気温上昇の停滞とIPCC断末魔の足掻き

15.1 1998年の不都合な真実

第13章では2012年まで気温上昇停滞を採り上げたけれど、IPCCが第5次報告書を公表した2013年も気温上昇は停滞し続けた。
想定外の事態にうろたえたIPCC学派は、第11章第13章、そして、前章で解説したとおり、様々な言い訳を試みたものの、その尽くがデタラメで、彼らの非科学性を露呈してしまったのである。
第11章で採り上げた「火山噴火、人為的温暖化の『減速』に一部貢献か」という記事に見えるとおり、「これらのモデルが、化石燃料の燃焼で排出される二酸化炭素(CO2)による温暖化効果を誇張していると、懐疑論者らは強く主張している」けれど、IPCC学派は懐疑論者に打ちのめされてしまったのだ。
もはや彼らに残された道は気温上昇停滞を否定することのみ。
だから、こんなことを言い出した。

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図15-1 「Global Environmental Change,33(2015)1」より

1998年はエルニーニョで気温が高かっただけだから、1998年を除外すると気温は上がり続けている、と言うのだが、2重、3重、どころか、4重、5重の誤魔化しである。

第11章の第1節で指摘したとおり、「The simulations rule out (at the 95% level) zero trends for intervals of 15 yr or more」だが、IPCCの人為的温暖化説(=気候モデル)では、CO2が増え続ければ気温は確実に上昇するのだから、そして、現にCO2は増え続けているのだから、エルニーニョのような自然の揺らぎを除けば、気温上昇が10年間停滞することすらない。
従って、「15 yr or more」というのは、エルニーニョの年も含めて「15 yr or more」、という意味である。
1998年のデータを除外するのは問題の誤魔化しにすぎない。

第13章で指摘したとおり、IPCC第5次報告書に依れば、「95%」は「非常に高い確信度」だから、1998年以降の16年間に亘って気温上昇が停滞しているのなら、IPCCの人為的温暖化説(=気候モデル)は「非常に高い確信度」で破綻している。
気候モデルが70年代から90年代の急激な気温上昇を再現できるというのが、IPCCが人為的温暖化を煽り立てる論拠なのだが、それは見せかけにすぎなかった(非常に高い確信度)ということだから、上図の直線(破線)は科学的に無意味である。
その証拠に、2000年以降では2010年が最も強いエルニーニョだったのだから、上図の直線(破線)が人為的排出CO2に因る気温上昇を示しているのなら、2010年のデータは直線(破線)の上側に飛び出ていなければならないはずだが、僅かに上に出ているだけである。
2002年や2005年の方がずっと強いエルニーニョになっている。
もちろん、それは事実に反する。
1998年のデータを消去して直線を引くようなデータ解析は全く幼稚で全く非科学的である。

そのことをより深く理解するため、次に、第3章の(3-1)式を用いて解析してみよう。

(15-1)    \displaystyle a \left[ \sqrt[4]{\frac{\,n_0 \left( d/d_0 \right) \left( 255^4 - \delta \times 215^4 \right)}{1 + n_0 \left( d/d_0 \right) \left( 1- \delta \right)}} - \sqrt[4]{\frac{\, n_0 \left( 255^4 - \delta \times 215^4 \right)}{1 + n_0 \left( 1-\delta \right)}} \: \right ] + c \\ + \, 0.1 \times \cos \left[ \frac{\,2\,\pi \left( y-2000.8 \right)}{60} \right] + \, 0.04 \times \cos \left[ \frac{\,2\,\pi \left( y-2000.8 \right)}{20} \right]

但し、(3-1)式ではフィードバック係数を  a=3 に固定し、 n_{0} を調整したけれど、ここでは、第2章で解説したとおり、IPCCの人為的温暖化説に対応させて  n_{0} は40に固定し、20世紀の気温推移を再現できるように  a を選ぶ。
 c もデータを再現するように選ぶけれど、グラフ全体を上下させるだけだから、パラメターは実質的に  a だけである。
 a=1.6  c=-0.64 に選ぶと、20世紀の気温推移を概ね再現できる。

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図15-2 1880年以降の2013年までの気温推移(HadCRUT4)と(15-1)式との比較

IPCCの気候モデル、すなわち、第8章図8-1の赤線以上に20世紀の気温(偏差)をよく再現できる。
しかも、IPCCの気候モデルは2000年以降を全く再現できないけれど、上図の赤線は2000年以降もよく再現できる。
第13章で紹介したとおり、政策策定者向け要約に依れば「1998~2012年で、10年当たり0.05℃」だが、上図の赤線では1998年と2030年の差は0.1℃。
1998年の気温(△印)との差ではない。
1998年の気温(△印)は赤線よりも上に飛び抜けている。
赤線はENSOを考慮していないから、1998年は強いエルニーニョだったから、それは当然である。
1998年が強いエルニーニョであったにもかかわらず、1998年と2030年の差は0.1℃にすぎないのである。
図15-1の誤魔化しは明らかであろう。

ここでさらに注意すべきは、(15-1)式で取り入れた自然変動は20年周期と60年周期だから、1880年と2000年の気温差に自然変動は全く寄与していない、ということである。
つまり、上図の赤線では20世紀の気温上昇は専ら人為的排出CO2が原因である。
しかし、第5章第6章で解説したとおり、20世紀前半の気温上昇は自然要因である。
上図の赤線は人為的排出CO2の影響を過大評価している。
それでも、2030年まで気温は殆ど上がらないのだ。
図15-1の誤魔化しは明らかである。

しかも、1998年以降の気温上昇停滞を示しているのは気温のデータだけではない。
気温は上がっていないから、第11章図11-4に見えるとおり、下向き赤外放射は強まっていない。
だから、第13章図13-10図13-11に見えるとおり、海洋貯熱は減速している。
だから、図13-2に見えるとおり、水蒸気量も増えていない。
以上の3つのデータは人為的(排出CO2)温暖化の基本原理に関わるデータである。
それが3つとも気温上昇の停滞と整合している。
気温のデータだけを持ち出し、しかも、1998年のデータを消去し、幼稚な直線を引いて、温暖化は止まっていないと言い立てるのは全くの誤魔化しである。

しかも、HadCRUは第5次報告書の直前にデータを変えてしまったのだ。

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図15-3 「Clamte4you」より

なぜ変わったのか?
それは本当か?
HadCRUの「Had」は英国気象庁ハドレーセンターの略で、「CRU」は例のクライメートゲートの発信地イーストアングリア大学の Climate Research Unit の略だが、クライメートゲートの主役フィル・ジョーンズはこのように説明している。
(自然科学の他の分野なら既に研究者生命を絶たれているはずの人物が、尚も居座っていること自体が驚きだが。)

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図15-4 「CRUTEM4 and HadCRUT4」より

しかし、寒暖計の記録に基づいているのなら、双方で共通している地点の値は変わらないはずだが、「4 minus 3」を見れば、新バージョンの方がやや高くなっている。
不可解と言わざるを得ない。
但し、新バージョンの気温が上がった主たる理由は、新バージョンで新たに加わった地点であろう。
特に、北半球高緯度のデータが増えている。
第5章で解説したとおり、IPCCの人為的温暖化説では「地球温暖化の影響は高緯度ほど大きい」から、北半球高緯度のデータを増やした新バージョンで気温が上がるのは当然、というわけである。
そして、北半球高緯度のデータをさらに増やせば気温はさらに上がるはず、というのが図15-1の「Cowtan & Way(Q.J.R.Meteorol.Soc.,140(2014)1935)」である。

しかし、そんなデータは存在しない。
下図を見れば分かるとおり、HadCRUT3以上の観測点(寒暖計)は存在しない。

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図15-5 地上の観測網(GHCN)

「Cowtan & Way(Q.J.R.Meteorol.Soc.,140(2014)1935)」は言うに及ばず、HadCRUT4も「作り物」である。
1998年以降の気温上昇停滞という想定外の事態に困窮し切羽詰ったIPCCは、データを捏造して2000年以降の気温を吊り上げ、図15-1を使って、気温上昇停滞という事実を葬り去ろうと図ったのである。

図15-1でHadCRUT4とGISSがほぼ一致しているということは、GISSも「作り物」ということである。
実際、下図に見えるとおり、GISSはHadCRUTが改竄される以前から、実在しない北半球高緯度のデータを付け加えている。

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図15-6 IPCC第5次報告書技術要約の39ページの図TS.2(元図は第2章図2.21

また、GISSは殆ど全海洋をカバーしているけれど、そんな観測網も存在しない。
船舶に計器を取り付けて海面水温を測定しているけれど、航路が決まっているから、下図に見えるとおり、広大な海に描いた特定の線上の海水温を測定しているにすぎない。

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図15-7 船舶による海面水温の観測網(「観測通報点分布図」より)

しかも、船舶は航行しているから、地上の寒暖計のように特定の海面上の水温の変化を正しく測定できない。
さらに、計測器を取り付けたブイを海上に浮かべて海面水温を測っているけれど、やはり、海流や風で流されるから、下図に見えるとおり、広大な海洋上の点と線を測定しているにすぎない。

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図15-8 ブイによる海面水温の観測網(「観測通報点分布図」より)

それに対して、人工衛星では北緯80度から南緯70度までの(対流圏下部の)気温を漏れなく均一に測定できる。
科学的に最も信頼性が高いのは人工衛星のデータである。
(もちろん、人工衛星のデータにも問題はあるけれど、科学的信頼性においてHadCRUT4やGISSの比ではない。)
第11章図11-14で見たとおり、人工衛星のデータからENSO(と火山噴火の影響)を取り除くと、1993年から気温は殆ど上がっていない。
1998年が強いエルニーニョであったことを考慮しても、それ以前から気温上昇は停滞していたのだ。
図15-1は全くのペテンである。

15.2 2014年の不都合な真実

第13章の第1節で紹介したとおり、IPCC第5次報告書の政策策定者向け要約は「1998~2012年で、10年当たり0.05℃」と認めていたが、上記のHadCRUT4では1998~2013年の16年間でも10年当たり0.05℃。
第11章の第1節で紹介したとおり、IPCC学派は、気温上昇が17年間停滞しない限りIPCCの人為的温暖化説は破綻していない、と言い立てていたけれど、2014年は17年目。
2014年も気温上昇が停滞し続ければ、もはや言い逃れできない。
尻に火がついたIPCC学派は、2014年の全球平均気温は過去最高だった、と言い立てた。


14年は「一番暑い年」 NASAなど、温暖化進む
2015/1/17 11:24
【ワシントン=川合智之】米航空宇宙局(NASA)と米海洋大気局(NOAA)は16日、2014年は観測史上最も暑い1年だったと発表した。過去の暑い年の上位10位は1998年以降に集中しており、地球温暖化が進んでいることを改めて裏づけた形だ。
世界の測候所や海上の観測点6300カ所での測定結果によると、昨年の世界の平均気温は20世紀の平均に比べてセ氏0.69度高かった。05年と10年の0.65度を上回り、観測記録が残る1880年以降で最高となった。
特に暑かったのは北半球で、極東・ロシアや米国西部、欧州などで記録を更新した。一方、米東部や中西部では非常に寒い1年となり、地域によって気象状況による差も大きかった。
「個別の年は気象の影響を受けるが、長期的な傾向は人類の温暖化ガス排出に伴う気候変動によるものだ」とNASAゴダード宇宙科学研究所のシュミット部長は説明する。1880年に比べ世界の平均気温は0.8度上昇し、温暖化傾向は加速しているという。


(日本経済新聞 電子版)

もちろん、イカサマである。
上の記事には見えないが、英国気象庁(HadCRUT4)も「2014年は観測史上最も暑い1年だったと発表した」。
しかし、先に指摘したとおり、それは実在しないデータを付け加えた結果である。
実在する観測データだけに基づいたHadCRUT3では「2014年は観測史上最も暑い1年」ではなかった。

20161509
図15-9 HadCRUT3とHadCRUT4の比較

さらに、2つのデータを詳しく調べると。
2013年まではHadCRUT3とHadCRUT4は同じ傾向を示していた。
つまり、HadCRUT3で前年よりも気温が上がれば、HadCRUT4でも気温が上がり、HadCRUT3で前年よりも気温が下がれば、HadCRUT4でも気温が下がっていた。
ところが、HadCRUT3では2014年は2013年と同じなのに、HadCRUT4では大幅に気温が上がった。
「2014年は観測史上最も暑い1年だった」にするため、データを改竄して気温を吊り上げたことは明白である。

「米海洋大気局(NOAA)は16日、2014年は観測史上最も暑い1年だったと発表した」のはNCEI(旧NCDC)だが、「米海洋大気局(NOAA)」にはそれとは別にNCEPがある。
それに依れば、2014年の全球平均気温偏差(1981年から2010年までの平均気温との差)は0.112℃であり、過去12番目に高い値にすぎない。

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図15-10 2014年の年平均気温偏差(NCEP)

これまた、実際には観測データが存在しないにもかかわらず、全球の気温偏差を示しているけれど、先に指摘したとおり、GISSも同じだから、しかも、図15-1に見える「Cowtan & Way」はこのNCEPを援用しているのだから、IPCC学派がNCEPを否定することはできない。
「2014年は観測史上最も暑い1年だった」に科学的根拠は無い。

しかし、「2014年は観測史上最も暑い1年だった」を真に受けたとしても、1998~2014年の17年間の気温上昇率はHadCRUT4で10年当たり0.06℃。
NOAAのNCEI(旧NCDC)でも同じ。

20161511図15-11 「Many Mixed Signals in the UKMO’s Latest 5-Year Global Surface Temperature Forecast」より

前年までの16年間よりも僅か0.01℃上がっただけであり、70年代から90年代の急激な気温上昇率よりもかなり低いという事実に変わりはない。
にもかかわらず、「温暖化傾向は加速している」と言い張るのだから恐れ入る。

2015012901図15-12 「温暖化傾向は加速している」と言い立てて、喜色満面の「NASAゴダード宇宙科学研究所のシュミット部長」

第11章で解説したとおり、IPCCの気候モデルでは70年代から90年代の急激な気温上昇は専ら人為的排出CO2が原因だから、気候モデルが正しいのなら、17年間で10年当たり0.06℃ということはありえない。
気温上昇が17年間停滞しない限りIPCCの人為的温暖化説は破綻していないと言い張り、データを改竄して「2014年は観測史上最も暑い1年だった」と言い立てたけれど、それは徒労に終わった。
気候モデルの非科学性は隠しようもないのだ。

15.3 NOAA・NCEIの不都合な真実

だから、気候モデルを正当化するには、データを改竄して、さらに気温を吊り上げねばならない。
早々、実行してきた。


研究報告:「温暖化は停滞」に反論
米海洋大気庁が「サイエンス」誌に
2015.06.09
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は2013年、地球温暖化は停滞しているとする報告書を発表した。温室効果ガスが増加しているにもかかわらず温度上昇が停滞しているという「ハイエイタス現象」に科学者は頭を悩ませ、気候変動など起きていないと主張する人々は気を良くしていた。
ところが先週、温度上昇の停滞は不適切なデータにもとづく錯覚であり、この15年間、地球温暖化は停滞していなかったとする調査結果を、米国海洋大気庁(NOAA)の科学者が「サイエンス」誌に報告した。
(「Science,348(2015)1469」)
NOAAのチームは、世界各地の陸上や、船あるいは海上のブイに設置された数千台におよぶ温度測定装置のネットワークに注目した。測定方法の違いによる値のばらつき(特に、船舶で測定する温度とブイで測定する温度の差)を考慮に入れ、1880年以降の平均年間表面温度のグラフを作り直した。「データは、21世紀も20世紀後半と同じ傾向を示しています。ハイエイタス現象は見られません」と、論文の共著者であるNOAAの米国環境情報センター気候科学部門長のラッセル・ヴォーズ氏は言う。
1998年以降、温暖化は止まっているのか
新たな調査結果は、2013年のIPCCの報告書を否定するものだ。IPCCは、1998年から2012年にかけての地球の温度上昇率は、1951年から2012年にかけての上昇率と比較して3分の1から2分の1も小さくなったと指摘し、これを「ハイエイタス(地球温暖化の停滞)」と呼んだ。
NOAAによる新たな分析は、誤った数字からこうした仮説が導かれ、気候変動に関する科学と政策に大きな影響を及ぼしたと指摘する。
ハーバード大学の科学史家ナオミ・オレスケス氏は、「この誤りに対して平静さを装うことも、表現を和らげることもできますが、現実問題として統計的に顕著な停滞など見られません。これまでもなかったのです」と言う。
オレスケス氏のチームが数えたところ、地球温暖化の停滞を説明しようとする論文は、査読のある科学誌だけでも80本以上発表されているという。
「ネイチャー」誌も、2014年のはじめにこの問題について2度特集を組んでいる。「存在しない現象を説明するために、膨大な量の研究と努力が積み重ねられたのです」とオレスケス氏は言う。
NASAゴダード宇宙科学研究所のギャヴィン・シュミット所長は今回の研究には参加していないが、データがわずかに変更されたことでハイエイタス現象が完全に消えてしまうのは興味深いと語る。温度の継時的な変化は推定値にすぎず、測定値が増えるにつれて気温変化の潜在的な偏りへの理解が深まり、誤りがあれば修正されていくだろうと指摘する。「分析方法を少し変えるだけでハイエイタス現象の有無が変わるのですから、そもそもこの概念がいかに脆弱であるかがわかります」とシュミットは言う。
データ補正で変わる結果
とはいえNOAAの論文は、研究者にも地球温暖化をめぐる論争を繰り広げる政治家にも疑問の余地を残している。ジョージア工科大学地球大気科学科の教授で、温度の測定記録には方法によってかなりの差が出ると指摘してきたジュディス・カリー氏は、NOAAの新たな測定方法で地球温暖化の傾向がこれまでより正確に見えてきたとは言いきれない、と電子メールでコメントしている。「今回『サイエンス』誌に掲載された短い論文だけで、NOAAのデータに加えられた大きな変更を説明し、検証することはできません」と彼女は言う。「地球の表面温度のデータは流動的なものです。NOAAによるこの分析は、オバマ政権にとっては政治的に有用でしょうが、現在地球に何が起きているかを科学的に理解するためには、特に有用な情報であるとは思いません」
地球温暖化を否定する「Climate Depot」というウェブサイトを運営するマーク・モラーノ氏は、NOAAの新たな調査結果は「気候をめぐる議論にはほとんど影響しないでしょう」と言う。クルーズ氏らは18年以上地球温暖化が停滞していることを示す衛星データの存在を挙げる。モラーノは電子メールで「NOAAの発表によって、論争するデータとスケジュールが1つ増えただけのことです」とコメントしている。
NOAAのチームは今回、世界中の海に数十年前よりはるかに多くの温度測定ブイが設置されている点を考慮した。長期間温度を測定するブイの値は精度が高いので、新しいデータでは、ブイの測定値が重視されている。
また、商用船の海水温測定値も修正した。第二次世界大戦以降、商用船ではエンジン冷却水の取り入れ口に付けた温度センサーで海水温を測定しているものとしてデータを得ていたが、NOAAのチームによると、今日でも多くの商用船が昔ながらの方法、つまりバケツを下ろして海水を汲み、温度を測っているという。
このようにデータ収集法の違いによるばらつきを補正すると、より正確に全体像が見えてきた。温暖化は、衰えることなく一貫して進行している。
「私たちの仕事の多くは、大部分の観測システムが気候変動の監視用には不向きであるという事実を説明することでした」とヴォーズ氏は言う。「天気を知りたいのは飛行機や農業のためであり、海水温を測定するのは気候ではなく、海流を知るためなのです」。こうした潜在的な測定値の偏りをすべて検討することは「ひと苦労でした」とヴォーズ氏。

興味深いことに、NOAAによるデータの補正と再分析の結果、1880年代からの温度上昇率は1.15℃から0.92℃へと転じた。これは、再計算により過去の温度が高くなったからである。
この数年、ハイエイタス現象を解明しようと多くの研究が行われてきたが、それが無駄になることはないとヴォーズ氏は言う。海の循環と熱の吸収、太陽活動の低下、二酸化硫黄の増加など、地球を冷却する現象を精査することで価値ある情報がもたらされ、決して新たなデータと矛盾するものではないからだ。
「こうした作用がなかったら、温度上昇はさらに激しくなっていたかもしれないのです」と彼は言う。


(ナショナルジオグラフィック)

この論文で「データは、21世紀も20世紀後半と同じ傾向を示しています。ハイエイタス現象は見られません」になったのは、下図に見えるとおり、海面水温が、それも2000年以降だけが、大幅に上がったからである。

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図15-13 「Science,348(2015)1469」より

それは「新しいデータでは、ブイの測定値が重視されている」からではなく、全く逆に「新しいデータでは、ブイの測定値が軽視されている」からである。


地球温暖化の「休止」はなかった、米英大チームが確認
2017年1月5日 12:26 発信地:ワシントンD.C./米国
1998~2014年に地球温暖化の一時的な休止があったとの見方は誤りだとする米英大チームの研究論文が4日、米科学誌「サイエンス・アドバンシズ(Science Advances)」に掲載された。
論文を発表したのは米カリフォルニア大学バークレー校と英ヨーク大学の合同研究チーム。地球温暖化の休止をめぐっては2015年に米海洋大気局(NOAA)が発表した報告書が物議を醸していたが、今回の論文はNOAAの報告書を裏付けるものとなった。
NOAAは報告書で、現在の海洋気象ブイによる海水温測定値は、以前の海洋気象観測船によるものよりやや低い温度を示す傾向にあると指摘。ブイ観測に切り替えたことで「冷却化したとの思い込み」が生じ1998~2014年に起きた温暖化が一部見過ごされていたと結論付けていた。
しかしこの報告書は発表されるや否や、地球温暖化の一時的な「休止」はあったと主張する科学者や、地球温暖化そのものがでっち上げだとする批評家たちから激しい反発を招くこととなった。
カリフォルニア大とヨーク大の合同チームも当初はNOAAの報告に懐疑的だったという。だがこのほど、海洋気象ブイのデータに加え、人工衛星を利用して海洋変動を世界規模で自動観測する漂流ブイ「アルゴ(Argo)フロート」からのデータなどを独自に収集。NOAAとは異なるデータと手法を用いて検証した結果、2015年のNOAA発表は正しかったことが確認できたという。


(AFP/Jean-Louis SANTINI)

図15-7で指摘したとおり、航行している船舶に比べれば、「長期間温度を測定するブイの値は精度が高い」から、「以前の海洋気象観測船によるものよりやや低い温度を示す傾向にある」のなら、「以前の海洋気象観測船によるもの」が実際よりも高い値を出していると考えるはずだが、NOAA(NCEI)はあべこべにブイの測定値を0.12℃吊り上げたのである。(「J.Clim.,28(2015)931」を参照。)
しかも、「以前の海洋気象観測船によるものよりやや低い温度を示す傾向にある」のは「商用船の海水温測定値も修正した」からである。
「今日でも多くの商用船が昔ながらの方法、つまりバケツを下ろして海水を汲み、温度を測っている」から、そして、「バケツを下ろして海水を汲む」と冷めてしまい、実際の海水温よりも低くなるからという理由で、「商用船の海水温測定値」を吊り上げたのである。
しかし、昔の木造船なら、いざ知らず、甲板上の気温は海水温よりも高いはずだから、バケツの海水は冷めるどころか、逆に温まるはず。
しかも、「今日でも多くの商用船が昔ながらの方法、つまりバケツを下ろして海水を汲み、温度を測っている」は疑わしい。
エンジン冷却水の取り入れ口の温度センサーは、商船会社が自腹を切って取りつけたのではない。
国民の血税を使って、気象当局が船舶に取りつけたはず。
当然、それはデータベース化されているはずだから、「温度センサーで海水温を測定している」のか、「バケツを下ろして海水を汲み、温度を測っている」のかは区別できるはず。
温度センサーを取りつけていないことすら把握していないのなら、本当に「バケツを下ろして海水を汲み、温度を測っている」か知れたものではない。
まして、温度センサーを取りつけているのに、船員がわざわざ「バケツを下ろして海水を汲み、温度を測る」はずがない。
実は温度センサーで測定している海水温を、「バケツを下ろして海水を汲み、温度を測っている」と言い立てて、海水温を吊り上げた疑いが濃厚である。
エンジンの熱で暖められるから、「冷却水の取り入れ口に付けた温度センサー」で測った値は実際の海水温よりも高くなる。
本来は修正して値を下げるべきところを、「バケツを下ろして海水を汲み、温度を測っている」と言い立てて、逆に値を上げたのである。
但し、下図に見えるとおり、(海水温を測定している)船舶数に大きな変動はないから、「商用船の海水温測定値も修正し」ただけなら、(海水温の)偏差に大きな相違は無い。

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図15-14 「J.Clim.,28(2015)911」より

しかし、海洋気象ブイは2000年以降も増え続けているから、しかも、海洋気象観測船を上回ったから、「以前の海洋気象観測船によるものよりやや低い温度を示す傾向にある」と言い立てて、ブイの測定値を吊り上げたので、2000年以降の海面水温が大幅に上がった。
「新しいデータでは、ブイの測定値が重視されている」と嘯いているのは、それ故である。

先ずは「長期間温度を測定するブイの値は精度が高いので、新しいデータでは、ブイの測定値が重視されている」と言い立てて、「商用船の海水温測定値も修正し」た後で、今度は逆に「現在の海洋気象ブイによる海水温測定値は、以前の海洋気象観測船によるものよりやや低い温度を示す傾向にある」と言い立てて、ブイの測定値も吊り上げたのだ。
手の込んだイカサマで気温(海水温)を吊り上げるのは「ひと苦労でした」、というわけである。
その証拠に、先に言及したとおり、NOAAにはNCEI以外にNCEPがあり、NCEPはブイが整備された1980年以降だから、「ブイの測定値が重視されている」はずだが、下図に見えるとおり、「データは、21世紀も20世紀後半と同じ傾向を示しています。ハイエイタス現象は見られません」どころか、「データは、2012年は1998年よりも低い気温を示しています。人為的温暖化現象は見られません」。

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図15-15 NOAA・NCEPに拠る1988年から2005年までの全球平均気温偏差

2015060103
図15-16 NOAA・NCEPに拠る2005年から2015年までの全球平均気温偏差

カリフォルニア大(バークレー分校)は「海洋気象ブイのデータに加え、人工衛星を利用して海洋変動を世界規模で自動観測する漂流ブイ『アルゴ(Argo)フロート』からのデータなどを独自に収集。NOAAとは異なるデータと手法を用いて検証した」と言い立てているけれど、「アルゴ(Argo)フロート」が観測しているのは海中の水温であり、海面水温ではない。
第11章の第1節で引用した「異常気象レポート2014」に見えるとおり、「温室効果ガス濃度の増加によってこれまで地球の気候システムに蓄積されてきた熱量の90%以上は海水の温度上昇に使われて」いると考えられるから、それを調べるために「アルゴ(Argo)フロート」が運用されている。
その結果、「地球温暖化の熱、海の吸収量が急加速」という記事に見えるとおり、「最近の熱蓄積の3分の1は、日光が届かない水深700メートル以上の深海域で起きていることを、研究チームは発見した。これによって、20世紀末に海表面で観測された温暖化の『停滞(ハイエイタス)』は、これで説明できる」と言い張っていたのだ。
ところが、今度は全く逆に、「アルゴ(Argo)フロート」から「2015年のNOAA発表は正しかったことが確認できた」と、つまり、「この15年間、地球温暖化は停滞していなかったことが確認できた」と言い張っている。
しかし、それならば、熱が海に溜まったから気温上昇が停滞した、と言っていたのは「不適切なデータにもとづく錯覚」だった、ということになる。
実際、第13章の図13-10と図13-11に見えるとおり、「アルゴ(Argo)フロート」の運用以降、海洋貯熱は緩やかになっている。
それは「温室効果ガスが増加しているにもかかわらず温度上昇が停滞している」からである。
「温暖化は、衰えることなく一貫して進行している」のなら、海洋貯熱は加速しているはず。
「2015年のNOAA発表は正しくなかったことが確認できた」のだ。

「温室効果ガスが増加しているにもかかわらず温度上昇が停滞しているという『ハイエイタス現象』」に関して、「Nature Climate Change,4(2014)835」はこのように言い立てていた。


We present a more appropriate test of models where only those models with natural variability (represented by El Nino/Southern Oscillation) largely in phase with observations are selected from multi-model ensembles for comparison with observations. These tests show that climate models have provided good estimates of 15-year trends, including for recent periods and for Pacific spatial trend patterns.


(「Nature Climate Change,4(2014)835」の abstract より)

IPCC第5次報告書の気候モデルでも、「models with natural variability (represented by El Nino/Southern Oscillation) largely in phase with observations」はハイエイタスを説明できる、と言うのである。
そのモデルには「微動だにしていない」木本昌秀のMIROC5が含まれているが、前章の第3節で解説したとおり、当の木本昌秀が、ハイエイタスを再現できないから自然変動を考慮した、と認めているのだから、「climate models have provided good estimates of 15-year trends」のはずがなかろう。
この論文の著者の一人は、誰あろう、ナオミ・オレスケス。
自らの「誤りに対して平静さを装い」つつ、「この誤りに対して平静さを装うことも、表現を和らげることもできます」と言い放つ厚顔無恥さには恐れ入るが、さらに「存在しない現象を説明するために、膨大な量の研究と努力が積み重ねられたのです」と言い放った。
しかし、「地球温暖化の停滞を説明しようとする論文は、査読のある科学誌だけでも80本以上発表されている」の多くは気候モデルに基づいている。
「近未来の予測を担当した木本昌秀・東京大学大気海洋研究所教授」も、第11章の図11-5に見えるとおり、政策策定者向け要約の執筆者の Shang-Ping Xie も、気候モデルでハイエイタスを再現できた、と言い立てているのだから、そして、「査読のある科学誌だけでも80本以上発表されている」の1本はギャヴィン・シュミットの論文「Nature GeoScience,7(2014)158」だから、「存在しない現象を説明するために、膨大な量の研究と努力が積み重ねられたのです」ということは、IPCCの気候モデルは「存在しない現象を説明する」ということである。
IPCCの気候モデルに依れば、1970年以降の気温上昇は専らCO2の排出が原因であり、図15-1の直線(の20世紀の部分)はそれに基づいているから、そして、「これまでもなかったのです」は図15-1の直線(の20世紀の部分)に他ならないから、「存在しない現象を説明するために、膨大な量の研究と努力が積み重ねられたのです」ということは、「現実問題として統計的に顕著な停滞など見られません」は「存在しない現象を説明」している、ということに他ならない。
その論文の著者の一人は、ナオミ・オレスケス、その人である。
ナオミ・オレスケスは、「存在しない現象を説明するために」、「現実問題として統計的に顕著な停滞など見られません」と喚き立てているのだ。

15.4 17年後の祭り

17年間の気温上昇停滞は明らかであり、従って、IPCCの人為的温暖化説のデタラメも明らかであるにもかかわらず、「現実問題として統計的に顕著な停滞など見られません。これまでもなかったのです」と見せかけるために、その後も、このように言い立てている。


2015年の世界平均気温 過去最高を大幅更新
マット・マグラス 環境担当編集委員
2016年1月21日
米英の気象専門家によると、2015年の世界の平均気温は過去最高を更新した。エルニーニョ現象と人間の活動が気温上昇の主な要因だという。
英気象庁によると、2015年の世界の平均気温は、1961年~1990年の平均値を0.75度上回った。また、米航空宇宙局(NASA)と米海洋大気局(NOAA)によると、過去最高値だった2014年の値を0.13度上回った。

NOAAによると、2014年から2015年にかけての地表と海面の温度上昇幅は、過去最大だったという。
急上昇
2015年の気温が過去最高になることは、世界中の研究機関が予想していた。英気象庁は2015年の気温が長期的な平均値を0.52度~0.76度上回ると予想していたが、実際の上昇幅は予想していた最大値に近かった。
英気象庁ハドリー・センターのピーター・ストット博士は、「今後については2016年も暖かい年になりそうだ。温室効果ガスによって人間活動が気候に与える影響の程度が、かつてないレベルに達したことと関係がある」と語った。博士はさらに、「過去に比べてずっと暖かくなっているのに加え、太平洋のエルニーニョ現象による影響も続いている」と指摘した。
米国の専門家も、2015年の気温が過去最高となった背景には、主に化石燃料の使用による長期的な温暖化傾向と、エルニーニョ現象があると指摘している。
テキサス工科大学キャサリン・ヘイホー教授はBBCの取材に対し、「2015年の気温が過去最高の更新にとどまらず大幅に上昇したのは、気温変化の長期的傾向と、近年最強のエルニーニョが合わさったことによる、相互作用が理由だ」と語った。

さらに、2015年は1年の気温が初めて産業革命前の水準を1度以上上回った年になった。昨年12月にパリで開かれた国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)では、危険な気候変動を回避するため、産業革命前の水準からの気温上昇を2度より「かなり低く」抑えることで合意している。
NASAによると、これまでの気温上昇の大部分は過去35年間で起きている。過去最高を更新した16年のうち15年は2001年以降だ。2015年の12カ月のうち10カ月は平均気温が過去最高を更新し、5カ月はその上昇幅が過去で最も大きかった。
米国の環境情報センターのトーマス・カール博士は、現在の状況では2016年も2015年と同じか、それ以上に温暖化が進む可能性が高いという。博士は、「秋の数カ月と12月には、これまでの記録が大幅に塗り替えられており、2015年前半よりもずっと加速している。特に海水温度がとても高いので、少なくとも来年の前半までこの傾向が続くと思われる」と説明した。
2015年は年間を通じて世界各地で異常気象が見られた。これについて専門家は、温暖化で予想される影響に一致すると指摘する。アフリカの一部やインド、パキスタンが厳しい干ばつに見舞われ、年後半には欧州や米国の各地で洪水が起きた。
ストット博士は、「2015年の年末はさまざまな面でとても異常だった。ここイギリスでは12月が1910年以来の降雨量と高温となり、世界的にもそうだった」、「シベリアやロシア北部、北米の東海岸でも気温が非常に高かった」と語った。
同博士はさらに、「世界的にエルニーニョが理由の一部だが、俯瞰すれば、進行する温暖化を裏付ける現象だと分かる。熱波や干ばつのリスクが高まっている」と述べた。
気候変動を疑問視する人々は、世界気温の上昇が1998年に止まったようだと強調する。しかし今回のデータは、気温上昇の小休止がもう終わったことを示している。
ヘイホー教授は、「温暖化が止まったという見方は科学者の間では完全に否定されている」と述べた。「気候変動は少なくとも20~30年の期間で考える必要がある。自然界の動きには変動要因があるからだ。20~30年かもっと長期でみれば、世界の温暖化は続いている」。
NASAゴダード宇宙飛行センターのギャビン・シュミット博士もそれに同意する。同氏は記者団に対し、「これほど記録的に暖かい年になったのは、長期的な温暖化傾向のためだ。過去数十年間で、気温上昇の傾向が弱まったとか止まったとか、または小休止していると示す証拠はない」と語った。


(BBC)


2016年の世界平均気温、史上最高を更新 3年連続
2017年1月19日 04:38 発信地:マイアミ/米国
米海洋大気局(NOAA)などは18日、2016年の世界平均気温が3年連続で観測史上最高記録を更新したと発表した。気候変動の加速に関する懸念をさらに高める統計結果だ。
NOAAによると、インド、クエート、イランは昨年、国内最高気温の新記録を樹立。気候変動の影響を受けやすい北極圏では、海氷がかつてない速さで融解した。
昨年1年間の世界平均気温(陸域における地表付近の気温と海面水温の平均)は20世紀平均よりも0.94度高く、これまでの最高記録だった2015年を0.04度上回り、1880年の統計開始以降で最高を記録した。
米航空宇宙局(NASA)による別の分析結果でも、2016年の平均気温は史上最高だったと結論付けられている。また、世界気象機関(WMO)も米国の観測結果を認め、同年には二酸化炭素(CO2)とメタンの大気中濃度も過去最高となったと指摘した。
気温上昇の主な原因は、石油やガスなどの化石燃料の燃焼だ。これによりCO2やメタンなどの温室効果ガスが大気中に放出され、地球温暖化を引き起こしている。


(AFP/Kerry SHERIDAN)


世界の平均気温、昨年も過去最高 米発表、3年連続更新
ワシントン=小林哲
2017年1月19日09時12分
米海洋大気局(NOAA)は18日、2016年の世界の平均温度は約14.8度で、過去最高だった前年をわずかに上回ったと発表した。過去最高の更新は14年以降、3年連続。記録が残る1880年以降で最も高く、20世紀の平均を0.94度上回ったという。
世界各地の陸上と海洋の観測データをもとに分析した。米航空宇宙局(NASA)も独自に集計・分析し、過去最高を更新したことを確認した。
NOAAによると、昨年は太平洋東部の赤道付近の海面水温が上昇するエルニーニョ現象で、1月から8月まで毎月の平均温度が過去最高を連続して更新したことが年平均にも影響した。
北極の海氷面積の年平均も記録が残る1979年以降で最小。南極の氷の年平均面積は同年以降で2番目に小さかったという。


(朝日新聞デジタル)

「米航空宇宙局(NASA)による別の分析結果でも、2016年の平均気温は史上最高だったと結論付けられている」は下図である。

2017012006
図15-17 NASA(GISS)による全球平均気温偏差の推移

IPCCの人為的温暖化説は第11章の(11-1)式で表される。
上図の赤線がそれである。
気温は赤線に沿って上がり続けている。
(もちろん、赤線は1970年以前の気温を全く再現できないから、IPCCは赤線を上にずらしている。そうすると、今度は1970年以降の気温が高くなりすぎるので、第8章で解説したとおり、エアロゾルを使って辻褄合わせしている。ともあれ、1970年以降に関しては、IPCCの人為的温暖化説が赤線で表されるという事実に変わりはない。)
だから、ギャビン・シュミットが「過去数十年間で、気温上昇の傾向が弱まったとか止まったとか、または小休止していると示す証拠はない」と言い張っているのだが、1901年には、地上の寒暖計はまばらで、図15-14に見えるとおり、海水温を測るブイは存在せず、図15-7に見えるとおり、商船に依る観測も太平洋と大西洋の航路上に限られるにもかかわらず、図15-6が南極を除くほぼ全球の2012年と1901年の気温差を示しているのは、気候モデルで計算した値だからである。
「米航空宇宙局(NASA)も独自に集計・分析し」は気候モデルで作り上げた擬い物にすぎない。
気候モデルの値だから、赤線に沿って上がり続けるのは理の当然であり、それを以ってして、「過去数十年間で、気温上昇の傾向が弱まったとか止まったとか、または小休止していると示す証拠はない」と言い張るのは詐術以外の何物でもない。

先にも指摘したとおり、科学的に信頼性が高いのは人工衛星のデータであり、それを見れば科学的真実が明らかとなる。


図15-18 人工衛星による観測(UAH)とIPCCの人為的温暖化説、及び、(15-1)式との比較

確かに、人工衛星からの観測でも2016年の(全球平均)気温は「過去最高を更新した」。
しかし、1998年との差は僅か0.02℃であり、寒暖計では計測不可能な値である。
そのことだけを以ってしても、「過去数十年間で、気温上昇の傾向が弱まったとか止まったとか、または小休止していると示す証拠はない」の嘘は明白だが、図15-17と同様に、IPCCの人為的温暖化説と比べてみよう。
赤線はENSOを考慮していないから、エルニーニョの年の気温は赤線よりも高くなる。
1998年は過去最強レベルのエルニーニョだったから、1998年の気温は赤線の上に飛び出ている。
NOAAも認めているとおり、2016年は1998年と並んで近年最強のエルニーニョだったから、2016年の気温も赤線の上に飛び出ていなければならない。[注1]
ところが、赤線よりも僅かに下。
2010年も強いエルニーニョの年だったけれど、赤線よりも下。
赤線、すなわち、IPCCの人為的温暖化説が成り立たないことは明白。
一方、(15-1)式と比べてみると、これまたENSOを考慮していないので、1998年も2010年も2016年も青線の上に出ている。
赤線と青線は2000年まではほぼ一致していたけれど、21世紀に入って差は開くばかり。
NASA(とNOAA)のデータが捏造に他ならないことは明白である。
「過去数十年間で、気温上昇の傾向が弱まっていないとか止まっていないとか、または小休止していないと示す証拠はない」のだ。

もちろん、NOAAやNASAや英国気象庁のデータ(と称する値)が地表面近くの気温であるのに対し、人工衛星に依る観測は対流圏下部の気温だけれど、IPCCの気候モデルが正しいのなら、対流圏下部の気温上昇の方が地表面近くの気温上昇よりも大きいはず。
それはギャビン・シュミット自身が認めている。

ところが、下図に見えるとおり、全く逆に、NASAやNOAA(NCEI)の気温上昇の方が大きい。


図15-19 人工衛星からの観測(UAHとRSSの平均値:青線)と、NASAとNOAAとHadCRUT4との平均値(赤線)との比較

NASAやNOAA(NCEI)のデータに科学的真実は無い。
科学的真実は図15-18が示している。
気温上昇は1998年から19年間停滞し続けているのだ。
しかも、先に指摘したとおり、人工衛星のデータからENSOと火山噴火の影響を取り除けば、実は、1993年から気温は上昇していない。
第11章図11-14は2013年までだが、2016年の気温は過去最強クラスのエルニーニョが原因だから、2016年までのデータに同じ処理を施せば、気温上昇はほぼ四半世紀に亘って停滞し続けている。
図11-14の論文の著者の一人は、ギャビン・シュミット、その人である。
「過去数十年間で、気温上昇の傾向が弱まっていないとか止まっていないとか、または小休止していないと示す証拠はない」。
「温暖化が止まっていないという見方は科学者の間では完全に否定されている」。

[注1] 下図に見えるとおり、エルニーニョ自体は2015年の末に最盛期を迎え、2016年は収束に転じた。

2016052204図15-20 「ENSO: Recent Evolution, Current Status and Predictions」の2016年5月9日版より

しかし、海水温が低下するということは、海から大気に熱が放出されるということであり、海水の熱容量は空気のそれよりも桁違いに大きいから、海から熱が放出されると気温は大きく上がる。
2016年の1月以降は海水温が急激に低下し始めたので、エルニーニョの影響は2015年よりも2016年の気温に大きく表れたのである。
ところが、NOAA(NCEI)では2015年と2016年の気温差は僅か0.04℃。
NOAAの気温データが科学的に無意味であることを完全に露呈したと言えよう。

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