南極の全く不都合な真実

9.1 西南極の不都合な真実

北極の不都合な真実が露呈してしまい、窮したIPCC学派は、南極に転じて、市民を脅しにかかり出した。


西南極の氷床融解は制止不可能、NASA
2014年5月13日 14:49 発信地:ワシントンD.C./米国
西南極を覆う氷床が「制止不可能」な速度で溶けていると警告する報告を、米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所の科学者が発表した。
今後数十年以内に、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の予測を超える海面上昇が起きるという。
NASAの氷河学者で、米カリフォルニア大学アーバイン校教授のエリック・リグノット(Eric Rignot)氏は「西南極氷床の広大な部分が、不可逆的な後退状態に入っている。元に戻ることが可能な範囲をすでに越えてしまっている。氷床の後退は制止不可能だ」と語る。西南極の氷床の背後には、融解する氷床を支えることのできる巨大な陸地がないことが、調査で明らかになっているという。
科学者たちは何十年も前から、この西南極の「急所」について警告してきたが、詳細な情報を収集できるようになったのは1990年代以降のことだ。
米地球物理学連合の学会誌「地球物理学研究レター」に発表されたリグノット氏の論文「Geophys.Res.Lett.,41(2014)3502」は、西南極における近年の変化を衛星、航空機、船舶、地上から観測した結果、今後2世紀以内に地球全体で1.2メートルの海面上昇を招くだろうと指摘している。
また12日の米科学誌サイエンスScience,344(2014)735に掲載されたコンピューターモデルによる研究結果も、西南極のスウェイツ氷河(Thwaites Glacier)が急速に融解しており、氷河が崩壊すれば、地球全体の海面は60センチ近く上昇すると述べている。論文の著者でワシントン大学の氷河学者イアン・ジョーギン(Ian Joughin)氏は、この氷河の崩壊は避けられず、今後200~1000年の間に起きるだろうと述べている。


(AFP)


南極では年間1590億トンの氷が喪失している、リード大
Published: May 19, 2014.
Japanese text by Lance Gordon and Calvin Greene
南極における3年間に渡る調査活動の結果、南極では年間あたり1590億トンの氷が喪失していることが判った。この新しい調査結果「Geophys.Res.Lett.,41(2014)3899」は、これまでの推定喪失値の2倍となる。
平均すると南極西部では134ギガトン、南極東部では3ギガトン、南極半島部では23ギガトンの氷が2010~2013年の調査期間を通じて年平均で喪失していたこととなり、南極全体では年平均で159ギガトンが喪失していたことになる。
また、南極西部の氷の喪失率は、 今回の調査に使用された CryoSat-2 観測衛星が打ち上げられる前の2005~2010年の比較では、年間当たりの喪失率は31%増加するなど、南極西部の氷の喪失率は、毎年増加傾向にあることも判った。
研究チームでは、南極西部の氷の喪失は特に Amundsen Coast で顕著なものとなっており、モデルによるシミュレーション結果と合わせるとこの領域の氷床は、崩壊に向けた前段階にあることが判るとまとめている。


(ScienceNewsline)

しかし、温暖化が世界平均の倍のペースで進んでいると騒ぎ立てている北極圏でも、実は、CO2以外の要因が大きかったのだから、南極の氷床・氷河の融解はCO2の排出が原因であることを、CO2の排出が南極の氷床・氷河融解を招くメカニズムを説明できない限り、「不可逆的な後退状態に入っている。元に戻ることが可能な範囲をすでに越えてしまっている」などと言えるはずがない。
そこで出てきたのが、この論文である。


南極海に吹く風、過去1000年で最も強く 豪研究
2014年5月19日 16:51 発信地:シドニー/オーストラリア
気候変動に起因する気象パターンの変動により、南極海では過去1000年で最大級の強風が吹き、また南極での気温低下とオーストラリアでの干ばつも増加しているとの研究論文がこのほど、英科学誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ」に掲載された。(「Nature Climate Change,4(2014)564」)
「吠える40度」との異名をとる南極海周辺の海域では、西風が非常に強く吹く。今回の研究を発表したオーストラリア国立大学の研究者らによると、大気中の二酸化炭素濃度が上昇することでその風力はさらに増し、またルートも南極側に移動するという。
研究を率いたネリリー・アブラム(Nerilie Abram)氏は、地球上で最大級の波がうねり、最強クラスの強風が吹くことで知られる南極海について、 「風の威力は過去1000年で最も強まっている。風力の増大は過去70年でとりわけ顕著にみられ、我々の観測結果と気候モデルとを照らし合わせると、温室効果ガスの上昇との関連性があることは明白だ」と述べた。
研究ではまた、他の大陸と同じような気温の上昇が南極でみられない理由についても明らかにされている。
同氏によると、海域に吹く西風は、南極の東部地域までは達しないものの、循環して上空を覆う寒気を集め、オーストラリアにもたらすはずの雨を奪うと説明。「地球全体で温暖化が進行し、とりわけ北極地域では世界中で最も速いペースで気温の上昇が観測されているのにもかかわらず、南極で気温の上昇がみられないのはこうした理由からだ」と述べている。

今回の研究では、南米で採取した樹木の年輪や湖沼のデータや、南極で採取した氷床コアを南半球一の性能を誇るANUのスーパーコンピュータ「ライジン」を使用して分析した。
■局地的に進む温暖化を説明
今回の研究は、西風が極寒の南極大陸をさらに寒冷化させ、同時に大陸で唯一直接吹き付ける南極半島を「例外的な速さ」で温暖化を進行させている理由を説明するものにもなっている。
風力の増した西風は、南極海から温暖で湿った空気を運び、南極半島──西風が直接当たる大陸唯一の場所──の気温を上昇させる。ここでの温暖化のペースは南半球で最も速く進行しており、科学者たちは氷床の融解および周辺地域での海面上昇に懸念を抱いているという。
今回の研究で気候モデリングを担当したニューサウスウェールズ大学のスティーブン・フィップス(Steven Phipps)主任研究員は、人類が二酸化炭素を排出してきたことで、20世紀には風速200キロ程度とみられていた西風に変化が生じ、さらに1970年代からは、フロンガスの排出によって引き起こされたオゾンホールの拡大によってこの変化が加速化してきたと説明する。
同氏は今後予想される気候変動シナリオのうち中程度のものでさえ、この傾向が21世紀も続くことが考えられる」と指摘し、オーストラリアの冬はより乾燥することになるだろうとした。


(AFP)

ところが、この論文を精査すると、「温室効果ガスの上昇との弱い関連性があることは明白だ」。

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図9-1 「南米で採取した樹木の年輪や湖沼のデータや、南極で採取した氷床コア」からSouthern Annular Mode (SAM)を再現したデータ(「Nature Climate Change,4(2014)564」より)

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図9-2 気候モデルでのSouthern Annular Mode (SAM)(「Nature Climate Change,4(2014)564」より)

図9-1の黒線が復元されたデータで、図9-2の赤線が気候モデルの計算値。
案の定、気候モデルはホッケー・スティック状になっていて、1900年以前のデータを全く再現できない。
しかも、細い黒線では1800年頃が2000年と同じである。
もちろん、1800年頃に「温室効果ガスの上昇との関連性がないことは明白だ」から、「観測結果と気候モデルとを照らし合わせる」なら、自然要因を無視できないこと、気候モデルはそれを全く考慮していない、と言うよりも、できないことは「明白」であり、従って、「温室効果ガスの上昇との関連性があることは明白だ」と言えないことは「明白だ」。
さらに、図1の太い黒線を見ると、20世紀は単調に増加しているように見えるけれど、そして、それを以ってして、「風の威力は過去1000年で最も強まっている」と言い張っているのだが、そこに誤魔化しがある。

図9-1の1900年以降をより詳細に表示したのが下図である。

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図9-3 「Nature Climate Change,4(2014)564」の「Supplementary Information」の図3より

「風の威力は過去1000年で最も強まっている」と言い立てているけれど、1000年前の気候に観測データは存在しない。
最近100年の観測データ(「station based」)をおおよそ再現できるように、1000年前からの気候を復元(「proxy based」)する。
確かに、20世紀後半はほぼ整合しているが、1930年~40年は「station based」が正の値なのに対して、「proxy based」は負の値になっている。
だからこそ、図9-1の太い黒線は単調に増加しているのだが、「station based」と一致しない以上、図9-1の太い黒線が正しいとは言えず、従って、「風の威力は過去1000年で最も強まっている」と言えないことは「明白だ」。
CO2の排出が激増したのは20世紀後半なのだから、「station based」の1930年~40年は自然変動であり、従って、2000年前後も1930年~40年と同様の自然変動であると考えるのが合理的であろう。

もちろん、南極の観測基地のほとんどは20世紀後半に設営されたから、20世紀前半に関しては、「station based」が正しいとは限らないが、そして、この論文は「proxy based」の方が正しいと言いたいのだろうが、1930年~40年に西南極の氷床が解けていたことは、1年前の研究で確認されていた。[注1]


最近の南極における気候や氷河の変化は正常な範囲の上限
Published: April 15, 2013.
Japanese text by Henry Carroll and Louis Cooper
過去数十年において南極大陸の氷河が薄くなってきている。最新の研究の結果からこの氷河が溶けるスピードは加速しており、地球の海水面の上昇に重大な影響を与えることを示唆している。
新しい南極の氷床コアに関わる研究結果は、これらの変化はダイナミックなものとなるが、人間活動に由来した地球温暖化が原因だとは言い切れないことを示唆するものとなった、と University of Washington の professor Eric Steig は述べている。
Steigによる以前の研究「Nature,457(2009)459」では、南極における氷河の急速な縮小は、気温の上昇と沿岸近くの大気循環の変化によるものと結論を得ていた。そして彼がUWの Qinghua Ding と共同で行った新しい研究によると1990年代以降の南極の温暖化の原因は、熱帯太平洋における El Nino の状態に原因があるとしている。
彼らの新しい研究によると、1990年代は気温の急上昇を示したが、1830年代や1940年代などの他の10年間(decades)と比べて、大きくな変化は生じてはいないことが判ったとしている。
「もし私達が、1940年代か1830年代の南極に戻った場合、その当時の気候は現在と非常に良く似ていることが判るでしょう。また、私は、当時の氷河の後退に関しても、現在起きているのと同様に当時も起きていたことを発見したのですとSteigは述べる。彼はこれらの研究成果を「Nature Geoscience,6(2013)372」を通じて発表した。
研究チームはこれらの結論を得るために、南極西部の氷床から氷のコアを採取し、過去2000年間に渡る気候変動について調べた。そして南極では1990年代に起きたのと同じような気象パターンが過去においても数回生じていることを発見した。


(ScienceNewsline)

しかも、図9-3の「proxy based」でも2000年以降は減少に転じている。
ということは、1980年以降の増加は自然変動だった、ということである。
実際、その後の一連の研究、「Nature,535(2016)411」、「Nature Climate Change,6(2016)917」、そして、「Climate Dynamic,46(2014)263」で、「自然変動との強い関連性があること」が確認された。
「温室効果ガスの上昇との弱い関連性があることは明白だ」。

さらに、「とりわけ北極地域では世界中で最も速いペースで気温の上昇が観測されているのにもかかわらず、南極で気温の上昇がみられないのはこうした理由」ではないことも明らかとなった。


We can conclude that the role of CO2 in the Antarctic climate is somewhat different to the rest of the planet: Increasing CO2 has a rather small direct effect on the Antarctic climate; it even tends to cool the Earth-atmosphere system of the Antarctic Plateau.
・・・中略・・・
This comparison shows that GCMs tend to overestimate the surface temperature. Specifically, 18 of the 21 GCMs report a higher (0.8 to 25.8 W/m^2) LW emission from the surface than the BSRN measurements, whereas the other three models report a lower (1.3 to 7.2 W/m^2) surface emission. This suggests that current GCMs tend to overestimate the surface temperature at South Pole, due to their difficulties in describing the strong temperature inversion in the boundary layer. Therefore, GCMs might underestimate a cooling effect from increased CO2, due to a bias in the surface temperature.


(「Geophys.Res.Lett.42(2015)10422」の「Discussion and Conclusion」より)

「南極で気温の上昇がみられない」理由は、「Increasing CO2 has a rather small direct effect on the Antarctic climate」だった、というわけである。
しかし、「it even tends to cool the Earth-atmosphere system of the Antarctic Plateau」なら、南極の気温は下がっているはずではないか?
下がっている。

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図9-4 「Nature,536(2016)411」の図2より

21世紀の南極の気温は過去500年間で最も低い。
これは第5章図5-14と同じ論文の図で、驚くなかれ、その筆頭著者はネリリー・アブラムである。

たとえ、図9-3の「proxy based」から「温室効果ガスの上昇に因る気温上昇との関連性」を認めるにしても、1910年に「温室効果ガスの上昇に因る気温上昇との関連性」は無いから、1910年の水準までは自然変動の範囲内であり、「温室効果ガスの上昇に因る気温上昇との関連性」は1980年以降の気温上昇分に限られる。
第5章図5-5を見れば、1940年頃と1980年頃の気温(偏差)はほとんど同じだから、北極圏から導かれたのと同じ結論が導き出される。
CO2の排出に因る全球平均気温上昇は0.4℃であり、CO2を排出し続けても気温上昇は1.5℃未満に収まる。
しかも、「Increasing CO2 has a rather small direct effect on the Antarctic climate; it even tends to cool the Earth-atmosphere system of the Antarctic Plateau」なら、南極での影響は微弱。
「温室効果ガスの上昇との関連性があることは明白だ」と言い立てたつもりが、実は、CO2排出は問題にならないことを証明してしまったのである。

9.2 南極海氷の不都合な真実

しかも、西南極の氷は表面から解けているのではなく、つまり、暖かい大気に触れて解けているのではなく、氷床や氷河の底から、つまり、氷床や氷河の下にある岩盤と接する部分から解けているという。


南極西部の氷床、数百年で消失か 海面5m上昇の予測も
ワシントン=小林哲
2014年5月13日11時37分
米航空宇宙局(NASA)は12日、南極西部の氷床が急速に溶け出し、遅くとも数百年で完全に消失する可能性が高いことを過去40年に及ぶ観測で確かめた、と発表した。すべて溶けた場合、海面上昇は少なくとも1.2メートル、最大で5メートル前後に達する可能性もあるという。
NASAによると、南極西部のアムンゼン海域の氷床を衛星観測技術などを用いて測定。氷床とその直下にある岩盤の隙間に温かい海水が入り込み、氷の融解が急速に進んでいることを確認した。氷床の一つでは、20年で約30キロも内側に融解が進んでいた。地球温暖化が影響しているとみられ、「(氷床の溶解は)もはや後戻りすることはない」としている。
一方、南極東部の氷床は西部より安定しているため、急速には溶けないという。


南極の氷床が溶けるメカニズム


(朝日新聞デジタル)

第7章の第7節で解説したとおり、CO2の排出に因る温暖化で北極海の海氷面積が激減していると騒ぎ立てているけれど、「氷床とその直下にある岩盤の隙間に温かい海水が入り込み、氷の融解が急速に進んでいる」のなら、南極でも海氷が激減しているはず。
ところが、全く逆に、南極では海氷が増えている。


南極海氷面積、3年連続最大=北極は6番目に小さく-JAXAなど
2014/9/25-05:02
南極大陸を取り巻く海氷の面積が、3年連続で衛星による観測史上最大を更新したと、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が25日までに発表した。一方、北極海を覆う海氷の面積は観測史上6番目に小さくなったと、米航空宇宙局(NASA)などが発表した。
9月半ばは南極では冬、北極では夏の終わりに当たり、海氷面積が1年でそれぞれ最大、最小となる。両極の氷は地球全体の気候に大きな影響を与えており、長期的な温暖化傾向との関係の解明が期待される。


(時事ドットコム)

これでは、「氷床とその直下にある岩盤の隙間に温かい海水が入り込み、氷の融解が急速に進んでいる」という説明が成り立たないから、IPCC学派は、海氷の増加も(CO2の排出に因る)温暖化が原因、と言い立てている。


南極の海氷:温暖化で増加? 塩分濃度下がる?オランダの気象研究所
地球温暖化は、かえって南極大陸周辺の海氷を拡大させるとの分析を、オランダ王立気象研究所がまとめ、3月31日付の英科学誌ネイチャー・ジオサイエンス「Nature Geoscience,6(2013)376」に発表した。南極観測船「しらせ」が厚い海氷に阻まれて2年連続で昭和基地に接岸できないなど、最近の南極での記録的な海氷拡大の原因が注目されていた。
南極では、氷床が海にせり出した部分である「棚氷」が崩壊し、毎年約2500億トンの氷床が失われている。棚氷の崩壊は温暖化に伴う融解が原因とされ、同研究所は融解で生じた淡水がどう動いているのかを解析した。
その結果、南半球の秋から冬にかけて、水深100~200メートルまでの海面近くに塩分濃度の低い層が形成され、その下層にある温度や濃度の高い海水が上に向かって移動するのを妨げていることが分かった。
塩分濃度が低い水ほど凍りやすい。
観測データからも、この25年間に水面近くの海水の塩分濃度の減少傾向が確認できたという。
米雪氷データセンターなどによると、北極海では海氷面積は10年間で5.3%減少しているが、南極では逆に海氷が1.9%増加した。【田中泰義】


(毎日新聞 2013年4月1日 東京夕刊)


南極の棚氷が激減、今後200年で半減の可能性も
2015年3月28日 12:19 発信地:ワシントンD.C./米国
南極を覆う氷床を保護している棚氷が激減しており、一部地域では20%近く減少したとする研究報告書が26日、米科学誌サイエンス電子版に発表された。(印刷版は「Science,348(2015)327」)
研究は、欧州宇宙機関(European Space Agency、ESA)が1994~2012年にかけて人工衛星で測定したデータに基づいたもので、気候変動が南極の氷に及ぼす影響について新たな情報を提供している。
南極の棚氷は平均400~500メートルの厚さがあり、南極大陸から数百キロ離れた沖合まで達していることもある。この棚氷が薄くなりすぎると、氷床が海に滑り込んで溶け始め、海面上昇が急速に進む可能性がある。
研究者によると、南極の氷の全体量は1994~2003年までほぼ変化がなかったが、その後、融解が急激に加速したという。このままのペースで減少が続けば、南極の棚氷は今後200年で半減すると研究者らは試算している。

英リーズ大学(University of Leeds)極地観測モデリングセンター(Centre for Polar Observation and Modelling)所長のアンドリュー・シェパード(Andrew Shepherd)教授は氷の融解の傾向について「これほどの速いペースで(氷が)薄くなれば長くは持たない。深刻な懸念だ」と語った。


(AFP)

しかし、棚氷の減少も西南極。

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図9-5 「Science,348(2015)327」より

従って、前節で解説したとおり、棚氷の減少、海氷の増加も「温室効果ガスの上昇との弱い関連性があることは明白だ」。
しかも、下図に見えるとおり、南極海氷面積が増大していた中で、西南極だけは減少していた。

2016052602図9-6 2012年9月26日の南極大陸周囲の海氷面積。黄色の線は、1979年~2000年の9月の海氷面積の中央値。(「南極の海氷面積増加、その意味は?」より)

氷床と棚氷が解けて塩分濃度が下がったことが原因なら、西南極の海氷が一番増加していなければならないはずだが、全く逆の結果になっている。
「風力の増した西風」で海氷が陸の方に押し戻されているのかもしれないし、「風力の増した西風」で海水が凍りにくいのかもしれないが、先に指摘したとおり、図9-3の「proxy based」では、1980年以降に「風の威力は過去1000年で最も強まっている」けれど、2000年以降は弱まり出したから、「(CO2の増加で)風力の増した西風」が原因なら、「1994~2012年」の前半10年間は「融解が急激に加速し」、その後は減速するはず。
ところが、逆に「南極の氷の全体量は1994~2003年までほぼ変化がなかったが、その後、融解が急激に加速したという」。
「棚氷の崩壊は(CO2の排出に因る)温暖化に伴う融解が原因」でないことは「明白」であり、従って、「南極の海氷:温暖化で増加」の嘘は「明白だ」。

ならば、南極の海氷増加は何が原因か?


南極海の温暖化、北大西洋からの深層海流で減速か 研究
2016年5月31日 13:39 発信地:パリ/フランス
北大西洋から流れる深層の寒流が、南極への地球温暖化の影響を弱め、海水面上昇のペースを遅らせているとの研究結果が30日、発表された。
英科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)」に掲載された研究論文「Nature Geoscience,9(2016)549」によると、厚さが最大4キロに及ぶ氷に覆われた雪の大陸、南極のこの氷のように冷たい「断熱材」の効果は、数百年にわたって持続する可能性があるという。
今回の結果は、海抜の低い地域に住む数億の人々にとっては朗報だ。海水面が2100年までに最大で1メートル上昇し、それらの人々が脅威にさらされる事態が、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が発表した最新報告書で予測されていたからだ。
最近の研究では、水温上昇に伴う表層海水の膨張に加えて、氷河群や2つの巨大な氷床からの流出水によって、海水位がさらに上昇する可能性があることが示唆されている。
巨大氷床の一つは、グリーンランドの上にあり、もう一つは西南極にある。広大な南極大陸のごく一部である西南極は、残りの部分より速いペースで温暖化が進行している。
東南極の融解が同様のペースで進行すれば、世界中の海岸地帯にある人間の居住地には壊滅的な影響が及ぶと考えられる。
過去半世紀にわたって気候変動が南極海に及ぼした影響については、進行のペースがほかの地域の海洋に比べてはるかに遅いことが、科学者らの間で長年知られている。
また、その理由も科学的に判明している。南極大陸の氷床が圧倒的な広大なこと、太陽光の反射率が高い海氷が大陸を囲んでいること、大陸を巡る風と海流が緩衝地帯のような機能を果たしていることなどが、理由として挙げられている。
だが、今回の最新研究では、深層海流のベルトコンベヤーに重要な役割が割り当てられている。この海流に乗って、水温ほぼ1度の氷のように冷たい海水が北極地方から運ばれる。
論文の主執筆者で、米ワシントン大学の研究者のカイル・アーマー(Kyle Armour)氏と研究チームは「南極海で温暖化を減速させている第一の原因は、背景に存在する海洋循環だ」と論文に記している。
海流の動きは、速やかではない。南極大陸の周囲で現在、深層から湧き上がっている海水が、北から南への大西洋横断の旅を始めたのは、産業革命の黎明(れいめい)期以前のことだと、論文は指摘している。
だが、その効果は今後も持続していく。

地球上の他の地域で干ばつ、巨大暴風雨、異常気象などの発生を後押ししている温室効果ガスが今後、南極海に深刻な影響を与えるのは、ほんの「数百年の時間スケール」の間だけだと、研究チームは結論付けている。


(AFP)

第13章(の図13-1)で解説するけれど、「海流の動きは、速やかではない。南極大陸の周囲で現在、深層から湧き上がっている海水が、北から南への大西洋横断の旅を始めたのは、産業革命の黎明期以前のことだ」はIPCC第5次報告書にも明記されている。
しかも、論文の図を見ると、「南極海で温暖化を減速させている」どころか、南極海は冷えている。

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図9-7 「Nature Geoscience,9(2016)549」の図1より

前節で解説したとおり、「Increasing CO2 has a rather small direct effect on the Antarctic climate」だから、「北大西洋から流れる深層の寒流」で冷やされているのだ。
「南極の海氷:温暖化で増加」でないことは「明白」であり、従って、「棚氷の崩壊は(CO2の排出に因る)温暖化に伴う融解が原因」でないことは「明白だ」。

9.3 火山の不都合な真実

以上から明らかなとおり、西南極では「氷床とその直下にある岩盤の隙間に温かい海水が入り込み、氷の融解が急速に進んでいる」のではない。
にもかかわらず、氷床や氷河の下にある岩盤と接する部分から解けているのであれば、その原因はこれであろう。


火山活動で南極氷床の融解加速か、米研究
2013年11月18日 15:34 発信地:パリ/フランス
南極の氷床の融解速度が増加している原因の一部は、南極大陸東部の氷の下の活火山にあるのかもしれないとの研究論文が17日、英科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス」に発表された。(「Nature Geoscience,6(2013)1031」)
国連(UN)の気象学者らが9月に行った発表によると、南極氷床の平均年間消失量は2002年から2011年の間で約300億トンから約1470億トンに増加した。
氷河の陸氷が大量に集まった氷床は、グリーンランドの大半や南極大陸などを覆っており、地球上の淡水の大半が含まれている。
氷床は常に移動しており、それ自体の重みによって、下方の海の方向にゆっくりと流れている。氷床が海水の上にまで広がった部分は「棚氷」と呼ばれる。
これまでの研究では、南極氷床の消失率が増加した原因は、南極大陸の周囲を循環して流れている海水の温度上昇にあるとされてきた。この説では、海水が棚氷を融解させ、棚氷が消失する量が増えるにつれて、氷床の流れが速くなり、氷床の氷が海に溶け出す割合も上昇するとしている。
だが、米ワシントン大学のアマンダ・ラフ(Amanda Lough)氏率いる地質学者チームは最新の論文の中で、南極大陸西部で氷床の流れが速くなっている要因は「火山」にもある可能性を指摘している。
火山によって氷の下面が熱せられて融解することで、氷床の流れを円滑にしているかもしれないのだという。
この説の証拠をもたらしたのは、最近導入されたセンサーだ。このセンサーは、2010年と2011年の2回にわたり、南極西部の高原地方のマリーバードランド地下で発生した地震活動の「群発」を記録した。
研究チームは、氷を透過するレーダーを使用して、同地方の地下1400メートルのところに、約1000平方キロの大きさの興味深い楕円(だえん)形の火山灰とみられる堆積物があるのを発見した。チームは、噴火以降の氷の堆積速度が年間12.5センチとの仮定に基づき、噴火の時期を約8000年前と推定している。
こうした観測結果により、マグマ活動が現在も進行中であることや、火山活動が南方へ移動し続けていることを示す有力な証拠が得られたという。
南極西部には複数の火山が存在することが知られていたが、これらはすべて活火山ではないと考えられていた。
「この場所で発生する噴火は、上部に堆積している厚さ1.2~2キロの氷を貫通する可能性は低いが、氷の移動に重大な影響を及ぼす可能性のある融解水を大量に発生させるだろう」とチームは述べている。


(AFP)

この事実は「PNAS,111(2014)9070」、「Earth and Planetary Science Letters, 407(2014)109」、そして、「Science Advances」でも確認されたし、その後も、続々と論文が出ている。


南極の氷の下から新たに91もの火山を発見、世界最大級の火山地域に
2017年8月15日 12時30分
by Din Muhammad Sumon
南極を覆う氷床の2km下に世界最大級の火山地域があることを、スコットランド・エジンバラ大学の研究者らが明らかにしました。(「Geological Society special publication」)
南極を覆う氷床は分厚く、火山の存在を直接的に確認することはできません。そこで、研究者らはレーダイメージングを使って火山の仰角モデルをデジタルで作成。確認された起伏が火山であるかどうかを調べるために、高さと幅の比率に基準を設け、さまざまな角度からデジタルモデルを確認して判別を行いました。
調査の結果、研究チームは「West Antarctic Rift System」と名付けられた地域から178個の円錐状の構造を発見。そのうち138個が火山だと結論づけました。発見された火山は100mから3850mの高さで、138個のうち91個はこれまでに確認されていなかったものでした。また、この地域には約1万2400平方キロメートルに1つの火山があると計算されており、世界で最も大きな火山地域の1つになると見られています。
発見された火山の分布は以下のような感じ。

研究者らによると、発見された火山のうち1つが噴火した場合、噴出物が地上にまで吹き出ることはないものの、南極西部の氷床全体が不安定になる可能性があるとのこと。火山が噴火すれば氷床が溶け、氷が海へと流れ出すスピードがあがるため、地球の海面レベルが上昇するのではないかと懸念されています。研究チームはアイスランドの氷河が火山の熱から影響を受けていることに触れており、また、温暖化によって南極の分厚い氷が失われることで火山活動を活性化させてしまう可能性についても指摘しています。
一方で、発見された火山が活動状態にあるかどうかは、記事作成時点では不明。今回の研究をきっかけとして、火山が活動状態にあるかどうかが将来的に明らかになる可能性はあるとされていますが、現在の氷床の状態にこれらの火山が影響を与えているとは考えられていません。
調査を行った1人である Robert Bingham 氏は「こんなにも多くの火山が見つかるとは予想していませんでした。これまで南極西部にあると考えられていたおよそ3倍もの火山が存在していたのです。我々は、ロス棚氷の下の海底にはさらなる火山があるのではないかと考えています。この地域は、ニーラゴンゴ山やキリマンジャロ、ロンゴノット山など数々の活火山が集中している東アフリカよりも大きく、世界で最も密度の高い火山地域になりそうです」と語っています。


(GIGAZINE)


氷は下からも溶けていた? 南極大陸の地下に存在が指摘される「熱源」とは
Dave Mosher
Nov. 12, 2017, 03:00 PM

南極の氷が動くスピードを可視化した地図。
NASA’s Goddard Space Flight Center Scientific Visualization Studio

南極は地球上のどの場所よりも早く温暖化が進んでいて、それが地表の氷が溶ける原因となっている。
南極大陸の分厚い氷床の下の溶けた水が、潤滑油のようになって氷床を海へと動かしている。
新しい研究は、マントル・プルームが南極西部の地下に存在するとのアイデアを裏付けるものだ。
このマントル・プルームが南極西部の氷をこれまでになく大量に消失させている可能性がある。

今日、南極大陸は地上の熱の影響を大きく受けている。これも200年にわたり二酸化炭素を排出し続けた、人間の活動のおかげだろう。
一方で、南極大陸は地下からの熱にも直面していると考える研究者が増えている。マントル・プルームと呼ばれるマントル(地球の核と地殻の間にある層)の内部から発生する上昇流の熱が地殻から漏れ、南極大陸の氷床の下部を溶かしているのだ。
このアイデアが最初に提唱されたのは、30年前のことだ。マントル・プルームの影響は、氷床の消失が最も急速に進み、地球の海面上昇にも貢献している南極西部で特に顕著なようだ。これが偶然だと考える科学者は(少なくとも初期段階においては)少ない。


衛星観測により、南極西部で最も劇的に氷床が薄くなっていることが分かった。ESA/Planetary Visions

「最初はクレイジーな考えだと思っていた」気候学者で、NASAジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory)の氷の研究者でもあるエレーヌ・セロウシ(Helene Seroussi)氏は、プレスリリースの中でこう述べた。「これだけの熱量があって、どうすればその上に氷が存在できるのか、わからなかった」
しかし、セロウシ氏らによる新たな研究は、高度なコンピューター・モデリングを使って、マントル・プルームの存在と、それが氷床を溶かす原因になっていることを裏付けるものだ。

この研究成果「J.Geophys.Res.,122(2017)7127」は Journal of Geophysical Research: Solid Earth で、9月1日に公表された。

地下を探る
地球内部の熱は、常に地表を暖め続けている。全ての氷床の下の岩盤も含めてだ。だが、それは地下から一部の氷を溶かしても、地上で積もった雪や氷により、通常は相殺される。
だが、南極の氷を調査する科学者らは、長い年月を経て、南極西部がその例外であることを示してきた。衛星データによると、南極西部では大陸の他のどの場所よりも劇的に氷床が薄くなっている。
産業革命以来、北極と南極は地球上の他のどの地域よりも早いスピードで温暖化が進んでいる。南極大陸では氷床が上から溶け始め、その溶けた水が氷床の上に溜まっていて、巨大氷山の誕生を促す可能性もある。
だが、気温の上昇だけでは南極大陸で失われた氷の量を完全には説明できない。そのため、研究者らは近年、その答えをより深く探ろうとしてきた。

答えは氷の下に

南極大陸の氷河の下の湖(薄い水色の点)と川(濃い青色の点)のシステム。マリーバードランド・ドーム(赤色の矢印)は南極西部の地下にある。NSF/Zina Deretsky

こうした研究によって、氷河の下にある湖や川の巨大システムが明らかになり、報告された。穴が掘られたり、実地調査まで行われた。
この水が潤滑油のような役割を果たし、氷床を雪山から海へ向かって動かしている。氷河の下を流れる水が多い場所ほど、氷床が動くスピードも溶けるスピードも速い。
科学者らはまた、「マリーバードランド・ドーム(Marie Byrd Land Dome)」と呼ばれる、南極西部の地殻にある隆起の謎にも取り組んでいる。当初、その場所の地殻は薄いと考えられていたが、地震探査測定の結果、その考えが誤りであることが明らかになった。
何か別のものが作用している──そして、最新の地震探査(地殻とマントル用の3Dレーダー)によって、南極西部の地下にマントル・プルームが存在する可能性が出てきた。(音の伝わるスピードが固体中よりも液体中で遅くなるように、地震の揺れが伝わる速度もより高温で、粘度が高く、密度の低い岩盤の中で遅くなる)


地震探査測定の結果、南極西部の地下にマントル・プルームが存在する可能性が出てきた。
Helene Seroussi et al./JGR Solid Earth; Business Insider

マントル内部で起きたイレギュラーの可能性もあることから、セロウシ氏とその同僚らはアメリカのイエローストーン国立公園の地下にある巨大なマントル・プルームのシミュレーションに使われたコンピューターモデルを借りることにした。
NASAジェット推進研究所によると、研究者らはマントルや南極大陸、その氷床について、分かっている全ての物理特性──変化する位置、動き、動きによって生じる摩擦、溶解速度など──を入力し、何度もシミュレーションした。
こうしたシミュレーションによって、マントル・プルームから発生する熱量が、アメリカの非火山地域の通常のマントルに比べ、最大3倍多い可能性が示された。イエローストーン国立公園の地下のマントルと比べても、その熱量は火山活動が盛んなこの地域の75%にあたる。
この熱量を南極大陸の地下の溶解速度と比較したところ、南極西部以外で一致する場所はなかった。南極西部では、地殻の亀裂や断層から急速に熱が上に向かって放出されている可能性があると、研究者らは論文に書いている。
「マントル・プルームのような熱源がなければ、我々のシミュレーションによると、通常の地熱と地殻資源から氷の下にある膨大な水を作り出すのに必要なエネルギーが供給されることはない」

(翻訳/編集:山口佳美)


(Business Insider Japan)

「西南極のスウェイツ氷河(Thwaites Glacier)が急速に融解して」いる主な原因は、CO2の排出ではなく、地熱だった。

「西南極氷床の広大な部分が、不可逆的な後退状態に入っている。元に戻ることが可能な範囲をすでに越えてしまっている。氷床の後退は制止不可能だ」と喚き立てていた「米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所の科学者達」は、その後も執拗に喚き立てている。


南極の氷消失、1992年以降3兆トン
2018年6月14日 19:37 発信地:パリ/フランス
南極では1992年以降、3兆トンに及ぶ膨大な量の氷が消失したとする画期的な研究結果が13日、発表された。地球温暖化の進行に歯止めがかからなければ、南極大陸の氷によって地球の海岸線が一変する可能性があることを、今回の結果は示唆しているという。
科学者84人からなる国際研究チームが英科学誌ネイチャーに発表した論文「Nature,558(2018)219」によると、氷の消失の5分の2は最近5年間に発生したもので、厚さ数キロの南極氷床の消失速度がこの間に3倍に加速したという。
今回の研究結果により、南極大陸の氷塊が減少傾向にあることへの根強い疑念が完全に払拭(ふっしょく)されるはずだと、論文の執筆者らは主張している。

さらに、数億人が暮らす沿岸地域の低地に位置する都市や町が、地域の存亡に関わる脅威に直面していることが、今回の結果で浮き彫りになった。
論文の主執筆者の一人で、米航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所(JPL)の科学者のエリック・リグノット(Eric Rignot)氏は「今回の研究により、南極で現在起きていることの明確な状況を把握できた」と語る。同氏は地球の氷床の追跡調査を20年にわたり続けてきた。
科学者らはこれまで、降雪によって蓄積される氷の量が、融解水や氷河流動の海への流出による氷の消失量を上回るかどうかの判定に取り組んできたが、明確な答えは得られていなかった。
だが、今回の最新研究では、独立した24の宇宙ベースの調査から収集した衛星データ20年以上分を用いることで、より詳細な全体像を把握することについに成功した。
米国本土の約2倍の面積を持つ南極大陸は、世界の海を60メートル近く上昇させるのに十分な量の氷に覆われている。
南極の氷の90%以上は、東南極地域にある。気候変動によって地球の平均表面温度が1度上昇した中でも、東南極の氷はほぼ安定した状態を保ってきた。
■「段階的増加」
最近の数十年間では氷量の増加分が減少分を上回っていることが、一部の研究で示唆されていた。
一方で西南極、特に南極半島は、地球温暖化の影響をはるかに受けやすいことが判明している。この地域では、1995年以降に6500平方キロ以上に及ぶ棚氷が分離して海に流出した。
今回の研究では、過去25年間に南極大陸から消失した氷の大半は西南極に由来するものであることが明らかになった。
1992年以降に消失した氷2.7兆トンは、海水面を約8ミリ上昇させた。
現在の傾向が続くと、デンマーク領グリーンランドの氷床や山岳氷河からの流出水や温暖化に伴う海水の膨張などを抑えて、南極が海面上昇の単一の最大要因となる可能性があることが、今回の研究で分かった。
最新の研究結果によると、南極の氷の消失速度は、2012年までの20年間は年間約760億トンだったが、2012年以降は平均して年間2190億トンにまで急上昇したという。
研究チームを率いた英リーズ大学のアンドリュー・シェパード(Andrew Shepherd)教授は「この10年の間に、南極からの氷の消失量に段階的増加が生じた」と指摘する。
「南極大陸は現在、過去25年間で最も速いペースで海面上昇を引き起こしている」


(AFP)


南極の氷河の下に巨大な空洞が発見される
2019年2月5日(火)15時30分
松岡由希子
<南極大陸西部にあるフロリダ州とほぼ同じ大きさのスウェイツ氷河が、急速に溶けていて氷河の下に巨大な空洞が存在することが明らかになった>
南極大陸西部に位置し、南極海の海域のひとつであるアムンゼン海に流れ込むスウェイツ氷河の下に巨大な空洞が存在することが明らかとなった。
マンハッタン島の3分の2に相当する大きさの空洞も発見
アメリカ航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所(JPL)を中心とする共同研究チームは、2019年1月30日、オープンアクセスジャーナル「サイエンス・アドバンシーズ」において、「1992年から2017年にかけて、スウェイツ氷河の流動速度が加速し、氷が薄くなり、氷河と海との境界線が後退している」との研究論文を発表した。
この観測では、スウェイツ氷河の下で、米ニューヨーク市マンハッタン島の3分の2に相当する大きさの空洞も発見された。その高さはおよそ1000フィート(約305メートル)で、140億トン分の氷を擁しており、そのほとんどは過去3年で溶けたとみられている。

氷河の下の熱と水がより増えれば、融解はより速く進む
今回発見された空洞の規模と急速な進行度合いには、共同研究チームも驚いており、研究論文の筆頭著者であるピエトロ・メリロ博士は「スウェイツ氷河の下の空洞の規模は、氷河の融解に重要な役割を果たしている。氷河の下の熱と水がより増えれば、融解はより速く進むだろう」と述べている。
研究者たちは、長年「スウェイツ氷河では氷と岩盤との間に隙間が存在し、ここに海水が下から流れ込んで氷河を溶かしているのではないか」と考えてきた。
スウェイツ氷河は地球の海面上昇の約4%を担っている
今回の観測では、極地と気候システムとのつながりを研究するNASAの専門プロジェクト「オペレーション・アイスブリッジ」の飛行機に搭載された専用レーダーの測定データに加え、イタリア宇宙機関(ASI)の小型地球観測衛星「コスモスカイメッド」やドイツ航空宇宙センター(DLR)の地球観測衛星「タンデムエックス」の合成開口レーダー(SAR)からのデータも使用し、これらの超高解像度データをレーダー干渉法で処理することで、氷河下の地表がどのように移動したのかを分析することに成功した。
米国のフロリダ州とほぼ同じ大きさのスウェイツ氷河は地球の海面上昇の約4%を担っており、すべての氷が溶けると地球の海面が2フィート(約61センチ)以上、上昇するとみられている。
アメリカ国立科学財団(NSF)とイギリス自然環境研究会議(NERC)は、その特徴とプロセスを解明するべく、「国際スウェイツ氷河共同研究(ITGC)」を共同で立ち上げ、2019年から2020年の夏シーズンにフィールド調査を開始する計画を明らかにしている。
気候変動に伴って地球の海面上昇がどれくらいのペースで進行するのかを予測するうえでも、南極の氷河の底をさらに詳しく研究する必要がありそうだ。


(NewsWeek)

「氷の消失の5分の2は最近5年間に発生したもので、厚さ数キロの南極氷床の消失速度がこの間に3倍に加速した」と喚いているけれど、第13章で解説するとおり、「宇宙ベースの調査から収集した衛星データ」に依れば、1998年からは気温上昇が進んでいない。
「南極では1992年以降、3兆トンに及ぶ膨大な量の氷が消失した」だの、「1992年から2017年にかけて、スウェイツ氷河の流動速度が加速し、氷が薄くなり、氷河と海との境界線が後退している」だのと喚いているけれど、次章で解説するとおり、「宇宙ベースの調査から収集した衛星データ」から自然要因を除けば、実のところ、1993年から気温上昇は進んでいない。
「氷の消失の5分の2は最近5年間に発生したもので、厚さ数キロの南極氷床の消失速度がこの間に3倍に加速した」のは、そして、「スウェイツ氷河の下で、米ニューヨーク市マンハッタン島の3分の2に相当する大きさの空洞も発見された。その高さはおよそ1000フィート(約305メートル)で、140億トン分の氷を擁しており、そのほとんどは過去3年で溶けたとみられている」のは、地熱で解けていることを裏づけただけである。

9.4 ラーセン棚氷の不都合な真実

しかし、IPCC学派は尚も抗う。
CO2の排出に因る温暖化でラーセン棚氷が崩壊した、と喚き立てている。


南極の巨大氷山、大陸から分離 重さ1兆トン
2017.7.13 9:52
南極大陸西部にある南極半島で、重さ1兆トンを超す巨大な氷山が棚氷から分離した。棚氷の亀裂の様子を観測していた英MIDASプロジェクトの研究チームがこのほど発表した。
分離した氷山の面積は5800平方キロ。北米のエリー湖の約2倍、英ロンドン市の約3倍に相当する。10~12日の間に、南極半島の「ラーセンC」と呼ばれる棚氷から分離したことが、米航空宇宙局(NASA)の衛星で確認されたという。
この氷山は「A68」と命名される見通し。南極から分離した氷山の中で最も面積が大きいのは、2000年3月にロス棚氷から分離した「B15」の1万1007平方キロで、A68はその半分程度の面積になる。
ラーセンCは南極で4番目に大きい棚氷。1年以上前から亀裂が拡大する様子が観測されていた。南極半島では1995年に「ラーセンA」棚氷が、2002年には「ラーセンB」棚氷が分離している。今回の分離によって、ラーセンCの面積は12%以上縮小し、半島の地形も大きく変化した。
分離は自然現象だが、研究チームは地球温暖化が影響を及ぼした可能性についても調査している。MIDASプロジェクトチームの研究者によると、気候変動との直接的な関係は現時点では確認されていないという。
これに対して米カリフォルニア大学の研究者は、地球温暖化が南極の不安定化の一因になっていることは明らかだと指摘。「今回の分離は、棚氷が薄くなりすぎていることの証だ」「薄くなっているのは気候の温暖化が原因であり、あと数十年でこの棚氷は崩壊する。これは間違いなく気候温暖化に関係している」と警鐘を鳴らした。


(CNN)

しかし、分離したのは7月。
南極の7月は真冬。
真夏の1月に分離したのなら、まだしも、7月に分離したのに、どうして「これは間違いなく気候温暖化に関係している」と言えるのか?
それとも、IPCCの気候モデルでは南極の7月は真夏なのだろうか?

しかも、下図に見えるとおり、「ラーセンC」辺りの7月の気温(偏差)はきわめて低かった。


図9-8 2017年7月の全球平均気温偏差(NOAA・NCEP)

気温(偏差)が低かったにもかかわらず、「これは間違いなく気候温暖化に関係している」との言い草は、IPCC学派の非科学性を露呈したと言えよう。

「ラーセンC」の亀裂は1960年代に確認されていた。


今回の分離が気候変動によるものであるという決定的な証拠はないが、海水温の上昇は、棚氷の分離や崩壊を引き起こす原因となっている。
米航空宇宙局(NASA)が1960年代に初めてラーセン棚氷を撮影したときから、今回分離した部分に致命的な亀裂が入っていることは確認されていた。


(「巨大氷山が分離、ナショジオの地図で見る南極の変化」より)

ということは、それ以前、おそらく、20世紀前半から亀裂が生じ始めた、ということである。
CO2の排出は20世紀後半に激増したのだから、「これは間違いなく気候温暖化に関係していない」。


南極の棚氷に割れ目、巨大氷山が分離か 英研究チーム
2017.1.7 17:01
南極の棚氷の動向などを調査する英国の研究者チームは7日までに、南極西部の棚氷で亀裂が発生し、巨大な氷山が分離して誕生する兆しがあると発表した。分離すればこれまで観測された中で最大級の1つになる可能性があるという。
その大きさは約5000平方キロで、米デラウェア州とほぼ同じ面積になるとも推定している。分離が予想されるのは「ラーセンC棚氷」の一角で、棚氷との接触部分の長さは現在20キロとなっている。
英国の研究プロジェクト「MIDAS」は昨年8月、ラーセンC付近の亀裂が半年間で22キロに拡大したと報告。同年12月には割れ目はさらに1カ月間で18キロ伸びたことを突き止めていた。
南極で今回のような過程で生まれた氷山は初めてではない。ただ、今回の分離が実際に起きた場合、ラーセンCの面積の10%以上が消えることになり南極半島の地形が根本的に変貌(へんぼう)しかねないことになると指摘した。
同プロジェクトに加わる研究者のマーティン・オリアリー氏はCNNの取材に、分離すればラーセンCの他の部分も不安定になり、海面上昇などにつながる可能性があると説明。ただ、分離しそうな氷山は確かに大きいが、地球の海洋ははるかにより大きいとも付け加えた。
ラーセンC棚氷付近では2002年、隣接するラーセンB棚氷が激烈な状態で崩壊し、南極大陸周辺の潮流に大量の氷塊を放出する状態となった。この時の崩壊前の状態は、ラーセンCの現状に類似しているという。また、1995年にはラーセンA棚氷も崩壊していた。
MIDASの研究者はこの2つの棚氷の崩壊を受け、ラーセンCの動向を注視し始めていた。
オリアリー氏は、ラーセンAと同Bの崩落は間違いなく気候変動の問題と関係していたと主張。ただ、ラーセンCについては気候温暖化と関連付けられる根拠を研究者は確認していないと述べた。研究者チームは、分離すれば数十年間にわたる研究で判明した地理学的な自然法則の現象が絡んでいる可能性があるとも考えているという。


(CNN)

尚も「ラーセンAと同Bの崩落は間違いなく気候変動の問題と関係していたと主張」しているけれど、ラーセンCだけが「地理学的な自然法則の現象が絡んでいる」などということはあり得ない。
20世紀前半からラーセンCに亀裂が生じていたということは、半世紀以上に亘って何らかの力がラーセンCに働き続けてきた、その作用がラーセンCを介してラーセンBに、ラーセンBを介してラーセンAに働き続けた、ということである。
ラーセンCにはラーセンBという抑えが、ラーセンBにはラーセンAという抑えがあったけれど、ラーセンAには抑えが無かったので、先ずラーセンAが崩壊した。
ラーセンAという抑えが無くなったので、次にラーセンBが崩壊した。
ラーセンBという抑えが無くなったので、ラーセンCも分離したのである。
「ラーセンAと同Bの崩落は間違いなく気候変動の問題と関係していない」。

9.5 東南極の不都合な真実

さらに、南極の氷の全体量はむしろ増えていることも分かった。
(第3節で引用した「南極の氷消失、1992年以降3兆トン」という見出しの記事に「最近の数十年間では氷量の増加分が減少分を上回っていることが、一部の研究で示唆されていた」と記しているのがこの論文。)


温暖化による理論が破綻 “南極の氷増加” 科学者も困惑、海面上昇の原因はどこに…
2015.11.14 14:00
地球温暖化の影響で減少し続けているとされてきた南極の氷が、実は増えていたことが米航空宇宙局(NASA)の観測結果で5日までに分かった。温暖化で南極の氷が溶け出し、海面が上昇しているとの従来の学説を覆すものだ。NASAでは、「海面上昇の要因が南極以外にあることがはっきりしただけ」としているが、温暖化問題を論ずる際の大前提が揺らいだのは事実であり、今月末からフランス・パリで開かれる国連の気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)での議論にも影響を与える可能性がある。
■増加率は鈍化傾向
1日付米紙クリスチャン・サイエンス・モニターや、3日付米CNNテレビ(いずれも電子版)などによると、NASAのゴダード宇宙飛行センター(メリーランド州)らの科学者でつくる研究チームが10月30日、学会誌「Journal of Glaciology,61(2015)1019」に発表した。
研究チームは、NASAと欧州宇宙機関の人工衛星が1992~2008年に南極氷床の高さを観測したデータを収集し、詳細に調査した。その結果、氷は92年~01年には年間1120億トン増えた。03年~08年も年間820億トンの増加を記録するなど、増加率が鈍化していたものの、一貫して増加傾向をたどっていたことが判明した。
では、なぜ氷が増えたのか。その原因は1万年前から降り続く雪だという。雪は毎年1.7センチずつ積もり、数千年にわたって氷の中に圧縮されていく。増加分はこれらの雪とみられる。
■定説の理論が破綻
これまでの学説では、海面上昇の原因は、南極大陸やグリーンランドから溶け出した氷だといわれ、南極西部の氷が溶け出すと地球の海面が約3メートル上昇するといわれてきた。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が13年に発表した報告書では、温暖化の影響で南極の氷は減り続けており、海面が上昇していると断言していた。
また、多くの学者もこれまで、南極の東部や内陸部では氷が増加傾向にあるものの、南極半島と、この半島を含む西部の一部では、温暖化の影響で氷が溶けて減少し続けていると主張。全体として氷は減少しているとして、もはや異論を差し挟む余地はないとみられてきた。
研究チームのリーダーを務めるNASAの雪氷学者、ジェイ・ツバリー氏も今回の研究成果が「南極に関して言われている一般論と食い違っている」と指摘。そのうえで、大陸西部にある南極半島などでは他の研究と同様に減り続けているが、「西部でも内陸部では、東部とともに減少分を上回る勢いで増えていることが確認できた」と明言している。
今回の研究結果が正しいとすれば、「温暖化で南極の氷が溶けて海面が上昇している」との論理は破綻することになる。
■グリーンランドの影響大
もっとも、ツバリー氏ら気候科学者たちは、今回の研究結果が温暖化の終わりを意味するものにはならないともくぎを刺す。
ツバリー氏は「IPCCの報告書の内容が間違っているとしたら、(グリーンランドなど)他の地域で起きている氷の融解などの影響が、従来の推定より大きいことになる」と指摘、海面上昇の原因が南極以外にあることがはっきりしただけで、問題がより複雑化するとの考えを示している。
さらに、今回の研究結果で、南極西部での氷の溶け方が加速する一方、氷の増加傾向は近年、緩やかになっていることも判明しており、ツバリー氏は「(西部での氷の減少ペースが)今のまま続けば、今後20年~30年で全体でも減少に転じるのではないか」ともしている。
今回の結果は、温暖化そのものを否定するものではないが、ことは地球規模での重大な問題だけに、予断を持たずに議論することの重要性を改めて示したといえそうだ。


(SANKEI EXPRESS)

これを知ったIPCC学派は「困惑」し、そして、逆上した。


「南極大陸の氷が増えている」は本当か
NASAの最新の研究結果が物議、真相は?
2015.11.06
南極の氷は減っているのか、増えているのか。そして、そのことは世界の海面上昇にとってどんな意味があるのだろうか。
11月30日からパリで始まる国連・気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)に向けて各国首脳が準備を進める中、この問いは世界の気象学者たちの熱い議論の的だ。そんな折、「南極の氷はむしろ増えている」というNASAの気象学者チームによる研究成果が発表され、物議を醸している。
研究チームは、科学誌「Journal of Glaciology」に掲載された論文の中で、「西南極の氷河質量の減少分は、降雪の増えた東部内陸で氷河が厚さを増したことで相殺されている」と結論を出している。その結果、南極の氷は毎年およそ1000億トンずつ増えているという。
論文の筆頭著者で、米メリーランド州にあるNASAゴダード宇宙飛行センターの主任雪氷圏学者、ジェイ・ズワリー氏は、「こうした氷の増加は、毎年の海面上昇幅が従来の予想より約0.25ミリ小さくなることを意味します」と話す。
この新しい知見について、押さえておくべき要点は以下のとおりだ。
主要な気象学者はこの論文の結論に賛成しているのか
答えはノー。この研究には声高に異を唱える著名な科学者もおり、南極大陸の氷塊は過去数十年で減少しているという、専門家の間で主流の見解にも逆行している。
「この研究には重大な問題があると思います」と語るのは、米コロラド州にある国立雪氷データセンター(NSIDC)の中心的な科学者テッド・スカンボス氏だ。「これが査読を通ったのは不幸なことです」

過去には他の研究が、衛星データに基づいて雪と氷の重量を測定し、南極全体で1000億トン前後の氷が失われたと示しているが、今回の論文はそれらと矛盾する結果になっている。
NASA論文の限界は
ズワリー氏らのチームは、南極大陸上の氷河の増大を計測するのに衛星を使った。だが米ワシントン大学の氷河学者で、同氏らの研究には関わっていないベン・スミス氏は、その技術は1~2センチの高低差に基づいて雪塊の体積を識別する任務には不十分かもしれないと指摘する。
スカンボス氏もこれに同意し、たった1つの衛星で識別するには、地形が複雑すぎる地域があると付け加えた。
米アラスカ大学の氷河学教授エリン・ペティット氏もこの方法について「非常に難しい測定方法であり、私なら相当疑ってかかります」と手厳しい。
もし、南極大陸の氷床全体が実際に増えているなら、なぜ南極大陸が世界の海面上昇を後押ししているのか
「いい質問です」とスカンボス氏は言う。気象学者たちはこれまで、南極での氷の融解が、過去数十年間でわずかながら海面上昇に寄与してきたと報告している。正確な量は激しい議論が続いているが、そのスケールはおそらく数センチの幅だとされる。
南極の氷床が拡大しているとすれば、世界の海面に対して長期的にどんな影響があるのか
ペティット氏は、「ズワリー氏らの推定は、大枠ではほとんど問題にはならないと考えています。南極大陸に雪が多少増えたところで、近い将来に起こる西南極氷床の完全な崩壊は決して相殺されないからです」とみる。ペティット氏はナショナルジオグラフィック協会が助成するエマージング・エクスプローラーでもあり、南極大陸に関する研究に取り組んでいる。「時間のスケールが全く違う作用なのです」
スカンボス氏によると、仮に西南極の氷が全て解けて海に流れ込めば、数メートルもの海面上昇を招く可能性があるという。「東南極の高地で何が起ころうと、このプロセスはすでに始まっており、今後数世紀で現実のものとなるかもしれません」
「1本の論文で揺さぶりをかける」には、異なる証拠や有効な調査が多すぎるとスカンボス氏は語る。
多くの点で重大な氷の融解が南極大陸で起こっており、今後数世紀で海面上昇に寄与する度合いはさらに大きくなるというのが、研究者たちの一致した見解のようだ。
地球温暖化はまだ続いているのか
続いている。今回の論文も、地球が温暖化していないとは全く言っていない。 長期的トレンドについて入手できる最良の科学的知見であるIPCC第5次評価報告書は、依然として温暖化の有力な論拠であり、地球への影響は甚大だと示唆している。一方で、地球温暖化が具体的に世界のどこでどのような変化を起こすかについては、多くが不明のままだ。


(ナショナルジオグラフィック)

「東南極の高地で何が起ころうと、このプロセスはすでに始まっており・・・今後数世紀で海面上昇に寄与する度合いはさらに大きくなる」、「『1本の論文で揺さぶりをかける』には、異なる証拠や有効な調査が多すぎる」と喚き立てているけれど、CO2排出と南極氷床融解の因果関係を説明した論文は先の「南極海に吹く風、過去1000年で最も強く 豪研究」の「1本の論文」のみ。
しかも、その内容を精査したら、実は、因果関係は弱かった。
冒頭で引用した記事は「今後数十年以内に、国連の『気候変動に関する政府間パネル(IPCC)』の予測を超える海面上昇が起きる」と喚き立てていたけれど、「『0本の論文で揺さぶりをかける』には、異なる証拠や有効な調査が多すぎる」。
実際、「その原因は1万年前から降り続く雪だという。雪は毎年1.7センチずつ積もり、数千年にわたって氷の中に圧縮されていく。増加分はこれらの雪とみられる」ことが、その後の研究で裏づけられた。
下図の橙色の線に見えるとおり、南極でも7000年前から1000年前は現在より気温(海水温)が高かった。

2016071301
図9-9 南極の過去8千年間(上のパネル)と1万5千年前から8千年前まで(下のパネル)の気温と積雪の推移(「Geophys.Res.Lett.,43(2016)3795」より)

その結果、紫色の線に見えるとおり、5000年前から1000年前の間に、南極では現在よりも多くの雪が降り積もった。[注2]
この雪が圧縮され続けている結果、南極の氷の全体量はむしろ増えているのだ。

しかし、IPCC学派は尚も抗う。


南極の氷解速度、過去40年で6倍に加速=研究
January 15, 2019 / 7:44 AM
地球温暖化の進行により南極の年間氷解速度が過去40年間に6倍に加速しているとの研究結果が発表された。米国科学アカデミー紀要誌に掲載されたもの「PNAS,116(2019)1095」で、この状況が続けば今後数世紀の間に海面が数メートル上昇する可能性があるとみられている。
研究は東南極氷床の端の部分が解けており、海面上昇を助長していると指摘。西側で発生しているような氷解は東側では回避されているとするこれまでの報告と異なる見解を示した。
研究によると、2009─17年の南極の純氷解量(積雪と氷解の差し引き)は2520億トン。1979─91年の平均は400億トンだった。
研究は南極の氷解により過去40年間で海面を13.2ミリ押し上げる量の水が供給されたと計算。フランス、オランダ、米国の科学者から成る研究チームを率いたカリフォルニア大学のエリック・リグノット地球システム科学教授は、「これはいわば、氷山の一角」と指摘した。
地球の海面は過去1世紀で約20センチ上昇している。他の多くの研究によると、グリーンランドから南極までの範囲で氷解が進み、バングラデシュ、米フロリダ州などの沿岸や、ロンドン、上海などの都市に脅威が生じている。
研究は、1992─2017年に解けた南極の氷の量を1690億トンと推定。昨年に大規模な国際チームが推計したところでは、この期間の氷解量は1090億トンとなっていた。
この差は主に、PNASに掲載された論文がこの期間に東南極で570億トンの氷が失われたと指摘したのに対し、昨年の研究では50億トン増えたとしていたことが原因という。


(ロイター)

「昨年に大規模な国際チームが推計したところでは、この期間の氷解量は1090億トンとなっていた」は、第3節で引用した「南極の氷消失、1992年以降3兆トン」という見出しの記事が採り上げていた論文に他ならない。
「(東南極で)50億トン増えたとしていた」のが「東南極で50億トンの氷が失われた」に変わったのなら、まだしも、なぜ「東南極で570億トンの氷が失われた」に変わったのか?
「(東南極で)50億トン増えたとしていた」は「科学者84人からなる国際研究チーム」の結論。
もちろん、「科学者84人からなる国際研究チーム」だから正しいとは限らないけれど、エリック・リグノットはその研究チームの一員だった。
それなのに、エリック・リグノットと少数の仲間内だけで調べ直したら、なぜ「東南極で570億トンの氷が失われた」に変わるのか?
「今回の最新研究では、独立した24の宇宙ベースの調査から収集した衛星データ20年以上分を用いることで、より詳細な全体像を把握することについに成功した」と言い立てていたけれど、マイナス50億がいとも簡単にプラス570億に変わるということは、その調査ではマイナス50億とプラス570億の判別ができない、それほどいい加減な調査、ということを意味している。
「米アラスカ大学の氷河学教授エリン・ペティット氏もこの方法について『非常に難しい測定方法であり、私なら相当疑ってかかります』と手厳しい」と喚いていたけれど、マイナス50億がいとも簡単にプラス570億に変わったのは、CO2の排出が原因で南極の氷が激減していると主張している研究こそが「非常に難しい測定方法である」ことを露呈しているのであり、「私なら相当疑ってかかります」。

しかし、IPCC学派は尚も抗う。
東南極のトッテン氷河が解け出していると喚いている。
(図9-5で「TOT」と記された場所がトッテン氷河。)


南極の巨大氷河が急速に解けている理由は、気温上昇だけではない──その原因は「西風」にあった
2017.12.30 SAT 10:00
南極大陸東部で最大のトッテン氷河の下部が急速に解けつつあり、すべて解けると海面が約3~6m上昇する可能性が指摘されている。その溶融の原因は気温上昇だけでなく、温暖化によって南極上空に吹く「西風」も関係しているという。そのメカニズムと、知られざる脅威に迫った。
TEXT BY MEGAN MOLTENI
TRANSLATION BY MAYUMI HIRAI/GALILEO
南極大陸東部で最も大きいトッテン氷河。上空から見ると、過去何千年にわたる姿と同様に巨大で安定し、まばゆい白さで輝いている。しかし、その表面下で起きていることとなると、話はまったく別である。トッテン氷河は、下のほうから急速に解けつつあるのだ。
温かい海水の湧昇が、場所によっては1秒あたり22万立方メートルというペースで氷河に流れ込むことにより、氷(が解けた真水)が毎年630億から800億トンも減少しているのだ。
この現象が問題になるのは、トッテン氷河とその棚氷(氷河から押し出されて洋上にある氷)が、南極にあるカリフォルニア州よりも広い面積の氷が分離しないように支えている唯一の部分であるからだ。
氷のすべてが海に流出すると、海面は約3~6mも上昇する。そうなれば、サンフランシスコのシンボルであるフェリービルディングや、マンハッタンのロウワー・イースト・サイドの大部分、ワシントンD.C.にあるリンカーン記念堂などが浸水すると考えられている。
ある意味で、このような状況は驚くにあたらない。研究者たちは何十年も前から、温暖化とともに地球の極氷の量が減少すると予想してきたからだ。
ところが、近年の衛星データやモデル、現地調査などにより、その減少がどの予想よりも速く進んでいることが明らかになった。さらに、南極で氷の減少が加速している原因が、気候変動のなかでもあまり注目されていなかった「風」にあるとする証拠が次々に見つかっている。
この西風は、世の終わりを感じさせる
16年には米国とオーストラリアの研究者たちが、深海の峡谷から上昇する海流によってトッテン氷河の下側が、氷が解けるほど温かい水にさらされていることを発見「Science Advances,2(2016)e1601610」した。その仕組みは謎だったが、17年11月1日付で発表されたその後の研究「Science Advances,3(2017)
e1701681
」によると、南極沖から吹いてくる西風によって湧昇が発生し、氷河の氷の流れが速くなっていることが示された。
この現象が正常ではない理由を感覚的につかむには、海水と氷の接触面で何が起きているかを理解するとわかりやすい。氷河や棚氷が解けるときには、冷たい真水が海の表面に放出され、それよりも温度、塩分、および濃度が高い海水の上に溜まっていく。その境界は段階的ではなく、はっきりしている。冷蔵庫に入れておいたドレッシングが瓶の中で分離し、使う前に再び振らなければならないのと同じだ。
この境界はサーモクライン(水温躍層)と呼ばれ、それが海のどの深さにあるかは正確に測定できる。そして、サーモクラインが氷河のところまで上昇した場合に融解が起きる。

色が変化しているところは、風の影響を受けて温かい海水の湧昇が起こるゾーン。IMAGE COURTESY OF CHAD A. GREENE, UNIVERSITY OF TEXAS INSTITUTE FOR GEOPHYSICS

研究チームは海洋風の記録と、近くに浮かせたセンサーから得られた水温および塩分のストリーミングデータを衛星画像と比較することにより、トッテン氷河地点のサーモクラインを長期にわたって追跡した。その結果、西からの風が強いときは、温度の高い水が勢いよく氷河に流れ込むことがわかった。風が東から吹くと、サーモクラインが再び沈み込み、融解は止まった。
「地球温暖化による海面上昇が空気を直接温めて上から氷河を融かすだけでなく、風によって海の各所で熱が移動するだけで氷河が下から解けることもあるというのは、実に興味深いものです」と、テキサス大学に在籍する科学研究員で、今回の研究のリーダーを務めたチャド・グリーンは述べる。
「一方で、この発見には絶望的な、この世の終わりを感じさせる要素もあります」。グリーンがこのように述べるのは、東南極大陸の沿岸に沿って吹きつける西風が、今後100年にわたってかなり強くなると予想されているからだ。
米国大気宇宙センターのシニアサイエンティストであるジェラルド・ミールによると、温室効果ガスの濃度が高くなることによって気温全体が上昇しているだけでなく、南極上空を巡る西風帯が変化し、強くなっているというのだ。
「今後の気象予想では、南極振動(南極上空にできる大規模な気流の渦)の正の相がさらに強力になることが示されています。つまり、海面の西風がさらに強くなり、現在より南方で発生するということです。その結果、これらの風が南極に近づいてより多くの氷を解かし、さらに大きな海面上昇をもたらす構図が続くのです」
しかも、解ける氷の増加は、わずかどころか大量だ。これは南極特有の地形上の特徴によるものである。大陸の南端にある岩盤は、沿岸部から内陸部に進むにつれて、山のように上り坂にはなっていない。下り坂であり、場所によっては、海水面から最大で数km落ち込んでいることもある。つまり、侵入した水はすぐに坂を下り落ちてさらに内陸の奥深くまでしみ込み、これまでになく巨大な氷の塊が、より速く海に流れ出すことになる。
「これが何を意味するかと言えば、温かい水が押し寄せて沿岸部がほんの少しでも解けると、手に負えない状況がかなり早く訪れるということです」と述べるのは、オーストラリアにあるニューサウスウェールズ大学の海洋学者、ポール・スペンスだ。スペンスが17年7月に『Nature Climate Change』に発表した研究「Nature Climate Change,7(2017)595」では、同様の湧昇パターンが原因で、ほとんどの氷床や氷河の基部が海面より低い位置にある西南極大陸で急速な融解が起きていることに注目している。
「この現象は、これまで非常に速いペースで起きています。氷河が形成されるまでには数千年もの時間がかかりますが、わずか数年で完全に崩壊する可能性があるのです。それはわたしたちが最も懸念していることです」

「風」と海面上昇の研究はこれから
すでに海水はトッテン氷河の棚氷の端から、その岩盤を約125kmも内陸に進んだ地点まで等高線沿いに谷を刻んでおり、その深さは海面下3km以上に及ぶ。トッテン氷河が融解すると、西南極大陸全体が融解した場合と同じくらい海水面が上昇する可能性がある。約300万年前にトッテン氷河が崩壊して海に流れ込んだときは、世界中の水面が6~9mも上昇した。
同じ現象が再び起きる可能性を検討するには、スーパーコンピューターによる本格的な分析が必要だ。しかし、南極における風や水、氷の相互作用が世界的な海面上昇に組み込まれるようになったのは、ごく最近のことである。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が13年に発表した最新の報告に、南極における氷床融解の変化についての情報は一切含まれていない。これは、当時はその仕組みを十分に理解している研究者がいなかったことと、コンピューターの性能が不足していたことなどが原因だ。
IPCCでは当時、海水面の上昇は2100年には約1mになると推定していた。しかし現在では、その数を倍にすべきだと考える科学者もいる。16年に『Nature』オンライン版に発表された論文「Nature,531(2016)
591
」では、これまで過小評価されていた局所的な氷床のダイナミクスを、世界的な気象データと合わせて分析した結果、今世紀が終わるまでに南極大陸だけでもさらに1mの水面上昇の一因となる可能性があることが判明した。
風の影響に関する研究は、まだ始まったばかりだ。風が南極でどのように変化するのか、あるいはほかのどこかで変化するのかについては、まだ知られていないことが膨大に残っている。
しかし科学者たちは風について、非常に複雑な海面上昇予測の計算における未知の要素のなかでは、単一では最も重要なものだと考えている。ブラジルでの蝶の羽ばたきは、南極大陸のたくさんの氷が崩れ落ちるきっかけとなるのだろうか? 西から吹いた場合にはそうなのかもしれない。


(WIRED)

しかし、本当にトッテン氷河が解けているとしても、そして、その原因が「西風」だとしても、第1節で解説したとおり、「西風」とCO2との因果関係は弱い。
しかも、第2節で解説したとおり、暖かい(もちろん、比較的に暖かいという意味)海水が湧き上げってきて、氷河を底から解かしているのなら、海氷は激減しているはずだが、むしろ、増加している。
図9-5を見れば、トッテン氷河の河口の棚氷は厚くなっている。

しかも、「西からの風が強いときは、温度の高い水が勢いよく氷河に流れ込むことがわかった。風が東から吹くと、サーモクラインが再び沈み込み、融解は止まった」のだから、東南極とは逆に、西南極では「西風」で「サーモクラインが沈み込み、融解は止まった」はず。
「同様の湧昇パターンが原因で、ほとんどの氷床や氷河の基部が海面より低い位置にある西南極大陸で急速な融解が起きている」はずがない。
やはり、地熱が原因。
第3節で引用した「南極の氷消失、1992年以降3兆トン」という見出しに記事に見えるとおり、「西南極、特に南極半島は、地球温暖化の影響をはるかに受けやすいことが判明している」にもかかわらず、そして、その論文でも、また、上で引用した「南極の氷解速度、過去40年で6倍に加速」という見出しの記事が採り上げてる論文でも、氷の消失は西南極が遥かに多いにもかかわらず、CO2との因果関係が弱いことは明らかだから、トッテン氷河とCO2の因果関係が弱いことも明白。
「17年11月1日付で発表されたその後の研究」も、このように書いている。


Totten Glacier in East Antarctica has the potential to raise global sea level by at least 3.5 m, but its sensitivity to climate change has not been well understood. The glacier is coupled to the ocean by the Totten Ice Shelf, which has exhibited variable speed, thickness, and grounding line position in recent years. To understand the drivers of this interannual variability, we compare ice velocity to oceanic wind stress and find a consistent pattern of ice-shelf acceleration 19 months after upwelling anomalies occur at the continental shelf break nearby. The sensitivity to climate forcing we observe is a response to wind-driven redistribution of oceanic heat and is independent of large-scale warming of the atmosphere or ocean. Our results establish a link between the stability of Totten Glacier and upwelling near the East Antarctic coast, where surface winds are projected to intensify over the next century as a result of increasing atmospheric greenhouse gas concentrations.


(「Science Advances,3(2017)e1701681」の abstract)

「これが査読を通ったのは不幸なことです」と喚き立てたテッド・スカンボスは、実際に難癖をつけるコメント「Journal of Glaciology,62(2016)599」を投稿したけれど、それに対する著者らの回答の初めの部分を読めば、全ては明らかである。


Scambos and Shuman (2016) state: ‘This need for an improved understanding (of ice mass balance) extends beyond the glaciological community and includes policy makers and the general public.’ For this reason, we believe it is important as scientists to make our best efforts to provide the most accurate results, and not merely accept pre-viously published results without critical evaluation. Scambos and Shuman’ assert that our ‘result …. is inconsist-ent with a large body of previously published work’ and that ‘The…. conclusion is clearly an outlier among recent studies of Antarctic mass balance.’ They base their assertions on a selective overview of previously published work, ignoring papers that do not agree with their view, overlooking uncer-tainties in prior work, and not recognizing the need for con-tinued improvement.


(「Journal of Glaciology,62(2016)990」より)

こともあろうに、学術誌において「beyond the glaciological community and includes policy makers and the general public」と喚き立てたのは、IPCC学派が政治的な意図で「東南極の高地で何が起ころうと、このプロセスはすでに始まっており、今後数世紀で現実のものとなるかもしれません」と煽り立てているにすぎないことを、物の見事に露呈したと言えよう。

本稿の冒頭で紹介した朝日新聞記事は「『甚大な影響』目前に迫る」と騒ぎ立てていたけれど、南極でもCO2濃度が400ppmを超えた。


CO2濃度「危険域」 温暖化「最後のとりで」400ppm超え
米海洋大気局(NOAA)は16日、南極で測定した大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が、初めて400ppmを超えたと発表した。NOAAによると、地上の観測点のうち大台超えしていなかったのは南極だけ。「最後のとりで」もついに地球温暖化の危険水準に入った。
大気中のCO2濃度は、化石燃料の大量消費に伴って過去数百万年間で最も高いレベルに達している。指標となるハワイの山頂の観測所で2013年に初めて400ppmを超えた後も上昇ペースが止まらず、NOAAは「今年中に世界の年間平均濃度が400ppmを超えてしまうのは確実だ」と警告する。NOAAによると、5月23日に南極の観測所の測定値が400ppmを超えた。CO2濃度は人間活動が活発な北半球で春ごろに高くなるが、南極は地球で最も濃度が低い場所と考えられている。


(毎日新聞2016年6月18日 東京朝刊)

ところが、気温・海水温は上がるどころか下がっているし、海氷も増えている。
棚氷の分離は自然現象にすぎないことが分かった。
南極の氷も増えていた。
「最後のとりで」も崩れてしまい、IPCCの人為的(排出CO2)温暖化説は「危険水準に入った」と言えよう。

9.6 オゾンホールの不都合な真実

先にも指摘したとおり、図9-3の「proxy based」から「温室効果ガスの上昇に因る気温上昇との関連性」を認めるにしても、それは1980年以降である。
ところが、下図に見えるとおり、1980年以降、フロンガスの排出でオゾンホールが拡大した。

2013101803
図9-10 南極上空オゾンホールの面積変化

ということは、第1節で引用した「南極海に吹く風、過去1000年で最も強く 豪研究」という見出しの記事も「1970年代からは、フロンガスの排出によって引き起こされたオゾンホールの拡大によってこの変化が加速化してきた」と記していたとおり、「温室効果ガスの上昇に因る気温上昇との関連性」よりも、実は「オゾンホールとの関連性」が強いということである。
北極がススで解けているのと同様、南極でもCO2以外の人為的要因の影響が大きいのだ。

しかも、オゾンホールは南極だけでなく、南半球全体の気候に大きな影響を及ぼすことが分かってきた。
(以下の論文以外に、「Journal of Climate,27(2014)6245」でも論じられている。)


オゾンホールと気温上昇に関係か
2013年10月14日 4時0分
南極の上空のオゾン層が穴の開いたような状態になるオゾンホールと気温との関係は、これまではっきりしないとされてきましたが、初めて気温の上昇と関係する可能性があると指摘する研究がまとまりました。(「Nature Geoscience,6(2013)934」)
研究をまとめたのは、日本とアフリカのジンバブエの共同研究チームです。
研究チームは、オゾンホールの面積が大きい年ほどアフリカ中南部の夏の気温が高くなる傾向があることに注目し、そのメカニズムを分析しました。
それによりますと、オゾンホールが大きくなると、南極の上空で紫外線の吸収が減って気温が下がるため、比較的気温の高い地表付近との間で上昇気流が発生し、南極にある低気圧が強められるということです。
そして、この低気圧により、アフリカ南部の高気圧が南極のほうに引き寄せられると、中南部でも低気圧が発達し、赤道付近から暖かい空気がより多く流れ込んで気温が高くなる傾向があるということです。
オゾンホールと気温との関係は、これまではっきりしないとされてきましたが、今回の研究は、初めて気温の上昇と関係する可能性があると指摘しています。
分析した独立行政法人海洋研究開発機構の森岡優志さんは、「気温の変化については二酸化炭素濃度の上昇が注目されているが、オゾンホールが影響する可能性があることが分かった。今後、気温の予測にはこうした影響も考慮していく必要がある」と話しています。


(NHK)


オゾン層保護条約、地球温暖化「減速」の助けに メキシコ研究
2013年11月11日 15:15 発信地:パリ/フランス
地球温暖化の懐疑論者たちが自身の主張を後押しするものとして引き合いに出す「地球温暖化の減速」の一部は、世界で最も成功している環境条約の1つによって誘発されたとする研究論文が10日、英科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス」に発表「Nature Geoscience,6(2013)1050」された。
メキシコ国立自治大学(National Autonomous University of Mexico)の大気物理学者、フランシスコ・エストラーダ(Francisco Estrada)氏率いる研究チームが発表した論文によると、地球を保護するオゾン層を破壊する工業ガスなどの物質の段階的削減を目的に策定された国連(UN)の「モントリオール議定書(Montreal Protocol)」は、同時に地球温暖化に小さな歯止めをかけることにもなっているという。
この議定書がなければ、現在の地球の表面温度は約0.1度高くなっていただろうと研究チームは指摘する。論文は「逆説的な話だが、人間が気候システムに影響を与えることができない証拠として地球温暖化の懐疑論者らが示す、近年の温暖化の減速には、直接的な人為的要因がみられる」と述べている。
1987年に採択され、1989年に発効したモントリオール議定書は、塩素および臭素を含有する化学物質群の削減を締約国に義務づけている。エアゾールスプレー、溶剤、冷却剤などに使われているこれらの物質は、成層圏に存在し、がんの原因となる紫外線を吸収するオゾン層を破壊する。また、この種の化学物質の中には、太陽熱を強力に吸収する性質を持つものがあるために、図らずも強烈な温室効果ガスになるものもある。
1990年代に効果が出始めたこれら化学物質の段階的削減は、気候変動との闘いにおいて小さいながらも目に見える進展になったと研究チームは指摘する。1998年~2012年、地球全体の平均温度は10年当たり平均0.05度の割合で上昇した。過去50年間の10年当たりの平均上昇率の0.12度と比べると、この値は非常に小さく、増加傾向が続いている温室効果ガスの排出量と一致しない。
その結果、15年間の温暖化の「停滞」は、気候変動が自然的要因に由来する証拠であり、化石燃料排出量の削減を求める環境保護の声には不備があり、詐欺に等しいことを示していると懐疑論者らは主張している。

研究チームは今回の論文で、20世紀における炭素排出と温暖化の統計的な比較を行った。20世紀全般では、気温は0.8度上昇した。


(AFP)

人為的な温暖化は1980年以降の気温上昇分に相当し、第5章図5-5に見えるとおり、それは0.4℃だから、「この議定書がなければ、現在の地球の表面温度は約0.1度高くなっていただろう」ということは、20世紀後半以降の人為的温暖化0.4℃のうちの0.1℃はオゾンホールが原因、ということに他ならない。
従って、CO2の排出に因る気温上昇は0.3℃。
1951年から2010年までの60年間で0.3℃だから、10年当たり0.05℃。
「1998年~2012年、地球全体の平均温度は10年当たり平均0.05度の割合で上昇した」が、CO2の排出に因る気温上昇に他ならない。
その意味において、正に「近年の温暖化の減速には、直接的な人為的要因がみられる」のだ。

「気候変動が自然的要因に由来する証拠であり、化石燃料排出量の削減を求める環境保護の声には不備があり、詐欺に等しいこと」は明らかであろうが、次章で「15年間の温暖化の『停滞』」を詳しく論じよう。

[注1] Eric Steig は、既にIPCC第4次報告書以前の「Geophys.Res.Lett.,22(2006)L16707」で、「1940年代か1830年代の南極に戻った場合、その当時の気候は現在と非常に良く似ている」と指摘していた。

[注2] ワシントン大学のプレスリリースを見ると、図9-5の論文の著者達は、気温と積雪量に因果関係は認められない、と主張している。
グラフの下側のパネルを見れば、確かにそうである。
しかし、それは現在よりも気温が低い場合であり、現在よりも気温が高い場合、すなわち、上側のパネルでは気温と積雪量に因果関係がありそうである。
いずれにせよ、過去8千年間の積雪は現在よりも多いこと、それが「数千年にわたって氷の中に圧縮されていく。増加分はこれらの雪とみられる」ことを示しているのは確かである。

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