微動だにしていない男の全く不都合な真実

14.1 日本地球惑星科学連合ニュースレターの不都合な真実

前章で紹介したとおり、1998年以降の気温上昇停滞(ハイエイタス)は気候モデルの破綻をハッキリと示しているにもかかわらず、「近未来の予測を担当した木本昌秀・東京大学大気海洋研究所教授」は「(気候モデルは)微動だにしていない」と言い張っていたけれど、彼の子分もこう言い立てている。


第1図(下図)で注意しなければならないのは、個々の気候モデルの結果はばらついており(細線)、観測値をぎりぎりのところでカバーしている点である。モデルの平均値がハイエイタスを再現していないことイコール気候モデルが間違っているということではない。

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(「日本地球惑星科学連合ニュースレター第10巻第3号」より)

前章で紹介したとおり、IPCCは「長期間にわたる気候モデルシミュレーションは、1951年から2012年の世界平均地上気温について観測と一致する変化傾向を示している(非常に高い確信度)」と言い張っているけれど、実のところ、個々の気候モデルシミュレーション、つまり、図8-1の黄色の線の一本一本は「観測と一致する変化傾向を示して」はいない。
「観測と一致する変化傾向を示している(非常に高い確信度)」と言い張る論拠は、赤い実線が1970年代から90年代の「観測と一致する変化傾向を示している」ことであるが、赤い実線自体は気候モデルシミュレーションではない。
それは気候モデルシミュレーションの平均値である。
図8-1の黄色のゾーンの上端や下端は観測と全く一致せず、それらの気候モデルシミュレーションは「非常に低い確信度」だから、排除されて然るべきだが、それらを排除してしまうと、気候モデルシミュレーションの中央値は「観測と一致する変化傾向を示さなくなる」。
つまり、気候モデルシミュレーションの平均値が「観測と一致する変化傾向を示す」ようになるまで、パラメターを変えて数多くの計算をこなしたということであり、それが「観測と一致する変化傾向を示している(非常に高い確信度)」の実態である。
「モデルの平均値がハイエイタスを再現していないことイコール気候モデルが間違っているということではない」が破廉恥な言い逃れにすぎないことは明らかであろう。
そもそも、自然科学の他の分野なら、計算値が観測値(または、実験値)の幅(エラーバー)の中に入っていれば、その計算値(モデル)は正しい可能性がある、と考える。
それでも、95%正しいなどと言い立てる科学者はいないし、ましてや、観測値(または、実験値)が計算値のばらつきの範囲内に、それも「ぎりぎりのところでカバーしている」ことを盾にして、計算値を正当化する科学者など1人もいない。
気候学は他の自然科学とは全く異質な存在である。

14.2 「天気」の不都合な真実

木本昌秀の子分は、さらに、日本気象学会の機関誌にも「ハイエイタス」の解説を書いている。


史上最大と言われた1997/98年のエルニーニョ以降、現在まで全球地表気温の上昇傾向が緩くなっている。このいわゆる地球温暖化の「停滞」現象は、ハイエイタス(hiatus:空白、中断、休止などの意)と呼ばれ,専門家のみならず一般社会も関心をもつようになっている。
・・・中略・・・
従って、ハイエイタスに関する疑問は1)ハイエイタスの原因は何か、2)気候モデルは何か間違っているのか、という2点に分かれる。科学的には1)の疑問が重要であるが、2)は気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の評価報告書の土台をなす気候モデル(あるいは放射強制データ)の信頼性に関わるもので、こちらも気候科学としては捨て置くわけにはゆかない。
・・・中略・・・
外因説のもっとも基本的な検証は、大気上端における正味放射収支であるが、人工衛星データから、気候システムは2000年代とそれ以前でさほど変わらない約0.5W/(m^2)の余剰エネルギーを受け取っていることが分かっている(Loeb et al. 2012)。したがって、ハイエイタスが温暖化の弱化を意味するという考えは支持されない。
・・・中略・・・
まず思いつくこととして、海洋亜表層あるいは深層に熱が余分に輸送されているのではないかという可能性がある。(Meehl et al. 2011)は、単一の気候モデルによる将来気候アンサンブル実験で、タイミングはまちまちであれハイエイタスに似た地表気温上昇の停滞が生じることを見つけ、そのときに全球海洋の700m以深で蓄熱量が増大していることを示した。
・・・中略・・・
2000年代のSST上昇傾向が小さいのは地表気温と同様であり、その代わりに海洋深層に熱がより多く蓄えられていることを意味している。海洋熱吸収の活発化がハイエイタスの要因である直接的な証拠として、全球海水準の時系列には停滞がなく、2012年までほぼ同じ傾向で上昇し続けていることが挙げられる(Met Office 2013)。海水準上昇の最大の理由は海水の熱膨張であり、SSTが上昇していない以上、海洋のどこか(具体的には温度躍層下)が暖まっているに違いない、ということである。
・・・中略・・・
Watanabe et al.(2013)は、エネルギー収支にもとづく解析から、2000年代の観測値は海洋熱吸収係数が大きい一方、CMIP気候モデルのアンサンブルは熱吸収係数の増大を系統的に過小評価しており、そのせいで気候モデルはハイエイタスをうまく表現できていないと結論付けている。
2000年代の海洋熱吸収の活発化が生じた原因については、温暖化強制に対する応答と自然の内部変動、どちらも考え得る。結論が出ているわけではないが、最近の研究は後者を支持するものが多い。
・・・中略・・・
Balmaseda et al.(2013)は、海洋客観解析で風応力を気候値にしてしまうとハイエイタスが再現されず700m以深の蓄熱量が増加しないことから、風駆動の亜熱帯沈み込み(サブダクション)の変化が重要であると示唆している。
PDOの負位相がハイエイタスの原因である直接的な根拠は、Kosaka and Xie(2013)が行った数値実験で与えられる。彼らは、熱帯太平洋域のSSTを観測値に緩和した大気海洋結合モデルがハイエイタスをよく再現することを示した。
・・・中略・・・
これは、エルニーニョ時に全球気温が高くなることを考えればさほど不思議ではないが、ハイエイタスを理解する上で有益かつ明快な結果と言える。熱帯域の大気海洋は強く結合しているので、SSTではなく風応力を観測値に緩和することでも同様の結果が得られる(England et al.2014)。2000年代はラニーニャが多いわりに強いエルニーニョが起きておらず、このようなエルニーニョ・ラニーニャの発現頻度の変化とハイエイタスが繋がっている可能性も上記の研究から示唆される。次に強いエルニーニョが発現すればハイエイタス終了の契機となるという見方もあり(Tollefson 2014)、熱帯太平洋域の継続的なモニタリングが重要である。


(「天気,61(2014)277」より)

ここで、「Kosaka and Xie(2013)」は図11-5の論文、「Tollefson 2014」は図11-6の論文、そして、「England et al.2014」は「温暖化の熱の一部は海中に潜んでいる?」という記事の論文だが、「PDO(またはIPO)の負位相がハイエイタスの原因」ならば、「PDO(またはIPO)の正位相がハイエイタス以前の気温上昇」に寄与していたはずであり、そうすると、確かに「ハイエイタスが温暖化の弱化を意味するという考えは支持され」ず、「温暖化の弱化こそが人為的(排出CO2)温暖化を意味するという考えが支持される」。
ということは、「PDO(またはIPO)の負位相がハイエイタスの原因」ではなく、「AMOの正位相がハイエイタスの原因」ということである。
実際、図11-8の青線(自然変動)は正位相である。
「Met Office 2013」を引用しているが、それは「The recent pause in global warming (1)」の方であり、「The recent pause in global warming (2)」 の方には「the North Atlantic warmed rapidly during the latter half of the 20th century and this may well have contributed to the rate of global surface temperature rise in that period. It has been estimated that variations in the AMO can give fluctuations of about 0.1°C in global temperature」と書いている。
にもかかわらず、「PDOの負位相がハイエイタスの原因である直接的な根拠は、Kosaka and Xie(2013)が行った数値実験で与えられる」ということは、そして、「SSTではなく風応力を観測値に緩和することでも同様の結果が得られる (England et al.2014)」ということは、自然の法則では起こり得ないことも気候モデルでは起こり得る、ということを意味する。

一方、「Watanabe et al.(2013)は、エネルギー収支にもとづく解析から・・・」と自己宣伝している論文はこれである。


地球温暖化の熱、海が吸収か…東大チーム発表
2013年7月23日13時38分
20世紀後半から上昇していた地球全体の平均気温が、今世紀に入ってほぼ横ばいとなっているのは、海洋の深層部が熱を吸収しているためという研究成果を、東京大学大気海洋研究所の渡部(わたなべ)雅浩准教授(気候変動論)らのチームが発表した。
横ばい状態は一時的なもので、温暖化は着実に進行していると考えられるという。研究成果は、米国の地球物理学連合誌「Geophys.Res.Lett.,40(2013)3175」に掲載された。
2001~10年の地球の平均気温は、1961~90年の平均に比べ約0.5度高い。だが、2001年からの10年間の気温上昇は0.03度にとどまっている。なぜ上昇幅が小さくなっているのかはよく分かっておらず、温暖化自体への疑問の声も上がっていた。
渡部准教授らは、観測データを基にコンピューターで試算。その結果、最近10~20年間は、海面下約700メートルよりも深い層で熱の吸収が強まっている可能性が高いことが分かったという。渡部准教授は「約10年間隔で起きる海洋循環の変化が影響しているようだ。今後、再び気温上昇が始まる可能性が高い」 と話している。


(YOMIURI ONLINE)

先に引用した「天気」に見える「Balmaseda et al.(2013)は、海洋客観解析で風応力を気候値にしてしまうとハイエイタスが再現されず700m以深の蓄熱量が増加しない」も、逆に言えば、「海面下約700メートルよりも深い層で熱の吸収が強まっている」ということであるが、第11章で紹介したとおり、「海面下約700メートルよりも深い層で熱の吸収は強まっていない」
にもかかわらず、「強まっている可能性が高いことが分かった」ということは、やはり、自然の法則では起こり得ないことも気候モデルでは起こり得る、ということである。

しかも、下図に見えるとおり、「海面下約700メートルよりも深い層」への熱の移動はグリーンランド海を介して起こる。

FAQ_3.1_Fig1_rp図14-1 IPCC第5次報告書第3章のFAQ3.1の図1

実際、図11-9に見えるとおり、太平洋に熱は貯まっていない。
ハイエイタスの原因を海に求めるのなら、太平洋ではなく大西洋のはず。
だから、PDOではなくAMOのはず。
図11-10に見えるとおり、ハイエイタスの期間のAMOは正位相である。
にもかかわらず、「PDOの負位相がハイエイタスの原因である直接的な根拠は、Kosaka and Xie(2013)が行った数値実験で与えられる」ということは、そして、「SSTではなく風応力を観測値に緩和することでも同様の結果が得られる」ということは、やはり、自然の法則では起こり得ないことも気候モデルでは起こり得る、ということである。

14.3 ネイチャー・クライメイト・チェンジの不都合な真実

にもかかわらず、「微動だにしていない」木本昌秀とその子分は、気候モデルでハイエイタスを再現できたと言う。


温暖化:人類起因7割 21世紀平均気温分析…東大チーム
21世紀に入ってからの地球の平均気温上昇の約7割は人間活動に起因しているとの分析を、渡部雅浩・東京大准教授(気候力学)などのチームが英科学誌「Nature Climate Change,4(2014)893」に発表した。1980年代は約5割、90年代は約6割で、人間活動の寄与は次第に高まっていた。人類が地球温暖化に及ぼす影響が高まっていることで、23日に米国で開かれる国連気候変動サミットでは、対策強化を求める声が強まりそうだ。
チームはまず、人間活動の影響を取り除くため、産業革命前から温室効果ガス濃度が全く上昇しなかったと仮定し、過去55年分の熱帯海洋域の風データなどを新たに反映させて地球規模の気候変動をコンピューターで計算。この場合、地球は80~90年代は温暖化し、00年代は寒冷化した。
さらに、実際の温室効果ガス濃度上昇を考慮して計算したところ、この30年間の平均気温変化をほぼ再現することに成功。太平洋の海水温変動など自然変動が平均気温に与えた影響は、80年代47%▽90年代38%▽00年代27%-と判明した。
渡部准教授は「将来、自然変動の影響すら見えなくなるほど人為起源の温暖化2が加速する可能性がある」と話す。【阿部周一】


(毎日新聞 2014年9月3日 11時21分)


温暖化に挑む:平均気温の伸び停滞、なぜ 解明進む「ハイエイタス」現象、再上昇へ警告も
世界の地上の平均気温の推移
世界の地上の平均気温は20世紀後半以降上昇傾向にあり、人間活動による二酸化炭素(CO2)など温室効果ガス排出量増加が原因とみられている。だが今世紀に入り、排出量は増え続けているのに平均気温の伸びは鈍っている。「ハイエイタス(中断、停滞)」と呼ばれるこの現象の原因解明に向け、世界中で研究が進んでいる。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第1作業部会が公表した第5次評価報告書によると、地上の平均気温は1880~2012年に0.85度上昇した。10年単位でみると、最近30年は19世紀後半以降のどの年代よりも暑かった。だが今世紀に入ってからは、10年当たり0.03度上昇とほぼ横ばい。この現象がハイエイタスだ。一方、CO2濃度の上昇率は、1990年代は年約1.5ppmだったのに対し、最近10年は年約2.1ppmと増加した。
コンピューターで長期的に気候を再現・予測するシミュレーションモデルでは、2000年ごろまでは、実際に観測された気温上昇をよく再現していた。だが、ここ10年ほどは温暖化を過大に再現する傾向にある。その原因について、渡部雅浩・東京大准教授(気候力学)は、人間活動などが関係しない自然の変動▽小規模な火山噴火▽太陽活動による日射量の減少--などをあげる。
●自然変動の影響で
どの原因がどの程度影響しているかを数値化するには、まずシミュレーションで現実を再現することが必要だ。シミュレーションは実際の大気や海洋の観測データを与えずに、コンピューター上の計算だけで気温の変化などを示すのが基本だが、渡部さんらのチームは、過去の観測データを追加し、ハイエイタスが再現されるかどうかを調べた。
着目したのは、熱帯域の海洋上の風の変化だ。これまでの研究で、人間活動の影響を受けた温暖化傾向とは関係ないことが分かっている。1958~2012年に観測された熱帯海洋上の風向、風速のデータを加えて計算した結果、従来のシミュレーションでは00年以降も右肩上がりだった地上の平均気温が観測値とほぼ同じになった。一方、同じ条件で温室効果ガス増加を考慮しない計算では実際より0.6度程度低くなった。
この再現を基に、地上の気温を左右する自然変動の影響度合いを数値化すると、1980年代は47%、90年代38%、2000年代27%となった。これらのことから、1980~90年代は温室効果ガス増加に地上の気温を上昇させるような自然変動が重なり、気温上昇も加速。一方、2000年代は気温を低下させるような自然変動があったが、それを上回る温室効果ガスの影響が出てほぼ横ばいにとどまったと推測された。
渡部さんは「シミュレーション結果と観測結果がずれているのは説得力を欠く。次のIPCCの報告書に向け、観測値を与えなくてもハイエイタスが再現できるようなシミュレーションを数年以内に実現したい」と話す。
●深海域に熱が蓄積
海の熱吸収に着目した研究も進む。米ワシントン大と中国海洋大の研究チームは、水中を上下に移動できる装置を使って、世界中の海水面から水深1500メートルまでの熱の動きを追跡。その結果、気温上昇が止まり始めた1999年以降、大西洋や南極大陸を取り巻く南大洋では、海盆と呼ばれる深海域まで熱が蓄積されていることが分かった。
地表面に蓄えられる熱の約9割が海に存在するため、チームは「海に熱が蓄積しなければ、地球温暖化に拍車をかけていただろう」と推測。さらに、過去には同様の現象が20~35年続いていたとして、「今後15年間程度で、熱が海水面に戻ってくる可能性がある。温暖化の勢いは再び増すのではないか」と警告する。
米海洋大気局(NOAA)のマイケル・マクファデン研究主幹は米サイエンス誌に「温暖化の懐疑論者はハイエイタス現象を理由に、温暖化が起きていないと社会を混乱させようとしているかもしれない。だが、少なくとも海洋は温まり、地球の温暖化は続いている」とコメントした。
今年の春(3~5月)の平均気温は、この30年平均に比べ、0.28度、夏(6~8月)は0.31度高く、1891年の統計開始以来最も高かった。地球温暖化対策をめぐる国際的な枠組みづくりは遅れており、国立環境研究所の江守正多室長は「ハイエイタスと言われているにもかかわらず、気温の最高記録が出ている。このデータを直視し、国際社会は温室効果ガス削減策や被害軽減策の議論に真剣に向き合ってほしい」と話す。【大場あい、田中泰義】
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◇ハイエイタス(hiatus)
英語で「中断」の意味。気候の研究では、地球全体の地上の平均気温の上昇率が横ばいだったり、低下傾向になったりする状態を指す。米国大気研究センターのチームが2011年ごろから使い始め、地球温暖化の停滞を意味する言葉として広く用いられるようになった。


(毎日新聞 2014年10月3日 東京朝刊)

「1958~2012年に観測された熱帯海洋上の風向、風速のデータを加えて計算した結果」は下図である。

2014090501図14-2 「東京大学大気海洋研究所のプレスリリース」より

「近未来の予測を担当した木本昌秀・東京大学大気海洋研究所教授」が「微動だにしていない」と言い張る論拠は「コンピューターで長期的に気候を再現・予測するシミュレーションモデルでは、(1970年から)2000年ごろまでは、実際に観測された気温上昇をよく再現していた」ことだが、前章で指摘したとおり、それは専ら「温室効果ガス増加」が原因だった。
しかし、「1980~90年代は温室効果ガス増加に地上の気温を上昇させるような自然変動が重なり、気温上昇も加速」なら、それは間違いだったということになる。
「コンピューターで長期的に気候を再現・予測するシミュレーションモデルでは、人為的排出CO2の影響を過大評価して、『自然変動が重なり、気温上昇も加速』を補い、2000年ごろまでは、実際に観測された気温上昇をよく再現しているように見せかけていた」ということになる。
「1980~90年代は温室効果ガス増加に地上の気温を上昇させるような自然変動が重なり、気温上昇も加速」していたから、CO2の影響を過大評価していた事実が露見しなかった、と認めねばならない。
CO2の影響を過大評価していたのだから、そのどこをどのように修正したのか説明しなければならない。
第11章で指摘したとおり、「温室効果ガスが閉じ込める熱の量が想定よりも少ない」のか、それとも、フィードバックが弱いのか、それとも、他の理由があるのか?
これは肝心要の点である。
ところが、東京大学のプレスリリースには何の説明も見当たらない。
当該論文にも見当たらない。

それどころか、「同じ条件で温室効果ガス増加を考慮しない計算では実際より0.6度程度低くなった」と言い立てている。
前章の第2節で解説したとおり、IPCCの報告書に依れば、20世紀後半以降の気温上昇は0.6℃だから、「自然変動」は全く寄与していない、ということになる。
東京大学のプレスリリースも「温室効果気体濃度の増加などの外部強制変化を考慮しない場合(自然変動実験、青色)、期間全体の温暖化傾向だけが現れなくなります」と記している。
上図を見ると、1961年と2000年以降の「自然変動」はほぼ同じだから、確かに1961年から2012年までの気温上昇に「自然変動」の寄与は無い。
それなら、「1980年代は47%、90年代38%、2000年代27%となった。これらのことから、1980~90年代は温室効果ガス増加に地上の気温を上昇させるような自然変動が重なり、気温上昇も加速」は何か?
矛盾しているではないか。
「気候科学としては捨て置くわけにはゆかない」。

「温室効果気体濃度の増加などの外部強制変化を考慮しない場合、期間全体の温暖化傾向だけが現れなくなります」のは、「2000年代は気温を低下させるような自然変動があった」からに他ならない。
それなら、2000年代は自然変動の位相が負のはず。
しかし、第11章の図11-8で見たとおり、自然変動の位相は正である。
「期間全体の温暖化傾向だけが現れなくなります」のは「2000年代は気温を低下させるような不自然変動があった」からに他ならない。
そこで、「2000年代は気温を低下させるような自然変動があった」は無視して、「1980~90年代は温室効果ガス増加に地上の気温を上昇させるような自然変動が重なり、気温上昇も加速」だけに着目すると、上図の青線までは自然変動の範囲内だから、青線の1980~90年代と黒線の2000年以降との差0.3℃が人為的要因の気温上昇である。
CO2の排出は20世紀後半以降に急増したから、1951年から2010年までの60年間で0.3℃であり、10年当り0.05℃の気温上昇になる。
やはり、「ハイエイタス」と見える現象こそが「人為起源の温暖化」である。

にもかかわらず、「将来、自然変動の影響すら見えなくなるほど人為起源の温暖化が加速する可能性がある」と言い張る渡部雅浩は「温暖化が起きていると社会を混乱させようとしているかもしれない」。

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14.4 ネイチャー・ジオサイエンスの不都合な真実

上記の論文で用いられているのは「MIROC5」と呼ばれる気候モデルである。
それに依れば、CO2の排出が続くと日本の冬は著しく温暖化するという。

2014022601図14-3 2014年の冬季オリンピックを利用して朝日新聞が仕掛けた温暖化プロパガンダの一幕

しかし、MIROC5はこれまでの(日本の冬の)気温変化を再現できるのか?
これまでの観測値を再現できないのなら、上図の予測に科学的意味は無い。
ところが、将来の予測を示すばかりで、観測値との比較は示さない。
観測値を再現できるのなら示すはず。
これまでのデータを再現できるから、この予測の信頼性は高い、と言い張るはず。
ところが、示さない。
ということは、MIROC5はデータを再現できない、ということである。
上図は全くの妄想にすぎない。

にもかかわらず、「微動だにしていない」木本昌秀は、日本の冬は著しく温暖化すると騒ぎ立てる一方で、全く逆に、近年の厳冬は温暖化が原因、と言い張っている。


3年連続「寒冬」の日本 背景には「温暖化」?
11月に入って一気に気温が下がった感のある日本。今年の冬は例年に比べて寒くなるという。気象庁は12~2月の寒候期の予測を9月に発表した。気象庁の藤川典久予報官(季節予報担当)は話す。
「気象条件により、暖かい冬になる可能性は低い」
ここで気になることがある。日本の冬は東日本、北日本では2年、西日本に至っては3年連続の寒冬だ。地球は温暖化しているはずだったのに、なぜ寒い冬が到来するのか。
実は、「温暖化」こそが、寒い冬の要因の一つとして考えられる、と言うのは国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書の執筆者、東京大学の木本昌秀教授(気象学)だ。
「ここ数年は温暖化が日本の冬が寒いことの要因の一つでした。北極付近の氷が溶け、周辺の大気の温度が高くなる」
その結果、大気の流れが変わり、日本に強い寒気をもたらす「シベリア高気圧」が拡大する配置になりやすい。ただし、これが今年の冬にあてはまるかどうかについては不明だという。
日本の冬の気温はここ10年は上昇していない。世界の気温も上昇しているようには見えない。別の要因があると、木本教授は続ける。
「この10年の温暖化のハイエイタス(中断)傾向には海水の温度が影響していました」
太平洋ではアラスカ沖から赤道付近にかけた海域と日本近海の間で、海水温の高温域と低温域の分布が約10~20年周期で交互に入れ替わる。現在は日本付近の低温域が「広い」ため、地球全体の気温を下げる方向に働いているという。
それなら「寒冷化」か、と早合点してはいけない。木本教授は断言する。
「これから本格的に温暖化することは間違いない」
北極の氷は減り続けており、海が熱を吸収しているのも確実で、温暖化は疑いようがない。
「その年、その場所の天気や気温などの一つ一つの事象は『自然のゆらぎ』によって変動がある。ですが、地球温暖化が進むというIPCCや科学者の見解は、微動だにしていない


(AERA 2013年12月9日号より)

そして、それは気候モデル(MIROC5)で説明できると言う。


ユーラシア大陸:「厳冬は地球温暖化の影響
◇「海氷減少で大気の動き変化が理由」東京大チームまとめ
近年のユーラシア大陸の厳冬は、地球温暖化などによる北極海の海氷減少の影響を受けているとの分析結果を、森正人・東京大特任助教らのチームがまとめ、26日付の英科学誌ネイチャー・ジオサイエンス電子版「Nature Geoscience,7(2014)869」で発表した。海氷減少で大気の動きが変化するのが理由という。温暖化がもたらす新たな異変として注目されそうだ。
ロシア、モンゴル、カザフスタンなどユーラシア大陸中央部では厳冬の頻度が増え、2004~13年の冬の平均気温は、その前10年に比べて約1.5度も低くなっている。
チームは、1979~2012年の北極海の一部、バレンツ海などの海氷面積データを使用。海氷が多い上位10年と下位10年の平均値を基にシミュレーションを実施し、海氷面積の違いによる大気の変化を調べた。
その結果、海氷が多いと厳冬になる確率が6.2%だったが、少ない場合には14.4%と2倍以上高くなった。海氷が少ない年は、大陸中央部を中心に時計回りの空気の流れが生まれ、北極海の冷たい空気が大陸側に流れ込みやすくなると考えられるという。
日本への影響については、海洋研究開発機構がバレンツ海で海氷が減ると厳冬になると報告している。【大場あい】


(毎日新聞 2014年10月27日 10時04分)

東京大学のプレスリリースを見ると、この論文はバレンツ海とカラ海の海氷の減少が気象に及ぼす影響を研究している。
「日本への影響については、海洋研究開発機構がバレンツ海で海氷が減ると厳冬になると報告している」のだから、当然、この論文も「バレンツ海とカラ海の海氷が減ると(日本で)厳冬になると報告している」かと思いきや、下図に見えるとおり、「厳冬にならないと報告している」。

2014102801図14-4 バレンツ・カラ海の海氷の減少に伴う、冬の地表気温(色)と地表気圧(等値線)の変化。(a)観測値および(b)モデルによるアンサンブルシミュレーションの結果(「ユーラシア大陸中緯度域で頻発している寒冬の要因分析 ~北極海の海氷の減少により寒冬になる確率は2倍 ~」より)

「実は、『温暖化』こそが、寒い冬の要因の一つとして考えられる」と言い張っていたのは何だったのか?
「近未来の予測を担当した木本昌秀・東京大学大気海洋研究所教授」は「温暖化が起きていると社会を混乱させようとしているかもしれない」。

しかも、上図を見ると、シミュレーションと観測値はかなり違う。
それに関しては「モデルで再現されたユーラシア大陸中央部の低温偏差は、観測に比べると小さい値を示していますが、これはモデルが観測を過小評価しているわけではなく、モデルでは除去される内部変動(その多くは北極振動)の影響が観測にはかなり含まれているためです」と抗弁しているけれど、自然の内部変動が大きいと認めただけである。
上図の(a)と(b)で濃い青の地域は重なっているが、(a)の濃い青の地域のうち、(b)の濃い青の地域だけは人為的温暖化(でバレンツ・カラ海の海氷の減少)に因るが、他の地域は内部変動に因る、などということはありえない。
(b)の濃い青の地域にも自然の内部変動が大きく寄与しているはず。
ところが、(b)のシミュレーションでは内部変動が考慮されていない。
にもかかわらず、(a)と同じほど濃い青色になっている。
気候モデルが人為的温暖化(でバレンツ・カラ海の海氷の減少)の影響を過大評価していることは明白である。

しかも、バレンツ・カラ海の海氷減少の主因も自然変動である。
実際、下図に見えるとおり、バレンツ海の海水温(黒線)はAMO(赤線)と見事に連動している。

2014122005図14-5 「Geophys.Res.Lett.,36(2009)L19604」より

「1979~2012年の北極海の一部、バレンツ海などの海氷面積」の減少はAMOに伴う海水温上昇の影響が大きいことは明らかである。
結局、「厳冬は地球温暖化(=人為的排出CO2)の影響」ではなく、厳冬は自然現象である。
この事実はその後の研究でも裏づけられた。


We investigate the relative magnitudes of the contributions of surface temperature trends from different latitude bands to the recent warming hiatus. We confirm from five different global data sets that the global-mean surface temperature trend in the period 1998?2012 is strongly influenced by a pronounced Eurasian winter cooling trend. To understand the drivers of this winter cooling trend, we perform three 20-member ensembles of simulations with different prescribed sea surface temperature and sea ice in the atmospheric model ECHAM6. Our experimental results suggest that the Arctic sea ice loss does not drive systematic changes in the Northern Hemisphere large-scale circulation in the past decades. The observed Eurasian winter cooling trend over 1998-2012 arises essentially from atmospheric internal variability and constitutes an extreme climate event. However, the observed reduction in Arctic sea ice enhances the variability of Eurasian winter climate and thus increases the probability of an extreme Eurasian winter cooling trend.


(「Geophys.Res.Lett.,42(2015)8131」のabstract)


The emergence of rapid Arctic warming in recent decades has coincided with unusually cold winters over Northern Hemisphere continents. It has been speculated that this “Warm Arctic, Cold Continents” trend pattern is due to sea ice loss. Here we use multiple models to examine whether such a pattern is indeed forced by sea ice loss specifically and by anthropogenic forcing in general. While we show much of Arctic amplification in surface warming to result from sea ice loss, we find that neither sea ice loss nor anthropogenic forcing overall yield trends toward colder continental temperatures. An alternate explanation of the cooling is that it represents a strong articulation of internal atmospheric variability, evidence for which is derived from model data, and physical considerations. Sea ice loss impact on weather variability over the high-latitude continents is found, however, to be characterized by reduced daily temperature variability and fewer cold extremes.


(「Geophys.Res.Lett.,43(2016)5345」のabstract)


Surface air temperature over central Eurasia decreased over the past twenty-five winters at a time of strongly increasing anthropogenic forcing and Arctic amplification. It has been suggested that this cooling was related to an increase in cold winters due to sea-ice loss in the Barents-Kara Sea. Here we use over 600 years of atmosphere-only global climate model simulations to isolate the effect of Arctic sea-ice loss, complemented with a 50-member ensemble of atmosphere-ocean global climate model simulations allowing for external forcing changes (anthropogenic and natural) and internal variability. In our atmosphere-only simulations, we find no evidence of Arctic sea-ice loss having impacted Eurasian surface temperature. In our atmosphere?ocean simulations, we find just one simulation with Eurasian cooling of the observed magnitude but Arctic sea-ice loss was not involved, either directly or indirectly. Rather, in this simulation the cooling is due to a persistent circulation pattern combining high pressure over the Barents-Kara Sea and a downstream trough. We conclude that the observed cooling over central Eurasia was probably due to a sea-ice-independent internally generated circulation pattern ensconced over, and nearby, the Barents-Kara Sea since the 1980s. These results improve our knowledge of high-latitude climate variability and change, with implications for our understanding of impacts in high-northern-latitude systems.


(「Nature Geoscience,9(2016)838」のabstract)

これらは後から分かったこと、という言い逃れは通用しない。
厳冬の主因が自然要因であることは基本的な考察から必然的に導かれる合理的な結論であり、それが再確認されただけである。

但し、人為的要因は全く関係ない、とも言い切れない。
上図の(a)を見ると、アラル海周辺が「厳冬」になっているが、それはアラル海の消滅が原因である。


世界で4番目に広かった湖「アラル海」、ほぼ消滅
2014.10.01 12:36 JST
かつて世界で4番目に大きな湖だった「アラル海」が過去14年で縮小を続け、有害な砂をまき散らす広大な砂漠と化している。米航空宇宙局(NASA)はこのほど、湖の縮小規模を示す画像を公開した。
アラル海は中央アジアのカザフスタンとウズベキスタンの国境をまたぐ地域にあり、現在は元の湖の中心だった部分が「南アラル海」と呼ばれている。縮小は今年に入ってピークに達し、南アラル海の東側の部分が完全に干上がった。
NASAによると、アラル海には1960年代までアムダリヤ川とシルダリヤ川の2つの川が注ぎ込み、雪解け水や雨水が流れ込んでいた。しかし旧ソ連が60年代、農業用水を確保するため、この2つの川の流れを変え、水を運河に流入させた。
この影響でアラル海は縮小を始め、塩分濃度が上昇。肥料や化学物質で汚染された湖底が露呈した。この土壌が風に吹かれて周辺の耕作地に広がったため、耕作用にさらに多くの水が必要になったという。
水位の低下に伴いこの地域の気候も変化した。気温の変化を和らげてくれる水がなくなったため、冬は一層寒く、夏は一層暑くなったとNASAは解説している。


(CNN)

その影響は周辺にも及んでいる。
それが「ユーラシア大陸中央部では厳冬の頻度が増えた」一因。
それも人為的な気候変動だが、CO2の排出が原因ではない。
近年の気候変動は自然要因とCO2以外の人為的要因が主であり、人為的排出CO2の影響が弱いことは明白である。
MIROC5等の気候モデルはCO2の効果を著しく過大評価しているのだから、図14-3のように、冬季の気温が上がり続けることはない。
にもかかわらず、「これから本格的に温暖化することは間違いない」と言い張ってやまない「近未来の予測を担当した木本昌秀・東京大学大気海洋研究所教授」は「温暖化が起きていると社会を混乱させようとしているかもしれない」。[注1]

14.5 「地球温暖化で豪雨」の不都合な真実

第5章で引用した2016年8月30日の朝日新聞社説が「14年には広島の土砂災害で75人が亡くなった。相次ぐ極端な気象は、地球温暖化との関係も指摘される」と喚き立てていたのは、「微動だにしていない」木本昌秀がそう言っていたからである。


8月は異常気象 温暖化も一因に
2014年9月3日 19時30分
先月は、西日本で記録的な大雨や日照不足となり、各地で猛烈な雨が観測されました。
気象庁の専門家で作る検討会は、「異常気象」だったとしたうえで、「広島の土砂災害を引き起こした局地的豪雨は地球温暖化も要因の1つになっており、今後、こうした現象はどこでも起きるおそれがあり、日頃から備えをしてほしい」と指摘しています。
気象庁によりますと、先月は台風や前線の影響で、雨の降りやすい状態が続き、西日本で1か月に降った雨量は平年の274%と、8月としては昭和21年に統計を取り始めてから最も多くなりました。また、日照時間も平年の48%と、これまで最も少なかった昭和55年を下回り、深刻な日照不足となりました。
これについて、気候の専門家などで作る気象庁の「異常気象分析検討会」は3日、会合を開いて要因を分析しました。
それによりますと、先月上旬は、偏西風が平年より北に位置していたため、台風の速度が遅く、長い間、雨が降り続いたということです。
その後は偏西風が日本の西側で南に、日本の東側で北に蛇行したたため、前線が本州付近に停滞しやすい状態が続いたということです。さらに日本の南の海上では、雨雲の発達が活発でなくなったため、太平洋高気圧の西への張り出しが弱まり、高気圧の縁を回って暖かく湿った空気が、日本に流れ込みやすい状態が続き、西日本で記録的な大雨や日照不足になったとしています。
一方、広島市の土砂災害を引き起こした局地的な豪雨など、先月、各地で猛烈な雨が観測されたことについて、検討会は、地球温暖化による気温の上昇で、日本付近の大気に含まれる水蒸気の量が増加していることも要因の1つだとする見解をまとめました。
検討会の会長を務める東京大学の木本昌秀教授は記者会見で、「複数の条件が重なって西日本では極端な天候となり、異常気象だったといえる」と述べました。
そのうえで、「地球温暖化も短時間に猛烈な雨を降らせる要因の1つになっており、今後、こうした現象はどこでも起きるおそれがあり、日頃から備えをしてほしい」と指摘しました。


(NHK)

しかし、第5章で解説したとおり、「地球温暖化による気温の上昇で、日本付近の大気に含まれる水蒸気の量が増加していることも要因の1つ」という理屈は全く成り立たない。
その証拠に、「地球温暖化による気温の上昇で、日本付近の大気に含まれる水蒸気の量が増加していることも要因の1つ」なら、近隣でも豪雨になっていたはずだが、そうではなかった。


広島市北部、未明に100ミリ超える雨 陸自に派遣要請
2014年8月20日8時13分
広島市北部で20日未明、1時間に100ミリを超える猛烈な雨を記録し、広島地方気象台は「数年に一度」とされる記録的短時間大雨情報を出した。この雨の影響で住宅に土砂が流れ込み、広島市消防局によると、少なくとも10人が生き埋めになっているとの情報が入っており、救助活動が続いてる。
広島県危機管理監によると、20日午前4時までの1時間に、広島市安佐北区三入東で121ミリ、同区可部町上原で115ミリ、同区役所で102ミリの雨を観測した。
大雨の影響で、広島市安佐北区、安佐南区、佐伯区と安芸高田市八千代町で計約5300戸が停電となった。湯崎英彦・広島県知事は20日午前6時半、松井一実・広島市長の要請を受けて、陸上自衛隊に災害派遣を要請した。
気象庁によると、日本海付近に停滞する前線に南からの湿った空気が流れ込んで大気の状態が不安定になったため、局地的に大雨が降ったという。同時刻に近接する観測点で数ミリしか降っていないところもあり、気象庁は「不安定な状況下ではいつどこに雨雲が発生してもおかしくなく、短時間に極めて狭い範囲に雨が集中した」とみている。


(朝日新聞デジタル)

「微動だにしていない」木本昌秀は、地球温暖化で竜巻の被害が増えた、とも言い張っている。

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2013年9月3日の朝鮮日刊新聞朝刊紙面より

しかし、下図に見えるとおり、強い寒気が無ければ竜巻は起こり得ない。

2013090602
図14-6 竜巻発生のメカニズム

強い寒気が流れ込んで来るのは「地球温暖化も要因の1つ」なら、地球温暖化で竜巻が増えたと言えるけれど、先に解説したとおり、それは全くの妄想である。
その証拠に、上の記事で「温暖化によって竜巻が増えることは理にかなっている」と言い張っている「名古屋大の坪木和久教授」も、二日後の朝日新聞紙面で「増えていると言えるデータはない」と認めてしまった。

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2013年9月5日の朝鮮日刊新聞朝刊紙面より

さらに、第5章で引用した2013年9月8日の朝日新聞記事に見えるとおり、「微動だにしていない」木本昌秀は「温暖化がなければ、この夏、これだけ多くの地点で最高記録を更新することはなかっただろう」と言い張っていたけれど、また、先に引用した「温暖化に挑む:平均気温の伸び停滞、なぜ 解明進む『ハイエイタス』現象、再上昇へ警告も」と題する記事に見えるとおり、江守正多も「ハイエイタスと言われているにもかかわらず、気温の最高記録が出ている」と言い張っているけれど、彼らの言う「温暖化」とは気候モデルの結果に他ならず、気候モデルはCO2の効果を著しく過大評価しているのだから、そして、先に述べたとおり、気候モデル(MIROC5)は我国の気温推移を再現できないのだから、しかも、第11章の[注1]で解説したとおり、アメダスは都市化の影響と観測環境の劣化が著しいのだから、その主張に科学的な合理性は全く無い。[注2]

「微動だにしていない」木本昌秀は「温暖化が起きていると社会を混乱させようとしているかもしれない」。

2014122006
いやはや、全く人騒がせな御仁である。

[注1] もちろん、「『温暖化』こそが、寒い冬の要因の一つ」と言い張っているのは、「微動だにしていない」木本昌秀だけではない。
彼らの論文は2番煎じにすぎない。


春の寒さ、北極圏の海氷の縮小が原因か
Daniel Stone
for National Geographic News
March 27, 2013
北半球では、春分から1週間以上過ぎても通常より低い気温が続いている。これに関して気象学者らは、海を覆う氷の減少が原因ではないかとする最近の研究を指摘している。
アメリカ国立雪氷データセンター(NSIDC)の撮影によると、2012年秋は北極圏を覆う氷の面積が記録的に小さかった。そして現在のデータによると、最近記録された海氷面積の年間最大値は人工衛星の観測史上、6番目に小さいという。
地球温暖化による北極圏の海氷の減少のため、大気の循環が変化して雪と氷が増大すると気象学者のリュー・ジーピン(Jiping Liu)氏は説明する。リュー氏はこの問題に関し、2012年に「Proceedings of the National Academy」誌で発表された研究「PNAS,109(2012)4074」を主導している。
これは理解しにくいかもしれない。地球の温度調節装置とも言われる世界最北地域における氷の減少は、普通に考えれば、世界中の気温低下ではなく、気温上昇の兆候ではないのだろうか。
しかし、気象はそう単純ではない。海を覆う氷が大きく失われると、北極の風に対する制約が小さくなる。すると、北半球の大部分の気象を左右する冷たい大気であるジェット気流が徐々に南下し、北極からの冷たい大気がより赤道に近づく。その結果、通常より強烈な寒さが長期間にわたり春を襲うことになる。
◆原因は海氷
リュー氏のチームは、全世界的な気温の低下を説明しようとして、推論によって北極の氷の融解に行き着いた。
「過去数年の冬は、アジア、北米およびヨーロッパの広い地域に、こうした気温低下と平均以上の降雪をもたらした」と、ニューヨーク州立大学オールバニ校のリュー氏は語る。
「その原因を求め始めると、われわれの調査結果は、北極の氷の減少のせいではないかと示唆していた」。
この問題には湿度も関係している。通常なら北極の氷に閉じ込められている水分子は、液体になると蒸発して雨になる。
氷の減少によって開けた海域が増大することで、水蒸気は大気に取り込まれ、雪になる水分が増えてゆく。北極の氷は実質的に、解けると世界各地の雪にかわるのだ。例えばインディアナ州やミズーリ州では先週、この時期としては記録的な降雪を記録した。
◆荒ぶる気候
地球の一部の変化が世界中に予想外の気候を引き起こすことについては、ほかにも似たような研究がある。
米国海洋大気庁(NOAA)が2012年に公開した研究では、海氷の減少と大気中の温室効果ガスの増加が、より暑い夏につながる可能性があると示唆されている。
この研究チームは、「シミュレーションは、大気中における温室効果ガスの濃度が増大した結果、21世紀はこうした夏季の高い気温が強まる」と率直に断言している。
北極の氷は同じように縮小を続けていたのに昨年の北米はなぜ暖冬になったのかなど、年ごとの異常についてはまだ理由が明らかになっていない。
2012年の温暖な冬は各方面で、北大西洋振動と北極振動の予想外の変化のためだとされている。
このような季節の気まぐれはこれからも起こるかもしれない。しかしリュー氏らは、北極、そして地球全体の温暖化が続く一方で、これまでより寒く長い冬が増えるのではないかと考えている。


(ナショナルジオグラフィック)

しかし、コチラの記事に見えるとおり、この論文の第2著者「Judith A. Curry」は、その後、IPCCに対する批判的姿勢を強め、ついに、学生に正しい指導ができないとして、研究職を辞してしまった。
気候学では温暖化を煽り立てれば研究職に与れるが、そうでなければ、研究職に就くのは困難なのだ。

[注2] 「微動だにしていない」木本昌秀の子分・渡部雅浩も、2015年夏の猛暑はCO2の排出が原因、と言い張っている。


The persistent Japanese heat wave that occurred in early August of 2015 was mainly attrib-uted to intraseasonal disturbances, including TCs. Yet, it is found that the anthropogenic warming in-creased the probability of occurrence of the event by 1.5 to 1.7 times. The contribution of human-induced warming to the 2015 heat wave would have been more pronounced if there had not been a concurrent extreme El Nino event because El Nino has a cooling effect in Japan.


(「BAMS,97(2016)S107」の「conclusion」)

しかし、データと全く相容れない。
東京では8月の第2週から気温がぐんぐん下がっていった。

2015091802
図14-7 「8月の天候 上旬は猛暑 下旬ヒンヤリ」より

その結果、下図に見えるとおり、8月の気温(偏差)は平年よりも低かった。

2015092406
図14-8 2015年8月の全球平均気温偏差分布(NOAA・NCEP)

さらに、お盆の頃から秋雨前線が停滞していた。

2015082202
図14-9 2015年8月13日12時の天気図


秋雨前線活発化、西日本は強雨に注意
2015年8月19日 06時30分
19日(水)は秋雨前線が九州から関東沖にかけて停滞し、西日本を中心に雨を降らせそうです。台風15号の影響もあり、前線周辺には湿った空気が流れ込みやすく、活動が活発になります。前線に近い九州や四国、中国地方では局地的に雨雲が発達し、雷を伴った強い雨の降る所がありそうです。一時的に道路が冠水したり、中小河川が増水する恐れがあるので、雨の降り方に注意が必要です。
また、台風15号の影響で関東以西の太平洋沿岸や南西諸島では波やうねりが高くなりそうです。非常に強い勢力を保ったまま西に進んでることもあり、遠く離れていても様々な影響が出てきます。台風の動きにも、十分ご注意ください。

2015082201
19日(水)の天気解説図


(ウェザーニューズ)

しかも、西日本では7月から気温(偏差)が低かった。

2015082214
図14-10 2015年7月の全球平均気温偏差分布(NOAA・NCEP)

西日本ではエルニーニョの影響が顕然。
「The contribution of human-induced warming to the 2015 heat wave would have been more pronounced if there had not been a concurrent extreme El Nino event because El Nino has a cooling effect in Japan」なら、西日本の7月と8月の気温も平年並みだったはずで、お盆頃から秋雨前線が停滞することも無かったはず。
確かに「El Nino has a cooling effect in Japan」だけれど、西日本と東日本では現れ方が異なる。
8月上旬の一時的な猛暑を、CO2の排出が原因、などと言い張るのは全く非科学的で全くナンセンスである。
「it is found that the anthropogenic warming in-creased the probability of occurrence of the event by 1.5 to 1.7 times」はCO2の影響を著しく過大評価する気候モデル(MIROC5)の妄想にすぎない。

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