北極圏の全く不都合な真実

7.1 エアロゾルの不都合な真実

前章までの解説に対して、温暖化対策を騒ぎ立てている環境NPOなどは、IPCCがCO2の影響を過大評価していると言うが、下図に見えるとおり、IPCCの気候モデルは20世紀第4四半期の気温上昇を再現しているではないか、と言い立てるだろう。

2013101602
図7-1 IPCC第5次報告書第10章の図10.1(a)

しかし、第2章図2-2の赤線は1970年以降が観測値(黒線)よりずっと高いのに、なぜ、上図ではそれが下がったのか?
IPCCはこのように説明している。


Over the 1951-2010 period, greenhouse-gas-attributable warming at 0.6-1.4K is significantly larger than the observed warming of approximately 0.6K, and is compensated by an aerosol-induced cooling of between 0 and -0.8K (Figure 10.4b) (Jones et al., 2012). These results are supported by a complementary analysis in which a simple climate model was constrained using observations of near-surface temperature and ocean heat content, as well as prior information on the magnitudes of forcings, and which concluded that greenhouse gases have caused 0.6°C-1.1°C warming since the mid-20th century (Huber and Knutti, 2012).


(IPCC第5次報告書草稿第2稿 第10章の15頁及び16頁より)

ここで言うエアロゾルは、化石燃料を使用してCO2と同時に排出されたエアロゾル、平たく言えば、大気汚染である。
IPCCに依れば、下図に見えるとおり、エアロゾルの放射強制力は負。
つまり、気温を下げる。

fig 08-02図7-2 「STOP THE 温暖化 2012」より(原典はIPCC第4次報告書のFAQ2-1の図2)

エアロゾルはそれ自体が日光を反射し気温を下げる。(直接効果)
しかも、エアロゾルは雲をつくる核になり得るから、エアロゾルの増加で雲が増え、雲が日光を反射して気温を下げる。(雲のアルベド効果)
CO2に因る温暖化の一部がエアロゾルに因る冷却効果で打ち消された、と言うのである。

しかし、それは辻褄合わせにすぎない。
下図に見えるとおり、1980年以降、地表に達する日射は増加している。

2013082601
図7-3 「Bull.Amer.Meteor.Soc.,93(2012)27」より

従って、IPCCの理屈に依れば、1980年以降、エアロゾルが減少したはずであり、図2-2の赤線(気候モデル)と黒線(観測データ)の差は縮まっていなければならない。
ところが、むしろ、差は開き気味。
さらに、図2-2の黒線を見ても、1940年頃と1980年頃の気温はほぼ同じ。
その間の気温低下がエアロゾルに因るなら、その間は赤線が黒線よりも上にあるはずだが、赤線が黒線よりも高いのは1960年以降。
「greenhouse-gas-attributable warming at 0.6-1.4K is compensated by an aerosol-induced cooling of between 0 and -0.8K」はこじつけにすぎない。
実際、「Science,340(2013)727」に依れば、エアロゾルに因る冷却効果は過大評価されている。


Sulfur dioxide is as antagonist of greenhouse gases less effective than previously assumed. It forms sulfate aerosol particles in the air, which reflect sunlight, and as so-called cloud condensation nuclei influence the chemical processes within clouds. Therefore, sulfate aerosol particles help to cool the earth, making them an important factor in climate models. However, a team around researchers from the Max Planck Institute for Chemistry found out that it is likely most models overestimate the cooling effect of these particles. The reason is a largely disregarded reaction pathway catalysed by mineral dust within clouds, which has a strong influence on the life span of sulfate aerosol particles and their ability to reflect sunlight.


(「プランク研究所のresearch news」より)

さらに、「雲のアルベド効果」も過大評価されている。


雲の温暖化抑制効果は?従来予測より気温上がる可能性 米研究
2016年4月9日 16:18 発信地:ワシントンD.C./米国
温暖化の影響で地球の気温は従来の予測より大幅に高くなる可能性があるという論文が今週、米科学誌サイエンスに掲載「Science,352(2016)224」された。これまでの科学的モデルには雲の作用が正確に反映されていないためだという。
一般的に、大気中の二酸化炭素が倍増することによって地球の気温は2.1~4.7度上昇すると予測されている。
しかし、今回論文を発表した米エール大学と米ローレンス・リバモア国立研究所の研究チームは、こうした科学的モデルでは雲が太陽光を反射して地球の大気の温暖化を妨げる作用が過大評価されていると主張している。
論文の主著者でエール大学のアイビー・タン(Ivy Tan)氏は、気温上昇幅はこれまでの科学的モデルでは4度だったが、雲に含まれる液体と氷の量を観測結果に近付くように修正した各種モデルでは5~5.3度になることが分かったと述べた。
雲に含まれている氷が多い場合、気温が上昇すればより多くの液体を生じ、雲の中の液体が増えれば温暖化は抑制される。しかし大半の科学的モデルでは、雲に含まれる氷の量が実際より多く見積もられているという。
共同執筆者のマーク・ゼリンカ(Mark Zelinka)氏は「温暖化抑制についていえば、雲は私たちの役に立ってくれそうにない」と述べた。同研究は、米航空宇宙局(NASA)と米エネルギー省科学部の資金で行われた。


(AFP)

この論文自体は、気候モデルの予測以上に気温が上がる、と言い立てているけれど、「雲が太陽光を反射して地球の大気の温暖化を妨げる作用が過大評価されている」ということは、気候モデルの「雲のアルベド効果」は過大評価されているということに他ならない。[注1]
それは日本人の研究で確認された。


Aerosols affect climate by modifying cloud properties through their role as cloud condensation nuclei or ice nuclei, called aerosol?cloud interactions. In most global climate models (GCMs), the aerosol?cloud interactions are represented by empirical parameterisations, in which the mass of cloud liquid water (LWP) is assumed to increase monotonically with increasing aerosol loading. Recent satellite observations, however, have yielded contradictory results: LWP can decrease with increasing aerosol loading. This difference implies that GCMs overestimate the aerosol effect, but the reasons for the difference are not obvious. Here, we reproduce satellite-observed LWP responses using a global simulation with explicit representations of cloud microphysics, instead of the parameterisations. Our analyses reveal that the decrease in LWP originates from the response of evaporation and condensation processes to aerosol perturbations, which are not represented in GCMs. The explicit representation of cloud microphysics in global scale modelling reduces the uncertainty of climate prediction.


(「Nature Communicationsvolume,9(2018)985」の abstract)

J.Clim.,28(2015)4794」に依れば、エアロゾル(直接効果+雲のアルベド効果)の放射強制力は-0.3W/(m^2) と-1W/(m^2) との間である。
中央値を採れば図8-2の約半分にすぎない。

それでも、エアロゾルの冷却効果は残るじゃないか、と思うだろうが、大気汚染には温暖化を招く物質も含まれている。
第5章の第1節で紹介したとおり、北極圏は全球平均気温の倍の速さで温暖化しているが、そして、それが全球平均気温を押し上げているのだが、北極圏温暖化の主因は大気汚染なのだ。

7.2 ススの不都合な真実

IPCC学派は、(CO2の排出に因る)温暖化でグリーンランドの氷床が急速に解けている、と騒ぎ立てている。


グリーンランド氷床の融解速度、近年倍増 観測研究
2015年12月17日 15:35 発信地:パリ/フランス
デンマーク領グリーンランドの氷床では、2003年~2010年の期間に、20世紀全体のペースの2倍の速さで質量が失われたとの研究結果が16日、発表された。氷床の融解は、陸地を浸食する海面上昇の重大な一因となる可能性があるとされている。
英科学誌ネイチャーに掲載された研究論文「Nature,528(2015)396」によると、グリーンランド氷床の減少は、1990年~2010年の期間に世界平均で25ミリの海面上昇を引き起こしたが、これは主に表面融解によるものだという。失われた質量は、合計で9000ギガトン(9兆トン)超だった。
これは、氷の融解による減少量から、降雪や降雨による氷の増加量を差し引いた「純損失」だ。
欧州とカナダの研究チームによると、小氷期後にグリーンランド氷床が後退を開始した19世紀末以降の氷床減少をめぐり観測に基づくデータが提示されたのは、今回の研究が初めてだという。
今回の研究は、地球温暖化に起因する海面上昇の予測で考慮すべき「氷床の消失」での過去と、そして予想される未来の状況に関する貴重な知見をもたらすものだ。
国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が作成した各報告書には、グリーンランド氷床に関する十分なデータが記載されていないと研究チームは指摘する。
論文の共同執筆者、デンマーク自然史博物館(Natural History Museum of Denmark)のクルト・キアル(Kurt Kjaer)氏は「海面の今後の変化を予測し、その予測を信頼の置けるものとするためには、過去に発生したことに関する理解が不可欠だ」と述べる。
これまでの研究は主に数理モデルに基づくものだったが、今回の最新研究では、過去に撮影された航空写真から得られたデータを、人工衛星やその他データと組み合わせて使用された。
航空写真では、後退する氷が数十年の間に地形に残した痕跡を調べることができた。

氷床から失われた氷の質量は、1900年~1982年の期間は年間約75.1ギガトン、1983年~2003年は年間73.8ギガトンだった。しかし、2003年~2010年は年間186.4ギガトンに上っていたことを、研究チームは突き止めた。
この研究論文について、ネイチャー誌の要約記事では「最近観測された、グリーンランド氷床の質量消失量の増加と、その結果として生じた海面上昇の加速は、小氷期以降で初の現象と思われると、論文の執筆者らは説明している」とあり、また「観察される質量消失と海面上昇の全体的傾向は、当分の間継続する可能性が高いことを、論文執筆者らは示唆している」とも記されている。


(AFP)

しかし、CO2の排出は20世紀後半に激増したのだから、第5章の第1節でも指摘したように、CO2の排出が原因で「デンマーク領グリーンランドの氷床では、2003年~2010年の期間に、20世紀全体のペースの2倍の速さで質量が失われた」のであれば、グリーンランド氷床では2000年以降の気温が20世紀前半よりも遥かに高いはずだが、20世紀前半の気温は2000年以降と同じほど高かった。

fig 06-02
図7-4 グリーンランド氷床の気温推移(「Clim.Past,9(2013)583」より)

たとえ「デンマーク領グリーンランドの氷床では、2003年~2010年の期間に、20世紀全体のペースの2倍の速さで質量が失われた」が事実であっても、CO2の排出が主因でないことは明らかである。
ならば、何が主因か?

人間が化石燃料を燃やすと、CO2や日射を遮るエアロゾルと共にススが放出される。
日射を遮るエアロゾルとは逆に、ススは日射を吸収する。
のみならず、大気からの下向き赤外放射をも吸収する。
そのススが気流に乗ってグリーンランドにまで達し、グリーンランドの氷床や氷河の表面を覆うと、氷床・氷河を解かしてしまう。
実際、下の写真に見えるとおり、グリーンランドの氷床はススで黒く汚れ、それが原因で解け出している。

Ice Melt
図7-5 グリーンランドの氷床。手前は解けた水が流れ込む水路(米ワシントン大提供)

上記の論文は「今回の最新研究では、過去に撮影された航空写真から得られたデータを、人工衛星やその他データと組み合わせて使用された。航空写真では、後退する氷が数十年の間に地形に残した痕跡を調べることができた」と言い立てているが、グリーンランドの氷床を空から見ると、こうなっている。

UCLA(カリフォルニア大学ロスアンジェルス分校)による映像も衝撃的。[注2]

これらはグリーンランド南部の画像と映像だが、IPCC学派は、CO2の排出でグリーンランド北部の氷河も急速に解け出している、と騒ぎ立てている。


海面50センチ上昇も、グリーンランドの氷河崩壊急加速
2015年11月13日 11:19 発信地:マイアミ/米国
グリーンランド北東部の巨大な氷河が、急速に崩壊して大西洋に流れ込んでおり、この影響で地球全体の海面が約50センチ上昇する恐れがあるとの研究結果が12日、発表された。
米科学誌サイエンスに掲載された、カリフォルニア大学アーバイン校地球システム科学部の研究助手、ジェレミー・ムジノ(Jeremie Mouginot)氏が主執筆者を務めた論文「Science,350(2015)1357」によると、「Zachariae Isstrom」として知られる同氷河は、「2012年、後退が加速する新たな段階に突入」して融解速度が3倍となり、現在、年間50億トンのペースで氷河が崩壊しているという。
同氏によると、氷河は大量の氷山を海に放出しており、この影響で今後数十年間に海面が上昇するという。
この氷河の近くにあるもう一つの巨大氷河「Nioghalvfjerdsfjorden」も融解しているが、内陸部の丘に守られているため、北東部の氷河ほど融解速度は大きくないという。
論文によると、これら二つの氷河は、グリーンランド全体の氷床の12%を占めており、完全に崩壊した場合、地球全体の海面を1メートル以上上昇させる可能性があるという。


(AFP)

しかし、「Zachariae Isstrom」もこのとおり。


図7-6 Zachariae Isstrom

氷河末端の断面の色と氷河表面の色の相違を見れば一目瞭然。

また、朝日新聞が「(グリーンランドで)急速に氷がとけ、流出が止まらない」と騒ぎ立てている記事に、氷が解けて小川のように水が流れる映像が掲載されているけれど、その冒頭部は、ススで汚れて「氷の融解や海への流出が加速する」ことを、物の見事に映し出している。


太古の氷で温暖化探る グリーンランド、12カ国で採掘
中山由美
2017年8月23日14時13分
北極圏のグリーンランド北部で、12カ国が共同で取り組む研究プロジェクトが続いている。深さ2500メートルまで氷を掘り、そこに閉じ込められた気候変動の記録を読み解くのが狙いだ。急速に氷がとけ、流出が止まらない要因とともに、温暖化が進んだ「地球の未来」を探ろうとする試み。今夏、その現場を訪れた。(中山由美)
グリーンランド南西の町カンガルースアックから米軍輸送機で3時間弱。北緯75度、どこまでも氷だけが広がる世界に、黒く大きな球体がぽつんと立っていた。
国際プロジェクト「EGRIP」の拠点だ。球体は移動式の基地。標高2700メートルのこの場所で、日本やデンマーク、米独仏、スイス、ノルウェーなどが共同で氷を掘っている。
・・・後略・・・

グリーンランドの氷を掘って、過去の気候変動を調べる=中山由美撮影


(朝日新聞デジタル)

しかし、尚も、CO2の排出が原因でアラスカの氷河も解けている、と騒ぎ立てている。


アラスカの陸の氷河、30年で半分に 温暖化で後退進む
バルディーズ=小坪遊
2017年7月26日19時04分
米アラスカ州南部のバルディーズで、陸の氷河が地球温暖化で後退しつつある。地球全体で海面上昇し、沿岸の海岸浸食や高潮被害を大きくしたり、生態系へ影響を及ぼしたりするおそれが懸念されている。
アラスカ湾の奥、バルディーズ港に面したコロンビア氷河。標高約3千メートルの山岳地帯から始まり、最後が海で終わる「潮間氷河」の一つ。1980年以前は全体で約66キロあったが、米航空宇宙局(NASA)の観測では、過去30年で海側の端が20キロ以上北へ後退していると判明、量も約半分になったという。(バルディーズ=小坪遊)


氷の後退が進む米アラスカ州南部のコロンビア氷河=朝日新聞社機「あすか」から、葛谷晋吾撮影


朝日新聞デジタル

ナショナルジオグラフィックも、(CO2の排出に因る)温暖化を「証明する」ために、アラスカのコロンビア氷河が2006年から2012年の間に急激に解けたことを示すアニメーションを掲載している。

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図7-7 米国アラスカ州コロンビア氷河の2006年と2012年の比較

しかし、青白いはずの氷河が黒ずんでいる。
ススで解けたことは誰の目にも明らかであろう。
この事実はコロンビア氷河の歴史が明確に示している。


図7-8 「Geology,45(2017)546」の図1より

赤丸は木の年輪から推定されたコロンビア氷河の末端。
産業革命が始まった頃の1767年と1980年の氷河の末端はほとんど同じ。
その間に気温は大きく上がったはずであり、IPCCの人為的温暖化説に従えば、それは偏にCO2の排出が原因だから、CO2の排出が原因で氷河が後退したのなら、その間に著しく後退していたはず。
コロンビア氷河の後退とCO2の排出に因果関係は認められない。

しかし、IPCC学派はこのように反論する。


アラスカ、温暖化で積雪量が倍以上に 米研究
2017年12月20日 10:20 発信地:パリ/フランス
米アラスカ州中部の積雪量が1800年代半ば以降で倍以上に増加しているとの研究結果が19日、発表された。研究は地球温暖化にその原因があると指摘している。
英科学誌ネイチャー系オンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に掲載された論文によると、ボーリング調査で採取された2本の氷コア(円柱状試料)から、同州中南部における冬季の積雪量が1840年頃以降で117%増加したことが明らかになったという。調査は、アラスカ州にあるデナリ国立公園内のハンター山で実施された。
研究では、夏季に同50%近く増加していたことも判明している。
論文の共同執筆者で、米ダートマス大学のエリック・オスターバーグ(Erich Osterberg)氏は「増加量を最初に見た時は非常に驚いた」と述べ、「研究結果を確実なものにするために念入りに何度も確認する必要があった」ことを明らかにした。
次に研究チームは、その原因の解明に乗り出した。
科学モデルを用いた予測では、地球温暖化で気温が1度上昇するごとに、地球規模で雨や雪の量(全球降水量)が2%増加する。温度が高い空気ほど、より多くの水蒸気を保持できる。
だが、デナリ国立公園の降雪量に関しては、この要因で説明できるのは増加量の一部であり、大半ではないと研究チームは指摘する。
研究チームはもう一つの要因を発見した。アラスカ沖のベーリング海で、熱帯海域の海水温上昇によって促進されるアリューシャン低気圧の強まりだ。
アリューシャン低気圧は、アラスカに至る北向きの温暖湿潤な空気の流れを形成する。
論文の共同執筆者で、ダートマス大のドミニク・ウィンスキー(Dominic Winski)氏は、「アラスカにおける現代の降雪強度が産業革命前に比べてはるかに高くなっていることが、今回の氷コア記録によって紛れもなく明らかになった」と話す。
産業革命以降、人類は地球温暖化を促進する温室効果ガスを大気中に排出し続けている。論文ではまた、米ハワイ州の降水量の減少についても、これと同じ変化で説明できるとされた。
「このような地域単位での発見が次々と報告されている。気候変動は驚きに満ちている」とオスターバーグ氏はコメントしている。


(AFP)

降り積もった雪がそれ自体の重みで圧縮されて氷河になるから、気温上昇に因る降雪量の増加が気温上昇に因る融解と打ち消しあった、と言うのである。
(この論文が研究したのは「(ハンター山の)ボーリング調査で採取された2本の氷コア」であり、アラスカの「氷コア」からハワイの降水量が分かるはずがないから、「米ハワイ州の降水量の減少についても、これと同じ変化で説明できる」は、CO2の効果を著しく過大評価する気候モデルの計算結果にすぎず、科学的な結論足り得ない。)
1980年以降は気温がさらに上がった結果、気温上昇に因る融解が気温上昇に因る降雪量の増加を上回ったから後退が始まった、と言うのである。
しかし、下図に見えるとおり、1980年以降、アラスカの気温はほとんど上がっていない。
(そして、1940年頃の気温はグラフの右端と同じ。やはり、1940年頃の北極圏の気温は高かった。)


図7-9 「J.Clim.,27(2014)2800」の図3より

コロンビア氷河が後退したのは、やはり、ススが主因である。
もちろん、コロンビア氷河だけではない。

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図7-10 アラスカのYakutat Glacier(ロイター

アラスカの氷河が後退している主な原因はススである。

7.3 中世温暖期

ここで、再び図7-8を見ると、2012年の末端と1010年の末端はほとんど同じ。
西暦1000年頃のコロンビア氷河は現在と同じほど後退していたのだ。
もちろん、それはCO2やススが原因ではないから、純粋に自然要因。
前節で解説したとおり、気温が上がれば降雪量も増すから、その分だけ氷河は成長するけれど、気温上昇に因る融解がそれを上回ったから後退した、ということになる。
1980年以降の氷河の後退はススが主因だから、西暦1000年頃のアラスカは現在より温暖だった、ということになる。
アラスカだけではない。


中世グリーンランドでのバイキング消滅、気候の寒冷化が背景
2011.5.31 17:54
デンマーク領グリーンランドで中世にノルウェーのバイキングの集落が突如消滅したことをめぐり、12世紀に起きた気候の急激な寒冷化が背景にある可能性があることが、「米国科学アカデミー紀要」に発表された米英の科学者チームの研究「Proc.Nati.Acad.Sci.,108(2011)9765」で明らかになった。
米ブラウン大学のウィィアム・ダンドレア氏らがまとめた報告書によると、科学者チームはグリーンランド西部にある湖沼堆積物の中核部を調査し、過去の気温の変動を復元。その結果、これまで知られていなかった12世紀の寒波が明らかになり、気候の寒冷化がバイキングの集落消滅につながった可能性があることが分かった。
バイキングは980年代にグリーンランドに上陸。当時の気候は現在と同じように温暖だった。
米ブラウン大学は声明で「グリーンランドからのバイキングの集落消滅には気候が大きな役割を果たした」との考えを示し、1100年頃からの80年間で平均気温が摂氏4度低下していたことを発表した。
これは現在のスコットランドのエディンバラの気温がアイスランドのレイキャビクの水準まで下がることとほぼ同じ変化となり、大幅な気温の変化が当時の穀物栽培や家畜に多大な悪影響を与えたとみられている。
これまでの調査では、グリーンランドのバイキングの集落は、西海岸側が1300年代半ばに、東海岸側が1400年代初頭に消滅していることが分かっているものの、その理由についてははっきりしておらず、先住民イヌイットとの衝突やより良い狩り場を求めての移動、経済的なストレスや気候変動などが原因と考えられている。


(ロイター)

現在はグリーンランドにも人が定住しているけれど、年がら年中、暖房しているはずで、冬季は暖房がなければ生存不可能な厳しい環境であることに変わりはない。
1000年前には現在のような暖房設備が無いにもかかわらず、バイキングが定住していたということは、「当時の気候は現在と同じように温暖だった」ではなく、「当時の気候は現在よりもはるかに温暖だった」ことを示している。


氷に覆われてるのに「グリーンランド」、なぜ?
アイスランドとグリーンランドは名前を交換したほうがいいのか
2016.7.6
不思議に思ったことはないだろうか? どうして、「氷の大地」という名前のアイスランドが緑に覆われていて、「緑の大地」グリーンランドは氷に覆われているのかと。
よく耳にするのは、これらのネーミングには意図があるというもの。アイスランドに移住したバイキングが、自分たちの緑豊かな島への過剰な移住を阻止するために、わざと魅力的でない名前を付けた。その一方、氷に覆われたグリーンランドへの移住は誰も気に留めなかったというものだ。ところが真実はもう少し複雑で、古代スカンジナビア人の習慣と地球の気候変動が関係しているらしい。
グリーンランド、8割以上が氷
グリーンランドの8割以上が氷に覆われている。しかし、「赤毛のエイリーク」として知られるバイキングが島の南西部に初めて降り立った西暦982年の夏は、おそらくもっと草が青々としていただろう。グリーンランド南西部のその地は、アイスランドよりも南に位置し、現在でも牧羊とジャガイモ栽培が盛んだ。
一方、メキシコ湾流の影響で、アイスランドの海面温度はグリーンランドよりも6℃ほど高くなることがある。気候が穏やかなため、夏のアイスランドは至るところで緑が生い茂る。ただし、面積の11%は常に氷河に覆われたままだ。ヴァトナヨークトル氷河は欧州最大の氷河で、プエルトリコの面積とほぼ同じ広さがある。
名前の違和感はこうして生まれた
現在の名称はともに、バイキングによって付けられたものだ。古代スカンジナビアでは、物に見たままの名前を付けるのが一般的だった。例えば、赤毛のエイリークの息子であるレイフ・エリクソンは、野生のブドウ(おそらくブラックベリーだろう)が沿岸で生えているのを見つけたため、現在のカナダの一部に「ブドウの大地」という名前を付けた。
氷床コアと軟体動物の殻のデータから、西暦800年から1300年にかけて、グリーンランド南部は現在よりもずっと暖かかったことが示唆されている。つまり、バイキングが初めてこの地を訪れたとき、グリーンランドという名前は辻つまが合っていたと考えられる。しかし、14世紀までに、グリーンランドの夏の最高気温は低下した。気温の低下は作物の減少と海氷の増加を意味し、そこに暮らしていた古代スカンジナビア人は、植民地を去らざるを得なかった。


(ナショナルジオグラフィックより)

もちろん、100年間以上もアラスカやグリーンランドだけが現在より温暖だった、ということはあり得ない。
西暦1000年前後の全球平均気温は、少なくとも、2000年と同じほど温暖だったはず。
前章の第2節で紹介したとおり、IPCC学派は「温度の再構築作業の結果、最近の温暖化傾向は過去2000年間という脈略でみると型破りだったことが既に示されてきた。新研究は、これは1万1300年間のスパンで見ても同様に異例だと結論した」けれど、そのデタラメは明らかであろう。

7.4 エアロゾルに因る北極圏の温暖化

ススは氷を解かすだけではない。
氷河や氷床のアルベトが下がれば、気温が上がる。
さらに、空気中に浮遊するススは日光を吸収し、地表面(及び、海面)からの赤外線も吸収し、それが気温を上げる。
ススの温暖化効果はCO2の2000倍もあるのだ。


北極評議会が会合、ウクライナ情勢余波で冷たい雰囲気
2015年4月25日 12:32 発信地:イカルウィット/カナダ
北極の環境問題などを協議する政府間協議体「北極評議会」は24日、カナダ北東部バフィン島にある北極圏の町イカルウィットで会合を開き、環境や北極圏に住む地域が直面している危機に警鐘を鳴らした。
参加国はカナダ、米国、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、ロシア、スウェーデンの8か国。
北極圏では地球上のどこよりも速いペースで温暖化が進んでおり、米政府機関が先月発表したところによると、1970年代後半に衛星観測を始めて以来、冬季の海氷面積が最小となった。
北極圏の温暖化問題に関しては、海面上昇をもたらす氷の溶解に注目が集まる一方、新たな商業航路や海底油田・天然ガス開発への期待も高まっている。
今回の会合でカナダから議長国を引き継いだ米国のジョン・ケリー国務長官は「現在、われわれが直面する最大の課題として誰もが口にするのが気候変動だ。控えめに言っても、あらゆる数値は警戒レベルにある」と述べた。
米国はメタンガス排出およびガスの燃焼や石油探査活動で放出される黒色炭素(ブラックカーボン)を規制する行動計画の枠組みを提出している。ケリー長官は、黒色炭素の温暖化への影響は二酸化炭素(CO2)の2000倍で、永久凍土の溶解で放出されるメタンガスが大気におよぼす悪影響はCO2の20倍だと警告した。
ウクライナ情勢をめぐる緊張はこの会議にも影響を与え、ロシアはセルゲイ・ラブロフ外相ではなくセルゲイ・ドンスコイ天然資源環境相を出席させた。
ドンスコイ氏は「他の場所で何が起きていようと北極圏での協力は前進している。ここに対立や恐怖を利用する余地はない。ロシアは北極の政治化に反対する」と述べた。


(AFP)

下図に見えるとおり、北極圏の気温上昇の主因の一つはそれである。

2014122505
図7-11 「Science,324(2009)323」より(元論文は「Nature Geoscience,2(2009)294」)

この値をそのまま受け入れることはできないとしても、ススが北極圏温暖化の主因の一つであることは確実。

もちろん、図7-2に見えるとおり、IPCCの気候モデルは「雪上の黒色炭素」を考慮しているけれど、CO2の影響を著しく過大評価し、そのために、ススの影響を著しく過小評価していたのだ。


2016年5月25日
理化学研究所計算科学研究機構複合系気候科学研究チームの佐藤陽祐基礎科学特別研究員と富田浩文チームリーダーらと、東京大学、九州大学、国立環境研究所らの共同研究グループは、スーパーコンピュータ「京」を用いた超高解像度シミュレーションにより、気候変動に大きな影響を与える粒子状の大気汚染物質である「すす(黒色炭素」の北極域への輸送メカニズムを解明しました。
エアロゾルの一種である黒色炭素の多くは人間活動によって放出され、大気中の長い距離を輸送されます。北極圏の雪や氷の上に降り積もった黒色炭素は、その色を黒く変えてしまい、太陽光の反射率を低下させて地球温暖化を促進します。このように、北極圏の黒色炭素量は地球温暖化に直接影響を及ぼす可能性があることから、人間活動が活発な中緯度帯から北極圏への黒色炭素輸送量の正確な推定が必要とされています。しかし、これまでの北極圏における観測結果はシミュレーションよりも多量の黒色炭素の存在を示しており、従来の気候モデルの表現する”清浄すぎる北極圏”と現実との間には不整合が存在していました。
共同研究グループは、基本原理に忠実な全球大気モデルと精緻化されたエアロゾルモデルを融合させて、「京」を最大限に駆使し、従来よりも一桁高い数km水平解像度でのシミュレーションを実施しました。これにより、黒色炭素の北極への輸送量について、実際の観測結果をより良く再現しました。同時に、従来の低解像度のシミュレーションでは、低気圧周辺において空気の混合が弱く輸送が十分ではなかったため、および、降水に伴って大気中から過剰に除去していたため黒色炭素輸送量を過少評価していたことが明らかになりました。
今後、より高性能なスーパーコンピュータの性能を最大限駆使することで、より不確実性を減らした気候変動予測が可能になると期待できます。
成果は、英国の科学雑誌『Scientific Reports』に掲載されるのに先立ち、オンライン版(5月25日付け:日本時間5月25日)に掲載されます。


(「北極域への「すす」の輸送メカニズムを解明」より)

しかも、気温上昇の原因はススだけではない。
上で説明したとおり、IPCCは、エアロゾルの増加で雲が増え、「雲のアルベド効果」が増すから気温が下がると言い立てているけれど、逆に、北極圏では雲の増加は温暖化を招く。


【気候変動】夜間の曇天でグリーンランド氷床の融解が増える
Nature Communications,7(2016)10266
2016年1月13日
Climate change: Cloudy sky at night enhances Greenland plight
グリーンランド氷床で夜間に雲が発生すると、融解水の流出が毎年30%以上増えるという結論を示した論文が、今週掲載される。この新知見は、気候モデルに雲の影響を正確に表現して、全球的海水準上昇に対するグリーンランド氷床の寄与度に関する将来予測の精度を高める必要のあることを明らかにしている。
グリーンランド氷床の融解は、近年の全球的海水準上昇の主たる要因となっている。この融解の程度を決定する要因の1つが上空の雲量で、これが、太陽からの入射放射量と氷床表面からの放射量に影響を及ぼす。しかし、同じ雲でも種類(例えば、氷だけの雲や液体を含んだ雲)によって、融解量に正反対の影響を及ぼすことがある。また、直接測定が行われておらず、気候モデルの違いもあって、それぞれの種類の雲が融解にどのように寄与するのかを正確に理解できていない。
今回、Kristof Van Trichtたちは、衛星リモートセンシングと地上観測、地域気候モデルを組み合わせて、グリーンランド氷床の表面全体における入出射エネルギーの収支に対する雲量の影響を定量化した。ここで、Van Trichtたちは、氷だけの雲も液体を含んだ雲も氷床表面からの放射量を抑制することでグリーンランド氷床の表面を暖めるが、この氷床表面の応答が予想に反していることを明らかにした。つまり、雲が日中の温度上昇を通して氷床表面の融解を直接増やすのではなく、雲の温暖化効果は夜間が最も強く、晴天シナリオに反して、雲の存在によって氷床表面上の水分の再凍結が抑制され、年間の融解水の流出が30%以上増えるのだ。
今回の研究では、グリーンランド氷床表面のエネルギー収支が雲量に対して非常に敏感であることが明らかになったが、氷床表面上の雪塊とその上空の大気との間の温暖化フィードバック効果が考慮されていない。雲の影響は、このフィードバック効果のために、もっと複雑なものとなっている可能性がある。


(natureasia.com)

冬の天気予報で、放射冷却が起こるので明朝は冷え込みます、という解説をよく耳にするが、逆に、夜間に曇れば冷え込まないのと同じ理屈である。
その効果は気温の低い北極圏で著しい。
この論文のabstructには「This impact results from a cloud radiative effect of 29.5 (±5.2)W/m^2」とある。
図7-2に見えるCO2の放射強制力の15倍以上。
もちろん、その値は夜間の曇り空の時だけだから、そして、北極圏だけだから、図7-2の値と単純には比較できないけれど、エアロゾルが北極圏の温暖化を招いていることは明らかである。

7.5 微生物の不都合な真実

さらに、エアロゾル以外にも北極圏温暖化の原因がある。
化石燃料の使用に伴うエアロゾル以外にも、人類は多くの物質を大気中と海洋に放出しているが、排出された有機物が北極圏にまで拡散し、微生物がそれを栄養源として繁殖し氷を解かしている。[注3]


微生物で汚れて加速 解けるグリーンランド氷河
2012年9月16日12時21分
氷河に立ち、驚いたのは氷表面の汚れだ。赤茶や灰色に染まっている。墨のように黒い所もある。その正体は雪や氷にすむ微生物だった。採取して顕微鏡で見ると、赤茶色のソーセージのような形や緑色の楕円(だえん)形など色も形も様々だ。色素を持った微生物で氷に色がつけば、太陽光はより吸収されやすくなり、 氷の融解にも拍車がかかる。
標高600~800メートル付近の氷の上には、あちこち小さな穴が開いていた。中には、解けた水がたまって、底に1~2ミリの茶色の粒が集まっている。雪氷微生物の集合体「クリオコナイト」だ。「氷河まりも」とも呼ばれる。
国立極地研究所の植竹淳特任研究員は「高緯度の極地まで、たくさんいることが確認できた。氷の融解に拍車をかけている可能性がある」と話す。

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(朝日新聞デジタル)


北極に「黒い氷」広がる 温暖化、氷床融解を加速
2016年5月7日 06時22分
温暖化が進む北極圏グリーンランドで、微生物が大量に繁殖し氷床が黒くなる現象が確認され、2012年には黒い部分の面積が、四国の1.5倍に相当する約2万7千平方キロメートルに拡大したことが7日、千葉大の竹内望教授(雪氷生物学)らの衛星画像を使った調査で分かった。国際科学誌電子版に発表「Front. Earth Sci.,4(2016)43」された。
竹内教授は「黒い氷は太陽光を吸収しやすい。気温上昇に加え、さらに融解を速める一因となっている可能性がある」と指摘している。
竹内教授によると、黒い氷の原因は藻類やバクテリアなどの微生物などに由来する「クリオコナイト」と言われる直径1~2ミリの物質。

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黒く染まった北極圏の氷床=2012年7月、グリーンランド・カナック(共同)


(共同)

WWFが、CO2の排出でグリーンランドが解けている、と騒ぎ立てているけれど、その証拠として挙げている写真を見ても、やはり、微生物で黒ずんでいる。

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図7-12 「New melt record for Greenland ice sheet」より

先の図7-5でも、スス以外に「あちこち小さな穴が開いている」のが分かる。
微生物がグリーンランド氷床融解の大きな要因であることは「Microbiology Ecology,89(2014)402」や「Geochem.Persp.Lett,2(2016)I06」でも確認されている。

もちろん、アラスカでも「黒い氷」が広がっている。

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図7-13 アラスカのExit Glacier(「Everywhere Once」より」)

海洋汚染で海が富栄養化して赤潮が発生するのと同じであり、実際、赤い雪も広がっている。


アラスカ氷原で氷河融解を増大させる微生物
Nature Geoscience,10(2017)754
2017年9月19日
Microbes increase glacier melt on Alaskan icefield
アラスカ氷原の雪中に棲む微生物は、表面を暗くして反射率を減少させ、それにより藻類の成長をさらに助長することにより氷河の融解を大きく加速させる可能性があるという報告が、今週掲載される。
新しい雪は太陽から入射するエネルギーの大部分を反射するが、黒色炭素や塵などの不純物は、表面を暗くし、反射されるエネルギーを減少させる。暗い雪の表面の温度はより容易に上がるため、このような汚れた雪は氷河の融解を増加させる。氷河上に生息する特殊な藻類は、雪の表面を赤色に変化させ、影響を受けていない雪よりも暗くするため、同様な効果がある。
Roman Dial たちは今回、氷河上で、氷河の雪の異なる領域に栄養素と水を加える実験を行った。その結果、擾乱を加えない対照地域と比較して、水を加えた場合には1.5倍の藻類が見られること、栄養素を含めた場合はほぼ4倍の藻類が見られることが分かった。著者たちは、地形全体の積雪を人工衛星データを用いて見積もり、雪を赤くする藻類は融解をおよそ17%増加させることを示している。藻類に覆われた赤い雪の地域はより多くの融解水を生成するので、藻類をより成長させて、氷河のさらなる融解を促すフィードバックをもたらす可能性がある。


(natureasia)


微生物が生む「赤雪」
昨年春、日本の山岳地帯を覆う残雪が、一面真っ赤に染まった。「赤雪」という現象で、昨年の赤雪は過去にないほど鮮やかだった。
赤雪という現象は、雪氷藻類と呼ばれる微生物の大繁殖が原因で起きる。この微生物は細胞内に赤い色素を持ち、光合成で繁殖する藻の仲間である。しかし、この微生物についてはまだ謎が多く、いつどのように広がり、どんな条件で雪を赤く染めるのか、詳しいことは分かっていない。
地表面を白く化粧する雪は、地球への太陽光の吸収を制限するため、気候に大きな影響を及ぼす。特に、近年の気温上昇による積雪面積の減少は地球温暖化をさらに加速すると考えられる。
雪の色は積雪が解ける速さを決める重要な要因の一つだ。もともと白く熱を吸収しにくい雪も、赤雪のように色がつくと融解が速くなる。従って雪を赤く染める雪氷藻類は、積雪の融解を速めて気候への影響力を持つ微生物なのである。北半球最大の氷河「グリーンランド氷床」も微生物の繁殖によって融解が加速されていることが分かってきている。
刻々と宇宙から送られてくるひまわり8号の画像は、流れゆく雲だけでなく、白く雪に覆われた地表面も見事に映し出す。その鮮やかなカラー画像を使って赤雪の謎にせまることができるのではと期待している。(竹内望・千葉大教授)
共同企画・監修 情報通信研究機構(NICT)/千葉大環境リモートセンシング研究センター

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米アラスカに広がった微生物の影響で赤く染まった雪=2010年8月、竹内望・千葉大教授撮影


(毎日新聞2016年6月10日 東京朝刊)

Nature Communications,7(2016)11968」に依れば、「赤雪」だけで、北極圏のアルベドが13%も下がっている。

7.6 永久凍土の不都合な真実

氷河・氷床の不都合な真実が露呈してしまったので、今度は、ヤマル半島で異変が起こった、と騒ぎ立てている。

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2015年7月19日の朝日新聞朝刊紙面より


2017年4月26日の朝日新聞朝刊紙面より(当該論文は「Nature Climate Change,7(2017)340」)

しかし、第3節で解説したとおり、西暦1000年前後の北極圏は現在よりも温暖だった。
従って、「地球の平均気温が1度上がると、インドより広い、約400万平方キロの永久凍土が解け出す」なら、そして、「解けると内部のメタンや二酸化炭素が放出され、温暖化をさらに進め」るのなら、現在の北極圏は西暦1000年前後よりも遥かに気温が高いはず。
ヤマル半島は穴ぼこだらけになっているはず。
前章図6-5を真に受けると、全球平均気温は西暦1000年以降に急降下しているが、それも無かったはず。
第5章の冒頭で引用した朝日新聞社説は「それでも、平均気温の上昇を2度未満に抑えるというこれまでの目標だけでなく、『1.5度未満に抑えるよう努める』と明記した意義は大きい」と言い張っていたけれど、1.5℃どころか、とっくに2℃を超えているはず。
「解ける凍土、1度上昇で400万平方㌔」だの、「解けると内部のメタンや二酸化炭素が放出され、温暖化をさらに進め」だのは全く非科学的で全くナンセンスである。[注4]
ヤマル半島はロシアでも有数の天然ガスの産地。
「大穴」は無軌道な天然ガス開発が原因であろう。

それでも朝日新聞は諦めない。
現にアラスカでは凍土が解け出している、と騒ぎ立てている。


永久凍土の内部は… 許可を得てトンネル内へ アラスカ
2017年7月31日10時21分
米国最北端の町、アラスカ州のバローに、永久凍土の内部を見られるトンネルがある。研究者の許可を得て、地下に降りた。
深さ6メートル。冷戦期の1960年代に米陸軍が掘った。旧ソ連に面したアラスカでの地上戦も想定した様々な調査の一環とみられる。
天井や壁には、凍土の氷が昇華した後に、再結晶化した塊がびっしりとある。明かりをともすと、宝石のトンネルのような景色が広がった。
二酸化炭素やメタンを封じ込めている永久凍土は、地球温暖化対策を考えるうえで重要な研究テーマの一つ。2004年、この凍土トンネル内に「ブライン」という濃い塩水だまりが見つかり、その後の調査で、周囲の凍土の30倍近い塩分濃度で、微生物の密度が最高で1千倍もあるという不思議な状態だとわかった。
なぞを解き明かそうと研究が進むが、残された時間は多くない。ワシントン大のジェシー・コランジェロ博士は「温暖化で凍土が解け、外部の細菌などが入り汚染される危険がある」と心配している。(バロー=小坪遊)


凍土を研究するための地下トンネル=米アラスカ州バロー、葛谷晋吾撮影


(朝日新聞デジタル)


樹木傾く「酔っ払いの森」 温暖化で拡大も アラスカ大
2017年8月28日13時53分
米アラスカ州のフェアバンクスにあるアラスカ大学構内を歩くと、マツの仲間であるトウヒが立ち並ぶ森がある。よく見ると、少しゆがみながら伸びたり、樹木が大きく傾いて互いに寄りかかり合ったりしている。その姿から地元では「酔っぱらいの森」と呼ばれている。
同大国際北極圏研究センターの岩花剛助教によると、この現象は気温上昇で地中の永久凍土が部分的に解けることで起きる。たとえば、凍土が融解して地盤が緩み、傾いた木がバランスをとろうとして、成長する方向を変えてゆがむ。大きく解けたところでは、周囲の木が自身を支えきれずに倒れ、お互い寄りかかった状態になったらしい。
地面を見ると、ところどころ大きな溝のような構造や、逆に盛り上がったように見える地形があり、凍土の解け方の違いがわかる。地球温暖化で凍土の融解が進めば、酔っ払いの森も広がるとみられる。(フェアバンクス=小坪遊)


凍土が解け傾いた木=米アラスカ州フェアバンクスのアラスカ大学、葛谷晋吾撮影


(朝日新聞デジタル)


白夜のアラスカ、空と大地が織りなす初夏の表情
2017年8月1日15時14分
米国最北の州、アラスカに6月、本社機「あすか」で訪れた。人と空と大地が織りなす、初夏の表情に魅せられた。
中西部にある針葉樹林帯では、永久凍土が融解と凍結を繰り返してできる凹凸や湖沼などのサーモカルスト地形が出現していた。日本と異なり、勾配が緩やかな大地を、川が大きく蛇行しながらゆっくりと流れていた。地球温暖化が進めば、どんな姿に変わるのだろうか。
この季節は1年で最も昼が長く、北極圏では太陽が沈まない白夜だ。第2の都市のフェアバンクスでも深夜まで周囲は明るく、人々が食事やスポーツを楽しんでいた。(フェアバンクス=小坪遊)


州中西部の針葉樹林帯にあるサーモカルスト地形。凍土が解けてできた大小の融解湖が広がる=6月、米アラスカ州、朝日新聞社機から、葛谷晋吾撮影


(朝日新聞デジタル)

下図はバロー(Barrow)の気温と雪が解けた日付の変化である。


図7-14 「Int.J.Climatol.,23(2003)1889」の図1

破線を見ると、気温は上がり続けている、その結果、雪が解ける日が早まっているように見えるけれど、1920年まで遡ると、こうなる。


図7-15 「EOS,83(2002)589」の図3

20世紀全体で見れば、気温は上がり続けていない。
(1997年が高いのは、言うまでもなく、20世紀最強レベルのエルニーニョが原因。)
CO2の影響はほとんど認められないのだから、CO2排出で永久凍土が解け出した、などということはあり得ない。
バローで雪が解ける日が早まっているのはヒートアイランド(UHI)の影響である。
実際、図1の論文はこのように書いている。


During winter (December 2001?March 2002), the urban area averaged 2.2 ℃ warmer than the hinterland. The strength of the UHI increased as the wind velocity decreased, reaching an average value of 3.2 ℃ under calm (< 2 m s^-1 ) conditions and maximum single-day magnitude of 6 ℃. UHI magnitude generally increased with decreasing air temperature in winter, re?ecting the input of anthropogenic heat to maintain interior building temperatures. On a daily basis, the UHI reached its peak intensity in the late evening and early morning. There was a strong positive relation between monthly UHI magnitude and natural gas production/use. Integrated over the period September?May, there was a 9% reduction in accumulated freezing degree days in the urban area. The evidence suggests that urbanization has contributed to early snowmelt in the village.


(「Int.J.Climatol.,23(2003)1889」の abstract より」

この事実はその後の研究でも裏づけられている。


Although a summer heat-island effect was not discerned in the air temperature record (Hinkel et al. 2004; Hinkel and Nelson 2007), mean summer soil-surface temperatures were higher by 0.3-2.8 ℃ in the urban than in the rural areas in matching land-cover types. Similarly, differences in active-layer thickness of 4-41 cm were found between paired land-cover classes in urban and rural settings, with urban sites generally thawing more deeply. Because significantly warmer summer air temperatures were not observed in the village, higher soil temperatures and active-layer thickness are attributable to differences in material properties and surface cover between the urban and rural areas.


(「Polar Geography,36(2013)183」の186ページより)

バローのような田舎町ですら、これだから、フェアバンクスような都市は推して知るべし。
「酔っ払いの森」はヒートアイランドの結果である。

もう一度言うけれど、西暦1000年前後のアラスカは現在よりも温暖だった。
その明らかな痕跡が残っている。


2017年7月17日の朝日新聞朝刊1面より

「1950年代にはその存在が知られていた」のだから、そして、CO2の排出は20世紀後半に激増したのだから、「デューン」はCO2の排出が原因ではない。
「何らかの原因で凍土が解け」ということは、かつては現在以上に温暖だった、ということである。

他にも痕跡がある。
朝日新聞は、CO2の排出(に因る温暖化)で北極の海氷が解け、アラスカの民の生活が脅かされている、と喚き立てている。


2017年6月25日の朝日新聞朝刊1面

しかし、「1年の大半の期間、海に氷が張り、村を囲む天然の防壁となって、波や海流の影響をやわらげてくれていた」のなら、この写真に見えるような地形は生まれなかった。
「米地質調査所の2015年の報告書によると、アラスカ北部の海岸は年平均1.4㍍後退」と騒ぎ立てているけれど、何処かの海岸が波で削られて、その土砂が海流で運ばれ堆積したから、写真のような地形が出来たのである。
かつてはアラスカの北極海に氷が無かった、かつては現在以上に温暖だった、ということである。
「地球の平均気温が1度上がると、インドより広い、約400万平方キロの永久凍土が解け出す」のなら、そして、「解けると内部のメタンや二酸化炭素が放出され、温暖化をさらに進め」るのなら、「凍土の『砂漠』 『酔っ払いの森』のみ込む」になっていたはずである。
「地球温暖化が進めば、どんな姿に変わるのだろうか」ではなく、アラスカは砂漠になっていたから、朝日新聞記者が「人と空と大地が織りなす、初夏の表情に魅せられる」こともなかったのだ。

窮したIPCC学派と朝日新聞は、永久凍土が解けて、世界中で水俣病が起こる、と泣き出した。


永久凍土に大量の水銀 温暖化進むと溶け出す恐れ
2018年2月22日05時00分
北半球の陸地の2割を占める永久凍土地域の土壌に、大量の水銀が閉じ込められていることが、米地質調査所(USGS)などの研究で分かった。地球温暖化が進んで凍土が溶けると、水銀が環境中に放出される恐れがある。
研究チームは、2004年から12年に米アラスカの永久凍土地域の13カ所で、地表98センチ~248センチの深さの土壌を採取し、水銀の濃度を調べた。シベリアなどほかの地域のデータと照合して、推計したところ、北半球の永久凍土地域の土壌には165万6千トンの水銀が含まれていることが分かった。ほかの地域の土壌や海、大気中にある水銀の総量の2倍近いという。
水銀は、火山の噴火や岩石の風化といった自然現象のほか、石炭などの化石燃料の燃焼、金の採掘など人間の活動によっても排出される。排出された水銀は分解されず、自然界を循環するが、永久凍土地域では、凍った土壌に閉じ込められて蓄積したと見られる。
永久凍土には、温暖化の原因となる二酸化炭素やメタンが封じ込められていることが知られている。温暖化で融解が進んでおり、温室効果ガスの排出がこのまま続けば、今世紀末までに30~99%減るとする研究もある。凍土の水銀が水に溶け出せば、微生物の働きで、水俣病の原因となった猛毒のメチル水銀に変わる。食物連鎖で魚に蓄積され、健康影響が広がる可能性がある。
研究チームを率いたUSGSのポール・シュスター氏は「永久凍土は巨大な水銀プールだ。溶け出したら何が起きるのか。食物連鎖でどこまで運ばれるのか。大きな問いに答えなければならない」とコメント。今後温暖化により溶け出す水銀の推計をするという。(ワシントン)


(朝日新聞デジタル)

何回でも言うけれど、西暦1000年前後の北極圏は現在よりも温暖だったから、「地球の平均気温が1度上がると、インドより広い、約400万平方キロの永久凍土が解け出す」のなら、そして、「温暖化の原因となる二酸化炭素やメタンが封じ込められていることが知られている。温暖化で融解が進んでおり、温室効果ガスの排出」が起こるのなら、既に永久凍土はほとんど解けているはずだから、「今後温暖化により溶け出す水銀の推計をする」必要も無かったのだ。

水銀をばら撒き、世界を脅かしているのは中国である。


九州の樹氷で上昇傾向 中国からの越境汚染か
九州の山で樹氷の水銀濃度が近年、上昇傾向にある。福岡工業大の永淵修客員教授(環境科学)の調査によると、2010年以前は1リットルあたりで100ナノグラム(ナノは10億分の1)以下だったが、宮崎・鹿児島県境の韓国(からくに)岳(1700メートル)で14年に最高約400ナノグラムを観測した。中国大陸からの越境汚染が原因とみられ、16日に発効した水俣条約などによる国際的な汚染防止対策が必要としている。
永淵客員教授は1990年からほぼ毎冬、九州の山岳を中心に、樹氷や降雨、降雪から越境汚染を調査している。屋久島(鹿児島県)や鶴見岳(大分県)の樹氷の水銀濃度(1リットルあたり)は10年以前は100ナノグラム以下だったが、13年から韓国岳を調査したところ、最高値は13年12月が約160ナノグラム、14年2月は約400ナノグラムだった。金の精錬で水銀が使われているインドネシア・スラウェシ島の採掘地付近で11~12年に降雨から観測した最高値約170ナノグラムを上回るという。
九州での樹氷は、大陸側からの寒気中の水分などが、木々に衝突してできるとされる。
樹氷の標高や時期から気象データを使って解析すると、寒気が中国上空を通って韓国岳付近に到達していた。中国での火力発電の石炭燃焼などで大気中に排出された水銀が運ばれ濃度上昇につながったとみられるという。その地域からの影響を主に反映する降雪の水銀濃度は13~17年の平均が約13ナノグラムと低かった。
今年1月の韓国岳の樹氷の濃度は60ナノグラムと下がったが、大陸からの寒気の流れが中国などの影響を受けにくいコースだったためとみられる。いずれも健康に悪影響を及ぼす値ではないという。
国連環境計画(UNEP)の13年のアセスメントによると、世界の大気中への水銀排出量は1年間あたり1960トンで、中国の排出量はその約3分の1。水銀はいったん大気中に排出されると世界中を循環すると指摘している。永淵客員教授は「激しい水銀汚染がない地域でも食物連鎖による生物濃縮を介して人に影響する恐れもある」と排出防止を訴えている。【川上珠実】


(毎日新聞2017年8月16日 21時45分(最終更新 8月17日 00時27分))

「永久凍土に大量の水銀 温暖化進むと溶け出す恐れ」と喚き立てるのは、真の原因を覆い隠し、環境破壊を助長する以外の何物でもない。

7.7 白クマの不都合な真実

CO2の排出が原因でグリーンランドの氷床が解けているだの、アラスカの氷河が解けているだの、永久凍土が解けているだのと煽り立てたものの、そのデタラメが明らかとなり、窮したIPCC学派は、白クマが死んじゃう、と泣き出した。


ホッキョクグマの個体数、今後35年で30%超減少の恐れ 研究
2016年12月7日 15:14 発信地:パリ/フランス
温暖化が進む北極圏で海氷が縮小し、今世紀半ばまでにホッキョクグマの個体数が3分の1減少する恐れがあると警告する研究論文が7日、英国王立協会(Royal Society)の専門誌バイオロジー・レターズ(Biology Letters)に掲載「Biol.Lett.,12(2016)20160556」された。
論文によると、世界全体で2万6000頭と推定されるホッキョクグマの個体数が今後35年で30%以上減少する確率は70%に上るという。
他の調査でも同様の結果が示されており、国際自然保護連合(IUCN)が作成する世界の野生動植物の絶滅危機の度合いを示す「レッドリスト(Red List、絶滅危惧種リスト)」でも、ホッキョクグマは絶滅の危険が増大している「絶滅危惧Ⅱ類」に分類されている。
今回発表された論文はこれまでで最も包括的な内容で、35年間の北極圏の海氷の衛星データと、北極圏に4か所ある生息域に散らばる19のホッキョクグマの群れの移動状況を組み合わせ、結果を算出した。
論文は「ホッキョクグマは生活の大部分を海氷に依存している」と指摘している。最も重要なことは、開けた海域ではホッキョクグマより上手に泳ぐアザラシを捕獲するため、ホッキョクグマは海氷を海に浮く小さな桟橋として利用していることだ。


(AFP/Marlowe HOOD)


ホッキョクグマ脅かす海氷縮小、「密着カメラ」で影響観察 米
2017.1.12 12:46
北極圏の急激な気温上昇で海氷や雪が減り続ければ、ホッキョクグマの生存は難しくなる――。米内務省の魚類野生生物局(FWS)がこのほど発表した新たな報告書で、強い警告を発している。
北極圏では地球上の他地域の2倍の速さで気温が上昇している。FWSによると、氷の上でえさを捕まえるホッキョクグマにとって、温暖化は最大の脅威だ。
FWSは「(気温を)大幅に下げない限りホッキョクグマが戻ってくる見込みはない」と指摘し、絶滅の危機は避けられないとの見方を示唆した。

米地質調査所(USGS)は最近、ホッキョクグマが海氷の縮小でどんな影響を受けているかを把握しようと、雌の成体にカメラを取り付けた。クマの視点で見た北極海の日常を撮影することで、摂食行動などに変化が起きているかどうかを調べることができる。
その映像には、クマにとって海氷がいかに重要かが表れていた。
ホッキョクグマはアザラシが海氷の割れ目から顔を出したところを狙ってえさにする。世界自然保護基金(WWF)の英国支部でホッキョクグマの保護に取り組むロッド・ダウニー氏がCNNに語ったところによると、ホッキョクグマがつがいになる相手を求めて移動する際などにも、海氷は不可欠だという。
空腹を抱えたクマが村落などに入り込み、人間と遭遇するケースが増えている。通学中の子どもが襲われる恐れもある。
「住民がクマを退治しようとするのはもっともな反応だ」と、ダウニー氏は指摘する。このためWWFは、クマを殺さずに爆竹で撃退する方法や、食料の正しい貯蔵法などの知識普及に努めているという。
FWSは2008年、ホッキョクグマを絶滅危惧種法に基づく保護対象に指定。人間との遭遇や狩猟を防ぎ、生息地を守り、石油流出事故のリスクを抑えるなどの対策を呼び掛けてきた。
同時に長期的な対策として、気候変動問題への対応を強く呼び掛けている。
世界には現在、約2万6000頭のホッキョクグマが生息していると推定される。しかし気温上昇がこのまま続けば、このうち3分の1は2050年までに死滅してしまうと、科学者たちは警告する。
ダウニー氏はCNNとのインタビューで「ホッキョクグマのいない北極を私たちは知らない。北極圏とそこに住む人々にとって、そして人類にとって大きな損失になるだろう」と述べた。
米航空宇宙局(NASA)が最近公開した北極圏のアニメーション映像には、1984年以降の海氷の変化が映し出される。何年間も融けずに残るはずの古い氷の面積が、急激に縮小している様子が分かる。
北極圏では昨年、過去の平均を20℃以上も上回る気温を記録した。この現象をどう説明すればいいのか、科学者たちの間で議論が続いている。


(CNN)

「世界全体で2万6000頭と推定されるホッキョクグマの個体数が今後35年で30%以上減少する確率は70%に上る」、「気温上昇がこのまま続けば、このうち3分の1は2050年までに死滅してしまう」のは、北極海の夏季の海氷が今世紀半ばに消滅するからだと言う。


北極海:夏季の海氷、2050年代消滅? 異常気象増加も 米中チーム予測
地球温暖化が加速すると、北極海の夏季の海氷が今世紀半ばに、ほぼ消滅するとの予測を、米中のチームが米科学アカデミー紀要「PNAS,110(2013)12571」に発表した。海氷の上で暮らすホッキョクグマなど生態系への影響が出るほか、大気の循環が変わって日本など中高緯度地域の異常気象が増える恐れがある。
北極海の海氷は、毎年9月ごろ最小となる。昨年は観測史上最小の約340万平方キロとなり、2000年までの約20年平均に比べほぼ半減した。
チームは、30種類のコンピューターシミュレーションを使い予測。現状のような温暖化が続いた場合、海氷面積は60年代初期には昨年から半減となる170万平方キロとなった。化石燃料への依存度が高まり、温室効果ガスの大気中濃度が倍増すると、54~58年にほぼ消滅するとの結果だった。
一方、海氷減少は大西洋などからの暖かい海水の影響もあり、チームは「多角的な分析が必要」と述べている。【田中泰義】


(毎日新聞 2013年7月20日 東京夕刊)

それは観測データからも裏づけられたと言う。

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2016年11月4日の朝日新聞朝刊紙面より

「CO2の排出が現在の水準で続くと、夏の北極の海氷が今世紀半ばに消失するとの研究結果をドイツなどの研究者がまとめ、4日付の米科学誌サイエンスに発表」したマックス・プランク研究所のプレスリリースには下図が掲載されている。

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図7-16 マックス・プランク研究所のプレスリリースより

詳細は第12章(の図12-1)で解説するけれど、IPCCは第5次報告書で「大気中に放出されたCO2の累積量と気温上昇とが正比例の関係にある」という見解を新たに打ち出した。
上図は、それを基に、夏の北極の海氷は大気中に放出されたCO2の累積量に比例して縮小する、だから、「夏の北極の海氷が今世紀半ばに消失する」と言い張っているのである。
それを正当化するため、こんな論文も現れた。


(ユリイカ!)年5.6兆円を北極へ?
2017年2月9日05時00分
地球温暖化の影響で減少を続ける北極の氷を人工的に増やすには、年500億ドル(約5.6兆円)かかる。そんな試算を米アリゾナ州立大のチームがはじき出した。(「Earth’s Future,5(2017)107」
北極の氷は近年急速に減少している。2016年夏は観測史上2番目に小さくなり、回復も遅かった。氷の減少が様々な異常気象に影響を与えることもわかって来た。今世紀半ばには、夏には氷が全くなくなる可能性が高いという。
チームは、氷の下にある海水が凍るときに放出する熱を、空気中に出させることが重要だと指摘。風力を使ったポンプで氷の上まで海水をくみ上げ、水を凍らせて氷を厚くすることが出来ると提案した。氷の厚みを1メートル増せば、「すぐさま17年前の状態に戻すことが出来る」という。
ただ、10年間毎年約500億ドルが必要になるという。チームは、実際にやることによる経済効果をあげ、戦費が約1兆ドルとも言われるイラク戦争を引き合いに出し、「達成可能だ」と力説し、やる価値があるとしている。この価格、はたして高いのか安いのか。
(小坪遊)


(朝日新聞デジタル)

さらに、こんな絵本まで出版して、煽り立てている。


北極の生き物に会える 絵本「北をめざして」
2016年5月24日16時30分
春から夏にかけて、北極には世界中からさまざまな生き物が集まってくる。「北をめざして」は子ども向けの絵本だが、目の前に生き物がいるかのような臨場感がある。
温暖化による北極の気温上昇は世界平均の2倍以上。今世紀中ごろの夏には氷が消えるという予測もある。温暖化を防ぎ、生き物たちを絶滅から救うには、実際の自然に触れ、環境に優しい行動の実践につなげるのが一番だ。
でも、北極に行くのが難しければ、絵本に触れるのもいいかもしれない。

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絵本「北をめざして」


(朝日新聞デジタル)

しかし、第5章図5-4に見えるとおり、北極圏の1940年前後は2000年と同じほど気温が高かったのだから、そして、その後の20世紀第3四半期は気温が低下していたのだから、CO2の累積量との比例関係は成り立たない。
第3四半期に気温が低下した後で再び上昇に転じたということは、近年の北極圏の温暖化には自然変動が寄与している、ということである。


Rapid Arctic warming and sea-ice reduction in the Arctic Ocean are widely attributed to anthropogenic climate change. The Arctic warming exceeds the global average warming because of feedbacks that include sea-ice reduction and other dynamical and radiative feedbacks. We find that the most prominent annual mean surface and tropospheric warming in the Arctic since 1979 has occurred in northeastern Canada and Greenland. In this region, much of the year-to-year temperature variability is associated with the leading mode of large-scale circulation variability in the North Atlantic, namely, the North Atlantic Oscillation. Here we show that the recent warming in this region is strongly associated with a negative trend in the North Atlantic Oscillation, which is a response to anomalous Rossby wave-train activity originating in the tropical Pacific. Atmospheric model experiments forced by prescribed tropical sea surface temperatures simulate the observed circulation changes and associated tropospheric and surface warming over northeastern Canada and Greenland. Experiments from the Coupled Model Intercomparison Project Phase 5 models with prescribed anthropogenic forcing show no similar circulation changes related to the North Atlantic Oscillation or associated tropospheric warming. This suggests that a substantial portion of recent warming in the northeastern Canada and Greenland sector of the Arctic arises from unforced natural variability.


(「Nature,509(2014)209」のabstruct)

その結果、下図に見えるとおり、北極の海氷も増減していた。

2014122701図7-17 北極の海氷の推移(「PNAS,110(2013)19737」より)

しかも、20世紀前半の海氷減少が最も急激。
CO2の排出は20世紀後半に激増したのだから、CO2の累積量との比例関係が成り立つのなら、そんなことはあり得ない。
北極の海氷が20世紀前半に減少した後、増加に転じ、その後、再び減少に転じたということは、近年の減少に自然変動が寄与しているということである。


北極海の海氷減少に対する自然要因の寄与を定量化する
Nature Climate Change,7(2017)289
2017年3月14日
1979年以降、9月の北極海の海氷面積が全体的に減少していることについて、原因の半分まで(30~50%)が自然変動である可能性について報告する論文が、今週のオンライン版)に掲載される。今回の研究では、自然の内部変動と主に関連する大気循環の変化が北極海の夏季の海氷面積に影響を及ぼしていることが明らかになった。
今回、Qinghua Ding の研究チームは、夏季(6~8月)の大気循環が9月の海氷面積にどのような影響を及ぼすのかを調べた。この研究では、大気大循環モデルと海洋海氷モデルと再解析データを併用して、大気循環すなわち海氷に影響を及ぼす3つの要因(気温、湿度、下向き長波放射)の解析が行われた。その結果、海氷減少の最大60%に対して大気循環の変化が寄与していることが判明した。
次に Ding たちは、大気循環の変化が自然現象なのか、人間活動の影響によるものか、という論点に取り組み、大気循環の変化の約70%が自然の内部変動を原因としていることを明らかにした。この新知見では、高緯度の大気循環が海氷に影響を及ぼしており、10年トレンドの解明が進めば、季節スケールや10年スケールで海氷面積を予測する能力が高まる可能性のあることが明確になっている。
同時掲載の Neil Swart の News & Views 記事には以下のように記されている。「最近の北極海の海氷の変化は、主として温室効果ガスの増加などの外部強制力に応じた全体的な長期的海氷減少とそれより短期的で気候の内部変動を原因とするランダムな変化という2つの要素によって引き起こされている。……これまでは、北極海の海氷の長期的減少という観測結果に対する人為的な温暖化と気候の内部変動の相対的寄与度が明確に理解されていないことが課題となっていた」。「Qinghua Ding たちは、観測された夏季の北極海の海氷減少の約半分が、大規模な大気循環に自然に起こった変化を原因とするものだったと説明している」。
「人為的な温暖化が北極海の海氷減少をもたらしたことは、広範な証拠によって明らかになっており、Ding らの研究結果では疑問視されていない。むしろ、これまでに観測された全ての海氷減少が人為的な原因によると考えるのではなく、人為的な強制に対する北極海の海氷の感受性がそれほど高くないと考えるべきことがこの研究の意義である」。


(natureasia)

北極の海氷減少の少なくとも3分の1は自然要因。
残り3分の2が人為的要因だとしても、先に解説したとおり、大気汚染の影響が大きい。
図7-16は成り立たない。
しかも、図7-16では、CO2の累積排出量が2500Gtを超えると、「夏の北極の海氷が消失する」が、そして、第12章図12-1に見えるとおり、その場合の(産業革命時からの)気温上昇は4℃以上だが、第5章の第1節で解説したとおり、CO2を排出し続けても気温上昇は1.5℃未満に止まるのだから、図7-16は全くナンセンスである。
もう一度言うが、それは北極圏の気候変動から導かれた事実である。
他でもない、北極圏の気候変動が「CO2の排出が現在の水準で続くと、夏の北極の海氷が今世紀半ばに消失する」の非科学性を、であるから、「世界全体で2万6000頭と推定されるホッキョクグマの個体数が今後35年で30%以上減少する確率は70%に上る」、「気温上昇がこのまま続けば、このうち3分の1は2050年までに死滅してしまう」の非科学性を示しているのだ。

それでも、IPCC学派と朝日新聞は肯んじない。
現に、CO2の排出で氷が薄くなり、白クマがやせ細っている、と言い張っている。


2018年2月2日の朝日新聞夕刊紙面より(当該論文は「Science,359(2018)568」)

しかし、白クマの研究者 Susan Crockford はこのように指摘している。


There was no discussion in the paper of ringed seal birth lairs, or sea ice conditions at the time of the study, but several mentions about what might happen in the future to sea ice and potential consequences for polar bears. The press release did the same.


(「Polar bear specialists double-down on message of future starving bears」より)

「チームは2014年から16年にかけて、狩りに最適な春にアラスカ北部沖の海氷上にいるメスのホッキョクグマ9匹の体重を量ったり、血液を採ったりした」が、肝心の海氷の状態には一言も無く、「温暖化がさらに進むと、生存が激しくなる」だの、「温暖化が進めばエサを求めてさらに長い距離を移動しなければならず、ホッキョクグマが生存する環境はより激しくなる」だのと喚いているだけで、「温暖化で移動に苦労、体重減」の科学的証拠は示されていないのだ。
そこで、Susan Crockford が「2014年から16年にかけて、狩りに最適な春にアラスカ北部沖の海氷」を調べてみたら。


図7-18 2015年春のアラスカ北部沖の海氷

この論文が白クマの移動距離を調べたのは、アラスカ北部沿岸の濃い赤色の部分。
海氷の厚さは5m近い。
2014年と2016年は2015年よりも薄かったけれど、3m以上ある。


図7-19 2014年春のアラスカ北部沖の海氷


図7-20 2016年春のアラスカ北部沖の海氷

確かに、岸に接した所は薄いけれど、水深が浅いから、その結果、風の影響を受けやすいから、それは当たり前であり、近くに海氷の厚い所があるのだから、白クマはそこに移動できたのだが、氷が厚すぎたので、「海氷に開いた穴から出てくるアザラシ」がいなかったのである。
「9匹中4匹は、平均で1日約2㌔体重が減り、8~11日後には体重が1割減っていた」のは「海氷が厚くなり、エサを得るには昔より長い距離を移動する必要があったためとみられる」のだ。
「世界全体で2万6000頭と推定されるホッキョクグマの個体数が今後35年で30%以上減少する確率は70%に上る」、「気温上昇がこのまま続けば、このうち3分の1は2050年までに死滅してしまう」の非科学性は、もはや、完全に明らかである。

7.8 サンタクロースの不都合な真実

白クマを利用して騙そうと試みたものの、それも失敗したので、今度は、サンタクロースがクリスマスプレゼントを持って来なくなるよ、と脅し出した。


温暖化の影響、サンタにも? トナカイが絶滅危惧種に
2016年12月19日10時35分
地球温暖化の影響が、サンタクロースのそりの引き手にも忍び寄っている。気温上昇で北極圏のトナカイがエサを取れずに餓死したり、やせ細ったりしているという論文が相次いで報告された。国際自然保護連合(IUCN、本部・スイス)も温暖化でトナカイの生息数が減っているとして、新たに絶滅危惧種に分類した。
英国やノルウェーの研究チームは今月英国で開かれた学会で、北極圏のトナカイの体重が1994年から2010年までに12%減ったと発表した。(論文は「Global Change Biology,23(2017)1374」。)研究者は温暖化の影響の可能性があると指摘する。北極圏で気温が上昇して雪が雨に変わると、冬場に草地が氷で覆われてエサが取りにくくなるからだという。
フィンランドやオーストリアなどの研究チームも11月、やはり気温上昇の影響で、トナカイが餓死の危機に陥っているとする論文を英専門誌「バイオロジー・レターズ」電子版( 「Biol.Lett.,12(2016)20160466」)に発表した。13~14年にロシアのヤマル半島では約6万頭が死んだという。
IUCNは今年公表した「レッドリスト」でトナカイを初めて絶滅危惧種に分類。絶滅の恐れはない「軽度懸念」から、絶滅の危険が増大している「絶滅危惧2類」に引き上げた。約21~27年間で個体数が40%減少したと推定している。(小堀龍之)

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絶滅が危ぶまれているトナカイ=2016年1月、ノルウェー


(朝日新聞デジタル)

「英国やノルウェーの研究チームは今月英国で開かれた学会で、北極圏のトナカイの体重が1994年から2010年までに12%減ったと発表した」はノルウェーのスヴァールバル諸島に生息するトナカイのことだが、下図に見えるとおり、スヴァールバルでも20世紀前半の気温は2000年と同じほど高かった。

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図7-21 「Polar Research,33(2014)21349」より

その後は気温が下がり、1970年以降は上昇に転じた。
前節で指摘したとおり、それは自然変動の寄与をハッキリと示している。
確かに21世紀は20世紀前半よりも気温が高いけれど、先に解説したとおり、それは大気汚染が原因である。
実際、スヴァールバルの氷河もススで黒ずんでいる。

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図7-22 「Svalbard’s glaciers are shrinking」より

やはり、CO2排出の影響は弱い。

第6節で指摘したとおり、IPCCの人為的(排出CO2)温暖化説が事実で、「北極圏で気温が上昇して雪が雨に変わると、冬場に草地が氷で覆われてエサが取りにくくなるからだ」なら、ヤマル半島のトナカイはとっくの昔に絶滅しているはずであり、「13~14年にロシアのヤマル半島では約6万頭が死んだ」と騒ぎ立てる必要もなかったのだ。

にもかかわらず、朝日新聞は尚も喚き立てている。[注5]


2017年8月6日の朝日新聞朝刊紙面より

上でも指摘したとおり、北極圏の(年平均)気温は1970年代から上昇しているのだから、「温暖化が進めば、食料となる植物がとりにくくなる恐れが指摘されている」のなら、2000年以降、カリブーは減少し続けているはず。
ところが、「1990年代は2万頭前後だったが、2000年代に増えて10年に約7万頭に」。
「16年には約2万2千頭に急減した」けれど、1990年代と同じ。
「温暖化が進めば、食料となる植物がとりにくくなる恐れが指摘されている」のなら、1万頭を切っているはず。
だから、結局は「原因ははっきりしない」と認めざるを得ない。
最新の研究(但し、「カナダ国境に面する米アラスカ州北東部に広がる国立北極圏野生生物保護区」ではなく、カナダのカリブーだが)に依れば、カリブーの増減には北極振動との関連が認められる。
もちろん、それだけでは説明できないけれど、自然変動の寄与が大きいこと、CO2排出の影響が弱いことは明らかである。

[注1] にもかかわらず、この論文はあべこべに「雲に含まれる液体と氷の量を観測結果に近付くように修正した各種モデルでは5~5.3度になる」と言い立てている が、「雲が太陽光を反射して地球の大気の温暖化を妨げる作用が過大評価されている」なら「CO2が赤外線を吸収して地球の大気の温暖化を起こす作用が過大 評価されている」という事実には知らんぷりし、CO2の過大評価はそのままに、「雲が太陽光を反射して地球の大気の温暖化を妨げる作用」のみを弱めたから にすぎない。
もちろん、論文の著者達もそれは百も承知であろう。
「こうした科学的モデルでは雲が太陽光を反射して地球の大気の温暖化を妨げる作用が過大評価されている」と言うだけでは、IPCCがCO2の影響を過大評価していることを暴くことになり、IPCC学派から攻撃され、研究職をも奪われかねず、さらには、環境団体から攻撃されて、身に危険が及びかねないので、「雲に含まれる液体と氷の量を観測結果に近付くように修正した各種モデルでは5~5.3度になることが分かった」と煽り立てることで、カモフラージュしたのであろう。
科学的な思考ができる人間なら、「こうした科学的モデルでは雲が太陽光を反射して地球の大気の温暖化を妨げる作用が過大評価されている」という部分を見れば、自分達の真意は分かるはず、と思っているのだ。

[注2] これほど黒ずんでいるにもかかわらず、「Geophys.Res.Lett.,42(2015)9319」は、グリーンランドの氷河・氷床は真っ白、と言い張っている。もちろん、IPCCの人為的温暖化説には都合が悪いからである。

[注3] 抗生物質の効かない耐性菌までが世界中の雪氷に拡散している。


氷河や雪渓にも耐性菌 遺伝子変異を知る手がかりに
2013年1月30日22時54分
【中山由美】抗生物質の効かない耐性菌が、人間社会から離れた雪や氷の上にまで広がっていることがわかった。京都府立大や国立極地研究所など日本やチリの研究者のチームが、世界各地の氷床や氷河、雪渓の雪や氷を分析して、英国の環境微生物学誌で報告した「Environmental Microbiology Reports,5(2013)127」。
研究チームが1998~2011年にかけて、北極や南極、日本、中国、アフリカなど世界51地点の氷床や氷河、雪渓で雪や氷を集め、細菌を採取。その耐性遺伝子を調べたところ、アジアは数も種類も多く、グリーンランドでも多数確認された。南極でみつかったのは8地点中一つ、航空機が離着陸する所だけで、南緯70度以南はなかった。
瀬川高弘・極地研特任研究員は「人間の活動の影響から隔絶した雪や氷の上でも多くみつかったことに驚いた」という。「耐性菌は主に北半球を起源とし大気循環で広がったようだ」と牛田一成・京都府立大教授はみている。

2016052501
抗生物質耐性菌を探すため、滅菌した無塵服を着て雪を採取する研究者たち=2011年3月、チリ・パタゴニア氷原のサンラファエル氷河、瀬川高弘研究員提供


(朝日新聞デジタル)

さらに、化学物質も拡散し、北極圏の動物を汚染している。


ホッキョクグマに迫る汚染物質の脅威、研究
2017年1月6日 11:46 発信地:パリ/フランス
ホッキョクグマは一時も心を休めることができない。
北極圏に生息する巨大な肉食動物のホッキョクグマが、気候変動を切り抜けるためにすでに苦闘しているのに加えて、化学物質中毒のリスクにも直面していることが、5日に発表された研究報告で明らかになった。その中毒リスクは、大人のクマで安全とみなされる水準を100倍も上回るという。
米環境毒性化学会(SETAC)の学会誌に掲載された研究論文「Environmental Toxicology and Chemistry,36(2017)1181」によると、汚染された母乳で育つ子グマの場合、このリスクが1000倍に増大するという。
論文の主執筆者で、イタリアのミラノ・ビコッカ大学の毒物学者のサラ・ビジャ(Sara Villa)氏は「今回の研究は(POPsとして知られる)残留性有機汚染物質が北極圏の生態系に及ぼす全般的なリスクを定量化する世界初の試みだ」と述べた。
ビジャ氏と研究チームは今回の研究で、ホッキョクグマ、アザラシ、ホッキョクダラについて、これらの極めて毒性の強い化合物への暴露に関する40年分の調査データを詳細に調べた。
調査データは、米アラスカ州から、スカンジナビア半島の北にあるノルウェー・スバルバル諸島までの範囲に生息するホッキョクグマを対象とした。これらの地域に比べて、ロシアの北極圏の個体群に関するデータははるかに少ない。
拡散性の高い化学物質のPOPsは、自然環境に数十年間残留する可能性があり、食物連鎖で上位に行くほど濃縮され、濃度が高くなる。POPsはプランクトンから魚、アザラシ、ホッキョクグマに至るまでに、高い中毒量にまで蓄積される。工業や農業で使用されるほか、一部は繊維の難燃剤などの消費者向け製品にも使われている。
PCB(ポリ塩化ビフェニル)と呼ばれる化学物質群は、がんやホルモンの混乱を引き起こすことが判明し、1970年代に広く使用禁止となったが、1990年代になっても、北極圏の哺乳類動物の体内には依然として高濃度で蓄積されていた。
その痕跡は今日でもなお残っている。
だが、PCBが減少しても、代わりに新たな汚染物質群が出現し、現在では化学物質による最大の脅威をホッキョクグマに及ぼしていることが、今回の研究で明らかになった。

■子グマに高リスク
「(PFOSとして広く知られる)ペルフルオロオクタンスルホン酸は、哺乳類にとっては猛毒とみなされている」と、論文は指摘する。ホッキョクグマのPFOS体内濃度は驚くほど高く、アザラシの100倍にも及ぶ。さらには、ホッキョクグマが汚染されたアザラシを食べると、毒素の濃度が34倍に高まる。
PCBと異なる点は、PFOSが現在もまだ製造されていることと、脂肪ではなくタンパク質(筋肉)に蓄積することだ。
PFOSは主に、紙、包装、繊維などの撥水・撥油処理剤や、ある種の消火剤の泡などに使われている。

ホッキョクグマの体内組織に存在する有機化合物19種が及ぼす混合の「有害リスク」については、PFOSに由来するリスクがその半分を占めていた。
子グマは特に顕著なリスクに直面している。
これらの新たな脅威を考慮に入れなくても、約2万6000頭と推定されるホッキョクグマの総個体数は今世紀半ばまでに3分の1を失う方向に向かっていることが、最近の調査で結論付けられている。
主な脅威は、海氷の急速な減少だ。ホッキョクグマはアザラシの狩りをするのに、海に浮かぶ海氷を足場として用いる。氷のない海での泳ぎでは、ホッキョクグマはアザラシに勝てない。
科学者らによると、北極圏の気温を地球平均の2倍のペースで上昇させている地球温暖化により、20~30年以内に夏季の北極海で海氷が消失する可能性があるという。
こうした脅威が加わることを踏まえた上で「新たに出現する汚染物質に対する規制措置を継続的に導入していくことが不可欠となる」と、ビジャ氏は警鐘を鳴らした。


(AFP/Marlowe HOOD)

[注4] 名古屋大学地球水循環研究センターの教授は「永久凍土の融解が進めば温暖化は加速し、大地や植物だけでなく人間社会にも大きな影響を及ぼす」と騒ぎ立てているけれど、全く愚かである。
第4章図4-2に見えるとおり、CO2の吸収帯域は288Kのプランク関数のピークに近い。
その温室効果ガスの吸収域がAμmからBμmだとすると、温室効果の強弱はAμmとBμmの間のプランク関数下の面積で凡そ決まるから、吸収帯域がプランク関数のピークに近いCO2の温室効果は強い。
一方、メタン(CH4)の吸収帯域(7.6μm辺り)はプランク関数の裾野にあるから、その温室効果は遥かに弱い。
分子レベルの吸収の強さは温室効果の強さと全く関係ない。
しかも、メタンの吸収帯域の中心からの放射も既に215Kにまで落ち込んでいる。
メタンが放出されても「温暖化は加速」しない。

[注5] 他の記事でも、CO2の排出がアラスカの生態系を脅かしている、と騒ぎ立てている。


2017年7月13日の朝日新聞朝刊の科学欄より

第2節と第7節で解説しているにもかかわらず、「温暖化で氷河喪失」だの、「氷の上で狩りをするホッキョクグマはえさのアザラシを捕まえるのが激しくなりつつある」だのと執拗に煽り立てている。
上記の[注3]で紹介したとおり、化学物質が北極圏を汚染し、命が脅かされているにもかかわらず、可愛らしい動物の写真を見せて、「(CO2の排出で)脅かされる命の保護区」と喚き立てるのは、本当の脅威から目を逸らす以外の何物でない。

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