「地球温暖化懐疑論批判」の「不都合な真実」(6)

注) 当投稿を含む”「地球温暖化懐疑論批判」の「不都合な真実」”シリーズの内容は、右側のサイドバーにアップロード(カレンダー、「最近の投稿」、「アーカイブ」の下)している”「地球温暖化懐疑論批判」の不都合な真実”にまとめ直しました。今後はそちらをご覧ください。画像をクリックするとPDFが表示されます。全60ページですので、ダウンロードすることをお勧めします。ファイルサイズは2.8MB弱です。

図1 降下物中の放射性物質

今日今晩は。こちら西日本です。
昨日、宮崎県で降下物からヨウ素が検出されました!西日本の太平洋岸に拡散した放射性物質が南東の風で飛来したものでしょう。今日の午前中は放射線量に目立った変化はありませんが、朝から南風が吹いてましたので、日中は西日本全体に放射性物質が飛来していたのではないかと考えられます。マスクしてました?一足先に雨が降った韓国では雨水からヨウ素とセシウムが検出されたと騒いでますが、ノルウェー気象機関の予報でも、また、サイドバーに表示しているオーストリア気象機関の予報でも、放射性物質は今夜中には西日本を抜けていくようなので、明日雨が降っても水道水が汚染されるような事態にはならないでしょう。とは言え「春雨じゃ、濡れて参ろう」は禁物です。

図2 ノルウェー気象機関による予報(明日午前3時)

さて、本題に入りまして、今日は「地球温暖化懐疑論批判」の「不都合な真実」(5)の続きです。
前回、日本人のすばらしい研究を紹介しましたが、その論文にはもう一つ注目すべき結果が載ってました。

図3 Climatic Change (2010) 100:733 より

bravo, bravissimo!
もちろん、これは、マイケル・マンが自分の折れ曲がったチンコをグラフにしただけと噂されている(嘘)、例のホッケー・スティック曲線に関係します。

図4 Nature, 466, 24, 2010 より

さて、「地球温暖化懐疑論批判」はホッケー・スティックに関してどのように述べているでしょうか。「議論6」では「IPCCは第4次報告書でホッケー・スティック曲線を見放したことについて清算していない」という批判に対して、次のように反論してます。


IPCC第4次報告書(2007)には、IPCC第三次報告書に掲載されたものも含め、11種の復元結果が掲載されている(WG1第6章の図6.10)。その中にはMannら(1999)の曲線も含まれている。また、懐疑論では無視されているが、第三次報告書に掲載されたMannら(1999)の最良推定値には、±0.5℃ほどの大きな誤差範囲がつけられている。・・・新しい論文が直接的に古い論文を根拠としていない限り、科学論争は新しい論文を材料としてすればよいので、古い論文に関する論争の「清算」を求める必要はない。・・・赤祖父(2008)では、IPCCはホッケー・スティック曲線を重視したいがために、古気候の変動を軽視したかのように述べられている。


(17ページ左の下から13行目、右の上から8行目、そして、右の上から18行目)

では、WG1第6章の図6.10を見てみましょう。

図5 IPCC第4次報告書より

「地球温暖化懐疑論批判」は誤差を云々してますが、色が濃い部分を辿れば、正にホッケー・スティックですよ。「IPCCは第4次報告書でホッケー・スティック曲線を見放した」というのは間違いですが、「IPCCがMannら(1999)の論文を重視しなくなった」というのも嘘です。IPCC一派は「ホッケー・スティック曲線を重視したい」のです。「科学論争は新しい論文を材料としてすればよいので」との言い草は、この事実から目を逸らそうと謀る詭弁にすぎません。

なぜIPCC一派にはホッケー・スティックが必要なのでしょうか。それを理解するために、まずはこれを見てください。


なお、気候変動を予測する気候モデルは、まず過去および現在の事象(例:様々な要因による温度変化)を事後的にうまく再現できるかどうかによって検証される。・・・例えば、仮に二酸化炭素やエーロゾルなどの人為起源物質の増加が無いという条件でシミュレーションを行うと、(自然の変動要因と気候の内部変動だけでは)20世紀後半の気温上昇の大きさは再現できない。これらは、20世紀後半においては、二酸化炭素が「原因」で温度が「結果」であることを強く示唆している。


(20ページ右の上から5行目)

では、次のグラフを見てください。

図6 IPCC第4次報告書の図6.13より

図6のシミュレーションが図3を「うまく再現できるかどうか」を「検証」してみましょう。図3(青線)の特徴は、1150年辺りの気温と1940年辺りの気温がほぼ同じということですが、これを再現できているのは茶色の線だけですね。もちろん、それはホッケー・スティックから明らかにずれてます。さらに、2000年の気温と1940年辺りの気温に相違は認められません。にもかかわらず、「地球温暖化懐疑論批判」は次のようにほざいてました。


なお、これまでの研究結果を総合してみると、1000年間の前半の気候復元のばらつきはまだ大きいものの、20世紀後半以降の気温が際立って高いことは共通している(National Research Council, 2006)。懐疑論の中には、IPCCで行われてきた論議の過程を踏まえていないか、あるいは、無視しているものが見受けられる。


(17ページ右の12行目)

茶色の線を「無視している」のはどちらでしょうか。おそらく、張壽川は虫国人だから「虫している」のでしょうね。一方、ホッケー・スティックに一番近いのは橙色の線でしょうか。これだと「20世紀後半以降の気温が際立って高い」と言えます。

以上から次のことが分かるでしょう。「20世紀後半以降の気温が際立って高い」のならばホッケー・スティックも正しい。逆に、ホッケー・スティックが疑わしければ「20世紀後半以降の気温が際立って高い」にも疑問符がつく。ですから「二酸化炭素が「原因」で温度が「結果」であることを強く示唆している」ためには、ホッケー・スティックが必要なのです。「IPCCはホッケー・スティック曲線を重視したいがために、古気候の変動を軽視した」のはこのためです。「地球温暖化懐疑論批判」が「議論6」でも「議論9」でも決して過去の温暖期を認めようとせず、「古い論文に関する論争の「清算」を求める必要はない」と居直ったのはそれ故です。

確かに「古い論文に関する論争の「清算」を求める必要はない」です。ホッケー・スティックは図3によって否定されましたし、「地球温暖化懐疑論批判」の「不都合な真実」(3)で説明したとおり、「20世紀後半以降の気温が際立って高い」のは「都市化による全球気温のバイアス」のおかげです。もはや「論争」は終わったのです。既にホッケー・スティックも「20世紀後半以降の気温が際立って高い」も共に「清算」されました。今や、IPCC自体が「清算」されねばならないのです。

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