南極の全く不都合な真実

10.1 西南極氷床融解の不都合な真実

IPCCが人為的排出CO2の影響を著しく過大評価していることが分かったと思うが、窮したIPCC学派は市民を脅しにかかり出した。


西南極の氷床融解は制止不可能、NASA
2014年5月13日 14:49 発信地:ワシントンD.C./米国
西南極を覆う氷床が「制止不可能」な速度で溶けていると警告する報告を、米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所の科学者が発表した。
今後数十年以内に、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の予測を超える海面上昇が起きるという。
NASAの氷河学者で、米カリフォルニア大学アーバイン校教授のエリック・リグノット(Eric Rignot)氏は「西南極氷床の広大な部分が、不可逆的な後退状態に入っている。元に戻ることが可能な範囲をすでに越えてしまっている。氷床の後退は制止不可能だ」と語る。西南極の氷床の背後には、融解する氷床を支えることのできる巨大な陸地がないことが、調査で明らかになっているという。
科学者たちは何十年も前から、この西南極の「急所」について警告してきたが、詳細な情報を収集できるようになったのは1990年代以降のことだ。
米地球物理学連合の学会誌「地球物理学研究レター」に発表されたリグノット氏の論文「Geophys.Res.Lett.,41(2014)3502」は、西南極における近年の変化を衛星、航空機、船舶、地上から観測した結果、今後2世紀以内に地球全体で1.2メートルの海面上昇を招くだろうと指摘している。
また12日の米科学誌サイエンスScience,344(2014)735に掲載されたコンピューターモデルによる研究結果も、西南極のスウェイツ氷河(Thwaites Glacier)が急速に融解しており、氷河が崩壊すれば、地球全体の海面は60センチ近く上昇すると述べている。論文の著者でワシントン大学(University of Washington)の氷河学者イアン・ジョーギン(Ian Joughin)氏は、この氷河の崩壊は避けられず、今後200~1000年の間に起きるだろうと述べている。


(AFP)


南極では年間1590億トンの氷が喪失している、リード大
Published: May 19, 2014.
Japanese text by Lance Gordon and Calvin Greene
南極における3年間に渡る調査活動の結果、南極では年間あたり1590億トンの氷が喪失していることが判った。この新しい調査結果「Geophys.Res.Lett.,41(2014)3899」は、これまでの推定喪失値の2倍となる。
平均すると南極西部では134ギガトン、南極東部では3ギガトン、南極半島部では23ギガトンの氷が2010~2013年の調査期間を通じて年平均で喪失していたこととなり、南極全体では年平均で159ギガトンが喪失していたことになる。
また、南極西部の氷の喪失率は、 今回の調査に使用されたCryoSat-2観測衛星が打ち上げられる前の2005~2010年の比較では、年間当たりの喪失率は31%増加するなど、南極西部の氷の喪失率は、毎年増加傾向にあることも判った。
研究チームでは、南極西部の氷の喪失は特にAmundsen Coastで顕著なものとなっており、モデルによるシミュレーション結果と合わせるとこの領域の氷床は、崩壊に向けた前段階にあることが判るとまとめている。


(ScienceNewsline)

しかし、温暖化が世界平均の倍のペースで進んでいると騒ぎ立てている北極圏でも、実は、CO2以外の要因が大きかったのだから、南極の氷床・氷河の融解は人為的排出CO2が原因であることを、人為的排出CO2が南極の氷床・氷河融解を招くメカニズムを説明できない限り、「不可逆的な後退状態に入っている。元に戻ることが可能な範囲をすでに越えてしまっている」などと言えるはずがない。
そこで出てきたのが、この論文である。


南極海に吹く風、過去1000年で最も強く 豪研究
2014年5月19日 16:51 発信地:シドニー/オーストラリア
気候変動に起因する気象パターンの変動により、南極海では過去1000年で最大級の強風が吹き、また南極での気温低下とオーストラリアでの干ばつも増加しているとの研究論文がこのほど、英科学誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ」に掲載された。(「Nature Climate Change,4(2014)564」)
「吠える40度」との異名をとる南極海周辺の海域では、西風が非常に強く吹く。今回の研究を発表したオーストラリア国立大学の研究者らによると、大気中の二酸化炭素濃度が上昇することでその風力はさらに増し、またルートも南極側に移動するという。
研究を率いたネリリー・アブラム(Nerilie Abram)氏は、地球上で最大級の波がうねり、最強クラスの強風が吹くことで知られる南極海について、 「風の威力は過去1000年で最も強まっている。風力の増大は過去70年でとりわけ顕著にみられ、我々の観測結果と気候モデルとを照らし合わせると、温室効果ガスの上昇との関連性があることは明白だ」と述べた。
研究ではまた、他の大陸と同じような気温の上昇が南極でみられない理由についても明らかにされている。
同氏によると、海域に吹く西風は、南極の東部地域までは達しないものの、循環して上空を覆う寒気を集め、オーストラリアにもたらすはずの雨を奪うと説明。「地球全体で温暖化が進行し、とりわけ北極地域では世界中で最も速いペースで気温の上昇が観測されているのにもかかわらず、南極で気温の上昇がみられないのはこうした理由からだ」と述べている。

今回の研究では、南米で採取した樹木の年輪や湖沼のデータや、南極で採取した氷床コアを南半球一の性能を誇るANUのスーパーコンピュータ「ライジン」を使用して分析した。
■局地的に進む温暖化を説明
今回の研究は、西風が極寒の南極大陸をさらに寒冷化させ、同時に大陸で唯一直接吹き付ける南極半島を「例外的な速さ」で温暖化を進行させている理由を説明するものにもなっている。
風力の増した西風は、南極海から温暖で湿った空気を運び、南極半島──西風が直接当たる大陸唯一の場所──の気温を上昇させる。ここでの温暖化のペースは南半球で最も速く進行しており、科学者たちは氷床の融解および周辺地域での海面上昇に懸念を抱いているという。
今回の研究で気候モデリングを担当したニューサウスウェールズ大学のスティーブン・フィップス(Steven Phipps)主任研究員は、人類が二酸化炭素を排出してきたことで、20世紀には風速200キロ程度とみられていた西風に変化が生じ、さらに1970年代からは、フロンガスの排出によって引き起こされたオゾンホールの拡大によってこの変化が加速化してきたと説明する。
同氏は今後予想される気候変動シナリオのうち中程度のものでさえ、この傾向が21世紀も続くことが考えられる」と指摘し、オーストラリアの冬はより乾燥することになるだろうとした。


(AFP)

ところが、この論文を精査すると、「温室効果ガスの上昇との弱い関連性があることは明白だ」。

2017021001
図10-1 「南米で採取した樹木の年輪や湖沼のデータや、南極で採取した氷床コア」からSouthern Annular Mode (SAM)を再現したデータ(「Nature Climate Change,4(2014)564」より)

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図10-2 気候モデルでのSouthern Annular Mode (SAM)(「Nature Climate Change,4(2014)564」より)

図10-1の黒線が復元されたデータで、図10-2の赤線が気候モデルの計算値。
案の定、気候モデルはホッケー・スティック状になっていて、1900年以前のデータを全く再現できない。
しかも、黒線では1800年頃が2000年と同じである。
もちろん、1800年頃に「温室効果ガスの上昇との関連性がないことは明白だ」から、「観測結果と気候モデルとを照らし合わせる」なら、自然要因を無視できないこと、気候モデルはそれを全く考慮していない、と言うよりも、できないことは「明白」であり、従って、「温室効果ガスの上昇との関連性があることは明白だ」と言えないことは「明白だ」。
さらに、図1の黒線を見ると、20世紀は単調に増加しているように見えるが、そして、それを以ってして、「風の威力は過去1000年で最も強まっている」と言い張っているのだが、そこに誤魔化しがある。
図10-1の1900年以降をより詳細に表示したのが下図である。

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図10-3 「Nature Climate Change,4(2014)564」の「Supplementary Information」の図3より

「風の威力は過去1000年で最も強まっている」と言い立てているけれど、1000年前の気候に観測データは存在しない。
最近100年の観測データ(「station based」)を凡そ再現できるように、1000年前からの気候を復元(「proxy based」)する。
確かに、20世紀後半はほぼ整合しているが、1930年~40年は「station based」が正の値なのに対して、「proxy based」は負の値になっている。
だから、図10-1の黒線が単調に増加しているのだが、「station based」と一致しない以上は、図10-1の黒線が正しいとは言えず、従って、「風の威力は過去1000年で最も強まっている」と言えないことは「明白だ」。
CO2の排出が激増したのは20世紀後半なのだから、「station based」の1930年~40年は自然変動であり、従って、2000年前後も1930年~40年と同様の自然変動であると考えるのが合理的であろう。
もちろん、南極の観測基地の殆どは20世紀後半に設営されたから、20世紀前半に関しては、「station based」が正しいとは限らないが、そして、この論文は「proxy based」の方が正しいと言いたいのだろうが、1930年~40年に西南極の氷床が解けていたことは、1年前の研究で確認されていた。[注1]


最近の南極における気候や氷河の変化は正常な範囲の上限
Published: April 15, 2013.
Japanese text by Henry Carroll and Louis Cooper
過去数十年において南極大陸の氷河が薄くなってきている。最新の研究の結果からこの氷河が溶けるスピードは加速しており、地球の海水面の上昇に重大な影響を与えることを示唆している。
新しい南極の氷床コアに関わる研究結果は、これらの変化はダイナミックなものとなるが、人間活動に由来した地球温暖化が原因だとは言い切れないことを示唆するものとなった、とUniversity of Washingtonのprofessor Eric Steigは述べている。
Steigによる以前の研究「Nature,457(2009)459」では、南極における氷河の急速な縮小は、気温の上昇と沿岸近くの大気循環の変化によるものと結論を得ていた。そして彼がUWのQinghua Dingと共同で行った新しい研究によると1990年代以降の南極の温暖化の原因は、熱帯太平洋におけるEl Ninoの状態に原因があるとしている。
彼らの新しい研究によると、1990年代は気温の急上昇を示したが、1830年代や1940年代などの他の10年間(decades)と比べて、大きくな変化は生じてはいないことが判ったとしている。
「もし私達が、1940年代か1830年代の南極に戻った場合、その当時の気候は現在と非常に良く似ていることが判るでしょう。また、私は、当時の氷河の後退に関しても、現在起きているのと同様に当時も起きていたことを発見したのですとSteigは述べる。彼はこれらの研究成果を「Nature Geoscience,6(2013)372」を通じて発表した。
研究チームはこれらの結論を得るために、南極西部の氷床から氷のコアを採取し、過去2000年間に渡る気候変動について調べた。そして南極では1990年代に起きたのと同じような気象パターンが過去においても数回生じていることを発見した。


(ScienceNewsline)

しかも、図10-3の「proxy based」でも2000年以降は減少に転じている。
ということは、1980年以降の増加は自然変動だった、ということである。
実際、その後の一連の研究、「Nature,535(2016)411」、「Nature Climate Change,6(2016)917」、そして、「Climate Dynamic,46(2014)263」で、「自然変動との強い関連性があること」が確認された。
「温室効果ガスの上昇との弱い関連性があることは明白だ」。

さらに、「西南極のスウェイツ氷河(Thwaites Glacier)が急速に融解して」いるのには、別の原因があることも分かった。


火山活動で南極氷床の融解加速か、米研究
2013年11月18日 15:34 発信地:パリ/フランス
南極の氷床の融解速度が増加している原因の一部は、南極大陸東部の氷の下の活火山にあるのかもしれないとの研究論文が17日、英科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス」に発表された。(「Nature Geoscience,6(2013)1031」)
国連(UN)の気象学者らが9月に行った発表によると、南極氷床の平均年間消失量は2002年から2011年の間で約300億トンから約1470億トンに増加した。
氷河の陸氷が大量に集まった氷床は、グリーンランドの大半や南極大陸などを覆っており、地球上の淡水の大半が含まれている。
氷床は常に移動しており、それ自体の重みによって、下方の海の方向にゆっくりと流れている。氷床が海水の上にまで広がった部分は「棚氷」と呼ばれる。
これまでの研究では、南極氷床の消失率が増加した原因は、南極大陸の周囲を循環して流れている海水の温度上昇にあるとされてきた。この説では、海水が棚氷を融解させ、棚氷が消失する量が増えるにつれて、氷床の流れが速くなり、氷床の氷が海に溶け出す割合も上昇するとしている。
だが、米ワシントン大学のアマンダ・ラフ(Amanda Lough)氏率いる地質学者チームは最新の論文の中で、南極大陸西部で氷床の流れが速くなっている要因は「火山」にもある可能性を指摘している。
火山によって氷の下面が熱せられて融解することで、氷床の流れを円滑にしているかもしれないのだという。
この説の証拠をもたらしたのは、最近導入されたセンサーだ。このセンサーは、2010年と2011年の2回にわたり、南極西部の高原地方のマリーバードランド地下で発生した地震活動の「群発」を記録した。
研究チームは、氷を透過するレーダーを使用して、同地方の地下1400メートルのところに、約1000平方キロの大きさの興味深い楕円(だえん)形の火山灰とみられる堆積物があるのを発見した。チームは、噴火以降の氷の堆積速度が年間12.5センチとの仮定に基づき、噴火の時期を約8000年前と推定している。
こうした観測結果により、マグマ活動が現在も進行中であることや、火山活動が南方へ移動し続けていることを示す有力な証拠が得られたという。
南極西部には複数の火山が存在することが知られていたが、これらはすべて活火山ではないと考えられていた。
「この場所で発生する噴火は、上部に堆積している厚さ1.2~2キロの氷を貫通する可能性は低いが、氷の移動に重大な影響を及ぼす可能性のある融解水を大量に発生させるだろう」とチームは述べている。


(AFP)

この事実はその後の論文「PNAS,111(2014)9070」、「Earth and Planetary Science Letters, 407(2014)109」、及び、「Science Advances」でも確認されている。
もちろん、火山の活動は「制止不可能だ」が、「西南極氷床の広大な部分が、不可逆的な後退状態に入っている。元に戻ることが可能な範囲をすでに越えてしまっている。氷床の後退は制止不可能だ」が狂言にすぎないことは「明白だ」。
「科学に戻ることが可能な範囲をすでに越えてしまっている」。

しかも、その後の研究で「とりわけ北極地域では世界中で最も速いペースで気温の上昇が観測されているのにもかかわらず、南極で気温の上昇がみられないのはこうした理由」ではないことが、「コンピューターモデルによる研究結果も、西南極のスウェイツ氷河が急速に融解しており」だの、「モデルによるシミュレーション結果と合わせるとこの領域の氷床は、崩壊に向けた前段階にあることが判る」だのと「モデル」を拠り所にしているけれど、その「モデル」の誤りが明らかとなった。


We can conclude that the role of CO2 in the Antarctic climate is somewhat different to the rest of the planet: Increasing CO2 has a rather small direct effect on the Antarctic climate; it even tends to cool the Earth-atmosphere system of the Antarctic Plateau.
・・・中略・・・
This comparison shows that GCMs tend to overestimate the surface temperature. Specifically, 18 of the 21 GCMs report a higher (0.8 to 25.8 W/m^2) LW emission from the surface than the BSRN measurements, whereas the other three models report a lower (1.3 to 7.2 W/m^2) surface emission. This suggests that current GCMs tend to overestimate the surface temperature at South Pole, due to their difficulties in describing the strong temperature inversion in the boundary layer. Therefore, GCMs might underestimate a cooling effect from increased CO2, due to a bias in the surface temperature.


(「Geophys.Res.Lett.42(2015)10422」の「Discussion and Conclusion」より)

「とりわけ北極地域では世界中で最も速いペースで気温の上昇が観測されているのにもかかわらず、南極で気温の上昇がみられない」理由は、「Increasing CO2 has a rather small direct effect on the Antarctic climate」だった、というわけである。
しかし、「it even tends to cool the Earth-atmosphere system of the Antarctic Plateau」なら、南極の気温は下がっているはずではないか?
下がっている。

2017021004
図10-4 「Nature,536(2016)411」の図2より

21世紀の南極の気温は過去500年間で最も低い。
この論文は第6章の図6-10と同じ論文で、驚くなかれ、その筆頭著者はネリリー・アブラムである。

「GCMs tend to overestimate the surface temperature」は南極に限らない。
実際、たとえ、図10-3の「proxy based」から「温室効果ガスの上昇に因る気温上昇との関連性」を認めるにしても、1910年に「温室効果ガスの上昇に因る気温上昇との関連性」は無いから、1910年の水準までは自然変動の範囲内であり、「温室効果ガスの上昇に因る気温上昇との関連性」は1980年以降に限られる。
それは第5章で解説したことと一致している。
20世紀の気温上昇0.8℃のうち、20世紀前半の気温上昇0.4℃は太陽活動の活発化が原因で、20世紀後半の気温上昇0.4℃が人為的要因であり、図5-5を見れば、0.4℃は1980年と2000年の気温差に相当する。
従って、CO2を排出し続けても気温上昇は1.5℃未満に収まる。
しかも、「Increasing CO2 has a rather small direct effect on the Antarctic climate; it even tends to cool the Earth-atmosphere system of the Antarctic Plateau」なら、南極での影響はほとんど無い。
「温室効果ガスの上昇との関連性があることは明白だ」と言い立てたつもりが、実は、CO2排出は全く問題にならないことを証明してしまったのである。

10.2 南極海氷の不都合な真実

北極海とは逆に、南極では海氷が増えている。


南極海氷面積、3年連続最大=北極は6番目に小さく-JAXAなど
2014/9/25-05:02
南極大陸を取り巻く海氷の面積が、3年連続で衛星による観測史上最大を更新したと、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が25日までに発表した。一方、北極海を覆う海氷の面積は観測史上6番目に小さくなったと、米航空宇宙局(NASA)などが発表した。
9月半ばは南極では冬、北極では夏の終わりに当たり、海氷面積が1年でそれぞれ最大、最小となる。両極の氷は地球全体の気候に大きな影響を与えており、長期的な温暖化傾向との関係の解明が期待される。


(時事ドットコム)

ところが、IPCC学派は、これも人為的(排出CO2)温暖化が原因、と言い立てている。


南極の海氷:温暖化で増加? 塩分濃度下がる?オランダの気象研究所
地球温暖化は、かえって南極大陸周辺の海氷を拡大させるとの分析を、オランダ王立気象研究所がまとめ、3月31日付の英科学誌ネイチャー・ジオサイエンス「Nature Geoscience,6(2013)376」に発表した。南極観測船「しらせ」が厚い海氷に阻まれて2年連続で昭和基地に接岸できないなど、最近の南極での記録的な海氷拡大の原因が注目されていた。
南極では、氷床が海にせり出した部分である「棚氷」が崩壊し、毎年約2500億トンの氷床が失われている。棚氷の崩壊は温暖化に伴う融解が原因とされ、同研究所は融解で生じた淡水がどう動いているのかを解析した。
その結果、南半球の秋から冬にかけて、水深100~200メートルまでの海面近くに塩分濃度の低い層が形成され、その下層にある温度や濃度の高い海水が上に向かって移動するのを妨げていることが分かった。
塩分濃度が低い水ほど凍りやすい。
観測データからも、この25年間に水面近くの海水の塩分濃度の減少傾向が確認できたという。
米雪氷データセンターなどによると、北極海では海氷面積は10年間で5.3%減少しているが、南極では逆に海氷が1.9%増加した。【田中泰義】


(毎日新聞 2013年4月1日 東京夕刊)


南極の棚氷が激減、今後200年で半減の可能性も
2015年3月28日 12:19 発信地:ワシントンD.C./米国
南極を覆う氷床を保護している棚氷が激減しており、一部地域では20%近く減少したとする研究報告書が26日、米科学誌サイエンス電子版に発表された。(印刷版は「Science,348(2015)327」)
研究は、欧州宇宙機関(European Space Agency、ESA)が1994~2012年にかけて人工衛星で測定したデータに基づいたもので、気候変動が南極の氷に及ぼす影響について新たな情報を提供している。
南極の棚氷は平均400~500メートルの厚さがあり、南極大陸から数百キロ離れた沖合まで達していることもある。この棚氷が薄くなりすぎると、氷床が海に滑り込んで溶け始め、海面上昇が急速に進む可能性がある。
研究者によると、南極の氷の全体量は1994~2003年までほぼ変化がなかったが、その後、融解が急激に加速したという。このままのペースで減少が続けば、南極の棚氷は今後200年で半減すると研究者らは試算している。

英リーズ大学(University of Leeds)極地観測モデリングセンター(Centre for Polar Observation and Modelling)所長のアンドリュー・シェパード(Andrew Shepherd)教授は氷の融解の傾向について「これほどの速いペースで(氷が)薄くなれば長くは持たない。深刻な懸念だ」と語った。


(AFP)

しかし、棚氷の減少も西南極。

2016052601
図10-5 「Science,348(2015)327」より

従って、前節で解説したとおり、棚氷の減少、海氷の増加も「温室効果ガスの上昇との弱い関連性があることは明白だ」。
しかも、下図に見えるとおり、南極海氷面積が増大していた中で、西南極だけは減少していた。

2016052602図10-6 2012年9月26日の南極大陸周囲の海氷面積。黄色の線は、1979年~2000年の9月の海氷面積の中央値。(「南極の海氷面積増加、その意味は?」より)

棚氷が解けて塩分濃度が下がったことが原因なら、西南極の海氷が一番増加していなければならないはずだが、全く逆の結果になっている。
「風力の増した西風」で海氷が陸の方に押し戻されているのかもしれないし、「風力の増した西風」で海水が凍りにくいのかもしれないが、上でも指摘したとおり、図10-3の「proxy based」では、1980年以降に「風の威力は過去1000年で最も強まっている」、そして、2000年以降は弱まり出したから、「(人為的排出CO2で)風力の増した西風」が原因なら、「1994~2012年」では、前半の10年間に「融解が急激に加速し」、その後は減速するはずだが、逆に「南極の氷の全体量は1994~2003年までほぼ変化がなかったが、その後、融解が急激に加速したという」。
「南極の海氷:温暖化で増加」の非科学性は「明白だ」。

ならば、南極の海氷増加は何が原因か?


南極海の温暖化、北大西洋からの深層海流で減速か 研究
2016年5月31日 13:39 発信地:パリ/フランス
北大西洋から流れる深層の寒流が、南極への地球温暖化の影響を弱め、海水面上昇のペースを遅らせているとの研究結果が30日、発表された。
英科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)」に掲載された研究論文「Nature Geoscience,9(2016)549」によると、厚さが最大4キロに及ぶ氷に覆われた雪の大陸、南極のこの氷のように冷たい「断熱材」の効果は、数百年にわたって持続する可能性があるという。
今回の結果は、海抜の低い地域に住む数億の人々にとっては朗報だ。海水面が2100年までに最大で1メートル上昇し、それらの人々が脅威にさらされる事態が、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が発表した最新報告書で予測されていたからだ。
最近の研究では、水温上昇に伴う表層海水の膨張に加えて、氷河群や2つの巨大な氷床からの流出水によって、海水位がさらに上昇する可能性があることが示唆されている。
巨大氷床の一つは、グリーンランドの上にあり、もう一つは西南極にある。広大な南極大陸のごく一部である西南極は、残りの部分より速いペースで温暖化が進行している。
東南極の融解が同様のペースで進行すれば、世界中の海岸地帯にある人間の居住地には壊滅的な影響が及ぶと考えられる。
過去半世紀にわたって気候変動が南極海に及ぼした影響については、進行のペースがほかの地域の海洋に比べてはるかに遅いことが、科学者らの間で長年知られている。
また、その理由も科学的に判明している。南極大陸の氷床が圧倒的な広大なこと、太陽光の反射率が高い海氷が大陸を囲んでいること、大陸を巡る風と海流が緩衝地帯のような機能を果たしていることなどが、理由として挙げられている。
だが、今回の最新研究では、深層海流のベルトコンベヤーに重要な役割が割り当てられている。この海流に乗って、水温ほぼ1度の氷のように冷たい海水が北極地方から運ばれる。
論文の主執筆者で、米ワシントン大学の研究者のカイル・アーマー(Kyle Armour)氏と研究チームは「南極海で温暖化を減速させている第一の原因は、背景に存在する海洋循環だ」と論文に記している。
海流の動きは、速やかではない。南極大陸の周囲で現在、深層から湧き上がっている海水が、北から南への大西洋横断の旅を始めたのは、産業革命の黎明(れいめい)期以前のことだと、論文は指摘している。
だが、その効果は今後も持続していく。

地球上の他の地域で干ばつ、巨大暴風雨、異常気象などの発生を後押ししている温室効果ガスが今後、南極海に深刻な影響を与えるのは、ほんの「数百年の時間スケール」の間だけだと、研究チームは結論付けている。


(AFP)

「論文の主執筆者で、米ワシントン大学の研究者のカイル・アーマー(Kyle Armour)氏と研究チームは『南極海で温暖化を減速させている第一の原因は、背景に存在する海洋循環だ』と論文に記している」けれど、論文の図を見ると、「南極海で温暖化を減速させている」どころか、南極海は冷えている。

2017021005
図10-7 「Nature Geoscience,9(2016)549」の図1より

「南極への地球温暖化の影響を弱め、海水面上昇のペースを遅らせている」のではなく、先に述べたとおり、「Increasing CO2 has a rather small direct effect on the Antarctic climate」だから、「北大西洋から流れる深層の寒流」で冷やされているのだ。
もちろん、「海流の動きは、速やかではない。南極大陸の周囲で現在、深層から湧き上がっている海水が、北から南への大西洋横断の旅を始めたのは、産業革命の黎明期以前のことだ」は紛れも無い事実である。
後の第14章の図14-1に見えるとおり、IPCC第5次報告書にも明記されている。
始めの記事に見えるとおり、「今後数十年以内に、国連の『気候変動に関する政府間パネル(IPCC)』の予測を超える海面上昇が起きる」と喚き立てていたけれど、真に科学的な視点で観測事実を検証すれば、「海水面が2100年までに最大で1メートル上昇し、それらの人々が脅威にさらされる事態が、国連の『気候変動に関する政府間パネル(IPCC)』が発表した最新報告書で予測されていた」ことの非を認めざるを得ないのである。

10.3 ラーセン棚氷の不都合な真実

しかし、IPCC学派と朝日新聞は尚も抗う。
「南極への地球温暖化の影響」で南極半島の棚氷が崩壊しつつある、と喚き立てている。


南極の巨大棚氷の亀裂、急速に拡大 英国のチームが観測
神田明美
2017年1月10日09時45分
地球温暖化による南極の氷への影響を調べている、英国の研究プロジェクト「MIDAS」のチームは、大陸からせり出した巨大な棚氷に入った亀裂が急速に広がっていると発表した。つながっている部分は約20キロとなり、さらに亀裂が進むと棚氷が分離して、福岡県や千葉県と同じくらいの広さ、約5千平方キロメートルの巨大な氷山となって漂流し始めるという。
亀裂の拡大が確認されたのは、南極半島の「ラーセンC」と呼ばれる棚氷で、厚さ約350メートル。これまで亀裂は100キロを超え、2011年以降だけでも、約80キロ以上亀裂が進んでいる。棚氷は、大陸を覆う厚い氷床が海に押し出されてひと続きになり、海上に浮かんでいる部分。分離すると海に漂う氷山になる。
MIDASチームによると、16年12月後半に亀裂が突然18キロ進んだ。分離するとラーセンCは全体の10%以上の面積を失うことになる。02年には近くのラーセンBと呼ばれる棚氷が突然崩れた。ラーセンCの観測を続けた結果、ラーセンBと似た状況が起きているという。
棚氷が分離したり崩れたりすることで陸上の氷床や氷河が海に流れ込めば、海面上昇につながる恐れもある。

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南極半島のラーセンC棚氷にできた亀裂=(2016年11月、米航空宇宙局〈NASA〉提供)

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南極ラーセンC棚氷の地図


(朝日新聞デジタル)

しかし、図10-7を見ると、ラーセンC棚氷(図10-5で「LAC」と記された部分)が位置する南極半島東側の海水温は上がっていない。
「温室効果ガスの上昇との関連性がないことは明白だ」。


南極の棚氷に割れ目、巨大氷山が分離か 英研究チーム
2017.1.7 17:01
南極の棚氷の動向などを調査する英国の研究者チームは7日までに、南極西部の棚氷で亀裂が発生し、巨大な氷山が分離して誕生する兆しがあると発表した。分離すればこれまで観測された中で最大級の1つになる可能性があるという。
その大きさは約5000平方キロで、米デラウェア州とほぼ同じ面積になるとも推定している。分離が予想されるのは「ラーセンC棚氷」の一角で、棚氷との接触部分の長さは現在20キロとなっている。
英国の研究プロジェクト「MIDAS」は昨年8月、ラーセンC付近の亀裂が半年間で22キロに拡大したと報告。同年12月には割れ目はさらに1カ月間で18キロ伸びたことを突き止めていた。
南極で今回のような過程で生まれた氷山は初めてではない。ただ、今回の分離が実際に起きた場合、ラーセンCの面積の10%以上が消えることになり南極半島の地形が根本的に変貌(へんぼう)しかねないことになると指摘した。
同プロジェクトに加わる研究者のマーティン・オリアリー氏はCNNの取材に、分離すればラーセンCの他の部分も不安定になり、海面上昇などにつながる可能性があると説明。ただ、分離しそうな氷山は確かに大きいが、地球の海洋ははるかにより大きいとも付け加えた。
ラーセンC棚氷付近では2002年、隣接するラーセンB棚氷が激烈な状態で崩壊し、南極大陸周辺の潮流に大量の氷塊を放出する状態となった。この時の崩壊前の状態は、ラーセンCの現状に類似しているという。また、1995年にはラーセンA棚氷も崩壊していた。
MIDASの研究者はこの2つの棚氷の崩壊を受け、ラーセンCの動向を注視し始めていた。
オリアリー氏は、ラーセンAと同Bの崩落は間違いなく気候変動の問題と関係していたと主張。ただ、ラーセンCについては気候温暖化と関連付けられる根拠を研究者は確認していないと述べた。研究者チームは、分離すれば数十年間にわたる研究で判明した地理学的な自然法則の現象が絡んでいる可能性があるとも考えているという。


(CNN)

尚も「ラーセンAと同Bの崩落は間違いなく気候変動の問題と関係していたと主張」しているけれど、ラーセンCだけが「地理学的な自然法則の現象が絡んでいる」などということはあり得ない。
ウィキペディアに依れば、ラーセンB棚氷(図10-5で「LAB」と記された部分)は「12000年もの歴史を持つとされる」が、第7章の図7-4に見えるとおり、10000年前から5000年前は現在と同じか、それ以上に暖かかった。
(既に解説したとおり、その図の右端はイカサマ。)
その図は全球平均気温だが、下図の橙色の線に見えるとおり、南極でも7000年前から1000年前は現在より気温(海水温)が高かった。

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図10-8 南極の過去8千年間(上のパネル)と1万5千年前から8千年前まで(下のパネル)の気温と積雪の推移(「Geophys.Res.Lett.,43(2016)3795」より)

「気候変動の問題と関係している」のなら、「ラーセンAと同B」は1000年以上前に消えてなくなっているはず。
1000年後の今、「ラーセンAと同Bの崩落は間違いなく気候変動の問題と関係していたと主張」することもなかったのだ。

しかも、上図の紫色の線に見えるとおり、5000年前から1000年前の間に、南極では現在よりも多くの雪が降り積もった。
先の記事に見えるとおり、IPCC学派は「南極の氷の全体量は1994~2003年までほぼ変化がなかったが、その後、融解が急激に加速した」と言い張っていたけれど、この雪が圧縮され続けている結果、南極の氷の全体量はむしろ増えていることが分かったのだ。[注2]


温暖化による理論が破綻 “南極の氷増加” 科学者も困惑、海面上昇の原因はどこに…
2015.11.14 14:00
地球温暖化の影響で減少し続けているとされてきた南極の氷が、実は増えていたことが米航空宇宙局(NASA)の観測結果で5日までに分かった。温暖化で南極の氷が溶け出し、海面が上昇しているとの従来の学説を覆すものだ。NASAでは、「海面上昇の要因が南極以外にあることがはっきりしただけ」としているが、温暖化問題を論ずる際の大前提が揺らいだのは事実であり、今月末からフランス・パリで開かれる国連の気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)での議論にも影響を与える可能性がある。
■増加率は鈍化傾向
1日付米紙クリスチャン・サイエンス・モニターや、3日付米CNNテレビ(いずれも電子版)などによると、NASAのゴダード宇宙飛行センター(メリーランド州)らの科学者でつくる研究チームが10月30日、学会誌「Journal of Glaciology,61(2015)1019」に発表した。
研究チームは、NASAと欧州宇宙機関の人工衛星が1992~2008年に南極氷床の高さを観測したデータを収集し、詳細に調査した。その結果、氷は92年~01年には年間1120億トン増えた。03年~08年も年間820億トンの増加を記録するなど、増加率が鈍化していたものの、一貫して増加傾向をたどっていたことが判明した。
では、なぜ氷が増えたのか。その原因は1万年前から降り続く雪だという。雪は毎年1.7センチずつ積もり、数千年にわたって氷の中に圧縮されていく。増加分はこれらの雪とみられる。
■定説の理論が破綻
これまでの学説では、海面上昇の原因は、南極大陸やグリーンランドから溶け出した氷だといわれ、南極西部の氷が溶け出すと地球の海面が約3メートル上昇するといわれてきた。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が13年に発表した報告書では、温暖化の影響で南極の氷は減り続けており、海面が上昇していると断言していた。
また、多くの学者もこれまで、南極の東部や内陸部では氷が増加傾向にあるものの、南極半島と、この半島を含む西部の一部では、温暖化の影響で氷が溶けて減少し続けていると主張。全体として氷は減少しているとして、もはや異論を差し挟む余地はないとみられてきた。
研究チームのリーダーを務めるNASAの雪氷学者、ジェイ・ツバリー氏も今回の研究成果が「南極に関して言われている一般論と食い違っている」と指摘。そのうえで、大陸西部にある南極半島などでは他の研究と同様に減り続けているが、「西部でも内陸部では、東部とともに減少分を上回る勢いで増えていることが確認できた」と明言している。
今回の研究結果が正しいとすれば、「温暖化で南極の氷が溶けて海面が上昇している」との論理は破綻することになる。
■グリーンランドの影響大
もっとも、ツバリー氏ら気候科学者たちは、今回の研究結果が温暖化の終わりを意味するものにはならないともくぎを刺す。
ツバリー氏は「IPCCの報告書の内容が間違っているとしたら、(グリーンランドなど)他の地域で起きている氷の融解などの影響が、従来の推定より大きいことになる」と指摘、海面上昇の原因が南極以外にあることがはっきりしただけで、問題がより複雑化するとの考えを示している。
さらに、今回の研究結果で、南極西部での氷の溶け方が加速する一方、氷の増加傾向は近年、緩やかになっていることも判明しており、ツバリー氏は「(西部での氷の減少ペースが)今のまま続けば、今後20年~30年で全体でも減少に転じるのではないか」ともしている。
今回の結果は、温暖化そのものを否定するものではないが、ことは地球規模での重大な問題だけに、予断を持たずに議論することの重要性を改めて示したといえそうだ。


(SANKEI EXPRESS)

始めに紹介した朝日新聞記事は「『甚大な影響』目前に迫る」と騒ぎ立てていたけれど、南極でもCO2濃度が400ppmを超えた。


CO2濃度「危険域」 温暖化「最後のとりで」400ppm超え
米海洋大気局(NOAA)は16日、南極で測定した大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が、初めて400ppmを超えたと発表した。NOAAによると、地上の観測点のうち大台超えしていなかったのは南極だけ。「最後のとりで」もついに地球温暖化の危険水準に入った。
大気中のCO2濃度は、化石燃料の大量消費に伴って過去数百万年間で最も高いレベルに達している。指標となるハワイの山頂の観測所で2013年に初めて400ppmを超えた後も上昇ペースが止まらず、NOAAは「今年中に世界の年間平均濃度が400ppmを超えてしまうのは確実だ」と警告する。NOAAによると、5月23日に南極の観測所の測定値が400ppmを超えた。CO2濃度は人間活動が活発な北半球で春ごろに高くなるが、南極は地球で最も濃度が低い場所と考えられている。


(毎日新聞2016年6月18日 東京朝刊)

ところが、気温・海水温は上がるどころか下がっているし、海氷も逆に増えている。
最近の棚氷・氷床の融解も自然現象にすぎないことが分かってしまった。
さらに、南極の氷も増えていた。
「最後のとりで」も崩れてしまい、IPCCの人為的温暖化説は「危険水準に入った」と言えよう。

10.4 オゾンホールの不都合な真実

以上から明らかなとおり、南極の棚氷・氷床の融解は主として自然要因だが、先にも指摘したとおり、図10-3の「proxy based」から「温室効果ガスの上昇に因る気温上昇との関連性」を認めるにしても、それは1980年以降である。
ところが、下図に見えるとおり、1980年以降、フロンガスの排出でオゾンホールが拡大した。

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図10-9 南極上空オゾンホールの面積変化

ということは、先の記事も「1970年代からは、フロンガスの排出によって引き起こされたオゾンホールの拡大によってこの変化が加速化してきた」と記していたとおり、「温室効果ガスの上昇に因る気温上昇との関連性」よりも、実は「オゾンホールとの関連性」が強いということである。
北極がススで解けているのと同様、南極でもCO2以外の人為的要因の影響が大きいのだ。

しかも、オゾンホールは南極だけでなく、南半球全体の気候に大きな影響を及ぼすことが分かってきた。
(以下の論文以外に、「Journal of Climate,27(2014)6245」でも論じられている。)


オゾンホールと気温上昇に関係か
2013年10月14日 4時0分
南極の上空のオゾン層が穴の開いたような状態になるオゾンホールと気温との関係は、これまではっきりしないとされてきましたが、初めて気温の上昇と関係する可能性があると指摘する研究[Nature Geoscience,6(2013)934]がまとまりました。
研究をまとめたのは、日本とアフリカのジンバブエの共同研究チームです。
研究チームは、オゾンホールの面積が大きい年ほどアフリカ中南部の夏の気温が高くなる傾向があることに注目し、そのメカニズムを分析しました。
それによりますと、オゾンホールが大きくなると、南極の上空で紫外線の吸収が減って気温が下がるため、比較的気温の高い地表付近との間で上昇気流が発生し、南極にある低気圧が強められるということです。
そして、この低気圧により、アフリカ南部の高気圧が南極のほうに引き寄せられると、中南部でも低気圧が発達し、赤道付近から暖かい空気がより多く流れ込んで気温が高くなる傾向があるということです。
オゾンホールと気温との関係は、これまではっきりしないとされてきましたが、今回の研究は、初めて気温の上昇と関係する可能性があると指摘しています。
分析した独立行政法人海洋研究開発機構の森岡優志さんは、「気温の変化については二酸化炭素濃度の上昇が注目されているが、オゾンホールが影響する可能性があることが分かった。今後、気温の予測にはこうした影響も考慮していく必要がある」と話しています。


(NHK)


オゾン層保護条約、地球温暖化「減速」の助けに メキシコ研究
2013年11月11日 15:15 発信地:パリ/フランス
地球温暖化の懐疑論者たちが自身の主張を後押しするものとして引き合いに出す「地球温暖化の減速」の一部は、世界で最も成功している環境条約の1つによって誘発されたとする研究論文が10日、英科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience,6(2013)1050)」に発表された。
メキシコ国立自治大学(National Autonomous University of Mexico)の大気物理学者、フランシスコ・エストラーダ(Francisco Estrada)氏率いる研究チームが発表した論文によると、地球を保護するオゾン層を破壊する工業ガスなどの物質の段階的削減を目的に策定された国連(UN)の「モントリオール議定書(Montreal Protocol)」は、同時に地球温暖化に小さな歯止めをかけることにもなっているという。
この議定書がなければ、現在の地球の表面温度は約0.1度高くなっていただろうと研究チームは指摘する。論文は「逆説的な話だが、人間が気候システムに影響を与えることができない証拠として地球温暖化の懐疑論者らが示す、近年の温暖化の減速には、直接的な人為的要因がみられる」と述べている。
1987年に採択され、1989年に発効したモントリオール議定書は、塩素および臭素を含有する化学物質群の削減を締約国に義務づけている。エアゾールスプレー、溶剤、冷却剤などに使われているこれらの物質は、成層圏に存在し、がんの原因となる紫外線を吸収するオゾン層を破壊する。また、この種の化学物質の中には、太陽熱を強力に吸収する性質を持つものがあるために、図らずも強烈な温室効果ガスになるものもある。
1990年代に効果が出始めたこれら化学物質の段階的削減は、気候変動との闘いにおいて小さいながらも目に見える進展になったと研究チームは指摘する。1998年~2012年、地球全体の平均温度は10年当たり平均0.05度の割合で上昇した。過去50年間の10年当たりの平均上昇率の0.12度と比べると、この値は非常に小さく、増加傾向が続いている温室効果ガスの排出量と一致しない。
その結果、15年間の温暖化の「停滞」は、気候変動が自然的要因に由来する証拠であり、化石燃料排出量の削減を求める環境保護の声には不備があり、詐欺に等しいことを示していると懐疑論者らは主張している。

研究チームは今回の論文で、20世紀における炭素排出と温暖化の統計的な比較を行った。20世紀全般では、気温は0.8度上昇した。


(AFP)

先に指摘したとおり、人為的要因の気温上昇は0.4℃であり、それは1980年以降の気温上昇に相当するから、「この議定書がなければ、現在の地球の表面温度は約0.1度高くなっていただろう」ということは、20世紀後半以降の人為的な気温上昇0.4℃のうちの0.1℃はオゾンホールが原因、ということに他ならない。
従って、人為的排出CO2に因る気温上昇は0.3℃。
1951年から2010年までの60年間で0.3℃だから、10年当たり0.05℃。
「1998年~2012年、地球全体の平均温度は10年当たり平均0.05度の割合で上昇した」が人為的排出CO2に因る気温上昇に他ならない。
その意味において、正に「近年の温暖化の減速には、直接的な人為的要因がみられる」のだ。

「気候変動が自然的要因に由来する証拠であり、化石燃料排出量の削減を求める環境保護の声には不備があり、詐欺に等しいこと」は明らかであろうが、次章で「15年間の温暖化の『停滞』」を詳しく論じよう。

[注1] Eric Steig は、既にIPCC第4次報告書以前の「Geophys.Res.Lett.,22(2006)L16707」で、「1940年代か1830年代の南極に戻った場合、その当時の気候は現在と非常に良く似ている」と指摘していた。

[注2] ワシントン大学のプレスリリースを見ると、図10-8の論文の著者達は、気温と積雪量に因果関係は認められない、と主張している。
グラフの下側のパネルを見れば、確かにそうである。
しかし、それは現在よりも気温が低い場合であり、現在よりも気温が高い場合、すなわち、上側のパネルでは気温と積雪量に因果関係がありそうである。
いずれにせよ、過去8千年間の積雪は現在よりも多いこと、それが「数千年にわたって氷の中に圧縮されていく。増加分はこれらの雪とみられる」ことを示しているのは確かである。

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