IPCCの温暖化説とは?

(1-14)式は15μm帯域の温室効果の上限を与える式であったが、大気が有限の層(n)から成る場合、15μm帯域の温室効果は(1-10)に(1-12)で用いた処方を施せば得られる。

(2-1)    \displaystyle \sqrt[4]{\frac{\,n\left( 255^4 - 0.21 \times 215^4 \right)}{1 + 0.79\,n}} - 255

これが大気中CO2の増加に因る温暖化を予測する公式である。

温暖化を騒ぎ立てている環境団体の連中などは、IPCCはスーパーコンピュータを駆使して温暖化を予測しているのに、こんな簡単な式で温暖化を予測できるはずがない、と言い立てるに違いない。
また、スペンサー・ワートも次のように公言している。[注1]


わたしはしばしば、科学の訓練を受けた人々から、温室効果気体の排出がもたらす地球温暖化についての簡単な計算のしかたを知りたいという電子メールを受けとる。温度がどれだけ上昇するかをきちんと予測するにはどの物理方程式とどのデータがあればよいのか?自然な質問だ。温室効果の一般向けの説明ではふつう、それは基礎的な物理学の問題だと言われているのだから。この人々(年長の技術者であることが多い)は、専門家が彼らの質問を避ける態度をとるとき、疑い深くなる。彼らのうち一部の人々(たとえばモンクトン[Monckton]卿)は、自分で答えを出そうとする。そして、専門家が彼らの美しい理屈を却下すると不平を言う。
危険な(と言われる)地球温暖化の因果関係は1ページほどの方程式によって証明できるはずだという技術者の要求は正当であるように思われる。 そしてそれは長い歴史を持っている。 歴史をふりかえれば、簡単な答えを求める人の期待が裏切られるのは気候システムの性質から必然的にくることなのだということが明らかになる。


(「簡単な問いには簡単な答えがあるか?そうとは限らない」より)

全く以って愚かな言説である。
なぜならば、「1ページほどの方程式」どころか、たった1行の(2-1)式はIPCCの温暖化説を包含しているからである。
説明しよう。

IPCCの人為的(排出CO2)温暖化説の基本は2つ。
1つは、大気中CO2濃度が倍増すればCO2の温室効果は1℃上がる、ということ。


Application of established physical principles shows that, even in the absence of processes that amplify or reduce climate change, the climate sensitivity would be around 1C, for a doubling of CO2 concentrations.


(「Climate Change: A Summary of the Science」の6頁の第29段落)

もう一つは、CO2の温室効果がフィードバックで3倍に増幅される、ということ。


Therefore, although carbon dioxide is the main anthropogenic control knob on climate, water vapour is a strong and fast feedback that amplifies any initial forcing by a typical factor of three. Water vapour is not a significant initial forcing, but is nevertheless a fundamental agent of climate change.


(IPCC第5次報告書草案第2校の第8章63頁の42行~45行)

一方、NASA・GISSのシミュレーション[J.Geophys.Res.,115(2010)D20106]に依れば、1980年時におけるCO2の温室効果は全温室効果33℃の19%、つまり、6.3℃。
式(2-1)に依れば、この場合、赤外吸収・射出の平均回数nは48。

(2-2)    \displaystyle \sqrt[4]{\frac{\,48\left( 255^4 - 0.21 \times 215^4 \right)}{1 + 0.79\times 48}} - 255 = 6.29

1980年時の大気中CO2濃度は338.7ppmだから、吸収・射出の平均回数は濃度に比例すると仮定すれば、産業革命時(CO2濃度は280ppm)における「吸収・射出の平均回数」は(280÷338.7)×48=40。
再び(2-1)に依れば、産業革命時におけるCO2単独の温室効果は6℃。

(2-3)    \displaystyle \sqrt[4]{\frac{\,40\left( 255^4 - 0.21 \times 215^4 \right)}{1 + 0.79\times 40}} - 255 = 5.96

従って、大気中CO2濃度が産業革命時の倍になれば、つまり、n=80ならば、CO2単独の温室効果は7℃

(2-4)    \displaystyle \sqrt[4]{\frac{\,80\left( 255^4 - 0.21 \times 215^4 \right)}{1 + 0.79\times 80}} - 255 = 6.97

大気中CO2濃度が倍増すればCO2の温室効果は1℃上がる。
これは正にIPCCの主張するところ。
式(2-1)はIPCCの温暖化説を包含しているのである。
実際、フィードバックで3倍に増幅されると仮定して、つまり、次式を用いて20世紀の気温上昇(気温偏差)を計算してみると、

(2-5)    \displaystyle 3 \left[ \sqrt[4]{\frac{\,n_0 \left( d/d_0 \right) \left( 255^4 - 0.21 \times 215^4 \right)}{1 + 0.79 \, n_0 \left( d/d_0 \right)}} - \sqrt[4]{\frac{\,n_0 \left( 255^4 - 0.21 \times 215^4 \right)}{1 + 0.79 \, n_0 }} \: \right ] + c

(ここで、 d は20世紀の大気中CO2濃度、 d_0=280 、そして、 n_0=40 。気温偏差の定義に合わせるために  c=-0.65 を付け加えた。)

結果は下図のようになるが、

2015101301
図2-1

これはIPCCの最新の気候モデル(下図の赤線)と概ね一致している。
(但し、図2-1とは気温偏差の定義が異なるので注意。)

2013101601
図2-2 IPCC第5次報告書第10章の図10.1(c)

[注1] 原文は米国物理学会の「Physics & Society 第37巻第4号」に掲載されている。
因みに、モンクトン卿の懐疑論は同3号に掲載されている。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。