって国土が水没するおそれに直面している島国は、アメリカ大統領選挙の結果が国の未来に関わると受け止めています。
南太平洋のパラオの代表は「パリ協定に基づく一つ一つの決定が、私たちの未来に直結している」と述べたうえで、大統領選挙でトランプ候補が当選した場合については、「内政を優先したいのはわかるが、パリ協定は引き続き支持してくれることを信じたい」と話していました。

また、カリブ海に面した中南米の国々を代表するコスタリカの交渉団の男性は、アメリカがかつて京都議定書から離脱した経緯に触れ、「アメリカはパリ協定の成否を決める。結果がどうなるかわからないが、京都議定書のときとは異なる状況にあるはずだ」と述べ、トランプ候補が当選した場合でも、3年間はパリ協定からの脱退を通告できないことに期待を寄せていました。


(NHK)

しかし、パラオの潮位変化を調べると、

2017022203
図11-13 パラオ・Malakalの潮位変化(「Global and Planetary Change,53(2006)155」より)

グラフの左端と右端はほぼ同じ。
有意な潮位の変化は認められないが、その後の変化を調べると、


図11-14 パラオ・Malakalの潮位変化(「Permanent Service for Mean Sea Level」より

モルディブと同様、2000年代半ばから潮位が上がった。
言うまでも無く、観光地化でサンゴ礁が劣化したからに他ならない。


観光客激増のパラオ、環境配慮の誓約書に署名義務付け 入国時に
2017年12月8日 22:14 発信地:コロール/パラオ
西太平洋の島国パラオ政府は、国外からの訪問者らに対して、環境への配慮を約束する文書への署名を義務付けた。当局はこの革新的な措置が、観光客の急増に伴う環境へのダメージの抑制につながればと期待している。
世界初とされるこの「パラオ誓約」はパスポートにスタンプされ、観光客は入国時に署名を求められる。
誓約書は、「客人として、皆さんの美しい島を保護し保全することを誓います」「足運びには慎重さを、行動には思いやりを、探索には配慮を忘れないと約束します」といった文面になっている。
日本とオーストラリアの中間付近に位置するパラオは、澄み切った海、手つかずのサンゴ礁、豊かな海洋生物を誇る世界有数のダイビングスポットとみなされ、かつては知る人ぞ知る観光地だった。
しかし近年、観光客が爆発的に増加。主に中国からの訪問者が多く、インフラと環境の両方に負荷がかかってきた。
自分撮り(セルフィー)のためにカメを捕まえる、もろいサンゴの上を歩く、浜辺にごみを放置するといった行為も見られ、地元住民らの間で怒りが広がっていた。


(AFP PHOTO / SEBASTIEN BLANC)

11.6 ボラカイ島の不都合な真実

朝日新聞は、温暖化を煽り立てるために、環境省と結託して「朝日地球環境フォーラム」を開催していたけれど、「朝日地球環境フォーラム2015」では、CO2の排出でフィリピンのボラカイ島の浜辺が侵食されている、と騒ぎ立てていた。


朝日地球環境フォーラム2015
2015年9月16日05時00分
■1日目(全体討論) 開会13:00 テーマ「脱炭素社会へ向けて/パリ合意への期待」
2大経済大国の米国と中国が協力する姿勢を示していることから、パリ合意への期待が高まっています。米中は脱炭素社会への道筋を歩むのか、フランス、日本からの意見も交え議論します。

2015091803
人気リゾート、フィリピン・ボラカイ島。砂浜は海岸浸食の危機にある


(朝日新聞デジタル)

しかし、ボラカイ島も過度の観光化で環境汚染が酷い。


「汚水だめ」と化したボラカイ島の海、2か月で浄化せよ 比政府
2018年2月15日 15:58 発信地:マニラ/フィリピン
フィリピンの環境天然資源省は、人気リゾート地ボラカイ(Boracay)島の観光事業者に対し、2か月以内に水質浄化措置を取らなければ営業停止処分を科すと発表した。ボラカイ島をめぐってはロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領が先週、観光客が糞尿で汚染された海を泳いでいるとしてリゾート地閉鎖を警告していた。
歯に衣を着せない物言いで知られるドゥテルテ大統領は、ボラカイ島のホテルや飲食店などの事業者が海に下水を垂れ流し「汚水だめ」にしてしまったと非難していた。
環境天然資源省によると、島内の300事業者を対象に公衆衛生基準などの違反の有無を評価し、うち51事業者に環境規制違反で既に是正勧告を出したという。違反していた事業者の大半は、島の排水溝から未処理のままの汚水を海に廃棄していたとされる。
ロイ・シマトゥ(Roy Cimatu)環境天然資源相は、省公式ウェブサイトに掲載された声明で「2か月の猶予期間内に法に準拠しない場合、営業停止にする」と表明した。
首都マニラの南方308キロに位置するボラカイ島は、白い砂浜が美しいフィリピン有数の人気観光地で、年間約200万人が訪れる。面積1000ヘクタールほどの小島に約500の観光事業者が軒を連ねるが、物資のほとんどは近隣の港からの船荷に頼っている。
ワンダコラソン・テオ(Wanda Teo)観光相は、ボラカイ島には「大掃除」が必要だと指摘した上で、浄化の取り組みは「ボラカイ島を丸ごと保全し、持続可能にするためわれわれが飲み下さなければならない苦い薬」だと述べた。


(AFP)

その結果、ボラカイ島のサンゴ礁は1988年から2011年までに7割以上も減少した。


JICA, Japanese, Filipino scientists’ project backs conservation of ‘highly endangered’ Boracay ecosystem
May 28, 2015
The Japan International Cooperation Agency (JICA) and a group of Japanese and Filipino scientists warned of “imminent loss” if the current environment situation in Boracay Island prevails.
A study on Boracay conducted from 2010 to 2015 involving Japanese and Filipino scientists as part of JICA project called Coastal Ecosystem Conservation and Adaptive Management (CECAM) showed that Boracay’s coral reef ecosystem has been seriously degraded by tourism-related activities.
Based on analysis of satellite images, coral cover in Boracay declined by about 70.5% for the past 23 years (1988-2011). The highest decrease in coral cover recorded over the 23-year period was between 2008 and 2011 as tourist arrivals rose by 38.4%.


(「JICA Press Release」より)

当然、2015年にはさらに減少していたはず。
過度な観光化でサンゴ礁が消えてしまったから、砂浜が波に洗われて侵食されているのだ。

11.7 世界遺産の不都合な真実

モルディブとパラオの不都合な真実も露呈してしまったので、今度は、ベニスが沈む、モアイが沈む、と騒ぎ出した。


「知床やベネチア、温暖化で危機」ユネスコが報告書
香取啓介
2016年5月26日23時09分
ユネスコ(国連教育科学文化機関)などは26日、地球温暖化で知床(北海道)やベネチア(イタリア)などの世界遺産が危機にさらされているとする報告書を発表した。各国政府や観光産業などに、温室効果ガスの排出削減や被害の軽減策に取り組むよう促している。
報告書は、温暖化の影響が確認されている29カ国31カ所の自然遺産と文化遺産の状況をまとめた。流氷が育む生態系が評価されている知床では流氷が減っている。モアイで有名なイースター島(チリ)は海岸浸食で石像の近くまで波に洗われている。南太平洋のニューカレドニアのサンゴ礁では大規模なサンゴの白化がみつかっている。
氷河が後退しているエベレスト一帯のサガルマータ国立公園(ネパール)などは観光収入への依存度が高く、地元経済への影響も大きい。ガラパゴス諸島(エクアドル)などは温暖化の影響に加えて、過度な観光化も危機に拍車をかけているという。


(朝日新聞デジタル)

しかし、イースター島の潮位は上昇していない。


図11-15 イースター島の潮位の推移「Permanent Serive for Mean Sea Level」より

ニューカレドニアも然り。

2016052704図11-16 ニューカレドニア・ヌメアの潮位の推移「Permanent Serive for Mean Sea Level」より

「南太平洋のニューカレドニアのサンゴ礁では大規模なサンゴの白化がみつかっている」のも「過度な観光化」に因る開発と乱獲が原因。

ヴェネチアの潮位は1970年頃までは上昇し続けていたが、その後に目だった上昇は認められない。

2016052901図11-17 ベネチアの潮位の推移「Permanent Serive for Mean Sea Level」より

第1節で述べたとおり、1940年代から70年代までは気温は低下(もしくは停滞)していたのだから、CO2の排出(に因る温暖化)が原因ではない。
原因は人為的な要因の地盤沈下である。[注2]

2016061907
図11-18 「Giornale di Geologia Applicata,1(2005)5」より

この図では1970年以降は地盤沈下が止まったけれど、ユネスコの報告書に見えるとおり、最近は「過度な観光化」で地盤沈下が進んでいる。


2019年1月8日の朝日新聞朝刊紙面より

11.8 ツバルの不都合な真実

環境省が国民に温暖化を吹き込む目的で製作しているブックレットには、CO2の排出に因る海面上昇でツバルが沈みつつあるかのような写真が掲載されていた。

2014082602図11-19 「STOP THE 温暖化 2012」より

2016061901
図11-20 「STOP THE 温暖化 2015」より

第6節で紹介したとおり、朝日新聞はその環境省と結託して「朝日地球環境フォーラム」を開催していたが、「朝日地球環境フォーラム2013」の際は、無邪気に遊ぶ子どもの写真を見せつけ、子どもへの同情心を誘い、CO2の排出でツバルが沈みつつある、と言い立てていた。


美しい星つながる未来 朝日地球環境フォーラム2013、9月30日・10月1日東京
2013年8月20日
今年で6回目となる「朝日地球環境フォーラム2013」は9月30日(月)と10月1日(火)の両日、東京都千代田区の帝国ホテルで開催される。今年のテーマは「美しい星 つながる未来」。この地球を見つめ直し、そのすばらしさをこれからの世代につなぐ手立てを模索する。1日目の全体会議では温暖化対策の国際的連…

2015010401海面上昇の危機にさらされる南太平洋のツバル。子どもたちは海に飛び込んで遊んでいた。


(朝日新聞デジタル)

第1節で紹介したとおり、2016年のリオデジャネイロ五輪の際には「カトアタウ選手は、平均の標高が2㍍ほどしかないキリバスの出身。水没の危機にある故郷を世界に知ってもらおうと、注目を浴びるため踊ったんだよ」と吹聴していたけれど、さらに、こんな記事も書いていた。


五輪ツバル代表、たった1人 ボルト追いかけ短距離出場
佐々木学
2016年8月13日15時47分
リオデジャネイロ五輪に、たった1人の代表選手を派遣している国がある。南太平洋のツバル。地球温暖化による海面上昇で水没が危惧されている小さな島国だ。代表のエティモニ・ティムアニ(24)は13日、約9900人の島民の期待を背負い、陸上男子100メートル予選に出場する。
「国の代表としてリオに来ることができ、とてもハッピーだ」。今回の五輪で唯一、選手は一人きりで、5日の開会式では当然、旗手も務めた。南国らしい花飾りのついた冠と、伝統衣装の腰巻きをつけ、誇らしげに国旗を揺らし、歩いた。


(朝日新聞デジタル)

しかし、下図に見えるとおり、ツバルで有意な潮位上昇は認められない。

2015120401
図11-21 ツバル・フナフチの潮位の推移(「Permanent Serive for Mean Sea Level」より)

第5章図5-5の黄色の線に見えるとおり、(全球平均)気温は1980年以降に急上昇したから、そして、IPCCに依れば、それはCO2の排出が原因だから、CO2の排出で海面が上昇しているのなら、1980年以降に潮位が上昇し続けているはずだが、有意な潮位上昇は認められない。
ならば、環境省のブックレットの写真は何か?
上図を見れば分かるとおり、数年毎に潮位が乱高下している。
元々、潮位が高い時は海水に浸るのだ。
環境省のブックレットを製作したのは環境省管轄下の環境研究所であろうが、人為的(排出CO2)温暖化を解説(と言うよりも吹聴)しているサイトでも、その事実を認めている。


フナフチで測定される平均潮位は季節により上下し、高い時と低い時で20~30㎝程度の差があります。また、潮汐による干満の差が大きい時には2mを超します。よって、潮位が高くなる春先の満潮時には、標高が低い地域では海水面より低くなってしまうところも出てきます。サンゴ礁の上に砂が堆積してできた島ですので、満潮時に海水面以下になる地域では、地盤(サンゴ礁)の穴を通じて水が滲み出してきます。島のあちこちで海水が地面から湧き出す現象は以前からも観測されてきたもので、温暖化により初めて生じるようになったわけではありません。


(「海面上昇で消える島国」より)

環境省は、潮位が高い時を利用して、(CO2の排出に因る)温暖化でツバルが沈んでいるかのごとくに見せかけようと図ったのである。
(「STOP THE 温暖化 2012」と「STOP THE 温暖化 2015」ではツバルを利用して温暖化を煽っていたけれど、最新の「STOP THE 温暖化 2017」ではツバルを利用しなくなった。デタラメを暴かれてしまったので、利用できなくなったのだ。)

第4節で解説したとおり、モルディブの「海面上昇 備えは人工島」は本末転倒であるにもかかわらず、ツバルでもサンゴ礁を埋め立てようと計画している。
(第4節で採り上げた2018年3月22日の朝日記事にも書いていたけれど、最初に報じたのは下の記事。)


2017年11月28日の朝日新聞夕刊紙面より

しかし、「私の国を救えれば、世界が救える」どころか、ツバルの島々の面積は増えていた。[注3]


「沈みゆく島国」ツバル、実は国土が拡大していた 研究
2018年2月10日 10:06 発信地:ウエリントン/ニュージーランド
気候変動に伴う海面上昇によって消滅すると考えられてきた太平洋の島しょ国ツバルは、実は国土面積が拡大していたとする研究論文が9日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表「Nature Communications,9(2018)605」された。
ニュージーランドのオークランド大学の研究チームは航空写真や衛星写真を使用し、ツバルの9つの環礁と101の岩礁について1971年から2014年までの地形の変化を分析した。
その結果、ツバルでは世界平均の2倍のペースで海面上昇が進んでいるにもかかわらず8つの環礁と、約4分の3の岩礁で面積が広くなっており、同国の総面積は2.9%拡大していたことが判明した。
論文の共著者の一人ポール・ケンチ(Paul Kench)氏によると、この研究は低海抜の島しょ国が海面上昇によって水没するという仮説に一石を投じるものだという。
波のパターンや嵐で打ち上げられた堆積物などの要因によって、海面上昇による浸食が相殺された可能性があるという。
オークランド大学の研究チームは、気候変動が依然として低海抜の島国にとって大きな脅威であることに変わりはないと指摘する一方、こうした問題への対処の仕方については再考すべきだと論じている。
同チームは、島しょ国は自国の地形の変化を考慮に入れたクリエーティブな解決策を模索して気候変動に適応していかなければならないと指摘し、海面が上昇しても安定していることが分かっており、これからも面積が増えていくとみられる比較的大きな島や環礁への移住などを提唱している。


(AFP)

ツバルだけではない。
Global and Planetary Change,72(2010)234」に依れば、太平洋の環礁は総じて面積が一定、もしくは、増加している。
「温暖化の驚異はそこまで迫っている」!

Geophys.Res.Lett.,41(2014)820」に依れば、海面の上昇に伴ってサンゴが堆積し、太平洋の環礁が形成された。
海面が上がっても南太平洋の島国は沈まない。
温暖化を煽るデタラメ論文ばかり掲載しているサイエンス誌ですら、「Warming may not swamp islands」と認めている。(「Science,345(2014)496」)
「温暖化の驚異はそこまで迫っている」!

11.9 日本の不都合な真実

朝日新聞は「我国でも温暖化の脅威はそこまで迫っている」と騒ぎ立てていた。


小舟で気づく温暖化
米大統領選で話題をさらう不動産王トランプ氏は、毒づいたり難癖をつけたりする方面の語彙(ごい)が実に豊かだ。うそ。デマ。詐欺。たわごと。恥を知れ。口を極めて全否定するものの一つが地球温暖化である▼寒い日に「外の雪や氷を見ろ。温暖化対策など税のむだ遣いだ」とやる。「温暖化は米国産業界を倒すために中国人がでっち上げた説だ」と放言していたが、最近引っ込めた▼トランプ氏でなくとも、長期にわたる気候の変化となるとなかなか体感しにくい。けれども先日、取材先の徳島市で小舟に乗って橋を次々にくぐった時は、20年間に生じたという潮位の変化をまざまざと実感した▼地元で「ひょうたん島」と呼ばれる中州を一周した。あらかじめ屋根を外したボートだが、乗客が一斉に席で足首をつかんで前屈しないと低めの橋を通れない。舵(かじ)をとって24年、環境NPO代表の中村英雄さん(77)は「いやもう毎日が異常潮位。冬場でも目算で10センチは予測値より高い。前屈しても通れない日は航路を変えます」▼米航空宇宙局(NASA)の観測によれば、この20年で世界の海面水位は8センチも上がった。橋をくぐる舟やゴンドラによる事故や渋滞の報がベネチアなど各地の水の都から届く▼さて何ごとも大きめに言うトランプ氏だが身長は自称190センチ、推定188センチ。訪日の機会があれば、ぜひ徳島のひょうたん島までお越しいただきたい。満潮時にはよほど身をかがめないと、橋桁に頭をぶつけて泣くことになるだろう。


(2016年2月28日の「天声人語」)

しかし、このグラフを見れば、トランプではなく、ツバル人と朝日新聞が「埠頭に頭をぶつけて泣くことになるだろう」。


図11-22 「日本沿岸の海面水位の長期変化傾向」より

1950年までの「40年間に生じたという潮位の変化」も「20年間に生じたという潮位の変化」と同じほど大きかった。
CO2の排出は20世紀後半に激増したのだから、「20年間に生じたという潮位の変化」はCO2の排出が原因なら、1950年以降も潮位は上がり続けていたはず。
2010年の潮位は1950年の潮位よりもずっと高いはず。
ところが、1950年以降に下がった。
1950年以降の60年間で見れば、潮位は上昇していない。
気象庁も「日本沿岸の海面水位は、1980年代以降、上昇傾向が見られます。1906~2018年の期間では上昇傾向は見られません」と認めている。
1950年以降に潮位が下がった後、80年代から再び上昇に転じたので、「20年間に生じたという潮位の変化をまざまざと実感した」のだが、我国の潮位変化は周期的な自然変動の範囲内に収まっている。[注4]

「この20年で世界の海面水位は8センチも上がった」と喚いているけれど、我国の潮位変化と世界の海面水位を見比べると、

2015010101図11-23 IPCC第4次報告書政策策定者向け要約より

世界の海面水位の上昇は1961年から2003年までで、1.8×43=77㎜。
一方、我国の潮位変化は、1年ずらして1962年から2004年までで80㎜。
ほとんど一致している。
上図の1993年以降は「10年間に生じたという潮位の変化」にすぎないけれど、次章の第6節で解説するとおり、「20年間に生じたという潮位の変化」を見れば、やはり、世界の海面水位変化と我国の潮位変化はほとんど一致している。
「20年間に生じたという潮位の変化をまざまざと実感した」は、実のところ、「20年間に生じたという自然変動をまざまざと実感した」のである。
(20年前に訪れ、20年後に再び訪れたのなら、「まざまざと実感」するけれど、「天声人語」の執筆者は、20年前に訪れていたわけでもないのに、「まざまざと実感」などと言い立てている。)

これでは、IPCC学派も「埠頭に頭をぶつけて泣くことになる」ので、奇妙なことを言い出した。


日本沿岸水位の上昇、人為起源だけでなく自然変動も重要 北海道大学
2017年5月30日
北海道大学大学院理学研究院の佐々木克徳講師らは、海洋モデルによるシミュレーションで20世紀全体の日本沿岸水位を再現し、1950年頃の水位が高い原因を解明した。
地球温暖化の影響により、1993年以降の観測では、全地球での平均海面水位とともに、日本沿岸水位も上昇している。一方、1950年頃にも現在と同程度に日本沿岸水位が高い時期が存在したが、その原因は未解明だった。
そこで研究グループは、20世紀の日本沿岸水位変動の原因を明らかにするため、海洋モデルROMSを用いて太平洋の海面水位変動のシミュレーションを実施。対象期間は1871年から2010年で、140年間にわたる長期間のシミュレーション研究は世界的にも珍しいという。
ROMSによるシミュレーションと、気象庁による観測結果を比較したところ、シミュレーションは1950年頃の日本沿岸水位の高さを再現。さらに、変動の原因を探るため、風により海面を引きずる力である「風応力」と海面からの熱と淡水の供給である「熱塩フラックス」の寄与を調べた。
その結果、近年の水位上昇は熱塩フラックスの変動により生じているのに対し、1950年頃の高水位は風応力の変動により生じていたことが明らかになった。この風応力の変動原因は、北太平洋上に冬季に存在する「アリューシャン低気圧」の勢力の弱化。これに伴う風の変化が海洋循環を変え、日本の沿岸水位を上昇させていたのだ。
また、別の気候モデル研究との比較から、アリューシャン低気圧の弱化は、地球温暖化に代表される人為起源による変動ではなく、気候に内在する自然変動であることも示された。このことから、日本沿岸水位の将来予測のためには、人為起源の変動だけではなく、自然変動の理解が重要だとしている。
論文情報:Journal of Climate,30(2017)5585


(大学ジャーナル ONLINE)

この論文の抄訳には「high sea level around 1950 was induced by the wind stress curl changes over the North Pacific, characterized by a weakening of the Aleutian low. In contrast, the recent sea level rise is primarily caused by heat and freshwater」とある。
20世紀前半の潮位上昇は自然要因だけれど、1980年代からの潮位上昇はCO2の排出が原因、と言い張るのだが、20世紀前半に潮位が上がり、60年代から70年代に下がったのが「気候に内在する自然変動」なら、1980年以降の潮位の上昇も20世紀前半と同様の「気候に内在する自然変動」ではないのか?
20世紀前半だけ「気候に内在する自然変動」が起こったのだろうか?
20世紀前半は特殊だった、と言うのだろうか?
「気候に内在する自然変動」とは、一体、何か?
そこで、本文(5592ページの右段)を見ると、「Thus, high sea level along the Japanese coast is related to a negative phase of the PDO, consistent with the weakening of the Aleutian low」とある。
「気候に内在する自然変動」とはPDOなのだ。
それならば、下図に見えるとおり、PDOは1980年代から再び低下し始めたから、1980年代からの潮位上昇にはPDOが寄与しているはず。


図11-24 「Journal of Climate,30(2017)5585」の図7.(a)

「地球温暖化の影響により、1993年以降の観測では、全地球での平均海面水位とともに、日本沿岸水位も上昇している」と言い立てているけれど、前章の第6節で解説したとおり、自然要因(ENSOに因る気温変化と火山噴火に因る気温低下)を除けば、1993年から温暖化は進んでいないのだから、1993年以降に海面水位上昇が加速したのなら、それはPDOが原因である。
第3節で解説したとおり、トンガ・マーシャル諸島・フィジーの潮位上昇はPDO(またはIPO)が原因だった。
「PDOの影響により、1993年以降の観測では、トンガとマーシャル諸島とフィジーでの平均海面水位とともに、日本沿岸水位も上昇している」と考えられるのだ。
さらに、ツバルとソロモン諸島の潮位変化を見直すと、1990年代の初頭に潮位が大きく下がっていたことに気づく。
だから、1992年を起点にすれば潮位が著しく上がったように見えるだけである。

1980年代以降の潮位上昇は偏にPDOが原因、とは言わないまでも、PDOが寄与していることは明らかである。
ならば、それ以外はCO2の排出が原因か?
図11-23の「1961~2003」を見ると、「海面水位上昇に寄与する個別要因の合計」と「観測された海面水位上昇」の「差異」は大きい。
これは地下水の汲み上げが原因である。[注5]


くみ上げられた地下水が海面上昇の一因に、東大研究チーム
2012年5月21日 14:43 発信地:パリ/フランス
ここ数十年の海面上昇は、地下水が大量にくみ上げられたことが一因になっているという論文が、東京大学の研究チームにより29日の英科学誌ネイチャージオサイエンス「Nature Geoscience,5(2012)389」に発表された。
地球の海水面は1961年から2003年にかけて、年間1.8ミリメートルのペースで上昇したが、そのどこまでが温暖化に起因するのかは大きな疑問となっていた。
ノーベル賞を受賞した国連(UN)の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2007年に発表した報告書では、海水面上昇のうち年間1.1ミリ分は海水が温められて起こる熱膨張とグリーンランドや南極などの氷床や氷河の融解によるものとしていた。
残りの0.7ミリについては多くの科学者にとって謎とされ、データが間違っているか、まだ知られていない原因がある可能性が考えられていた。
コンピュータモデルを用いて研究した東大のYadu Pokhrel氏らは論文の中で、その答えは、人類が開発のために地下帯水層や川、湖から水を補充することなくくみ上げていることにあると述べた。論文によると、くみ上げられた水は土壌からの蒸発や川を通じて最終的に海にたどり着く。
研究チームは論文の中で、「非持続的な地下水利用、人工貯水池への貯水、気候の変動に伴う陸域貯水量の変化や閉鎖水域からの水の消失など合わせて1961年から2003年の間に平均0.77mm/年、観測された海水面上昇の42%に寄与していることがわかった」と結論付けている。この中で非持続的な地下水利用が最も大きな要因だったという。
温暖化が海洋にもたらす影響についてはまだ解明されていないことが多く、海面上昇もその1つだ。海面上昇は沿岸部に住む数億人にとって重要な問題であり、わずかな上昇でも毎年続けば、高潮や、帯水層や沿岸の土地への塩水の流入などの被害を受けやすい地域にいずれ劇的な影響を及ぼす恐れがある。


(AFP)

地下水の汲み上げが我国の潮位上昇にも寄与しているのだ。
(図11-23では、「1993~2003」の「差異」は「1961~2003」の半分以下だが、つまり、地下水の汲み上げに因る海水位上昇が大きく減っているけれど、次章の第6節で解説するとおり、地下水の汲み上げはむしろ増えている。)
PDO、地下水の汲み上げ、そして、第7章で解説したとおり、北極圏の雪氷がススと微生物で解けていることも考慮すれば、我国の潮位上昇へのCO2排出の影響が弱いことは明らかである。

前節で紹介したとおり、ツバルは「私の国を救えれば、世界が救える」と泣き喚いているけれど、我国在住のツバル人もこのように喚き立てている。


未来へのバトン:COP21 あすパリで開幕 途上国、対策に126兆円 温室ガス削減、先進国支援額と溝
パリで30日から始まる国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)を前に途上国が国連に提出した温暖化対策の計画で、対策実施に必要とする資金は少なくとも1兆360億ドル(約126兆円)に達することが、国連環境計画(UNEP)のまとめで分かった。途上国への資金支援は、最大の焦点。2020年までに年1000億ドル(約12兆2000億円)を支援するとしながら実際にはできていない先進国側の姿勢とは大きな隔たりがあり、激しい攻防が展開されそうだ。【渡辺諒】
・・・中略・・・
一方、先進国から途上国への資金支援を巡っては、20年までに官民合わせて年1000億ドルに引き上げることが09年のCOP15で決まったが、経済協力開発機構(OECD)の試算では14年時点で620億ドルにとどまる。新枠組みが始まる20年以降は、途上国が追加的な支援を求めているのに対し、先進国は「金額を確約できない」との姿勢だ。
途上国の環境対策に詳しい明日香寿川(あすかじゅせん)・東北大教授(環境政策学)は「途上国の支援要求は、温暖化の被害が顕在化していることへの危機感の表れだ。先進国がどこまで応じられるかが、新枠組みの合意の鍵となる」と話す。COP21の会期は12月11日まで。
・・・中略・・・
◇新たな合意求め世界でパレード

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新しい温暖化対策の合意を呼び掛けたチラシを掲げるパレード参加者=東京都千代田区で28日

COP21での新しい地球温暖化対策の合意を求めるパレードが28日、日本を含む世界各地で行われた。
各地の市民団体などが28、29両日に150カ国2300カ所以上で企画。東京のパレードには約1000人が参加し、温暖化問題の象徴とされるホッキョクグマの着ぐるみを先頭に銀座周辺などを歩いた。
出発前の集会では、温暖化に伴う海面上昇で水没が懸念される南太平洋の島国ツバル出身のシンキャン・タレシさん(31)=高知県在住=が「最初の被害者は私の母国かもしれないが、次はあなた方だ。美しい地球を共に守ろう」と呼び掛けた。
【大場あい】


(毎日新聞 2015年11月29日 東京朝刊、写真はAFP)

このようになる、と言う。


産業革命前と比べ気温4度上昇 → 日本は3400万人影響
パリ=香取啓介
2015年11月10日08時27分
温暖化が進んで産業革命前と比べ気温が4度上がった場合、海面が8.9メートル上昇し、世界で6億2700万人の住む地域が海に沈むとの予測を、米研究団体が9日(日本時間)に発表した。日本は人口の4分の1にあたる3400万人の住む地域が影響を受けるという。
非営利の研究団体「クライメート・セントラル」が、気温上昇による海水の膨張、氷河の融解、グリーンランドと南極の氷の減少を想定し、海面上昇を試算。海に沈む地域に住む2010年時点の人口を調べた。
気温が4度上昇すると、影響を受ける人口が多いのは中国で1億4500万人に上る。マーシャル諸島は人口の93%、オランダは67%が影響を受けるという。都市別では、上海や天津(中国)、ダッカ(バングラデシュ)、コルカタ(インド)などで1千万人以上に影響が出る。東京でも750万人、大阪では620万人、名古屋340万人、福岡97万人の住む地域が海面より下になるという。
気温上昇が2度に抑えられた場合は、海面上昇は4.7メートルで、影響を受ける人口も世界で2億8千万人、日本では1800万人(東京420万人、大阪420万人、名古屋210万人、福岡51万人など)に抑えられるという。

国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書では、何も対策をしなかった場合、今世紀末には気温が最大で4.8度上昇するとしている。世界の平均気温は19世紀末からすでに0.85度上がっている。国際社会は気温上昇を2度未満に抑える目標を持っている。研究団体は「海面上昇は目に見える脅威だ。(今月末の)国連気候変動会議(COP21)の結果は、我々の将来を左右する」としている。
国連気候変動会議(COP21)を前に8日、パリで閣僚級の非公式準備会合が始まった。(パリ=香取啓介)

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海面上昇の予想図(東京周辺)

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海面上昇の予想図(名古屋周辺)

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海面上昇の予想図(大阪周辺)


(朝日新聞デジタル)

「温暖化が進んで産業革命前と比べ気温が4度上がった場合」は気候モデルに基づいているけれど、気候モデルは図11-22を再現できるのか?
過去のデータを再現できなければ、モデルの予測に科学的意味は無い。
ところが、クライメート・セントラルの報告にそのような図は見当たらないし、IPCCの報告書にも見当たらない。[注6]
20世紀前半の潮位上昇とその後の潮位低下に頬かむりを決め込み、80年代以降の潮位上昇のみを取り出し、さらに、地下水の汲み上げや大気汚染の影響を無視し、CO2の排出が原因と言い立て、「東京でも750万人、大阪では620万人、名古屋340万人、福岡97万人の住む地域が海面より下になる」と喚き立てているだけ。
トランプの言うとおり、「うそ。デマ。詐欺。たわごと。恥を知れ」である。

11.10 サンフランシスコの不都合な真実

太平洋の向こう側のサンフランシスコも調べてみよう。

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図11-25 サンフランシスコの潮位変動(「EOS,93(2012)249」より)

黒線を見ると、1930年と1980年に不連続な潮位上昇が起こった。
後者は1982年の急激な上昇の結果だが、それはエルニーニョが原因である。
つまり、1980年の不連続なジャンプは自然要因。
その後に有意な上昇は認められない。
太平洋西部の我国と東部の米国西海岸ではPDOの影響が逆になる。
PDOが低下し始めると、我国の潮位は上がるが、サンフランシスコの潮位は下がる。
1980年から潮位が上がっていないのはPDOが原因。
人為的要因の潮位上昇がPDOで打ち消されたわけである。
しかし、人為的要因はCO2の排出だけではない。
前節で述べたとおり、地下水の汲み上げが4割を占めている。
米国の帯水層も枯渇しつつある。


北米最大の地下帯水層が枯渇
2016年7月29日(金)17時3分
乾燥した米国中部で近代的な生活が送れるのは、膨大な量の地下水を含んだ地層「オガララ帯水層」があるおかげだ。そのオガララの水を調査するため、私たちはここカンザス州へやって来た。井戸に下ろした巻き尺の先端は、深さ60メートルでようやく水面に達した。1年前に測ったときより30センチも低い。このペースで水が減れば、井戸が枯れるのも時間の問題だ。「この状態で灌漑に使えば、ひと夏もちません」。米カンザス地質調査所で水資源データの管理責任者を務めるブライアン・ウィルソンは言った。
農業地帯を支える水
オガララ帯水層をめぐるウィルソンの調査に同行し、8000キロを旅した。私たちが車で走ったのは、サウスダコタ州からテキサス州にかけて広がる、米国有数の高い生産性を誇る農業地帯の一角だ。一帯の年間生産額は少なくとも200億ドル(約2兆円)に達し、米国内の小麦、トウモロコシ、肉牛の5分の1近くがここで育てられている。
そうした農家は今、難しい選択を迫られている。水を節約して地下水の枯渇を遅らせるか、目前に迫った終焉に向かってこのまま突っ走るのか。なかには現実を直視したがらない農家もある。今の調子で水をくみ続け、帯水層が干上がってしまったら、世界の食料市場は大打撃を受けるだろう。国連の試算によれば、21世紀半ばまでに世界の人口は90億人を超えるため、あと数十年で食料生産を6割増やす必要があるという。そんな世界情勢を尻目に、水はゆっくりと枯れつつある。
世界各地で枯れる地下水
オガララ帯水層は北米最大の地下水資源だが、同様の問題は世界中で起きている。アジア、アフリカ、中東の大規模な帯水層は、どこも急速に水量が減少しているのだ。オガララの南部を含め、そうした帯水層は地下水の回復スピードが極めて遅く、一度水を使い果たしたら、元に戻るまで何千年もかかる。
どの大陸にも必ず帯水層があり、オガララより広大なものも存在する。21世紀初めの時点で、世界人口の3分の1が、飲み水や農業用水として地下水を利用している。干ばつに悩まされる中国では、華北平原の帯水層が、北京とその周辺に住む1億1700万人を支えている。インドは2022年に中国を抜いて人口世界一になると予測されているが、急激な人口増加を支えているのが、ガンジス・ブラマプトラ川流域やインダス川流域の帯水層だ。
抱えている問題はどこも同じだ。人口が集中し、工業生産がさかんな地域にある帯水層からは、すさまじい勢いで水がくみ上げられている。NASAは、人工衛星で観測した地球の重力の変化から地下水の変化を推定しているが、世界に37カ所ある大規模帯水層のうち、21カ所は持続可能な限界点をすでに超えているという。なかでも多くの地下水を消費している国はインドだ。
地下水資源の過剰利用が最も顕著なのはサウジアラビアだろう。地下600メートルまで掘削し、巨大なアラビア帯水層を探し当てた。砂漠は緑の穀物畑になり、1980年代から90年代にかけて、サウジアラビアは穀物の一大輸出国にまでなった。しかし、今ではこの帯水層はすっかり枯渇している。

「影響は甚大です」と警鐘を鳴らすのは、米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所の水文学者ジェイ・ファミグリエッティだ。彼の研究チームは、人工衛星による観測データを使って世界37カ所の巨大帯水層の変化を記録している。「食料生産を維持するには、まず地下水の維持が必要なのに、それができていません。オガララの水を使い切ることが、米国、ひいては世界の食料生産にとって賢い選択なのか、真剣に考えなくてはなりません」


(ナショナル ジオグラフィック2016年8月号特集「地下水が枯れる日」より)

しかも、サンフランシスコでは地盤沈下が酷い。


米シリコンバレー周辺で急速な地盤沈下、洪水リスク倍増も
2018年3月8日 16:30 発信地:マイアミ/米国
IT企業の一大拠点となっている米カリフォルニア州シリコンバレー周辺で地盤沈下が進んでおり、今後、これまでよりはるかに深刻な洪水に見舞われる恐れがあるとの論文が7日、米科学誌「サイエンス・アドバンシズ(Science Advances)」に発表された。海面上昇と相まって、洪水リスクは2100年までに倍増するとしている。
米当局の洪水予測やハザードマップは今のところ海面上昇のみを想定して作成されている。
「地盤が沈下し、海面が上昇すれば、そのどちらかが単独で影響する場合よりもずっと内陸まで洪水は到達する」と、論文の主執筆者であるアリゾナ州立大学地球・宇宙探査大学院のマヌチェフル・シルザエイ(Manoochehr Shirzaei)准教授は指摘する。
論文によると、シリコンバレーのあるサンフランシスコ・ベイエリアでは、大部分で年2ミリ程度の地盤沈下が起きているが「一部地域では沈下の速度が年10ミリか、それ以上だと判明した」という。
特にリスクが高いのは埋め立て地で、たとえば年間20万便超が到着し5600万人以上が利用するサンフランシスコ国際空港は「2100年までに滑走路と誘導路の半分近くが水没するだろう」と論文は述べている。


(AFP PHOTO / Josh Edelson)

PDOが原因で温暖化や地下水の汲み上げや地盤沈下に因る潮位上昇が抑えられているということは、自然要因はCO2の影響よりも大きいということである。

1930年の不連続な上昇の原因は不明だが、CO2の排出は20世紀後半に激増したのだから、それも自然要因。
同様に、1930年から50年までの潮位上昇も自然要因。
第5章図5-5に見えるとおり、50年代から70年代は気温が低下していたのだから、そして、図5-4に見えるとおり、北極圏も気温が低下していたのだから、その間の潮位上昇も自然要因と地下水の汲み上げが原因。
その自然要因は、やはり、PDO。
PDOの位相が負の20世紀第3四半期に、我国の潮位は下がったが、逆にサンフランシスコでは潮位が上がったのだ。
サンフランシスコの潮位を調べても、やはり、CO2の影響は弱い。

11.11 温暖化猿の惑星

我国とサンフランシスコの不都合な真実が露呈してしまったので、IPCC学派は、このままCO2を排出し続けると自由の女神が沈んでしまう、と泣き出した。


温暖化で2000年後に自由の女神も水没か? 研究結果
2014年3月5日 13:34 発信地:パリ/フランス
西暦4014年の観光客らは、英国の「ロンドン塔」や米国の「自由の女神」を仮想世界でしか見ることができないかもしれない──5日に発表された気候変動に関する報告書は、海洋の劇的な「拡大」によって、世界遺産などが水没する可能性を警告している。
現代文明はエジプトのピラミッドやイタリア・ローマの円形競技場、コロッセオ、ギリシャのパルテノン神殿に魅了されてきた。
しかし、ドイツの気候変動ポツダム研究所(Potsdam Institute for Climate Impact Research、PIK)の研究者らが「ジャーナル・エンバイロンメンタル・リサーチ・レターズ(Environ.Res.Lett.,9(2014)034001)」で発表した調査結果によると、こうした世界遺産や各国の文化遺産の多くが、地球温暖化の影響で最高1.8メートルにもなると予想される海面上昇によって失われる可能性がある。
調査結果によると、国連教育科学文化機関(ユネスコ)に現在、世界遺産として登録されている700以上の遺産のうち、140か所が今後2000年の間に水没する恐れがあるという。
また、このほか豪シドニーのオペラハウス、イタリア・ベネチア、日本の原爆死没者慰霊碑(広島平和都市記念碑)、南アフリカのネルソン・マンデラ氏が18年間にわたって投獄されていたロベン島(Robben Island)なども、同様の危険にさらされている。
これらの結果は、世界の平均気温が産業革命の前より摂氏3度高くなった場合の海面の上昇レベルに基づき、割り出されたもの。国連は、摂氏2度までの上昇に抑えることを目標としているが、平均気温は同じ比較で既に、摂氏0.8度高くなっている。
国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」によると、今後も温室効果ガスの排出量が増加し続ければ、今世紀末までにさらに2.6~4.8度上昇する可能性があるという。
ポツダム研究所の研究者らは今後、気候変動の文化遺産への影響についても調査する計画だ。影響の度合いは、自然界と経済、農業を基準に割り出される。


(AFP)

ナショナルジオグラフィックは表紙にこんな絵を載せている。

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ネイチャーも「NEW YORK VS THE SEA」と騒ぎ立てている。

確かに、ニューヨークの潮位はほぼ一直線に上昇し続けており、その上昇幅は全海洋平均よりもかなり大きい。

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図11-26 ニューヨークの潮位の推移(「Permanent Serive for Mean Sea Level」より)

しかし、サンフランシスコに関して指摘したとおり、20世紀第3四半期までの潮位上昇はCO2の排出が原因ではない。
一つは、第5章の第2節で解説したとおり、太陽活動の活発化に因る気温上昇、一つは地下水の汲み上げ、そして、もう一つはこれである。

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図11-27 「Ocean & Coastal Management,124(2016)1」より

氷河期にカナダのほとんどは氷床に覆われ、氷床の重みで地殻が押し下げられていた。
その結果、マントルがその周囲に押し出され、逆に、アメリカ北部では地殻を押し上げた。
氷河期が終わり、氷が解けると、押し下げられていた地殻が少しずつ上がり始め、相対的に、カナダ沿岸の潮位は下がり続けている。
逆に、周辺では、押し出されていたマントルが元に戻り始め、地殻が少しずつ下がり始め、相対的に、アメリカ北部沿岸の潮位は上がり続けているのだ。
もちろん、20世紀第4四半期以降も続いている。
それがニューヨークの著しい潮位上昇の一因である。
この事実は「Geophysical Journal International,210(2017)148」、「Nature,564(2018)400」でも確認された。
しかも、近年はススと微生物に因るグリーンランドの氷河・氷床の融解が大きく寄与しているから、やはり、CO2の影響は強くない。

そもそも、CO2を排出し続けても気温上昇は1.5℃未満だから、「これらの結果は、世界の平均気温が産業革命の前より摂氏3度高くなった場合の海面の上昇レベルに基づき、割り出されたもの」は科学的に全く無意味。
しかも、第6章の第2節で引用した「人類は地球の寒冷化に歯止めをかけているのか」という見出しの記事に見えるとおり、「次の氷河期が『今後約1500年以内に』始まると予想している」から、「温暖化で2000年後に自由の女神も水没」などあり得ない。
「猿の惑星」の見すぎではなかろうか。

11.12 マイアミビーチの不都合な真実

ニューヨークの不都合な真実も露呈してしまったので、今度は、マイアミビーチで溺れ死んじゃう、と泣き出した。

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2016年10月25日の朝日新聞朝刊紙面より

マイアミビーチの潮位の記録は下図のとおり。

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図11-28 マイアミビーチの潮位変化(「Tides & Currents」より)

有意な潮位変化は認められない。
但し、1980年で観測が終わっている。
「地球温暖化に伴う海面上昇」の当否は1980年以降の潮位変化を見なければ判断できないから、マイアミビーチの直ぐ南に位置する、下図の緑色の矢印の海岸(Virginia Key)の潮位を調べてみよう。

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下図は月間最高水位の推移である。


図11-29 「BAMS,97(2016)S25」より

ハリーケーン来襲時を除くと、2005年以降に青線を越える回数が増えている。
しかし、それ以前は月間最高水位に有意な変化は認められなかったのだから、「地球温暖化に伴う海面上昇」ではない。
原因は「2カ月ほど前に引っ越してきたばかりのメアリー・ベス・ワイズ」に表われている。


2005年にハリケーン「ウィルマ」に襲われてから、しばらくの間フロリダ州にハリケーンが近づくことはなかった。その間、莫大な金額が海岸地域の開発につぎこまれ、130万人が移り住んだ。ハリケーンによる高潮の被害についてほとんど何も知らないまま、危険な砂州に住んでいる人も多い。


(「ハリケーンで3mの高潮も、沈みゆく米南東沿岸部 被害は深刻化する一方、フロリダ州は海面上昇対策の不十分さを露呈」より)

「満潮になると海の水面が上昇し、市街地まで海水が押し寄せた」のは、満潮時には海面下になる海岸を埋め立てて街を造ったからであり、「地球温暖化に伴う海面上昇」ではない。
もちろん、海岸の埋め立ては2005年以前から進んでいる。


地球の表面、30年前より陸地が増えた
衛星データで分析、海面上昇が危惧されるなか、意外にも陸地が増えている
2016.9.13
海面上昇や極地の氷の融解が報じられる昨今、私たちは水没する陸地が毎年増えていると思いがちだ。確かに、それが当てはまる地域もある。だが最新の研究で、実際には陸地が30年前よりもわずかに増えていることが分かった。
科学者らは、40年以上にわたって人工衛星ランドサットから送られてきた地球の写真とグーグルアースエンジンを使い、地球のどこが水に覆われ、どこが乾いた陸地になったのかを地図上にまとめた。その結果が冒頭の画像だ。1985年から2015年までの間に、海や湖から陸地になった面積は約17万3000平方キロ。一方、水中に沈んだ陸地の面積は11万5000平方キロだった。差し引きすると、九州と四国を合わせたのとほぼ同じ広さの陸地が新たに出現したことになる。
このような変化は世界中で起きており、自然の変化もあれば人為的な変化もある。干上がり続け、消滅しかけているアラル海など、有名な例も多い。一方で、これまで知られていなかった変化も明らかになった。例えば、北朝鮮と韓国との軍事境界線のすぐ北を流れる臨津江(イムジン川)のダム建設の影響がそうだ。
新しく水に覆われた面積が特に大きかったのはアマゾン盆地とチベット高原で、後者は上の画像で青色(水面)になっているのが確認できる。驚くことに、世界中の沿岸部では合計1万3000平方キロを超す陸地が生まれている。その多くは人工的な陸地で、自然侵食を超えるペースで埋め立てが行われた。
オランダの独立研究機関、デルタレスのゲナディ・ドンチス氏が主導する研究チームは、このデータを「アクア・モニター」というインタラクティブな地図上で公開しており、誰でも拡大して全世界を見ることができる。
このプロジェクトと分析結果は、8月25日付で学術誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ」に掲載された。(「Nature Climate Change,6(2016)810」)


(ナショナルジオグラフィック)

マイアミビーチでの観測が1980年に終わったのは、その後に開発が進んで、観測に適さなくなったからに他ならない。
朝日新聞は、女性が水浸しになった交差点を恐る恐る渡る写真を掲載して、「海面上昇 マイアミの危機」と煽り立てているけれど、図11-19や図11-20と全く同じ詐術であり、「気候変動でっち上げ」の証である。

[注1] 一般には、海水温の上昇で褐虫藻が離れてしまい、サンゴが白化すると考えられている、そして、ほとんどのメディアはそのように報じているけれど、最近の研究によれば、それは間違いである。


2017年3月30日の朝日新聞朝刊紙面より

海鳥や魚がいれば、海水温が上がって褐虫藻の光合成が低下しても、サンゴは飢えないけれど、モルディブのように過度な観光化で海鳥もいなくなり、魚もいなくなれば、褐虫藻の光合成に依存することになり、海水温が上がって褐虫藻の光合成が低下すると、切羽詰って褐虫藻を食べてしまい、白化してしまうのだ。

[注2] 地盤沈下に因る潮位上昇は他の都市でも観測されている。
下図に見えるとおり、マニラでは1m近く潮位が上昇しているけれど、

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図11-30 「Permanent Service for Mean Sae Level」より

下図に見えるとおり、地下水の汲み上げに因る地盤沈下が主な原因。

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図11-31 「Disasters,30(2006)118」より

[注3] 論文には「ツバルでは世界平均の2倍のペースで海面上昇が進んでいる」と書いているけれど、「にもかかわらず8つの環礁と、約4分の3の岩礁で面積が広くなっており、同国の総面積は2.9%拡大していたことが判明した」が論文の主旨だから、「2倍のペースで海面上昇が進んでいる」のなら、そのことを示すグラフが本文中で示されていなければならないのに、見当たらない。
Supplementary Information」に掲載されていた。


図11-32 「Supplementary Information」の図3

しかし、図11-21は2002年までなのに、上図は2015年まで。
なぜか?
実は、PSMSLには、図11-21の「FUNAFUTI」以外に、もう一つ、「FUNAFUTI B」がある。


図11-33 「FUNAFUTI B」の潮位の推移(「Permanent Serive for Mean Sea Level」より)

同じ場所の同じ潮位計のデータなら2つのグラフに分ける必要はない。
図11-21の「FUNAFUTI」が潮位の観測に適さなくなった(もしくは、「国土面積が拡大」した結果、観測できなくなった)から、2002年で観測を止め(ざるを得なくなり)、代わりに「FUNAFUTI B」で観測を始めたのだ。
図11-32は 図11-21と図11-33をつぎはぎした結果にすぎない。
異なる潮位計のデータをつぎはぎしたから、「ツバルでは世界平均の2倍のペースで海面上昇が進んでいる」に見えるだけ。
実際、図11-21だけ、または、図11-33だけを見れば、潮位は上がっていない。

朝日新聞が「温暖化の脅威はそこまで迫っている」と煽り立てていることが象徴しているとおり、「実は国土が拡大していた」ことを学会の学術誌に発表しても、先進国の主要メディアは採り上げない。
その証拠に、「ニュージーランドのオークランド大学の研究チーム」は、この論文以前にも、「気候変動に伴う海面上昇によって消滅すると考えられてきた太平洋の島しょ国ツバルは、実は国土面積が拡大していたとする研究論文(『Geology,43(2015)515』)」を発表していたけれど、メディアは採り上げなかった。
自分の研究をメディアに報じてもらい、「低海抜の島しょ国が海面上昇によって水没するという仮説」の非科学性を市民に知ってもらうには、温暖化を煽り立ててきた「ネイチャー」系列の雑誌か「サイエンス」に投稿するしかないけれど、そのためには、「ツバルでは世界平均の2倍のペースで海面上昇が進んでいる」と認めたふりをする必要があった。
しかし、異なる潮位計のデータをつぎはぎするのは研究者として恥ずかしい(小保方晴子と五十歩百歩)から、本文中には載せず、「Supplementary Information」に回した。
「気候変動が依然として低海抜の島国にとって大きな脅威であることに変わりはない」は「低海抜の島しょ国が海面上昇によって水没するという仮説に一石を投じる」ための苦肉の策に他ならない。

前章の第7節で解説したとおり、実は、1993年から温暖化は進んでいない。
その事実は図11-33にも表れている。
気温上昇が17年間停滞しない限りIPCCの人為的(排出CO2)温暖化説は間違っていない、と言い張っていたけれど、17年を通り越して四半世紀近く温暖化は進んでいない。

[注4] 「Geophys.Res.Lett.,39(2012)L18607」は、図11-22のようなデータでは完全な周期変動は1周期分しか見えないから、本当に60年周期の変動があるかどうか分からない、と言い立てているけれど、CO2の排出は20世紀後半に激増したことを考えれば、20世紀前半の潮位上昇とその後の潮位低下は自然要因と考えざるを得ず、従って、その後の潮位再上昇も自然要因が寄与していることは明白である。

[注5] この論文以前にも「Geophys.Res.Lett.,37(2010)L20402」が、汲み上げられた地下水で海面が「1961年から2000年の間に平均0.8mm/年」上昇している、と指摘していた。

[注6] さらに、砂浜も消えてなくなる、と騒ぎ立てている。


日本の砂浜大ピンチ 温暖化で6割の沿岸で完全消滅のおそれ
2018年12月12日 23時02分
海水浴やサーフィンなどで私たちに身近な砂浜が危機にひんしています。地球温暖化による海面上昇の影響で、最悪の場合、今世紀末までに日本の9割の沿岸で砂浜の面積が半分以上減るほか、6割が完全に消えるおそれのあることが国の研究機関などの分析で分かりました。
これは、国連のIPCC=「気候変動に関する政府間パネル」が4年前の平成26年に公表した報告書のデータなどを基に、国立環境研究所や大学など28の機関で作る研究グループが分析したものです。
それによりますと、今後、世界の平均気温が約4度上がると、日本の沿岸では、今世紀末までに海面が最大で60センチ上昇し、これに伴って、最悪の場合、全国77の沿岸のうち、96%に当たる74の沿岸で砂浜の面積が、今より半分以上減る可能性のあることが分かりました。
さらに、60%に当たる46の沿岸では、砂浜の消失率が100%に達し、完全に消えるおそれがあるということです。
国土交通省によりますと、全国各地の砂浜では、戦後の開発や台風による高波などの影響ですでに消失や減少が起きています。
このうち、神奈川県の湘南海岸では、例えば茅ヶ崎市で平成17年までの50年余りの間に、海岸線が陸側に最大で50メートルも後退したほか、二宮町では、かつて県の海水浴場に指定された幅30メートルの砂浜があり、毎年、海水浴で多くの人が訪れマラソン大会も開催されていましたが、11年前の平成19年以降は、いずれもできなくなっています。
こうした地域では、砂を再び増やす工事が行われていますが、温暖化による将来の減少や消失を見据えた対策はまだ進められていません。
このため専門家からは、海水浴などの観光面に加え、防災や生態系の維持など砂浜が果たしている重要な役割を認識し、対策を強化すべきだという意見が出ています。
最悪シナリオを可視化すると…
国立環境研究所などが行った分析では、将来の気温の上昇の度合いなどに応じて、複数のシナリオを作成し、将来の砂浜の消失率を計算しています。
NHKは、このうち最悪となるシナリオについて、「NMAPS(エヌマップス)」と呼ばれるシステムで可視化しました。
可視化にあたっては、消失率が100%になる沿岸は「完全に消失」、81%から99%は「ほぼ消失」、51%から80%は「大幅に減少」、50%以下を「減少」と分類しました。

その結果、分析の対象となった全国77の沿岸のうち、96%にあたる74の沿岸が「完全に消失」や「ほぼ消失」、それに「大幅に減少」となり、「減少」にとどまるのはわずか3つでした。
このうち、砂浜が「完全に消失する」と予想される沿岸は、「北見」や「根室」、「三陸北」などの北日本のほか、湘南海岸を含む「相模灘」や東京の「小笠原」、「伊豆半島」や「三河湾・伊勢湾」などの東海地方、「能登半島」や「若狭湾」などの北陸、「紀州灘」や「淡路」などの近畿地方、「広島」や「岡山」、「土佐湾」などの中国・四国地方、「八代海」や「日向灘」、「有明海」、それに「琉球諸島」などの九州・沖縄と、各地に分布していて、広い範囲で砂浜が危機にひんしているのが分かります。


(NHK)

論文「Coast.Eng.J.,59(2017)1740006」も出ているけれど、やはり、どちらも図11-22を再現できるか否かを示していない。
と言うよりも、再現できない。

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